部隊コード:8820(イリア天馬騎士団編)-U


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部隊コード:8820(イリア天馬騎士団編)-U

1: 手強い名無しさん:08/05/03 18:21 ID:PM
更新間隔が長くなってしまっていますが誠意執筆中です。
今回は前作以上に長編化しそうな感じなうえ、
オリジナル要素が強く(というか、こんな展開になんの?!がコンセプト)読み手の意見も大きく分かれると思います。
まだ楽しんでくださる方がいれば幸いです。


142: Chapter2-2:闇に彩られし者:08/05/05 12:01 ID:2U
「とんでもない! あいつは僕を守ってくれたんです。
僕が何も出来ない男ですから、余計な負担をかけてしまって。
彼女の治療だって、大方は魔法の杖によるものですし。 僕に出来る事など微々たるものです。 彼女には本当に感謝しています。」
彼は自分の無力さを思い知っていた。
特に、アルマに言われた言葉は否定できない、とてもショックの大きいものだった。
魔法に出来る限界と、医学に出来る限界。 これには明確な境界があると彼は信じていた。
そして今、目の前で親友に起きている苦しみは、
医学の限界を超えた魔法の領域で為しえることのできる芸当でのみ取り除くことが出来る。
自分の力では恩返しが出来ない。 その無力さが歯がゆかった。 アルマもきっと笑っているだろう。
―口ほどにもない、と。
悔しさをばねに、彼は更に研究に勤しんでいた。
魔法では到底解決できないような、医学にしか出来ない部分で親友と同じように国へ貢献しようと。
それが、親友への一番の恩返しになる、と。
「あなたがそう言ってくれると、きっとシャニーも喜ぶわ。
でもね、私が言いたいのはそういうことじゃないの。
自覚と意識の切り替えをして欲しいと言う事なのよ。 厳しいことを言うようだけどね。」
「意識の切り替えとは?」
「傭兵として戦地に赴いたときは最低限、自分の命は自分で守らないといけないかもしれない。
でもね、そうでない時は皆仲間なんだから助けを求めてもいいんじゃないかしら。
そういう気持ちの切り替えよ。 あの子はまだいつでも戦場の気持ちで戦っているわ。」
「・・・。 期待しているんですね。 僕はシャニーが羨ましいです。 ティトさんのような自分の事を心から想ってくれるお姉さんがいて。」
ティトはなんだか恥ずかしくなって、返す言葉に困った。
苦しみ紛れでシャニーの元へ寄ってみる。
相変わらず目を覚まさない。 余程体への無理が大きかったのだろう。
もうすぐ彼女達も入団してから1年が経つ。
個人差はあれど何がイリアに必要なのかを考え、知って、理解をし、どうすれば良いのかを考えるところまでは来ている。
そろそろ次のステップに進まなければならないとティトは考えていた。
彼女は人材の育成に特に力を注ぐ事を当初から心に決めていた。
またあの惨劇を引き起こさない為には、人材力が大切だと。
「・・・まぁ、でもこの子も随分成長したわ。 前に比べれば責任感が出てきたというのは見せてもらった。
褒めるとすぐ調子に乗るから、めったに褒めないでいるのだけどね。 別に彼女を認めていないわけじゃないのよ。」
好きな相手だからこそ厳しくなる。
愛情表現に対しては不器用なティトだが、ウッディには彼女がシャニーを大切にしていることぐらい言われなくても分かっていた。
ティトは出撃前にもかかわらず、両手にはめたグローブをおもむろに外す。
中から現れたイリアの女性特有の白く美しい手。
(こんなきれいな手をしているのに、血で濡らさないといけないなんて・・・)
ウッディがそんな事を考えていると、ティトはその手で妹の額に乗っているタオルを取った。
そのまま寝台から腰を上げると、汲み置きの水のあるほうへ歩いていく。
「あ、ティトさん。 そういう仕事は僕がやりますよ。」
「私にやらせて。 この子めったに風邪もひかない子だったから、こういうことをなかなかしてあげられなかったのよ。」



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