【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜


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【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜

1: 見習い筆騎士('-'*)Fireemblemthany:06/04/09 11:18 ID:pZWC9svY
今日で執筆し始めて丁度一周年を迎えます。
長いようで短い期間でしたが、このスレッドでようやく最後を迎えられそうです。

1スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106
2スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50
3スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1136529217/l50

183: Chapter1−5:求めし者:08/03/18 22:10 ID:YQ
走って寄っていくと、そこには槍を持ったアルマが居た。
いつも部隊とは別行動ばかりして、皆に心開こうとしないアルマだったが
夢を共にするということもあってか、シャニーには僅かながらだが接していた。
それでも、このように自分を待っているという事は初めてだったので、シャニーは最初目を疑った。
「なんであんたがここに?」
「一緒に稽古をしようと思ってさ。 邪魔になるか?」
「まさか! あんたぐらいの腕の持ち主なら、存分に稽古できるよ!」
思っても居ない相手から、願っても無いような提案をされて、シャニーははしゃいでしまった。
アルマもそんな無邪気なシャニーを見て口元が緩む。
二人は、暮れ行く春の夕日を浴びて思う存分、互いの技を相手に見せ付ける。
最初は稽古のつもりだった二人なのだが、次第に熱が入っていき、とうとう終いには本気でやりだしてしまった。
暮れ行き闇に包まれていく中、正確無比で電光石火な剣と、闇夜を切り裂かんとばかりの強力な槍。
それら二つが空中を華麗に舞っていた。
卓越された武は、踊りにも似たような綺麗な打ちあいを見せる。 まるで演武を見ているかのようだ。
暫く稽古をした後、二人は互いに手を休める。
「やっぱり、あんた強いね。」
「ふ、そういうお前もたいした実力だな。」
互いに互いの実力を認め合う。 いや、稽古の途中から分かっていたかもしれない。
そうでもなければ、全力で相手の稽古に挑んだりできないから。
暫く二人は丘に寝そべって、空を眺めていた。 イリアに到来した短い春。
それが紅に燃え、闇と溶け合うその様子は、美しいの一言では片付けられない。
「お前さ、姉に憧れ天馬騎士になったって言ってたよね?」
突然口火を切るアルマ。 半分寝かかっていたシャニーは、はっと我に返る。
こういう気持ちのいい風が吹く丘で寝そべると、勝手に目が閉じてしまうのだった。
「え・・・あぁ、そうだよ。」
「じゃあ、もう目的は達成されたのか?」
「うーん・・・。 いや、今のあたしには、天馬騎士としてしたいことがあるよ。」
アルマはシャニーの言葉を聞いて、もっと知りたくなったようである。
体を上半身だけ起こすと、未だに寝そべるシャニーのほうへ顔を向けた。
「そのために、稽古もしっかりしている、と?」
「うん。 あたしは、困っているイリアの人を救ってあげたいから。 賊がいつ襲来しても大丈夫なようにしておかないとね。」
シャニーが騎士として今誓いにしていることは、困っている人を見かけたら、きっと助けてあげること。
もし、荒くれ者に襲われていたら、助けてあげたいし、いざ傭兵に出て行ったら、
少しでも名声を得て、報酬を多く貰わなければならない。
イリア傭兵は、ある程度ランク付けがあり、そのランクに応じて報酬の額が決まってきてしまうのだった。
稽古を必死にするのも、全ては民を救うため。 それは自分の両親が、命を賭してでも生涯誓い続けた誓でもあった。
「そうか・・・。 ふ、お前は純情でいいね。」
アルマは軽く笑った。 彼女は羨ましいのだが、シャニーはバカにされたと思ったようで膨れた。
こういうときだけは、余計に相手の内心を探ろうとする心が働いてしまう。
本当に馬鹿にされているときには、全然それが働かないのに。 本当におめでたいヤツである。
「だから、ド素人の新人部隊の連中にも、嫌な顔せずに武技を教えてるわけか。
同じイリア民として、助けてあげたいから。 それで自分の練習時間が削れて、こうして時間外に。 お人よしなヤツ。」



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