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339:嵐の日の荒らし 01/04 16:09 [sage]
と、その時だ。道の下方から車の走行音が突如聞こえ出す。そちらを見やると、1台の大型車が今まで登ってきた道をかなりのエンジン音を轟かせながら疾走してくるのが見えた。ケンタは立ち上がると、道の端でその車に視線を向ける。車というより鉄の塊のような体格の良い四輪車で、狭い道に関わらずかなりのスピードで駆け上がってくる。ケンタはその車をやり過ごすと同時に、自然と車中の様子を窺ってしまう。中の人間は2人で、見覚えのある外見に はっとなる。その車の方も こちらに気付いたのか、少し先で急停止する。そして運転席側のドアが開けられると、一人の男が半身を乗り出しこちらに話し掛けてきた。
340:嵐の日の荒らし 01/04 16:10 [sage]
ブソン「よぉ!」 奴は体格の良い身体と相まった威圧的な態度で、こちらを見ながら少しにやついた表情をしている。しかし、眼は鋭くこちらの様子を窺っているようだ。ケンタはそれに臆することなく強気に言う。
ケンタ「おい、おまえら! 今度は一体、何を企んでやがるんだ!」
ブソン「ふん、お前には関係ねぇな。しかも今回の任務はあと数時間で完了だ。まだこんな所をたらたら歩いてるようじゃ、俺たちの邪魔は出来そうにねぇな。」 ブソンは意気高々と話す。そんなブソンに横槍を入れる もう一人の仲間。
バショウ「ブソン、こんな所で足を止めているようでは時間の無駄です。早くこの任務を終了させ撤退しましょう。」 落ち着いた声だが冷たさを感じさせる声が助手席から聞こえる。
ブソン「おう、そうだったな!」 バショウとは対照的に乱暴にそう答えると、ブソンは車内に身体を引っ込める。
341:嵐の日の荒らし 01/04 16:12 [sage]
ケンタ「待て!」 すかさず叫ぶ。
ケンタ「マリナやジュンイチは無事なんだろうな?」 この問いにブソンはもう一度こちらに顔を向ける。
ブソン「誰だ、そいつらは? ま、誰だか知らんが、お前もさっさとこの山を降りるんだな。このまま上り続けても無駄足だぜ。」 そのままドアを思い切り閉めると、エンジン音を豪快に立てながら夜の訪れた山道を疾走して行った。一人残されるケンタ。あいつらに何を言われようと、この山道を登り続けるしかない。未だに近くで佇んでいるノコッチを見てそう思う。きっとあいつらはこの山の頂上で何かを企んでいる筈だ。
342:嵐の日の荒らし 01/04 16:13 [sage]
ケンタは息を切らせながら、山道を登り続けていた。夜の山道は闇が支配しているが、空には満天の月が輝いており進むべき道を照らしてくれている。その道の途中でも元気がないポケモンを多数 目にする。ノコッチを初め、ホーホー、イトマル、ムウマ、オドシシ等々。あいつらがこの異変を引き起こしているのなら、一刻も早く阻止しなければ。ケンタのポケモンたちを想う気持ちが先を急がせる。それにマリナやジュンイチのことだって気に掛かる。先ほどのあいつらの言動からするとまだ接触はしていないと思われるが、これからどんな不測の事態が起こるか分からない。そんな不安を抱きながらケンタは黙々と先を急ぐのだった。
343:嵐の日の荒らし 01/04 16:14 [sage]
どれだけ歩き続けたであろうか。休憩も取らずに早足で上り続けているため、そろそろ足腰が重く動かなくなってきた。夜だというのに滲んでくる汗にも構わずケンタは、歯をくいしばり それでも尚、前進しようとする。今歩いている道はやたらと長い勾配の掛かった道で、くじけそうになる心に負けまいと必死に上り続ける。そんな時だった。この坂道の上方から女性の悲鳴が聞こえてくる。そしてそれに続き岩が崩れる衝撃音。ケンタはハッとし、この道の見える限りの先方に目を向ける。そして疲れきった身体のことも忘れ、傾斜の坂道を今持てるだけの力を振り絞って駆け上がって行った。
その坂道を登り切ると開けた場所に出た。山の中腹に広がるちょっとした平地だった。そこでケンタは衝撃的な場面に遭遇する。ハガネールの巨大な尾が大きく振られた瞬間、一人の人間に当たりその人間は吹っ飛ばされ壁岩に激突する。坂を登り切って見た光景がいきなりこれだ。その人間に尚もにじり寄るハガネールに、次の指示が冷酷にバショウの口から放たれた。
344:嵐の日の荒らし 01/04 16:18 [sage]
バショウ「ラスターカノンです!」
ケンタ「やめろ!」 叫ぶと同時に走り出し、岩壁の前でぐったりと腰を降ろしているジュンイチめがけ飛び掛かる。その瞬間襲い来る、眩いばかりの閃光弾。威力は凄まじく、岩塊がいとも簡単に粉砕してしまう。ケンタはジュンイチを抱え込み、ごろごろと転がっていた。無事なところをみると、なんとか間に合ったようだ。
回転が止まると、ケンタはすぐさまジュンイチを見る。ジュンイチがつむっていた目を開け、こちらを見た。どうやら大丈夫そうなのを確認し、ひとまず安心する。助け甲斐があったというものだ。未だに きょとんとし、何がどうなったのか分からない顔をしているジュンイチにケンタは声を掛ける。
ケンタ「ジュンイチ、しっかりしろ!」
ジュンイチ「ケ、ケンタ、助けに来てくれたんだな。ありがとう、ありがとう。もう駄目かと思ったよ〜。」 と、いきなり抱きつくと思いっきり締め上げてくる。
345:嵐の日の荒らし 01/05 18:37 ID:hI [sage]
ケンタ「いてて…」
ジュンイチと共に転がった時だろう。体のあちこちを打ち身していることに気が付かされる。その後 ジュンイチは、涙と鼻水をケンタの服に残し真剣な表情をすると、体が痛むのを我慢するように立ち上がろうとする。
ジュンイチ「僕が今行くからね。待っててね、マリナちゃん。」 ジュンイチはうわ言を言うように声を発するが、その後 がくっと膝が落ちそのまま座り込んでしまう。
ケンタ「おい、無理すんなって。」 すかさず声を掛ける。
ケンタ「ジュンイチ、それでマリナは?」 その問いにジュンイチは泣き叫ぶような声になってこう言った。
ジュンイチ「マリナちゃんはその岩場から下に落ちちゃったんだー!」
ケンタ「え?」 ジュンイチの指差す方を見ながら、信じられない気持ちになってくる。ここからではどのくらい深いのかよく分からないが、落ちて無事に助かるような高さでないことはだいたい見当がつく。その時、こちらを見ていたロケット団の1人ブソンが声を掛けてくる。
346:嵐の日の荒らし 01/05 18:39 [sage]
ブソン「やってくれるな、ヒーローボーイ! 友の為にそこまで自分を犠牲にするとはな。」 褒めているような言葉だが、皮肉がたっぷり交じっている。
それに続きバショウも口を挟む。
バショウ「そんなもの、不要としか思えません。それに自分以外の他の生物を助けようなんて、何故そんな気持ちになるのか判断しかねます。あの女の子も他の者を助けようとしなければ、自分は助かったものを。」
ケンタ「おまえらなんかに分かるもんか!!」 2人の好き勝手な言い分に、怒りを露わにして怒鳴りつける。バショウはそれを受け流す感じで、
バショウ「もうこれ以上ここにいても意味がありません。後はヤツに取り付けたレーダーで追跡するのみです。行きましょう、ブソン。」
ブソン「ああ。」
ハガネールをモンスターボールに戻すと、2人は再び車に乗り込む。
347:嵐の日の荒らし 01/05 18:40 [sage]
ブソン「おまえら、これ以上俺たちの邪魔をするんじゃねえぞ。あのお譲ちゃんのようになりたくなかったらな!」 運転席からブソンがこちらに顔を向けて言う。そしてエンジン音が響くと、車は切り立った岩場に向かって走り出す。崖に入る直前に、その車のタイヤが丸ノコのような刃にチェンジすると そのまま崖の側面を削りながら走り去っていった。
やつらが過ぎ去った後、ケンタはマリナが落ちたらしい場所まで行ってみる。無事でいてほしいという想いを胸に、緊迫した面持ちで崖の下を覗き込む。その下は闇が広がっていて、底の方はどうなっているか分からないが相当の深さがある。ふと耳を澄ますとゴウゴウと音がする。水の流れる音だ! その音はかなり下の方から微かに聞こえてくる。水の中に落ちたのなら絶対とは言えないが、まだ助かる見込みがある。その可能性を信じて、ケンタはすぐにマリナの探索に向かうことにした。
348:嵐の日の荒らし 01/05 18:43 [sage]
ケンタとジュンイチの今いるこの平地には巨大な物体が放置されていた。機械とでもいうのだろうか、骨組みが目立つ円柱形の何をするためのものなのか全く理解できない物体。そしてその近くには巨大な穴が一つ。ジュンイチの話によると、この機械から帯状の光が放出されその新種のポケモン、ツチームを締め付けていたらしい。しかもその光の帯からは捕らえたポケモンを弱らせる為のものらしいバチバチした電気も出ていた。苦しそうにもがくそのポケモンを見たマリナとジュンイチは堪らなくなって、その機械を停止させることにした。その後、何とか機械は止まり、ツチームは長い体をくねらせ穴を掘って逃げて行ったということだった。そこまでは自慢ありげに話すジュンイチ。
ジュンイチ「こいつを止めたと同時に地面からの振動波もなくなり、“一イシツブテ、二ポッポ”って感じだったなー。」
ケンタ「ちゃんと一石二鳥って言えよ。」 突っ込むケンタ。
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