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エロゲーのような生活ってリアルにあるの? -Side&After- Part12
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266:◆ODv2GPUc 01/20 21:35 [sage]
続き
次の日の夕方、早めに仕事フケて妹連れて病院へ向かった。
こっそり(本当はまだ運動はさせられない)▲▲を連れ出して病院の中庭の端っこの
あまり人が居なさそうなところへつれていく。
○○「はい▲▲ちゃん、ボールね」
妹が▲▲にボールを渡す。真っ黒な汚いボールだなあと思って、よく見たら寄せ書きが
いっぱい書いてある。
俺も覗き込むようにしてそれを見る。
▲▲「わ、字がいっぱい・・・この野太い字で『ファイト!』ってB??」
○○「うん、そうだね」
▲▲「なんか可愛い字で『くたばるなら、グランドの上で』・・・まさかA?」
○○「相変わらずA、ワケわかんないよねーハハハ」
▲▲「ハハハハ」
▲▲の屈託のない笑顔を見たのは本当に久しぶりだった。
▲▲「○○ちゃんはどれ?」
○○「あ、ここ、ここ」
妹が指差した先に『愛しの▲▲ちゃん、早く元気になってね』と書いてある。
▲▲「ちょっとー、今いないからいいけど、また師匠にレズ疑惑もたれちゃうじゃない」
いや、思い切りさっきからいるってw
「・・・・・って、い、いたの?ヤバイ!」
▲▲はわざとらしく驚いてよろける。すかさず抱きすくめる妹。その態勢でこっちを見て
ニッコリ笑う。
○○「二人の愛はオトコなんかに邪魔されないのよ」
▲▲「こら、離しなさい!」
とかなんとか、漫才みたいなことをやっているので
「時間ないからさっさとやれ」と妹をひっぺがす。
妹がグローブをもって大体目分量で12m離れた所に立つ。
ちょうどマウンドからホームベースの距離。俺は▲▲がコケて怪我したりしないように
▲▲の近くで見守る。
「んしょ」っと▲▲が構えを取るが全然力が入ってなくてド素人が重いボールで
ボーリングやるようなフォームになってしまう。
あの流麗で力強いフォームはもう見れないのか、と俺は感傷にひたりそうになったが、
俺が落ち込んでいてはなにも始まらない。黙って見守る。
「えいっ」
▲▲の手から放たれたボールは3mぐらいのところに落ちて止まった。
妹より俺の方が近いので俺が取りに行って▲▲に渡してやる。
5回目ぐらいでようやく妹に近いほうにボールが行くようになった。
ずっと運動してなかったせいか、▲▲はこれだけで肩で息をしている。
9球目、ワンバウンドながら妹のグラブにボールが収まった。
○○「ラストー!」
様子を察して妹が声を上げて▲▲の前にボールを転がす。
▲▲はそれを大事そうに拾い上げると、残された力を振り絞って最後の一投を
投げた、というか投げ上げた。
山なりのボールは妹の正面に飛んで、妹は難なくグラブに収めて
「ナイスボール!」とピースサインをしてみせた。
その様子を、膝に手を付いて顔だけ上げて見届けた▲▲は、息切れしながらも
満足そうな笑みを浮かべた。
▲▲「ありがとう、○○ちゃん、師匠」
妹からボールを受け取った▲▲は、素直に礼を言った。
「全然大丈夫じゃん。筋力が戻れば普通に投げられるよ」
妹は希望的観測を込めた言葉を▲▲に投げかけて、軽くポン、と背中を叩いた。
俺「じゃあ、病室まで送るよ」
▲▲「いいですよ。一人で戻れますから」
▲▲はボールを大事そうに抱えたまま、スッと俺たちから離れて病棟のほうに歩き出す。
「おい、▲▲・・・」
追いかけようとした俺の腕を妹がつかむ。
「な、なんだよ」
「泣くところ見せたくないんだよ、▲▲ちゃんは」
「え?」
「たぶんボールの寄せ書き見たときから我慢してたんだと思う」
「・・・ったく、意地っぱりめ」
小さな肩を震わせながらトボトボと歩いていく▲▲の後姿に声をかける。
「おい泣き虫、さっさと退院して、泣くなら俺の胸で泣け!」
「あたしの胸でもいいよー」
▲▲は左手を軽く上げて俺たちに応えた。
振り返らないのは、おそらく妹の推測が当たっているに違いなかった。
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