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パワプロ小説2
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23: 01/19 00:36 [sage]
 見たところ、普通のバッティング練習であるようだった。守り側は通常の守備形態を取り、打者側はアウト数をカウントせずに次々に入れ替わり、バッティング投手を務めるピッチャーが延々と投げ続ける。オーソドックスなものだ。
 カキンと金属の音が鳴り、凡フライ。中学野球の可愛らしいところだった。足腰が完成していない選手は、スイングが不安定なり、こうなる。
 次の打者。一球目を見送り、二球目を高らかにキャッチャーフライ。タイミングのズレだ。手首が弱いと、ピッチャーの球威に押し負けてこうなる。
 次の打者。初球から意気込んでスイングし、またもやキャッチャーフライ。今度は身体が前に出すぎていた。腰でなく、手でバットを振っている。するとやはりこうなる。
 続く打者もキャッチャーフライ。
 その次はピッチャーフライ。
 またその次はキャッチャーフライ。
 煙草をくわえ、胸中で偉そうに分析と解説をしていた千石は、そこまできてようやく気がついた。凡フライを打ち上げていたからスイングにケチをつけてみたものの、原因はそうではない。よくよく考えてみると、今までのバッターのスイングモーションは、特に何の問題もなく理にかなったものだった。何かがおかしい。
 通算何個目か分からないフライを討ち取って、マウンドに立つ投手は気だるそうな顔で大あくびをする。すると、ユニフォームを着た女の子がそれに歩み寄り……。
 そのまま投手の頭をバットで殴り飛ばすと、瀕死の投手を引きずってダイヤモンドの外へと出て行った。グラウンドにいる全ての者たちが、苦笑いをしながらその行方を見送っている。
 千石は、たまらず学校内へと走った。


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