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パワプロ小説2
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18: 01/19 00:33 [sage]
 猪狩守と紅咲憂弥。果たしてどちらが上か。考えただけで、誠也は身震いした。
 猪狩守の恐ろしさは、その速球と変化球、ありあまるスタミナにある。ピッチャーとしての条件はほぼ完璧であると言って良い。対する紅咲の恐ろしさは、そのいずれでもない。もっと別のモノ。それが何なのか、それは未だに計りかねている。 省17
19: 01/19 00:33 [sage]
「たかだか練習試合で僕を起用するなんて、随分役不足に感じますけど」
「そう言うな。この試合には、お前が思っている以上に大きい意味がある」 省14
20: 01/19 00:34 [sage]
 ビジターである雲龍高校の先攻で、試合は始まった。
 一回の表は想像通り、猪狩が三者凡退に討ち取り、悠々とベンチへと下がってきた。ハイタッチもせず、さも当然という様子で黙って座る辺りが彼らしい。しかし雲龍の脅威はクリーンアップおよび下位打線にあるのだ。ここまではこれで当然だろう。 省15
21: 01/19 00:35 [sage]
「なっ……?!」
 八嶋、九十九に続き、二ノ宮までもが凡フライを打ち上げる。情けない音とともに空中に浮いたそれは、ノックの打球よりも捕球するに易い。あえなくスリーアウトを取られ、攻守は交代。 省22
22: 01/19 00:35 [sage]
 日本における投手の評価というのは、奪三振の数で決まることが多い。例え失点が多少目立とうと、三振を多く取れるというのはそれだけでステータスなのだ。だから中学野球における猪狩守の存在は、極めて華々しいものであった。
 速球変化球なんでも御座れで、公式戦での奪三振数は全国でトップ。そんな逸材を、各有名高校の監督が見逃すはずもない。全国各地から高校スカウトが訪れ、猪狩守に入学の交渉をした。それは、あかつき大学附属高校の野球部監督である千石忠とて同じであった。 省12
23: 01/19 00:36 [sage]
 見たところ、普通のバッティング練習であるようだった。守り側は通常の守備形態を取り、打者側はアウト数をカウントせずに次々に入れ替わり、バッティング投手を務めるピッチャーが延々と投げ続ける。オーソドックスなものだ。
 カキンと金属の音が鳴り、凡フライ。中学野球の可愛らしいところだった。足腰が完成していない選手は、スイングが不安定なり、こうなる。 省13
24: 01/19 00:37 [sage]
「最後の試合の前だっつってんでしょうが! なんで皆の自信を削ぐようなことするのよアンタは!」
「んーなの打てねぇアイツらに言ってくれよ」 省27
25: 01/19 00:37 [sage]
 その疑問を持ったその日から、千石はたびたびこのグラウンドを見学に訪れるようになった。時間がないときは、猪狩守への訪問を犠牲にしてでも。そうしてしばらく張り付く中で彼の名が紅咲憂弥ということを知った。
 そしてそれから一ヶ月、中学野球の華の舞台、中体連の大会が始まった。 省13
26: 01/19 00:38 [sage]
 想像以上だった。
 まさか紅咲が、試合でここまで化ける投手だとは思わなかった。いつもの投げ込みなど、彼にとっては単にフォームの維持程度の意味しか持っていなかったに違いない。彼の真の実力は、バッターボックスに打者が立って初めて発揮される。 省16
27: 01/19 00:39 [sage]
 高らかに打ち上げたボールがしっかりとキャッチャーに捕球され、アウトの声が響く。
「……fuck!」 省27
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