恋の色


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恋の色

1: クマ:09/11/15 22:21 ID:ng [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
此処へのレス初めてなので、
よろしくお願いします。

でも、荒らしとかは、遠慮してください。
多分答える事ができないので。

2: クマ:09/11/15 22:26 ID:ng [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
恋の色

○主人公
・渡辺 志穂
・高1

・藍川 雄大
・高2


その他の主人公は、後々
出てくる予定です。

3: クマ:09/11/15 22:49 ID:ng [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
出会い


ーー今日から新しい学校。
緊張する。ーー


渡辺志穂は、緊張をどう紛らわそうか、
必死に考えていた。

父の会社の関係で、ニューヨークの学校に通う
普通の高校生だ。

ただ、勉強がよくできたため、一学年上の
クラスで勉強している。
その為、転校先の学校でも、一学年上の
クラスの転入になる。


ーー今日、転入生がくる日だっけ。
面倒だな。しかも飛び級生だっけ?
がり勉なんだろうな。−−

皆に話しかけられながら、内心では
いつもこんな事ばかり考えている。

クラスの委員を任されている藍川雄大は、
成績優秀で、三学年上の飛び級を進められたが、
断っている。

「クラスが心配だから」などと言ったが、
内心は、面倒くさいだけである。


先生が来て、志穂を紹介する。
志穂は美系の部類に入るのか、
クラスの男子が騒いでいる。

まだ、学校に慣れていないだろうという先生の気使いで、
クラス委員の雄大の隣になる。

「よろしくお願いします。」
志穂は深々と雄大に挨拶をする。
「こちらこそ。」
雄大も営業スマイルで返す。

これが、初めての会話だった。


4: クマ:09/11/15 23:26 ID:ng [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
はじまり


志穂が転入して三週間ほどたった。
その日の授業が終わり、
志穂は帰りの支度をしていた。

「渡辺さん。
 少し、いいかな。」
クラスメイトの海斗だった。
志穂は疲れていたが、断る理由も無いので、
海斗の話を聞く事にした。

「ここじゃあ話しにくいから、アド教えてくれない?」
「いいですよ。」
志穂は何の躊躇も無く即答した。
海斗は少し驚いた顔をした。

「どうしたんですか?」
志穂は海斗の変化に気付き、問いかける。

「いや、もうちょっと怪しんだりするかなって、
 思ってたから。」
海斗の返答を不思議そうに、志穂は海斗の顔をまじまじと見る。

そして、
「どうしてですか?海斗さんを怪しまなければならない事なんて
 どこかにありますか?」

満面の笑みを見せて、志穂は海斗とアドレスを交換した。


海斗は、帰り道、志穂の笑顔が頭から離れなかった。
今まで、本当に人を好きになった事が無い海斗にとって、
初めての本気の恋におちた瞬間だった。

そんな海斗の隣で歩いている、雄大。

いつもと違う様子の海斗に疑問を持ったが、
面倒くさかったので、会話をしないで帰った。

そして、いつものように海斗の部屋で寝ころんでいた。

突然、海斗が口を開いた。

「雄大。」
「何?」
「俺さ、、、」
黙り込む海斗。

沈黙に耐えきれず、雄大が口を開く。

「なんだよ。」

すると、
「俺、渡辺の事、すきになっちゃったみたい。」
「は?」

突然の告白に戸惑う雄大。

それもそのはず。

海斗は今まで、告白されて付き合う事はあっても、
誰かを好きになったなどと言った事など、
一度もない。

「なんで?」
それしか、言葉が出てこなかった。

5: クマ:09/11/15 23:31 ID:ng [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
2のレスで、主人公は――と書いてありますが、
登場人物の間違いです。

すみません。


そろそろ時間なので、
失礼します。

6: クマ:09/11/16 22:14 ID:lw [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
きっかけ


PM10:30

雄大は、志穂の事ばかり考えていた。

――渡辺ねぇ、、、
顔は、中の上か、上の下位だろ?
(俺から見てだが、、)

性格は、、、、?

しらねぇな。

会話も、最初の挨拶くらいだったし。――

雄大は必死に志穂について、
頭の中で整理をする。

だが、情報が少なすぎて、整理がつかない。

会話も一度だけ。

普段も、隣の席と言うだけで、
なんら、意識した事が無かった。

――あの海斗が好きになる位だ。
どんな女なのか、気になるな。――

雄大は携帯を手に取る。

――調べてみるのも、悪くないか。――

7: クマ:09/11/16 23:33 ID:lw [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
初めの一色(海斗)


22時30分

海斗は、携帯とにらめっこをしていた。

もう、かれこれ30分になる。

――なんて書けばいいんだ?
普通でいいんだよな?
普通で、、、?

俺っっ、今まで、なんて書いてきてたっけ?

やばいっっめちゃくちゃ緊張する。――


突然、海斗の携帯が光りだす。

「うわっっ」

海斗は驚き、携帯を手放す。

携帯は宙を舞い、床にポトリと静かに着地した。

落とした衝撃で、画面が開く。

「まじ?」

画面に表示されていたのは、

「渡辺さんっっ?」

しかも、電話だ。

軽くパニックになりながら、
やっとの思いで通話ボタンを押す。

「も、もしもし?」

「こんばんは。
 渡辺です。
 いきなりすみません。
 迷惑でしたか?」

不安そうな声が海斗の耳に入る。

海斗は慌てて、

「全然大丈夫だよ。
 こっちこそ、ごめんね。
 メールするの遅れちゃって。」

海斗の頭はもう、パンク寸前だった。

何か話をしなければ、
という、考えだけで、海斗の口は動いていた。

「あの、私、メールとか苦手で、
 できれば、電話の方が楽なんです。
 
 すみません。いきなりこんな事。

 あの、なので、メールの代わりに、
 電話というわけにはいかないでしょうか?」

志穂は遠慮がちにお願いする。

当然、海斗が断れるわけもなく、
メールではなく、極力電話でのやり取りになった。

その後も会話は進み、時計が
23時45分を指そうとした時

海斗は思い切って、

「あのさ、渡辺さんの事、
 志穂ちゃんって呼んでもいいかな?」

「・・・・」
「・・・・」

沈黙の後、

「いいですねっ。
 それじゃあ、私は海斗さんでいいですか?」

あっさりとOK。

海斗は、安堵の溜息を漏らした。

そして、少し調子にのった海斗は、

「さん付けじゃなくていいよ。」

「えっ、でも、先輩には変わりないですし。」

海斗の意外な提案に戸惑い気味の志穂。

そんな志穂に海斗は、

「年は違っても、クラス一緒なんだし、
 タメ語でいいよ。」

「・・・・」

少しの沈黙の後、

「分かりました。
 じゃあ、海斗君でいいですか?」

「ははっ。
 また、敬語使ってるよ。」

海斗の突っ込みに志穂もつられる。

「ごめんなさ、、
 あっ、ゴメンゴメン。
 気を付けるね。」

二人は、同時に笑いあった。

しばらくすると、0時の鐘が鳴る。

「もう、こんな時間か。
 俺、もう寝なきゃ。」

海斗の提案に志穂も同意する。

「そうだね。
 今日は楽しかったよ。
 
 ありがとう、海斗君。

 また時間があったら、話そうね。」

志穂は、今日の素直な感想を言った。

「・・・・」

海斗からの返事が無いのを疑問に思い、

「海斗君?」

海斗に呼び掛ける。

慌てたように、海斗の声が、返ってきた。

「そうだね。楽しかったね。
 また、話そうね。」

「うん。」

「じゃあ、おやすみ。
 志穂ちゃん。」

「おやすみなさい。
 海斗君。」


二人は、同時に電話を切った。



携帯を、自分の隣に置き、
枕に顔をうずめる。

――キンチョーしたー。
でも、結構、良かったんじゃね?

名前のOKも、貰ったし、
って、いうか、志穂ちゃんに「海斗君」
なんて呼ばれた時、うれしくてぶっ飛びそうだった。

あれは、やばいっっ。
まじ、幸せだった。

こんな事が明日から毎日っっ。

心臓持つかなぁ〜――

顔の緩みが治らない。

この時、海斗は、満足感に包まれていた。


――もっと、志穂ちゃんの事、
知りたいな。

明日も電話で話せるかな?

いや、学校でも、話せるんじゃないか?――


海斗の頭は、志穂の事でいっぱいだった。

海斗の心は、確実に志穂に近付いていった。 

8: クマ:09/11/16 23:41 ID:lw [ p4040-ipbf2704souka.saitama.ocn.ne.jp ]
これからは、頑張って、
1日に、2個のレスで頑張りたいと思います。

読んでくださっている皆様。
ありがとうございます。

初心者なので、色々気に触るようなこともあると思いますが、
アドバイスなどして頂ければ、
ありがたいです。

どうぞ、よろしくお願いします。


失礼します。


9: クマ:09/11/18 00:06 ID:YY [ p1152-ipbf907souka.saitama.ocn.ne.jp ]
志穂の考え―雄大の気持ち


5:30

賑やかな目覚ましとは反対に、
眠そうな顔をしている志穂。


――眠い。
昨日、少し喋りすぎちゃったな。――

昨日の事を思い出す。

――海斗君、あんなに話す人だったんだ。

なんか、いつも藍川さんと一緒だから、
もっと無口かと思ってたなぁ。

でも、新しい学校に来てから、
あんなに話したの、初めて?

とにかく、海斗君になんかお礼しないとなぁ、、、

何がいいだろう?――

志穂の思考を遮るように、父の声が志穂の頭に響いた。

「ご飯、できたぞー。
 早く、食べろぉー。」

――えっっ、
もうそんな時間?――

時計は6:15と表示してある。

「・・・・」

「うそっ、まずいっ。
 間に合わないよぉ。」

バタバタ、、、

「お父さんごめん。
 私、パンだけでいいや。

 間に合わないの。」

「まったく。」

しょうがないとでもいいたいのか、
父の顔が膨れている。

まるで、子供みたいだ。

だが、ここで笑うのはさすがにまずい。

志穂は、笑いをパンごと飲み込んだ。

そして、慌ただしく準備をする。

時計を見る。

6:30。

あと、5分しかない。

「いってきます。」

父の返事も聞かずにドアを開け、閉めた。



「ま、間に合った。

 疲れたぁ〜。」

日直の志穂は、学校に来たら、掃除をしなければいけない。

その他にも、配布物や、資料の整理。
黒板の掃除など、

要は、雑用だ。

ほとんどの生徒は、やらないと言っているが、

自分も、やらないというのは、違う気がして、

まじめに取り組んでいた。



掃除も大体終わり、あとは棚を拭くだけなのだが、
身長の低い志穂にとって、これが1番の難関である。

「届くかなぁ、、」

試しに手を伸ばす。

全く足りない。

――どーしよう。
あとは、ここだけなのに。――

椅子を使って、試してみる。

あと、数十センチ。

――あと、少し。――

背伸びをする。

指先が触れる。

――届いたっっ――

喜んだのも束の間、体のバランスが傾く。

――やっばっ。
落ちる。――

フワッッ。

志穂の体が宙に浮く。

そしてそのまま、下へ。

行くはずだった。

――あれっ?
痛くない?――

不思議に思い、目を開ける。

「あっっ、藍川さん。」

志穂の目線の先には雄大が居る。

どうやら、雄大が志穂をキャッチしたらしい。

「大丈夫ですか?」

急に話しかけられて、慌てて、答えを探す志穂。

「だっ、大丈夫です。
 すみません。ありがとうございます。」

やっとの思いで、出た言葉だった。

「無理しないで、できないところは、
 僕がやるので、いってください。

 僕も一応、日直ですので。」


――そういえばそうだ。
藍川さんって、同じ日直だった。

でも、最初は、居なかったよね?――

志穂の考えている事に気が付いたのか、

雄大が、口を開いた。

「すみません。
 今朝は、寝坊してしまって。

 明日から、しっかりきます。」



 放課後

志穂は、今朝の雄大の顔が離れなかった。

ずっと気になっていた。

何かを、隠すような雄大の笑顔。

――何を隠してるんだろう?

気になるなぁ〜。

・・・よしっっ、聞いてみよう。――

志穂は放課後の清掃の時間に雄大に聞く。
と、決めた。



 清掃

教室では、雄大と志穂の2人きりだった。

志穂の口が開く。

「あの、、」

「なんですか?」

――また、あの顔だ。――

「藍川さんは、何を隠してるんですか?」

雄大は突然の質問に、驚く。

いや、いきなり核心を突かれ、動揺が隠せない。

「ど、どうしたんですか?急に。」

「ずっと気になっていたんです。
 藍川さん。
 あなたは、何を隠しているんですか?

 何に、泣いているのですか?」

 

10: クマ:09/11/18 00:31 ID:YY [ p1152-ipbf907souka.saitama.ocn.ne.jp ]
――俺が泣いてる?――

雄大は慌てて頬を擦る。

濡れた感触など無い。

「?」

――何に泣いているというのだ?
なにも泣く事など無い。

あれは、もう、過去の話だ。

とっくの昔に、忘れたはずだ。――


雄大は平静を装う。

「泣いてなんていませんよ。
 涙なんて出ていないじゃないですか。」

志穂は、悲しそうな顔になる。

「気付いているはずです。
 
 あなたは、自分を責めている。
 長い間ずっとです。

 私には、そう見えてならないのです。

 何が、あったのですか?」

雄大の心に、余裕がなくなる。

――やめろっっ。
入ってくるなッッ。

俺を、苦しめないでくれっ。――

もう一人の雄大が心の中で叫ぶ。

だが、雄大はその声を無視する。

「なにもないですよ。
 大丈夫です。」

精一杯の、最後の強がりだった。

志穂は、そんな雄大を見透かすような眼で、

「大丈夫です。
 話して下さい。
 もう、泣かないでください。」

「っうるさいっっ。
 余計なお世話だっっ。」

雄大は、志穂に向って思いっきり怒鳴る。

そして、

「ほっといてくれっっ。」

バッグを肩にかけ、乱暴にドアを閉めた。




 18:40
雄大は枕に顔を埋めていた。

――なんで、ばれた?
海斗にも話していない事だ。

知られるはずが無いんだ。

どうして知ってるんだ?――

同じような質問が、延々と頭の中で繰り返されている。




携帯が振動する音で、我に返る。

――誰だ?――

着信表示を見る。

知らない番号だった。

何も考えずに、ボタンを押す。

そこから聞こえてきた声は、、

「渡辺さん?」

11: クマ:09/11/18 22:56 ID:YY [ p1152-ipbf907souka.saitama.ocn.ne.jp ]
雄大は、通話ボタンに指を伸ばす。

指が震える。

雄大は、冷静さを取り戻そうと、深く深呼吸する。

――よしっっ――

指に力を入れようとした時、

携帯の音が止む。


携帯は、留守電モードに切り替わる。

「あの、、、」

志穂の、少し落ち込んだ声が聞こえる。

雄大は続きに耳を澄ませる。

「あの、藍川さん。
 き、今日は、いきなりすみませんでした。

 ただ、初めの挨拶の時も、今日の朝も、
 
 藍川さんは、何か、悲しそうに笑っていて、

 とても気になったのです。

 でも、冷静に考えれば、誰でも、
 他人に、知られたくない事の1つや2つ持っていても、
 不思議ではないですよね。

 いえ、むしろ持っていない方が珍しいですよね。

 ・・・・・でも、

 何か、話す事で少しでも気持ちは、軽くなるかも
 しれません。

 もし、良かったら話して下さい。


 ・・・・・明日の清掃は、なるべく遅れないでくださいね。

 あの棚は、私では、届かないので。

 よろしくお願いします。


 それじゃあ、失礼します。」


プッッ。


電話が切れても、雄大はしばらく動けなかった。

心の整理がつかない。

なぜだか、許されたような気がしていた。

――なんだ?

この気持ち。

安心してる?

何に対して? 


・・・・渡辺なら、この気持ちの答え、

知ってるかもしれない?

とりあえず、明日は

時間通りに学校に行こう。――


雄大の中で、何かが

変わった。



12: クマ:09/12/11 21:56 ID:Pg [ p1085-ipbf1706souka.saitama.ocn.ne.jp ]
雄大の変化



7:00

雄大はドアの前にいた。

教室の中からは志穂の掃除の音だけがする。



雄大は考えていた。

どんな顔をして会えばいいのか分からなかったのだ。

「はぁ、、、」

自然と溜息が出る。



いつもの雄大なら、ドアの前に来ると

自然に優等生モードに切り替わるはずなのだが、

今日は違うようだった。

と、いうか、できないようだった。



心の整理をできるだけする。

「スーハー、スーハー」

深呼吸をし、教室に入ろうとドアノブに手をかける。

ガチャ。

「きゃっ、、、」

ドアを開けた音に混じって、小さな悲鳴が聞こえた。

教室に入った雄大が初めに目にしたのは、

昨日同様、志穂の宙に浮いている姿だった。

――・・・マジですかッッ――

心の中で叫びながら、志穂に向って走り始める雄大。

昨日と入った扉が逆だったため、

距離がある。

――間に合えッッ――

2メートル程離れた所からスライディングする。


ズサー  ドン ガタガタガタ、、、

壊れたおもちゃのような音がする。

ガっタン、、、

フィニッシュの音がなった。



13: クマ:09/12/11 22:38 ID:Pg [ p1085-ipbf1706souka.saitama.ocn.ne.jp ]
「・・・いった、、くない?」

――あれ?

私、今、棚から落ちたと思ったんだけど、、、?――

床にしては柔らかすぎる感覚を

疑問に思い目を開ける。

開けた先には昨日同様、雄大の姿がある。


そして、、、

「大丈夫ですか?

 渡辺さん。」

雄大の問いかけに、、、

「あ、藍川さんッッ?」

疑問形で返す。

問いかけたのに、逆に返されるとは思っていなかったのか、

雄大の驚く顔が眼に映る。


そして、自ら問いかけた質問に、

「あっ、藍川さんですよね。

 すみません。また、助けてもらちゃって、、、」

自分で答えて、お礼を言う。

「・・・・・」

「・・・・・」

沈黙が重なる。

先に口を開いたのは、雄大だった。

「いえ、気にしないでください。

 それに、昨日も言いましたが、できないところは、

 僕がやるので、、、」

次の言葉に詰まる雄大。

不思議に思った志穂は、、

「どうしたんですか?」

問いかける。

その問いかけに雄大は、、、

「・・・はい。

 あの、そろそろ、どいてもらっても

 いいですか?」

遠慮がちに返す。


質問の意味が理解できず、周囲を見渡す志穂。

志穂は雄大の腕の中にいた。

「・・・・・」

「・・・・・」

しばらくの沈黙の後、やっと現状が理解できたのか、

「あっ、すっすみません。

 今、どきますっ」

雄大の体から慌てて離れた。

14: クマ:10/01/07 00:38 ID:0c [ p1085-ipbf1706souka.saitama.ocn.ne.jp ]
つながり(前編)





 放課後

志穂と雄大は2人で、教室の掃除に取り掛かっていた。


――それにしても2回も藍川さんに助けられちゃったなぁ。

藍川さんにも、何かお礼しなくちゃ。

・・・でもその前に、海斗君のお礼は何がいいだろう?

藍川さんなら、何がいいか、分かるかな?――

掃除は上の空の、志穂。

そんな志穂を、疑問に思いながら

掃除を続ける雄大。



雄大は志穂のいる方向に、視線を移した。

視線の先にいた志穂は、考え事をしながら

掲示板に向って箒をはいている。

――大丈夫か?――

疑問が心配に変わる。



「渡辺さん?
 
 大丈夫ですか?」

雄大の心配に

「へ?」

と、上の空で返す志穂。


そして2,3秒が経過した。やっと意識が戻ってきたようで、

「えっ、あっ、だ、大丈夫です。

 すみません、ボーッとしてました。」

まともな返事が、返ってきた。


そして、

「あ、あの、藍川さんに相談したい事があるんですけど、

 いいですか?」

と、遠慮がちに聞いてきた。

突然の質問に、笑顔で対応する雄大。

「いいですよ。
 
 なんですか?」

志穂の表情が、少し和らぐ。

「あの、海斗君の好きな物とか、

 欲しい物とか知りませんか?」

質問が予想外だったのか、雄大の表情が変化した。

そして、質問よりも、志穂が海斗の事を

下の名前で呼んでいる事に、驚いている様に見えた。

「海斗って、僕がいつも一緒にいる
 
 海斗でいいんですよね?」

やっとの想いで、確認の言葉が出た。

「はい。そうですけど、、、

 質問の仕方、おかしかったですか?」

志穂が不安そうな顔を浮かべる。

雄大は慌てて、

「違うんです。

 渡辺さんが、海斗の事を

 名前で呼んでいるのに、驚いただけです。」

志穂の不安を解消させる。



そして、会話が本題からずれながらも、

話は続いた。



 



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