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【頑張れ】苑子を応援するSSスレ【ゴッチ】
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33:名無しさん@お腹いっぱい。 12/08 01:22 ID:??? [sage]
ある日の夕食の後の塚御子家。
定期的に繰り返されるやりとりが今夜も起こっていたが、今日の父は少し違った。
「なんでそんな事言うんだ!!ふざけんな!!私は被害者なのに!!
私に理想押し付けるな!!私はまだ子供だ!!」
泣きわめきながら自分勝手な主張を言い張り続ける苑子。
毎回繰り返される、苑子の超人的な非常識な主張と聞き分けの無さに
苑子の父も遂に堪忍袋の緒が切れた。
「いいかげんにしろっ!!」
バキッ!!
父のコブシに体ごと吹っ飛び、苑子はうしろにあったタンスに頭から勢い良く激突した。
予想外に吹っ飛び床に倒れた苑子の姿に我に返った父が慌てて駆け寄ったが、
その瞬間、頭を抱えながら倒れた苑子に駆け寄る自分の行為に父は何故か既視感を覚えた。
「苑子!!大丈夫かっ!!」
苑子の体を引き起こし、揺すりながら声を掛けると、苑子はキョトンとした顔で父の顔を見た。
「・・・あれ?・・お父さん・・・?私・・・どうしてたの?私、馬と遊んでたんじゃ・・・あれ?私何言ってんだろ・・?」
「え?」
何かずれた苑子の反応に父は少しとまどい、「まさか今ので本当に狂ったか」と考え一瞬背筋が冷たくなったが
同じくいつか感じた事の有るその悪寒に父は遠い昔の記憶を完全に思い出した。
あれは苑子が幼稚園位の頃、家族で那須ファミリー牧場に遊びに行った時、
子馬のポニーに怖がる依子を励ましながら乗せてるスキに、
馬のしっぽを引っ張って遊んでいた苑子がハエの様に後ろ脚で10メートル近く蹴り飛ばされ、
先程の様に慌てて倒れた苑子に駆け寄った記憶を完全に思い出した。
直後は奇跡的に何でもなかったが、思い起こせばあの頃から苑子は徐々におかしくなっていったのだ。
そしてその夜以来苑子の変貌は驚くものだった。
自ら両親に頭を下げて通信講座で高校資格を取りたいのでお金を貸して下さいと申し出、
家の家事も手伝うと言い始め、更にアルバイト迄始め、
職場では何かと実際経験の不足故失敗が多かったが、
腰が低く誠実な苑子の人格に同僚も強く当たる事も出来ず、代わりに励ましをくれた。
やがてアルバイトをしながら一人暮らしを始め、遅れながら大学にも入り
地質学や土木工学、等を学んで何をするかと思えば
カンボジア等の後進国にボランティアグループの一員として飛び
現地で土壌改良や畑の開発、井戸の掘削等の仕事に従事し
その後も森林伐採や絶滅危惧動物の保護運動にもあたり続け
第三次世界大戦の折には戦火の中難民や孤児の保護活動に努め、
69歳でノーベル平和賞を授与し、「マザーテレサの再来」・「奇跡の人」と迄呼ばれ
87歳で亡くなる迄精力的活動を続け、ローマ教会で盛大に行われた葬儀には全世界が涙し、
死後ローマ教会からは「聖人」の称号が与えられた。
彼女の遺骨は故郷の埼玉県の当時のまま保存された実家のそばに建立された塚越苑子記念碑の下に納められ、
記念碑に刻まれた彼女の肖像はいつ迄もかつて家族が住んでいた実家を見守る様に微笑み続けていた。
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