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30:田中 09/23 15:20
どれほどの時間がたったろう?…体中ぐっしょりと汗をかき、呼吸は詰まり、意識は朦朧としながら、それでも受話器を耳にあて立っていた。
ふと、女の言葉がゆっくりになってきた。
「あなた ギュルギュルギュルッんでしょ」
「あなた ギュルぎゅるぎュルッん でしょ」
ガッと受話器を掴み、ぐっと耳にあてる、雑音の中で女は言った。
「あなた 死にたいんでしょう」
「あ な た 死にたいん でしょう」
受話器を持つ手に力が入る、喉の奥から怒鳴るように叫ぶ
田中「オ…俺は…。」
田中「俺は!死にたくない!死にたくなんかないよ!」
その瞬間、プツッと電話が切れた、荒く呼吸をし、受話器を置く、心臓が激しく鼓動する、目には涙があふれていた、汗を拭いながら「俺はどうなるのだろう、」と思った。
あれから数年の月日がたった、今でも俺は生きている、この季節になるとあの体験を思い出す。
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