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パワプロ小説2
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20: 01/19 00:34 [sage]
 ビジターである雲龍高校の先攻で、試合は始まった。
 一回の表は想像通り、猪狩が三者凡退に討ち取り、悠々とベンチへと下がってきた。ハイタッチもせず、さも当然という様子で黙って座る辺りが彼らしい。しかし雲龍の脅威はクリーンアップおよび下位打線にあるのだ。ここまではこれで当然だろう。
 さて、一回の裏、あかつきの攻撃。雲龍の守備。ここでどうなるかが、今後の勝負の分かれ目である。
 既に投球練習を終え、こちらの一番バッターである八嶋を目の前にして、紅咲は相変わらずの気だるそうな表情。
「あのピッチャー、やる気ないのかネ」
「球場に入ってあの態度は気に喰わんな」
 こちらの強打者二人が後ろで言う。あのやる気のなさそうな顔が引き締まることはないのか。その疑問は、数年前の自分が既に抱いたことのあるものだった。
 もし自分の記憶が正しければ……。
 小柄な紅咲が、身体に見合わぬ大振りなフォームで足を持ち上げる。
 そしてその口元が、一瞬だけニヤりと笑った。
 投げられる速球を見た瞬間、賢二の脳裏に、あの悪夢が蘇る
 やはりだ。
 やはり紅咲は、化け物だった。


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sage
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