[*]前 次[#] [0]戻 [4]履歴
[1]最新 [2]最初 ▼[3]コメント欄

小説板
36/44頁 (437件)
358:守人 02/27 00:33 [abcdefg]
 「・・・ニー・・・・・てよ。アニー・・・・起・・てよ。アニー!」
 誰かが呼んでいる。
 肩が揺らされる。
 そして下半身がヒンヤリしている。
 ハッと目が覚める。目を開けると、マオの今にも泣き出しそうな顔が視界に飛び込んできた。
 マオは私の目が開いたのを確認すると、ホッと胸を撫で下ろし、すぐに泣き笑いのような表情になった。
 「よかった〜。突然気絶したから心配しちゃったよ〜」
 マオの話によると、私は30秒ほど気絶していたらしい。そういえば鼻がヒリヒリする。きっと仰向け
に倒れたのだろう。けれど何故気絶してしまったのか。そのことを尋ねるとマオは、
 「え〜〜〜〜と・・・・・・ア、アニー。まずは着替えない?寒いと思うんだけど」
 顔を赤くして、目を伏せ、まずは私の下半身、次に足元を指差しながらそう言った。
 マオの指を追って体を起こし、床を見た私も顔が真っ赤になった。床に広がる水溜りを見て、自分が何
をしたのかを思い出したからだ。
 アニーは必死になって泣き出すのをこらえ、言葉を紡いだ。
 「マオ、お願い。誰にも話さないで」
 その言葉を受けたマオはあくまで笑顔のまま、右手の親指を立て、
 「あったりまえだよ♪だから安心してね、アニー」
 そう答えた。
 その返答に安心したアニーは、大分落ち着きを取り戻した。
 「え〜〜〜〜と・・・じゃあとりあえず床を掃除して、それから着替えようか」
 マオはこれからについて、方針を示した。
 「ええ。でもこの部屋には雑巾の代わりになるような物なんて無いと思うけど・・・」
 うーん。しばらく考え込む二人。やがてアニーは何かを見つけたのか、立ち上がり、ベッドの付近まで
歩いて行った。
 「あれ、アニー歩けるの?」
 「ええ。さっき倒れてる間に少し体力が回復したみたい」
 辛そうな表情でアニーは答える。回復したのは、本当に「少しの体力」だったのだろう。
 アニーはベッドのシーツを掴むと、思いっきり引っ張り、それを持って戻ってきた。
 「アニー、まさか・・・」
 「うん♪これで床を拭きましょう」
 「汚れるし、染みが付くと思うんですけど」
 「大丈夫。拭いた後はこの服と一緒に、お風呂場で洗うの。あとはマオが―――ねっ♪」
 アニーはウインクしながらそう言った。それでピーンときたマオは、早速床の掃除に取り掛かった。 床の掃除が終わった後、アニーは部屋の風呂でシーツと、服と、体を洗った。
 ここからがマオの出番である。
 マオは床に広げられたシーツと服の前に立つと―――フォルスを発動させた。
 マオの属性は「火」 熱を限界まで抑えた火を手に宿すことによって、それはまるでアイロンのような
役割を果たした。
 「うん、乾いた。なんかスッゴクいい感じなんですけど」
 満足そうにうなずくマオ。
 「ありがとう、マオ。おかげで助かったわ」
 そんなマオに、アニーは心から感謝した。
 その後、アニーは再び寝ることを選んだ。さっきの粗相を繰り返さないためにも、今度はマオに頼ん
で部屋にいてもらうことにした。
 眠りにつく直前の彼の言葉。
 「おやすみ、アニー。早く元気になってね」
 その言葉に応えるため、今は素直に体を休めよう。 意識が覚醒する。まだ病気は治っていないのだろう。下半身が酷く冷たい。目を開けると、部屋全体
がオレンジ色に染められていた。
 アニーは部屋全体を見回し、マオを探した。
 マオはアニーのベッドにもたれて眠っていた。そのあどけない寝顔を見て、アニーはクスリと笑いを
こぼした。
 アニーは体を起こしてみた。あれ?なんだかおかしい。どこか違和感がある。
 まず、寒気がなくなっていた。ついでに脱力感も消失している。
 でも下半身は冷たい。寒気がするのではなく冷たい。下半身だけが冷たい。
 「・・・・・・え?」
 アニーは恐る恐る掛け布団をめくる。自分でも顔が引きつっているのが分かる。
 ・・・・・・そこにあったのは、大きな染みだった。
 
 その後、アニーは急いでマオを起こし、2度目の証拠隠滅を行った。
 体調は回復したアニーだったが、こっちの病気はしばらく治らなかったとさ。
                              おしまい
[*]前 次[#]
▲[6]上に [8]最新レス [7]ピク一覧

名前:
Eメール:
コメント:

sage
IDを表示
画像を投稿(たぬピク)
現在地を晒す