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過去の名小説をコピペするスレ
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18: 01/09 19:44
腹の痛いのを必死で誤魔化す木下の耳に、明らかに異性の排泄音を思わせる音と、明らかに踏ん張っているような情けないため息が聞こえた。
「ここ、男性用…だったよな?」
不安になった木下が確認のために外に出ようとしたその時、個室の鍵が外れる音がして、戸が開いた。
「ふう、すっきり…ぶひぃぃぃっ!」
「わああああああ。」
出て来たのは髪を肩まで伸ばした、チェックのワンピーススカートを着た、30歳ぐらいの豚のような面をした女だった。
木下は驚いた。
5才前後の子どもが間違えて異性のトイレに入ってくることはよくある。
けれど、今、個室から出てきたのは明らかにいい年をした大人の豚女だ。
「お…おばちゃん、ここ…男子用…だよね?」
「ちょっと間違えただけだし!」
豚女は木下を睨みつけると、そのまま走り去ってしまった。
「おかしな女…。」
個室の中に入ると、水が黄色く染まっていた。
よほど焦っていたのかと木下は思った。
「?」
木下は貯水タンクの上にタオルケットを見つけた。
どう見ても男が忘れていったとは思えない幼児向けキャラクターがプリントされたそれは、おそらく先ほどの豚女が忘れていったのであろう。
だらしなくグチャグチャに置かれたタオルケットを広げてみると縁の角に名前が書かれてあった。
「つかごし そのこ」
それが苑子と初めての出会いであった。
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sage
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