【長編】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜【小説】


FIRE EMBLEM@2ch2掲示板 > 【長編】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜【小説】
全部1- 101- 最新50

【長編】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜【小説】

1: 見習い筆騎士('-'*) 56J2s4XA:05/08/06 11:49 ID:E1USl4sQ
ということで別スレ建てさせてもらいました。
1部の24章までは以下のURLよりご覧いただけます。
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106

何かご意見がございましたらその都度レスしていただけると幸いです。
まだ書き手としては本当に初心者なので、ご指摘は特にありがたくい頂戴したいと思います。

〜今までのあらすじ〜
ベルン動乱から4年、平和に向かって歩んでいたエレブ大陸で再びベルンが戦争を起こす。
その首謀者は女王ギネヴィア。兄ゼフィールの意志を継ぎ、世界を統合しようと企む。
その過程でロイの恋人シャニーがロイをかばって事実上戦死するが、竜族伝説の聖王ナーガの力によって復活を遂げる。
そしてエレブ大陸とどこかで繋がるという、別世界から来た神竜族クリスによって衝撃の事実を告げられる。
ギネヴィアは『ハーフ』と呼ばれる人間と竜族の混血の種族の一人に体を奪われている、と。その乗り移った目的はエレブ大陸の支配。
彼らは別世界では迫害され、こちらの世界に自分達の国を作ろうと乗り込んできたのであった。
ロイ達は大陸内で唯一ベルンの侵攻のないナバタの里から、エトルリア、イリアへと進軍していくのであった。


186: 手強い名無しさん:06/01/04 08:42 ID:gAExt6/c
しかし、その行動が逆にシーナを落胆させた。・・・やっぱりわかってもらえなかったか・・・。
異性として兄を見る自分と、妹として自分を見る兄。意識の差は大きかった。
「はぁ・・・やっぱり兄ちゃんは兄ちゃんだよ。」
「?? 何言ってんだ? シーナ、お前風に当りすぎて風邪でも引いたのか?」
そういいながら真剣な目で、シーナの額に手をやるクラウド。その真顔に、兄なりの優しさを汲み取ったが、やはりその、何というか期待と斜め上の方向の行動を取る兄に、呆れてしまう。
「そうみたい・・・。明日も早いし、もう寝るね。」
そう言うと、シーナは反対側を向いて頭から毛布を被ってしまった。・・・やっぱり兄ちゃんなんか嫌いだ。・・・兄ちゃんのバカ!

翌日から、二人は王都での情報収集をスタートした。
二人はまず王都の様子を観察してみる。北国だけあって氷雪で覆われているが、皆しっかりとした防寒具を羽織り、どの家もガッチリとしたレンガ造りであった。王都の生活水準はかなり高いようだ。それが、周りにある人間たちの村落との格差から余計に高く見える。
「こいつら良い生活していやがるな。」
クラウドがポツリと漏らす。この豊かさは、周りから搾取したものによって成り立っている。しかも封建領主と違い、彼らはただ奪うだけ。そして迫害までする。自分たちの生活が何によって成り立っているか考えもせずに。同族の蛮行に、クラウドはイライラがたまっていく。
「兄ちゃん、落ち着いてよ。そんなにカッカしても仕方ないよ。」
シーナが兄を嗜める。自分たちの目的はあくまで情報収集。どんな理由でアレ、ここで騒ぎを起こすわけには行かない。直情径行の激しい兄だ。綱で繋いででも見張っていなければと、兄を注意して見ていた。
しばらく町の様子を観察すると、今度は城の様子を見に行く。いくら同族には優しいといっても、そう簡単に近づけそうにはなかった。
「さぁ、どうしたものか・・・。」
「私の天馬で空中から観察しようよ。そうすればきっとうまく行くよ。」
シーナが天馬に跨りながら、兄に言った。確かに地上からでは警備が厳しいが、空中から眺めるのであれば、そこまで難しくないだろう。クラウドもそう思い、シーナの天馬に跨ろうとする。天馬はご主人以外で、しかも男のクラウドを乗せることを嫌がって暴れる。
太古の昔から、天馬乗りは女性だった。それは天馬が主人に恋をするからと言われていた。
「こらっ、セフィ、暴れないの! 私の兄ちゃんなんだから乗せてあげて!」
シーナの言葉に仕方なく羽を下ろす天馬。その目はクラウドのほうをじっと見ていた。まるで、“ご主人の命令だから仕方なく乗せてやるんだからな”と、言わんばかりに。
二人を乗せて天馬が宙に舞い上がる。クラウドにとっては初めての空中散歩だった。だから物珍しい、快適な空の旅になるはずだった。だが・・・ここはイリアの冬空だという事を忘れていた。
「ぶぇっくしゅん! うぅ・・・寒い!」
クラウドはあまりの寒さにくしゃみをしてしまう。ただでさえ上空の空気は冷たいのに、天馬はその風を切って空を飛ぶ。風に身を切られるような感覚に陥った。
「文句言わないの! 天馬騎士はいつもこんな風な寒空を飛ぶのよ。兄ちゃんも弱音を吐かないの!」
クラウドはようやく、昨日妹があんなに震えていた理由が分かった。そして、あんなになるまでずっと黙っていた妹の強さもその身で味わった。
しばらく飛んでいくと、城が見えてきた。中の様子を見ると、しっかり警備が行き届いている。兵がいたるところに配置されていたのである。
地上だけではなく、空中にも天馬騎士が飛び回り、死角が無い。これでは忍び込めそうに無い事は言うまでも無い。しかし、それではせっかく王都に忍び込んだ意味が無い。
二人は必死に忍び込めそうな外堀や警備の薄い場所を探す。そのことに夢中になっていたためか、二人は高速で近づいてくる物体に気づかなかった。接近してくる飛行兵への反応が遅れることは、飛行兵にとっては死を意味するといっても過言ではない。背後を取られれば挽回することは難しいのだ。
「おい、お前たち、ここで何をしている!?」
その声に二人は慌ててそちらを向く。そこにいたのは・・・。
「あー、お前はこの前の竜騎士!」
そこにいたのはレオンだった。レオンはクラウドの言い草に、二人を思い出した。
「何だ、あの時の傭兵か・・・。それがこんなところで何をしている? 返答によっては容赦せんぞ。」



続きを読む
掲示板に戻る 全部次100 最新50
名前: E-mail(省略可): ID非表示