[*]前 次[#] [0]戻 [4]履歴
[1]最新 [2]最初 ▼[3]コメント欄

【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜
19/20頁 (199件)
181:Chapter1−4:虹色と暗黒 03/17 20:04 ID:/M
シャニーには身に覚えのある話だった。 事実、姉もエトルリアに雇われて
そういった形で使われて、自分達と西方三島で対峙するに至ったのだから。
あの時は幸い、こちらの将も、現地での姉の将も優れた人間だったのでそれは回避できたが。
「恵まれた国の言うことなんか、放っておけばいい。 皆自己中心なんだ。 ありもしない正義に・・・騙されるな。 そして、振り回されるな。」
アルマの言葉に、シャニーは何か体を槍で串刺しにされたような感覚に陥った。
彼女の言葉は、何となく分かる。 皆自分こそ正義。 そんなものに信憑性など無いのかもしれない。
それでも、イリアを評価するのは他国だ。 自国やその民が、他国から悪いように見られたり、言われたりはしたくない。
「でも・・・やっぱりあたしは、憎まれるより、凄い国だなって言われたいよ。」
何も言えないで居るシャニーにアルマは更に語りだす。 いつも無愛想な彼女が、まさかこんなに話すなんて。
「私は、こんな腐った国は変えたいと思ってる。 こんな、他国の脛をかじらなくては生きていけないような国。」
「あたしも、それは思ってるよ。」
アルマは、シャニーが自分に同意してくれたことを意外に思ったようだった。
今まで、自分の考えに賛同してくれたものなど、殆ど居なかった。 彼女は独りだったのだ。
「イリアを他国に負けない強国に育てて、今まで見下していたやつらに吠え面をかかせてやるんだ。
そのための傭兵稼業なら、私は他人に何と言われようが知ったことじゃない。」
シャニーは、やはり彼女の考えている事はスケールが大きいと思った。 だが、それは自分も望むことだった。
思っていても、他の人なら無理を諦めることを平気で言うし、誰も考えもしないようなことも、人目を気にせず涼しい顔でやってみせる。
ちょっと危険で同意できないところもあるが、シャニーはアルマの夢に賛同していた。
「あたしは、皆が戦わなくても良いようになって欲しい。」
しかし、シャニーのその言葉に、アルマは返してこなかった。
それどころか、鋭い目付きで睨まれてしまった。
シャニーには、その目が何を意味しているかすぐ分かった。
―なって欲しいではない、そうするんだ。 自らの手で―
「・・・夢見てるだけじゃダメだよね! 同じ事を夢見てるんだし、これから頑張っていこう?」
語らずとも、自分の意志を伝える。 シャニーはそれにある種の敬意を持っていたし
確固とした意志を持っているアルマに興味を持っていた。
シャニーアルマと話すことで、十を志す為の“一”を少しずつではあるが見つけられそうだと感じていた。
アルマも同じ夢を持ち、実力も確かで人懐っこいシャニーには、少しずつ心を開くようになっていた。だが、この正反対の二人が交じり合うこと。
これが、後のイリアに大きな影響を与えていくことを、気づいていたものは居るのだろうか。

[*]前 次[#]
▲[6]上に [8]最新レス [7]ピク一覧

名前:
Eメール:
コメント:

sage
IDを表示
画像を投稿(たぬピク)
現在地を晒す