[*]前 次[#] [0]戻 [4]履歴
[1]最新 [2]最初 ▼[3]コメント欄

【頑張れ】苑子を応援するSSスレ【ゴッチ】
60/61頁 (607件)
591: 05/12 06:33
朝、目が覚めた苑子は辺りを見回した。

「あれ?確か1階で寝てた筈だし、いつの間に自分の部屋に戻ったんだろう。」

しかし苑子はそこが自分の部屋ではないことに気が付いた。
天井が異常に低い。そして、なぜか上の階へ通じる階段がある。

「まだ夢を見ているんだろうか?」

苑子が布団に潜ろうとしたその時、「バタン!」とどこかで扉の閉まるような音がした。
苑子が恐る恐る歩み寄ってみると、梯子の上から笑い声が漏れるのが聞こえる。
それは紛れも無い両親の声だった。

「なあに、1週間に1度ぐらいは差し入れてやるさ。」

父が言った。その時、

「あ、依子!」

母親は泣きながら玄関に駆け寄った。

「今までどこ言ってたんだ?心配してたんだぞ。」

「そうよ。どれだけ探したと思ってるの!」

「ごめん…お父さん…お母さん…」

母は依子をぎゅっと抱きしめた。

「隣の方は?誰なの?」

「お母さん、お父さん。私、この人と付き合っているの…」

「そうなの?」

母が男の顔を見ると20代半ば頃の男は会釈を返した。

「私、今度この人と結婚しようと思う。」それから数年後、朝は夫を送り出し家事に育児に忙しい依子の姿があった。

「若いのにしっかりしている。」

と近所からはすっかり慕われ充実した毎日を送っていた。
ある日、子どもを連れて公園に来ていた依子は尋ねられた。

「あなた、お姉さん居たわねえ…引きこもりの!今、どうしてるの?」

依子は少し戸惑った顔をして言った。

「姉貴は数年前に家出したきり帰ってきてないよ。」

(完結)
[*]前 次[#]
▲[6]上に [8]最新レス [7]ピク一覧

名前:
Eメール:
コメント:

sage
IDを表示
画像を投稿(たぬピク)
現在地を晒す