[*]前 次[#] [0]戻 [4]履歴
[1]最新 [2]最初 ▼[3]コメント欄

熱血高話
17/20頁 (193件)
169: 09/02 15:34
     歴史の群像  18    

 78年に、田中内閣で外相を務めた大平正芳が首相になって、「より豊かな中国の出
現が、よりよき世界につながる。」と表明し、膨大な額の対中ODAの大号令が開始さ
れた。これこそ、日本の経済界の命取りになるものだったのだがそれは構わなかった。
これは、賠償的色合いを帯びたODAで、7兆円もの額を以後30年にわたり供与する
ことを閣議確認し政府は決めた。これは、当時の中国の公式GDPに匹敵する額で実質
6年分の中国国家予算とされた。これを共産党が支配する中国に流し込んだのである。
危険を覚悟で、未来を顧みない様と各界の新人経営者は軽視する政府に批判はあった。
しかし山崎豊子の小説「大地の子」のモデルとなった上海宝山鋼鉄誕生を新日鐵が支援
した際の社長であり、中国進出は「戦中の罪滅ぼし」と考えていた新日鐵の第4代社長
の斎藤英四郎は当時、日本企業の中国進出の先頭に立って現地入りしていた。彼には、
特に、新日鐵は最新鋭の製鉄設備を次々と中国へ進出させ、世界から「なぜ最新設備を
中国へ差し出すのか」と訝しがられた質問が来ていたからだ。しかし中国にはODA以
外にも、つづけと言わんばかりに巨額のジャパン・マネーが流入した。日本の経済界は
、国交正常化とODAの開始をビジネスチャンスととらえ、中国へ次々と進出したので
ある。こうしてこのODAが中国を今日の怪物(モンスター)に仕立て上げた栄養源と
なった。その後、政府主導で東日本旅客鉄道(JR東日本)は新幹線の技術を中国側に
供与したが、中国側はこれを国産技術と僭称し、米国にまで売り込みをかけるようにな
ってしまう。この驚くべき事実については、色々あるが、こうした最新技術を盗むシス
テムの最初の協力者が稲山嘉寛ということになってしまったのだ。しかしこれには欧米
の白人優位主義の残った社会体制が大きく影を落としてた。今井敬も稲山嘉寛も、或は
斎藤英四郎も鉄鋼売り込みや外国の政府要人との会談に世界各国に飛んで行っている。
彼らの行く先々には、常に白人のボディガードないし友人が必要だった。というのも、
白人社会の中で、ホワイトオンリーとかブラックダウンの標識が巷に溢れていて、便所
でさえも他の白人の目を気にしなければ入れない状態だったのだ。つまり日本人は特別
だ。といちいち説明しなければ、便所もバス停もバスの座席も飛行機の乗り口さえも、
分けられた世界だった。アフリカ諸国はもちろん、米国、英国、仏国、独逸、豪州と、
南米、東南アジアでもそれらの考えは浸食していた。この人種差別の気味悪さは実感の
ない者には到底解り得ない世界だった。日々にトイレで暴力が起こる海外日本人は白人
トイレにも黒人トイレにも怯えていたのである。一方国内は、アメリカナイズされた曲
や風潮に硬派が赤軍と称して危険な遊びに転じていた。ところがここでオイルショック
が起こったが、多くは石油や物価が上がって大変というぐらい認識の低いものだった。


[*]前 次[#]
▲[6]上に [8]最新レス [7]ピク一覧

名前:
Eメール:
コメント:

sage
IDを表示
画像を投稿(たぬピク)
現在地を晒す