【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜


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【ラスト】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜

1: 見習い筆騎士('-'*)Fireemblemthany:06/04/09 11:18 ID:pZWC9svY
今日で執筆し始めて丁度一周年を迎えます。
長いようで短い期間でしたが、このスレッドでようやく最後を迎えられそうです。

1スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1100605267/7-106
2スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50
3スレ目:http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1136529217/l50

187: Chapter1−5:求めし者:08/05/03 13:23 ID:PM
「ねぇ! レイサさん、どうして分かってくれないのさ!
皆もう基礎は大分覚えてきてるじゃない。 もう少し実戦的な訓練をしないと、いつまで経っても強くなれないじゃん!」
いつも穏やかなシャニーが部隊長に詰め寄って、訓練レベルの向上を訴える姿に
周りの新人達もあっけにとられて休憩どころではない。
その様子を、アルマは稽古に行かず黙って見ていた。
「何度も同じこと言わせないで。 私にその事をあーだこーだ言っても分かんないんだよ。
団長に聞いてみたけど、そんな高度な話は新人には無理だって言ってたよ?」
(おねえちゃんめ・・・)
シャニーは姉の事を少々腹立たしく思いながら、レイサに反論する。
「おねえちゃんはあたし達を見くびりすぎなの!
それに第一、個人練習ばっかりじゃ、互いの信頼関係とか築けないし・・・!」
そこまでシャニーは言った口を、レイサは手で覆って無理矢理黙らせた。
そして、シャニーへ顔を近づけると、目線を合わせるように静かに彼女へ語りかけた。
「シャニー、下手な仲間意識は捨てた方がいいよ? いくら同胞とか、仲間でも、戦場で敵になる事はあるんだからね。」
それを聞いたシャニーは力任せにレイサの手を口から跳ね除け怒鳴った。
いつもの優しい性格からは想像もつかない形相に、周りはたじろいてしまう。
「見損なったよ! レイサさんだって、仲間同士で争うことがないようなイリアを創りたいって言ってたじゃない!
なのに、なんでなのさ! そんな理由で、こんな訓練ばかりさせてたの?! あんまりだよ!」
怒鳴られて、言い寄られても、レイサは表情を変える事はなかった。
レイサには、シャニーの性格が大体分かっていた。 だから、先程の台詞をシャニーに振れば
どんな反応が返ってくるかぐらいは想像がついていた。 ここまで怒るとは予想外だったが。
「あんた、何焦ってるんだい?」
「え?」
怒りに任せて感情を思い切りレイサにぶつけたのに、相手から冷静に自分を分析されてしまう。
シャニーは焦っていた。 自分だけ取り残されてしまう事に、焦り以上に恐怖を感じていた。
「正直ね、私がこの部隊であんた達に学んで欲しい事は、武術じゃないんだよ。 団長もそう言っていた。
武術以外で、騎士として、傭兵として、そしてイリア人として大切なことを学んで欲しいんだよ。」
「じゃあ! 早くそれを教えてよ!」
シャニーは今まで我慢していたせいもあってか、怒りが収まりきらない。
親友の初陣や、レイサの言い草も重なってとうとう爆発してしまったようだった。
「教えてあげるなんて誰が言った? 誰かがやってくれるなんて、そんな事考えるのはよしな。
自分で学ぶんだよ。 そんなものは。
前にも言ったよね? 新人部隊は考える期間だって。 自分で考えて、答えを出しなさいよ。
あんた、十を目指すための“一”は何か分かったのかい?」
「それは・・・。」
言葉に詰まるシャニーへ、レイサは頭に手をやって諭してやる。
「武術なんかは、正式な部隊へ配属されてから学んでも遅くない。
でもね、こういった考えるって事は、実戦に出だしたらなかなか出来ないことなんだよ。 時間は貴重だよ?」
レイサの言っている事は分かっている。 でも、どうしても納得できなかった。
頭では分かっていても、どうしても早く上の部隊に配属されたいという気持ちが先行してしまうのだった。
レイサの言うとおり、まだ、十の為の“一”も完全には理解できていなかった。
“一”の含んでいるものがあまりにも多すぎて、考えれば考えるほど悩んでしまった。
なぜ、同胞同士が殺しあわなくてはならないのか。 なぜ、自分達は民の為に闘わなければならないのか。
なぜ、正しくないと思っていることを、正義と言い聞かせてまでやらなければならないのか・・・・。
「なぜ」が多すぎて、考えているとどんどん深みにはまって、出られなくなってしまった。
シャニーもシャニーなりに苦しんでいた。 納得の行く答えの見出せない「なぜ」と戦っていた。



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