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【頑張れ】苑子を応援するSSスレ β【ゴッチ】
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62: 09/29 19:28
苑子を家に置いたまま夜中に引っ越す、という以前から温めていた計画を塚越家が実行に移し、もう数年が過ぎた。
一月程は毎日混乱の泣き言で埋め尽くされたブログが伺えたが、
それも電気が止められた様で更新が停まった。
塚越一家は幸せに暮らしていた。
ある日、塚越夫妻は以前住んでいた入間市に当時隣近所に住んでいた知人に用があって訪れる事になった。

「ここも久しぶりだな。埼玉自体だいぶ来てなかったが」
「結構新しい建物が出来てるわね」
知人への用を終えた夫妻は辺りを懐かしながら探索していた。
見ると道の向こうからふらふらおぼつかい足取りで歩いて来る者が居た。
夫妻は目を丸くして息を飲んだ。目の前を歩いて来るボサボサの髪に汚れ切って判別も付かない程何かのキャラクターが入ったTシャツの風体の浮浪者の女、それは苑子だった。
硬直した夫妻に苑子も気付き、目を丸くした。
「……お…、お父さんっ!!お母さん!!」
激しく叫び上げるとボロボロ涙を流し、それまでのおぼつかない足取りとうってかわって勢い良く夫妻に向かってドスドス走り出す苑子。
(マズイ!!)「逃げるぞ!!」
夫は妻の手を掴み駆け出したが、妻の足が遅い。
「おどうざああんんんっっ!!逃げばいでえええええ!逃げばいべええええええええっ!!」
涙に顔をグチャグチャに歪め、極度に高ぶった感情で裏返った叫び声を上げながら苑子が徐々に追いついてくる。
「うわああっ!!来るなあああああっ!!」
直前に迫った苑子を夫はおもわず殴り飛ばした。吹っ飛び地面に倒れる苑子。
そのまま必死に駆け続け車に戻ると大慌てで発進させた。
バックミラーを見ると苑子が必死に追いかけてくるが徐々に小さくなり、視界から消える直前に躓くのが見えた。
「…まさか狭山市から隣の市に来てたとは予想外だった…
少なくとも埼玉にはもう二度と来ない様にしよう…」
震える妻の肩に手を置く夫。
まだ激しく心臓が鼓動し、高まった緊張感、入り交じる複雑な感情、張り詰めた空気の中、
咄嗟に初めて苑子を思い切り殴り飛ばした感触を思い出し爽快感を感じていた。
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