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敵キャラユーリとヒッポのエロ小説大募集
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47:藍梅ひらる 05/30 18:37 [sage]
 ヒッポはユーリを抱き 地面に転がっていた。どうやら、迫り来る 破滅の弾をかろうじて避けることが出来たらしい。しかし 安堵する間も無く、すぐに次の悲劇が襲い来る。標的を失った 迫る凶器は そのまま真っ直ぐ突き進み、絶壁に衝突し 壁を崩壊させる。崩れゆく岩盤と共に落石が生じると、ヒッポとユーリの頭上に降り注いだ。ヒッポは咄嗟な判断で ユーリを護るために、膝立ちでユーリの上の位置となる。その崩壊は壮絶で、しばらくすると 二人は完全に 岩に埋め尽くされてしまっていた。
 ───ここは崩れた岩盤の下。ユーリは静かに目を開ける。あれだけの落石の中、身体の痛みは特に感じなかった。ただ、多少 窮屈で身動きが取りにくいだけだった。ふと 上を見やると、(確か ヒッポと名乗った)少年の顔が見えた。彼の背中には大きな翼が広がっており、それで落石から 身を護ったらしかった。どうして そこまでしてまでも自分を護ってくれるのか 訳が分からずに思案していると、その少年の目が静かに開く。それでも、相手の出方を覗うように見続けていると、少しの間を開けて 少年の目が自分の存在を捕らえた。 
 ヒッポ「良かった。あなたが無事で。」 そう言うと同時に、とても嬉しそうな顔をする。
 そして、広がった翼も小さくなっていく。上手く 岩同志で支え合い、とりあえずは 崩れることはなさそうだった。ユーリは その満面の笑顔を見ると、ますます訳が分からなくなる。
 ユーリ「助けてくれたことは感謝しますけど、礼は言いませんわよ。ただの愚か者が、勝手にユーリを助けたぐらいとしか思っていませんわ。」
 ヒッポ「私はそれでも、構いません。」 そう言った直後から、急にヒッポの目に涙が溜まり始め、溢れた涙がこぼれ落ちる。
 ユーリ「どうしたんですの、急に…」 ヒッポのその行為に、やや戸惑う。
 ヒッポ「ユーリさん、本当に 私のことは忘れてしまったのですか?」 泣くのを こらえるような感じの喋り方だった。
 ユーリ「忘れるもなにも、ユーリは水妖、あなたは マーメイドプリンセスの仲間。常識的に考えて、そんな親しい仲に なれる訳がないでしょう? あなたの その話、どこか根本的に おかしいですわ。」
 ヒッポ「そんな関係でも、私達は愛し合っていました。どうか、思い出して下さい!」
 ユーリ「馬鹿じゃないの? そんなこと、あり得ませんわ。 あ〜、もう、あなたと喋ってても 埒が明かないですわね。あなたの方こそ 何か、でたらめな現実でも植え付けられたんじゃありませんの?」 そこで、さも 可笑しそうに笑う。
 ヒッポ「そんな…」 愕然とした感じで呟くと、とても悔しそうな顔をする。それは、自分の思い通りとならない現実に突き当たったといった感じで、そんな顔を見た瞬間、ユーリは 何か以前にも こんな表情をいくつも見てきたような感覚に陥った。
 しかし、そう感じたのも 束の間、そんな感覚は すぐに消えてしまう。「何、今の?」 ユーリは心の中で自問する。
 ヒッポ「分かりました、ユーリさん…。もう、あなたの記憶から 私が蘇ることなんて無いんですね。それだったら それでいいです。けれど、私の中に ユーリさんとの記憶がある以上、あなたには 絶対に生きていて欲しい。ユーリさんなら、ここから たやすく出られるでしょう。私は どうなっても構わない。だから、一人で あいつらから上手く逃げて下さい。」
 ユーリ「そんなこと、分かってますわ。」
 ヒッポ「お別れですね。ユーリさん…。」 そう言うと、にこやかな表情をする。それは無理にでも、繕おうとした笑顔だった。
 ユーリ「………。」 そんな表情を見た時、心が一瞬 揺れ動いた。(え? この感覚は何?) 先程、感じた感情とは 明らかに別のものだった。暖かく 心地よくて、もっと味わっていたい感覚。ガイトを想う気持ちとは また違った別の感覚。初めての感情のはずなのに、それはどこか懐かしい感じがした。そして そんな感覚も、またすぐに消えていく。その感覚を引き戻したいと思ったのに、何故か 遠くの闇に吸い込まれるような感じになり そして、消えてしまった。この想いが 何なのか、以前 どこで味わったのか知りたくて、もう一度 そんな感覚を呼び起こそうと ヒッポの顔を見る。
 ユーリ「え?」 ヒッポの顔を見た瞬間、今度は脳裏に一瞬だけ ヒッポの姿が浮かび上がる。それは、明らかに以前 どこかで出会ったことがあるような感覚だった。しかし、何も思い出せない。今までに一瞬、感じては消えていった感情を合わせると何故か、とても大切なものを忘れてしまったような感覚に陥った。頭の中の うやむやを掻き分けて、目の前の少年の記憶を手繰り寄せようとする。しかし、その時 激しい頭痛が襲う。この頭痛も、どこかで味わったことのあるような感覚に捉われていた…。

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