【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜


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【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜

1: 見習い筆騎士('-'*)Fireemblemthany:06/04/09 11:18 ID:pZWC9svY
今日で執筆し始めて丁度一周年を迎えます。
長いようで短い期間でしたが、このスレッドでようやく最後を迎えられそうです。

1スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106
2スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50
3スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1136529217/l50

184: Chapter1−5:求めし者:08/03/29 19:01 ID:HU
「そんな大層なことして無いよ。 でも、あたしも見習いの頃、色々な人に教えてもらって、ここまで生きてこれたから。
自分も何か出来るなら、してあげたいとは思うよ。 あんたは違うの?」
シャニーの言葉に、アルマは即首を縦に振った。
全然違う。 生い立ちも、稽古に精を出す理由も、そして誓いも。
「私が稽古する理由は単純だよ。 力さ。 力が欲しいのよ。」
「ちから?」
「私はね、人を従えて歩きたいの。 力っていうのは、武技だけじゃない。 最終的に欲しいのは、人を動かす力、即ち権力よ。」
シャニーは、いきなり出た権力という言葉に、何か重いものを感じ取った。
面食らった様子の彼女の反応を楽しむかのように、アルマは更に続けた。
「権力を得るには、それ相応の力が必要だ。 だから、まず実力で他が認めざるを得ない状況を作らなくちゃいけない。
私が新人部隊を抜け出しているのは、あんなお遊びの稽古では、いつまでたっても上達しないから。」
かなり現実的な話を、いきなり持ちかけてくる。 力が欲しい、そう誰もが思うその願望。
しかし、シャニーには分からなかった。 人を従えて歩くというよりは、皆と仲良くやりたいし
力を求めるあまり、皆から浮いて仲間はずれになるなんていうのも嫌だった。
それならまだ、人の上に立てなくてもいいから、姉達のように皆から慕われる人間になりたかった。
「あたしには難しいかも・・・。 だって、権力なんか要らないし。」
シャニーは手で頭をかきむしる。 髪がボサボサになるが、妙にそうしたくなった。
難しい話をされると、ついついこういった不必要なことをあえてして、気を紛らわそうとするクセがあった。
「・・・私は最初に、イリアを強国に変えるといったよね?」
「うん。」
「そのとき、皆はどう反応した?」
「驚いたような・・・馬鹿にしたようなそんな顔してたね。」
アルマが、叙任式の日に壇上で団長であるティトに騎士宣誓を新人の代表として宣誓したあの時。
彼女は本来のイリア騎士の誓いを、信条と異なる為一部言わなかった。
その代わりに、彼女は宣誓した。 自分だけの誓いを。 それが、腐ったこのイリアを強国へ変える、というものだった。
そのときの一同の顔は十人十色だった。 新人達はとにかくあっけにとられていたし
先輩隊員や騎士団の幹部達は、驚いたような顔をしたあと、多くは蔑んだような苦笑いをしていた。
若気の至りか、と。 皆は本気にしていなかったのである。
「そう、力がなければそんなものさ。 でも、もし同じ言葉を、団長が言ったらどうなると思う?
皆ぺこぺこ頭下げて同意するよ。 考えの違う人間を動かすことが出来るのは、権力しかないのよ。」
例えその同意が心からのものでなくとも、相手が目上の人間ともなれば否定するものはまず居ない。
組織の幹部なんて、皆地位や名声、そして権力の欲しい人間ばかりだ。
ましてイリアでは、自分の価値は、名声や実力からなるランク付けで決まる。
名声を得るには、それなりの力を持った人間の集まる上位の部隊に配属されなければならない。
そうなれば、自然と団長に顔を覚えてもらわなければならなかった。
上司に気に入られようと必死になるに違いない。
アルマは、イリアを変えたかった。 団長として権力を、指揮を振るえば騎士団単位でイリアを動かせる。
そして、今や天馬騎士団はイリアでも三本の指に入る大きな騎士団だ。
それが動けば、当然他の騎士団も何かしら反応をとらざるを得ない状況を作ることが出来る。
「力の無い奴がいくら吼えても、戯言程度の認識。 力を持てば、権力を持てば、人は動かせる。
でもね、権力を得るには、実力だけじゃダメなんだ。 何が必要か、分かるか?」



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