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【頑張れ】苑子を応援するSSスレ β【ゴッチ】
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20: 11/17 16:33
地方の山奥の山林地域、猟銃の発砲音が山々の間でこだました。
「くそっ!!また畑を荒らしやがって!!憎たらしい奴だ!!」
男が睨む遠くの山林の先をドスドスと豚の様な獣が駆けていく。
樹に登ったかと思うと男に向かって振り返りながら樹上から糞を垂れて見せた。
「この野郎!!」
男が猟銃を数発撃ち放つが当りはせず、余裕で糞を垂らし続けた。

その晩、村の長の家に村人達が集った。村の間でソノコと呼ばれる近年住み着いた獣の相談だった。
「本当に憎たらしい奴だ、罠さ仕掛けても小狡しくよけてって糞まで引っ掛けてく」
「こないだ与一の爺様の家に入って来て孫が食ってた干し柿奪い取ってった」
「足んなそうなツラでブクブク肥えまくってるクセにオレらが近づくと逃げ足だけははやくてあっちゅうまにトンヅラかましやがる」
「実だけ喰ってくだけでなく喰えもしねえ根っこまで荒らしていきやがった。また植え替えにゃならん、憎たらしい奴だ」
「なんとかなんねのかあのブタは」
「三郎のとっつあんに頼んでみよう」

数日後、かつて名猟師と呼ばれた三郎という初老の男が村に呼ばれ訪れた。
酒宴の翌朝、三郎は蓑を羽織り干し肉や水筒を備え猟銃を持って山に入った。
三郎は垂れた糞の状態、道の様子、喰べた木の実やその喰いカス等、読み取りながら広大な山林の中着実に獣を追った。
昼も過ぎ、三郎は足跡等痕跡の頻度が多くなってきて巣が近い事を確信した。最後の干し肉を口に放り噛み締め飲み込んだ。
風向きに気を付けながら徐々に巣に近づいて行った。
やがて巣穴を見つけ、三郎は奥に入って行った。
居た。奥で大の字になって大イビキを立てて寝入って居た。
「もう逃げられんぞ」
その声に獣はガバッと起き上がり、猟銃を構える男を見るや小便を漏らし撒き散らした。
それはあの苑子の成れの果てだった。
両親にも見捨てられ、ある日苑子を置いて何処かに引っ越して行き、
残された苑子は徘徊生活の果てに山に住み着き、その頃にはすっかり動物になっていたのだ。
「ブヒイッ!!ブヒブヒッ!!」
獣は命乞いの様な姿勢を取り懇願した。
その時、更に奥から小さな獣が数匹歩み寄って来た。
この獣の子らしく豚の様な人の様な合の子の様な世辞にも可愛いとは言えない醜い様だった。
「おめえの子か…どっかの雄豚とでも交わったか…」
こんな生き物でも子が居る母かと思うと情けを掛けるか三郎に迷いが生じた時、
獣は子の一匹を捕まえ、近くに有った木の枝を突き刺して供物がごとく三郎に差し出す姿勢で命乞いを続けた。
己の命乞いの為に躊躇無く子を殺して差し出すとはなんちゅう奴だ…、
三郎は情けをかけそうになった自分が馬鹿馬鹿しくなる程に呆れ、躊躇無く獣の頭を撃ち、吹っ飛ばした。
三郎は獣の手足を棒に縛り付けると担ぎ、子も連れて村へ戻った。
その晩祝いの酒宴が盛大に行われた。肉は獣の肉だった。
子は村で飼われる事になり、村には平安が戻った。
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sage
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