【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜


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【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜

1: 見習い筆騎士('-'*)Fireemblemthany:06/04/09 11:18 ID:pZWC9svY
今日で執筆し始めて丁度一周年を迎えます。
長いようで短い期間でしたが、このスレッドでようやく最後を迎えられそうです。

1スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106
2スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50
3スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1136529217/l50

185: Chapter1−5:求めし者:08/03/29 19:04 ID:HU
シャニーは今まで考えもしなかったことの連続に、頭がこんがらがっていた。
ただ漠然と、困った人を助けたい。 もっと剣や槍の扱い方をうまくなりたいと思っていた。
名声とか、権力とか、そんな事は頭にはなかった。
もっとも、入団したての新人が、そんな事まで頭の回ることのほうが珍しいのだが。
シャニーは答えが分からず、一生懸命首を横に振った。
しかし、一つだけは違うと思うこともあった。
「人を動かせるのって権力だけなのかな・・・。
だって、あたしは別に権力なんかもって無いけど、部隊のみんな、あたしの言うこと色々聞いてくれるよ?」
確かに、今の新人部隊の半分はシャニーが練習を仕切っているようなものだった。
そして、その中で色々指示を仲間にするが、皆嫌といった事は無い。
そんな嫌がるような要求をした覚えも無いが、権力も無い自分が人を動かしているのは事実だった。
権力を持ち、本来指示をするべきレイサは、それを木の上から黙って見ているだけなのである。
「それは、お前に皆が敵対していないからだろ?
権力があれば、敵対している人間だろうと何だろうと従えることが出来る。 そして、権力を得る為に必要なものは、実力と・・・そして、金だ。」
シャニーはごくりと固唾を飲み込んだ。 金・・・これまたとんでもないものが出てきたと彼女は思った。
イリアの者は、いや、どの国でも金ほど人々から重要視されるものは無い。
特にイリアは貧しい国柄から、やむを得ず金を得る為に傭兵をしているのだ。 命を危険に晒して。
どんなに敵対する者でも、金を積めば、大抵は首を縦に振る。 振らざるを得なくなる。
イリアで金を貰うという事は、それは即ち金を渡す側の命を貰うということでもあるのだから。
もし、金で動かない堅物が居たとしても、周りの動く者達を味方につけて、潰してしまえばよかった。
大抵の人間なら、金と名誉さえ与えておけば自分の言いなりになる。 アルマは既に知っていた。
それはイリア内だけでなく、見習い修行をした地、ベルンでも同じことがなされていたからである。
金で買えないものは無い。 人の心など、金で買えるし、力でどうにでも動かせる。
汚い表現かもしれないが、否定は出来まい。
もし、自分を汚い女というならば、そんな汚い手に引っかかる者が悪いのだ。 アルマはそう考えていた。
しかし、シャニーにはどうも納得のできない話だった。
金で人の心を買って味方につけ、権力を使って敵対する人を無理矢理動かす。
どう考えてもやり方が強引過ぎると思った。 もっと、皆が納得する方法があるのではないか。
シャニーはそう考えていた。 なぜなら、シャニーはそういった考えを持ち、実践する者を、
見習い時代にずっと見てきたし、その者に傭兵とは言え仕えていたのだから。
その人は、今や世界の英雄として名を馳せている。 同じくらいの年なのに、見習わなくてはと思った一人だった。
「あたしは、やっぱりそういうのは嫌だよ。 きっとどこかで無理が生じるし。」
アルマはシャニーが納得しないことを別段苦にもしてないようだった。
人に愛されたい、人を愛したいこんな性格だ。 自分の考えが分かってもらえるはずは無い。
それは分かっていた。 だが言っておきたかったのはそれではない。
それぐらいの覚悟がなければ、国を変えていくという事は出来ないということだった。
せっかく同じ夢を持つ者同士だ。 細部まで共感してもらえればそれ以上は無い。
だが、ここまで自分と正反対な人間に、そこまで求める事は不可能だった。
「なら、お前はお前なりのやり方で頑張ればいい。 私は私の考えを貫くし、理想を追求し続けるだけさ。」
アルマはそういって立ち上がると、天馬に乗ってそれで宙に舞い上がった。
「でも、夢が同じなんだから、出来る限り協力しよう?」
下から聞こえるシャニーの声に、彼女は口元で笑みを作って答え、その場を後にした。
いい稽古仲間が出来た、その嬉しさを胸に秘めて。
「無理が生じる、か。 すでに1000年前から世界は歪んだ方向へ流れているというのにな。 過ちは正すべきだ。 あるべき姿へ。」



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