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エロゲーのような生活ってリアルにあるの? -Side&After- Part12
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268:◆ODv2GPUc 01/20 22:48 [sage]
気持ちだけは法定速度を遵守してグランドに到着する。
さすがに試合会場にお姫様だっこで登場するのは気が引けたのか、▲▲は俺の左腕を借りて自分の脚で歩く。
ずっと閉じこもっていたせいか、ときどき眩しそうに右目の
上に手をかざす。

到着すると、試合はもう始まっていた。
俺と▲▲は妹のチームのベンチ裏のちょっと土が盛り上がった
ところへ腰掛ける。気が付いた女の子はこっちに会釈したり
手を上げたりする。

試合は緊迫した投手戦となった。Bちゃんは初回にエラー絡みで
1点を失ったものの、その後はクリーンヒットを許さない快投を演じていた。
しかしこちらも打線が振るわず、0−1のまま終盤を迎えていた。

▲▲はピンチやチャンスのたびに、表情を変え、声を上げ、
身を乗り出そうとして俺に制止される。
精神的にはもうコイツは大丈夫だ、と俺は胸をなでおろしていた。

7回裏(最終回)、2死1塁からBちゃんがセンター前ヒットでつないで%%ちゃんフォアボールで2死満塁。
バッター○○への第一球はデッドボール(わざと避けなかったような感じ?)。
○○はベンチと俺たちに親指を立てて見せた。これで同点。
そして打順はAちゃんに。Aちゃんは3塁ベース上のBちゃんと
何事か話して打席に戻る。
Aちゃんは正直あまり打撃は良くないけど、ここは任せる、とでも言われたのだろうか。

ストライク・ボール・ファールでカウント2−1。
▲▲は甲子園に応援に来ている女子高生のように、両手を
顔の前で組んで祈っている。

そして運命の1球。
つまり気味の打球が1、2塁間を抜けていった。
妹大学チームのサヨナラ勝ち。まるで優勝したような騒ぎになり、審判にたしなめられる場面もあった。
整列して相手チームと審判に一礼すると、妹、Bちゃん、Aちゃんがこちらへ走ってきた。

B「残念だったわねー。ご希望通り負けてあげられなくて」
▲「せっかく秋(シーズン)は3部リーグで楽しようと思ったのに」
A「まあ秋に▲▲様の出番があるかどうかわからないけどね」
▲「じゃあ優勝戦の最後1人だけ投げさせて。胴上げ投手、って
一回やってみたいから」
○○「それあたしが予約してるからダメ」
B「○○が投げたら10点差でも追いつかれちゃうよ」
▲「ストライク入らないからね」
A「▲▲ちゃんだってノーコンじゃない」
▲「ひどいんだー」

字面だけだとイヤミを言い合っているように見えるけど、
もうAちゃんにもBちゃんにもわだかまりはないようだった。
むしろ「秋に」という言葉を▲▲から聞けてホッとしているようだった。

試合後のミーティングのために3人はベンチのほうに戻っていった。俺は▲▲の腕を取って言った。

「さあ、『俺たちの』家に帰るか」
「うん、『私たちの』家にね」
まるで自分の居場所を確かめるように、▲▲は言い直して、俺の左腕につかまった。

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