パワプロ小説


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パワプロ小説

1: 名無しさん@パワプラー:06/04/03 14:15 ID:9./go036
エロではない

212: 名無しさん@パワプラー:09/02/21 02:09 ID:j.
「……よほど大変な願い事なんだね……」
「え?……あ、ああ、まぁ、まぁね! あはは! そ、そういう西条君はどうなのさ!」 
 慌てたように取り繕い、逆に質問をしてくる。樹は答えた。
「絶対に甲子園に行ってみせます」
 その答え方に、あおいは一瞬、え? という顔をする。恐らく、自分の願い事とやらが「願い」の形式をとっていなかったことに対しての疑問だろう。
「お参りってね、願い事を頼むんじゃなくて、一年の目標と誓いを神様に報告するものなんだってさ。だから『こうしてみせます。見ていて下さい』っていうのが正当なんだって」
「えぇっ?! じゃあボクの願い事は無効?!」
「それを実現できるかどうかは、あおいちゃん次第ってこと」
 言って、樹は神社の脇から、下に広がる街を見下ろす。下はなだらかな傾斜なので、怖くは無い。高所恐怖症の人間は、絶壁や宙吊り状態には弱いものの、山の傾斜から見下ろす景色なんかは案外平気なのである。
 今頃この景色のどこかでは、矢部君たちがこちらを探しているに違いない。そう思うと、どこかおかしかった。つい笑みがこぼれてしまう。突き抜ける青空は平和そのものだった。冷たい風に身を預けて、髪が散らばる感覚を楽しむ。
「ボ、ボクさ、あの……」
 後ろからあおいの声が聞こえる。らしくない、吃音ったような声だった。
「ボク……好き、なんだ」
「この景色? 俺も好きだよ。こんな綺麗な場所があるなら、もっと早く知っとけば良かった」
「…………」
 あっけらかんと樹が答えると、あおいはそれっきり黙ってしまう。不審に思った樹が振り返ると、ふてくされたように頬を膨らませて、あおいが睨んできていた。
「え? な、なに? どしたの?!」
「別に!! ほら! 帰るよ早く! 皆が心配してるよきっと!」
「じ、自分が連れてきたんじゃん!?」
「ほら走る! ダッシュ!」
 あおいの怒りの剣幕に気圧されて、樹は逃げ出す。今にも殴りかかってきそうなあおいが相手なのだから仕方あるまい。
 樹を追い払った後で、あおいは肩で息をしつつ、振り返った。その視線の先には、今しがたお参りした神社が鎮座している。
「……うそつき」
 神様に向かって一言、すねたような顔で呟くと、あおいは駆け出した。
 神様にはいろいろある、学問に安産、商売繁盛に家内安全。そしてこの神社に奉られているのは縁結びの神様。クリスマスの日に、二人で十円玉を投げ入れると相思相愛になれるんだとか。どこにでもそんな女子高生の間の伝説はあるもので。西条樹への告白もままならぬまま、早川あおいの恋は前途多難。
 あとにはそ知らぬ顔で空に舞うカラスが一羽。高笑いでもするかのようにカーカーと鳴いて、暫く冬の寒空を盛り上げたかと思えば、いつの間にかどこかへと消えたとな。




 樹たちのクリスマスなのでした。
 バレンタイン編?
 なにそれおいしいの


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