【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜


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【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜

1: 見習い筆騎士('-'*)Fireemblemthany:06/04/09 11:18 ID:pZWC9svY
今日で執筆し始めて丁度一周年を迎えます。
長いようで短い期間でしたが、このスレッドでようやく最後を迎えられそうです。

1スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106
2スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50
3スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1136529217/l50

186: Chapter1−5:求めし者:08/05/03 13:03 ID:PM
「えぇー!? もうあんた達初陣経験したの?!」
カルラエ城にある食堂の昼間。 その人が賑わうなか響き渡る若い声に、周りはギョッとした。
ティトはその声が誰だかすぐ分かり、穴があったら入りたい気分だった。
「団長の妹さんはホント元気ですね。」
イドゥヴァの言葉から蔑みを感じ、それに拍車をかける。 顔が真っ赤になるのが分かった。
自分のことでないにしても、妹がこういうことで有名人である事は自分にとって恥ずかしかった。
(もう少しお淑やかにしてよね・・・!)

シャニーのほうは、イリアの家庭料理である肉入りの唐辛子スープに舌を焼きつつ、幼馴染の連中と話していた。
そこで、第二部隊に配属されたセラが、先日配属後の初陣を踏んだことを聞かされたのである。
「シャニー・・・声デカイよ。」
ウッディがシャニーの口から飛んできたパンのかけらを拭き取りながら、彼女の口に手をやる。
彼女も言ってから気づいたらしい。 あ、という表情をして、回りをきょろきょろする。
当然周りの視線はこちら(というより自分)に注がれており、肩をすぼませた。
「・・・で、ホントなの?」
シャニーは確認するように、シチューをほおばるセラのほうを見つめなおす。
「うん、賊討伐任務だったよ。 それがさ、うちの部隊長がいい人でさ〜。」
シャニーは愕然とした。 同期の親友は、もう戦場へ出て戦っている。
それなのに、自分はいまだ初陣どころか、実戦的な話すら程遠いところに居る。
どんどん仲間から置いていかれている。 そんな気持ちが、彼女の心の中を駆け巡っていた。
「セラのところの部隊長って誰だっけ?」
「イドゥヴァって言う超ベテランの人。 “最初で心細いかもしれないけど
貴女達は私の後ろで援護をしてくれればいいって。 危ないから隊列を乱さずに私について来い”ってさ。
結構統率取れててカッコよかったなー。 あれ、シャニー?」
セラがウッディと話し込んでいる隙に、シャニーはいつの間にか居なくなってしまっていた。
昼休みの終るギリギリまで食堂で話し込むのが彼女らの日課であるのに。
「どうしたんだろ、アイツ。 食べすぎで腹でも痛くなったのかな。」
セラは茶化したが、ウッディには何となく分かっていた。
「シャニー・・・。」

食事を終えたイドゥヴァ達古参騎士は、昼休みが終ると食堂を出て、中庭を歩いていく。
「イドゥヴァさん、今年の新人はどんな感じですか? 結構な数が入隊されたようで。」
イドゥヴァの周りを他の古参騎士達が取り巻いている。 団長ではないにしろ
彼女は力を持った天馬騎士だった。 騎士としての腕だけではない、周りに影響を及ぼすことの出来る力を持っていた。
その影響力は、団長であるティトすらも無視できないほどのものだ。
「あまり質は良くないですね。 この前の初陣でも死者を出さないのに骨が折れましたよ。
あのレベルでは、いつ使い物になるまで成長するかわからない。 新人もいいお荷物ですね。」
戦力になる新人なら歓迎できるが、今年はそこまで戦力になる新人が居ない。
戦力になりそうな二人も、何を考えているのかよく分からないヒヨッコ団長が
あろうことかあのレイサに任せた新人部隊へ送り込んでしまった。
新人が弱いのは周知のことであるが、だからと言って戦死者を出せば、自分の手腕を問われることになる。
勢力拡大を目論む彼女にとっては、今自分の将としての評判を下げる事は、何が何でも避けたいことだった。
その為もあってか、彼女はティトに再三、シャニーやアルマを自分の部隊へ昇格させるように言い寄った。
だが、団長の首が縦に振られる事はなく、彼女はやきもきしていた。
とにかく、戦力になる新人が欲しかった。 特にあのアルマとか言うのは、新人のクセに権力が欲しいとか
なかなか侮れないとイドゥヴァは考えていた。
が、不安以上に、彼女にとっては利用し甲斐のある人間だった。
彼女は絶対権力の階段を登る。 どんな手段に打って出ても。
そいつを配下につけておけば、自分もまた、更なる高みを目指すことができる。
そう考え、イドゥヴァは度々アルマの元を訪れては、彼女の気を惹こうと色々画策していた。
今回も他の古参騎士と別れ、アルマの元を訪れようとしていた。
そのとき、彼女の目に、必死になってレイサに何かを訴える蒼髪の新人が飛び込んできた。
(あれは・・・団長の妹・・・シャニーではないですか。)



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