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パワプロ小説
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364: 06/21 02:34 [sage]
 本日は平日水曜日。三限目には玲奈の好きな英語の授業が待っている。
「もう慣れたか」
「ん?」
 ココアをカップに注いで飲もうとすると、父が言ってくる。玲奈は半分寝惚けた顔で聞き返した。
「高校だよ。中学とは何もかも変わって、新鮮だろ。もう慣れたか」
「あー、うん問題無し」
 暖かいココアを一飲み。喉を下っていく熱い感触が、身体を温め潤すようだ。
「マネージャー友達もできたし、あんまり変わった感じしないよ。野球部だって、マネージャーの今の方が楽だし」
「紅咲君は元気か?」
「あーもう元気過ぎていっそ殺したいくらいよ。もうちょっと大人しくしてくれりゃいいのにさ……」
 はぁ、と朝っぱらからの深い溜め息を見て、父は少し微笑んだ。
「はは、相変わらず、か。高校生にでもなれば少しは落ち着くもんだが……まぁ、それがあの子の良さだ。元気が良い分には結構じゃないか」
「いやだから血の気が多すぎるんだって……」
 玲奈の両親は、紅咲のことをとても気に入っている。何度か家に遊びに来たことがあり、その際にあのふてぶてしさと態度のデカさに何か光るものを感じたらしい。あのバカはあれで(敵意の無い)目上の人間に対する礼儀は心得ているから、その使い分けも大人受けするのだろう。
「また連れてきなさいよ。お母さんも久しぶりに顔見たいし」
 冗談じゃない。
「何が悲しくて家でもアイツの顔見なきゃならないのよ」
「いいじゃないか、あの子が来ると、家の中が明るくなる」
「父さんまで……」
 アレの有害さは、やはり同い年でかつアレの近くにいる人間でないと分からないらしい。どう足掻いてもこの両親の中の、ヤツに対する評価は操作不能なようだ。
 玲奈は諦めてその話を受け流すと、机に出されたベーコントーストに齧り付いた。


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