負けるなふたみー


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負けるなふたみー

1: ふたりー:11/04/09 00:17 ID:Wk
負けないためには、勝つしかない。
引き分けなど存在しないのだ!

701: 名無しさんAA:11/05/29 12:14
黄泉の国物語 54

 こいつ狂ってやがる。 狂いもするだろうあの耳に入った黄金の蜂は あれこそここ
のこの地に来て鍵を盗んだやつだろう。 あの蜂のようなものを掴めないかぎり あの
狂う男は狂気のままだ。

しかし人類はそれでも滅びない。わがドイツの一部と米ソの中心部、日本や中国は深い
傷を負いながらも生き残る。ただ諸君、それでも人類はいなくなるのだ。いまの意味で
の人類は、そのときもういない。なぜなら、人類は2039年1月、人類以外のものに
“進化”するか、そうでなければ“退化”してしまっているからだ。」「それをもっと
はっきり言えば、人類の一部はそのとき、人類から、より高度なものに進化して、神に
近い生物になっている。人類から神のほうへ進化するのだから、それは『神人』と呼ん
でかまわない。残りの大部分は、これも進化なのか退化というべきなのかわからないが
、一種の機械の奴隷になっている。ただ操られて働いたり楽しんだりするだけの、完全
に受動的な、機械的な反応しか示さない『ロボット人間』になっているのだ。それまで
にあったの気候異変と環境異変、政治と娯楽と食物、それから起こる突然変異が、その
ようなロボットのような人間を大量に生み出す。

神人のほうも同様で、同じ原因から生まれてくる。ただ突然変異が大脳にプラスに働い
て、進化の方向がロボット人間と別方向になるだけだ。その前段階の『超人』たちも、
より進化して神人になる場合がある。いずれにせよ、彼らは今の人間の数次元上の知能
と力を持つ。彼らは団結して地球を支配する。それまでのあらゆる危機や問題は、彼ら
神人たちの知能と力で急速に解決されていく。」「ロボット人間たちのほうは、それに
従って生きるだけだ。これはある意味では気楽な身分だ。戦争も気候も経済も、神人達
によって制御されてしまうので、ロボット人間たちは神人たちの認める限度で、多くの
ものを与えられる。食物と住居も、職業も娯楽も恋愛も教育も、時には思想さえも与え
られる。

ただロボット人間たちは、与えられ、操られていることを意識できないようになる。
自分たちの意識では、何もかも自分で選択して勝手に生きているのだと思う。しかし、
じつは神人たちがすべてを見通して、管理工場の『家畜』のように彼らを育て飼うこと
になるのだ。こうして人類は、完全に3つに分かれる。天と地と海のように、3つに分
かれた進化の方向を、それぞれ進み始める。一方は限りなく神に近いものへ、他方は限
りなく機械的生物に近いものへ。そして最後の一つはそれを操る源へとこれが2039
年の人類だ。その先もずっと人類はこの状態を続ける。そしておそらく2089年から
2999年にかけて、完全な神々と完全な機械的生物 そしてそれを知る者らだけの
世界が出来上がる。地上には機械的生物の群れが住み、神々がそれを宇宙から支配する
そしてそれら作った者が呆然と眺める時代になるのだ。

 あいつは 今我々に戦線布告をしているのだ。見てみよ 耳から出た蜂が笑った。
あ 又飛んでいく。この野郎 ふざけている。


702: 名無しさんAA:11/05/29 12:46
 黄泉の国物語 55

どこへ行った。 あの黄金の蜂は 探せ。風神・雷神 探してくれ。ああ あそこに
ああ いかん お前の雷が十字架に落ちる。ああ・・・ちょっとまて あそこに一人
誰だあいつは。雷雨の中 なぜ十字架を盗む。どうして谷底に落とす必要がある。う
む 見よ あいつの肩に 蜂が肩から血をすする。いやすすっているのではない。今
入れ込んでいるんだ。あ 跳んだぞ なるほど あの川を下るつもりだ。よしあの町
に先回りしよう。

私の言葉。この言葉は、神が、すぐにも起こるべきことを 君達に示すため私に与え
、そして、私が、使いをして、友人に伝えられたものである。
 友人は神の証としての私の言葉を、すなわち、自分が見て聞いた全てを証とした。
 この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて、その中に書かれていることを守る
者たちは、幸いである。時が近づいているからである。
  友人からアジヤにある七つの教会へ。昔から今でもやがて来たるべき方から、又、
 その御座の前にある七つの霊から、また、忠実な証人であり死人の中から最初に生まれ し者としての地上の支配者である神から、恵みと平安とが、貴方々にあるように。
 私たちを愛し、その血によって私達を罪から解放し、私達を、その父なる神の為に、
 御国の民として祭司として下さった方に、世々限りなく栄光と権力とがあるように、
 本当の事を言おう。

 見よ、彼は、雲に乗って来られる。全ての人の目に映る、彼を刺し通した者達は、
 事に多く彼を仰ぎ見るであろう。また地上の諸族はみな、彼故に胸を打って嘆くで
 あろう。言わんや、真実を。見らんや、真実を。
 昔も今も、やがて来たるべき者、全能者にして主なる神が仰せになる、「わたしは
 初まりであり、終わりである そして終わりで無く始まりでも無い。と
 貴方々の兄弟であり、共に私の苦難と御国と忍耐とに預かっている、私の友人は、神
 の言葉と私の証とのゆえに、パトモスという島にいた。 ところが、友は、主の日に
 御霊に感じた。そして、友人の後の方で、響き渡る大きな声がするのを聞いた。
 その声はこう言った、「貴方が見ていることを書きものにして、それを東方、西方
 南方、北方、にある
 七つの教会に送りなさい」。
 そこで友人は、わたしに呼びかけたその声を見ようとしてふりむいた。ふりむくと、
 七つの金の燭台が目についた。それらの燭台の間に、足まで垂れた上着を着、胸に金
 の帯をしめている人の子のような者がいた。
 その頭の髪の毛とは、雪の様に白い羊毛に似て真白で、目は燃える炎の様であった。

 その足は、炉で精錬されて光り輝く真鍮の様に輝き、声は大水の轟きの様であった。
 その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃の剣がつき出ており、顔は、強く
 照り輝く太陽のようであった。
 友人は私を見たとき、その足もとに倒れて死人のようになった。すると、私は右手を
 友人の上において言った、「恐れるな。わたしは初めであり、終りであり、 また、
 生きている者である。私は死んだことがあるが、見よ、世々限りなく生きている者で
 ある。そして、死と黄泉とへの鍵を持っている。そこで、貴方の見た事、現在の事、
 今後起ころうとすることを、書きとめなさい。貴方が私の右手に見た七つの星と、
 七つの金の燭台との意味は、七つの星は七つの精霊であり、七つの燭台は七つの教会
 である。


703: 名無しさんAA:11/05/29 12:48
 黄泉の国物語 56

 なんだこいつは この意識体を全世界にばら撒くつもりか。そうか 一番手っ取り早
 い話ではあるな。先に予言して予言を実行させる。白髪王どうします。う〜む。
 

 北方にある教会の御使に、こう書き送りなさい。
 『右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燭台の間を歩く者が、次のように言われる。
 私は、貴方の行う労苦と忍耐とを知っている。また、貴方が、悪い者たちを許して
 おくことができず、使徒と自称してはいるが、その実、使徒でない者たちを試して
 みて、偽者であると見抜いた事も、知っている。貴方は忍耐をし続け、私の名の為
 に忍び通して、弱り果てる事や悩む事が全く無かった。それはしかし、貴方に対して
 背むべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。

 そこで、貴方は何処で落ちたかを思い起こし、悔い改めて初めの業を行いなさい。
 もし、そうしないで悔い改めなければ、私は貴方の処まできて、貴方の灯火の燭台を
 その場所から取り除けよう。しかし、こういう事もある。貴方はニコライ宗の人々の
 所業を憎んでおり、友人もそれを憎んでいる。
 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者は、神の楽園に
 ある命の木ノ実を食べることを許そう』。


 南方にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『初めであり、終わりである者、死んだことはあるが 生き返った者が、次の様に
  言われる。

  私は、貴方の苦難や、富んでいながらも心の貧しい事を知っている。又、ユダヤ人
  と自称してはいるが、その実はユダヤ人ではなくてサタンの会堂に属する者達に
  そしられていることも、わたしは知っている。貴方の受けようとする苦しみを恐れ
  てはならない。見よ、悪魔が、貴方々の内のある者を試すために、獄に入れようと
  している。貴方達は十日の間、苦難にあうであろう。死に至るまで忠実であれ。
  そうすれば、命の冠を与えよう。耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くが
  よい。勝利を得る者は、第二の死によって滅ぼされることはない』。




704: 名無しさんAA:11/05/29 12:49

 黄泉の国物語 57

 どうします。このままだと 流布させて あのヒットラーのように今後を 予言の
下に起こそうとするでしょう。が ジャイナや釈迦王子の軌跡が見つからん事には。
それに 神仙界がこれに賛成するとはとても思えんのだが。

 東方にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『鋭いもろ刃のつるぎを持っているかたが、次のように言われる。私は貴方の住んで
  いる所を知っている。そこにはサタンの座がある。貴方は、聖私の名を堅く持ち
 続け、私の忠実な証人アンテパスがサタンの住んでいる貴方々の所で殺された時
 でさえ。私に対する信仰を捨てなかった。しかし、貴方々に対して責むべき事が、
 少しばかりある。貴方々の中には、現にバラムの教を奉じている者がある。バラムは
 、バラクに教え込み、イスラエルの子らの前に、つまずきになるものを置かせて、
 偶像に捧げものを食べさせ、また不品行をさせたのである。 同じように、貴方々の
 中には、ニコライ宗の教を奉じている者もいる。だから、悔い改めなさい。そうしな
 いと、私はすぐに貴方々のところに行き、私の口のつるぎをもって彼らと戦おう。
 
 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、隠されて
 いるマナを与えよう。また、白い石を与えよう。この石の上には、これを受ける者の
 他誰も知らない新しい名が書いてある』。



 西方にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『燃える炎のような目と光り輝く真鍮のような足とを持った神の子が、次のように言
 われる。私は、貴方の技術と、貴方の愛と信仰と奉仕と忍耐とを知っている。また、
 貴方の後の所業が、初めよりもまさっていることを知っている。
 しかし、貴方に対して責むべきことがある。貴方は、あのイゼベルという女を、その
 なすがままにさせている。この女は女預言者と自称し、聖私の僕たちを教え、惑わし
 て、不品行をさせ、偶像にささげものを食べさせている。
 私は、この女に悔い改めるおりを与えたが、悔い改めてその不品行をやめようとはし
 ない。見よ、私はこの女を病の床に投げ入れる。この女と姦淫する者をも、悔い改め
 て彼女のわざから離れなければ、大きな患難の中に投げ入れる。
 また、この女の子供たちをも打ち殺そう。こうしてすべての教会は、私が人の心の奥
 底までも探り知る者であることを悟るであろう。そして私は、貴方々一人々の所業に
 応じて報いよう。 又、テアテラにいるほかの人たちで、まだあの女の教を受けてお
 らず、サタンの、いわゆる「深み」を知らない貴方々に言う。聖私は別にほかの重荷
 を、貴方々に負わせることはしない。ただ、私が来る時まで、自分の持っているもの
 を堅く保っていなさい。勝利を得る者、私の所業を最後まで持ち続ける者には、
 諸国民を支配する権威を授ける。彼は鉄の杖をもって、ちょうど土の器を砕くように
 、彼らを治めるであろう。それは、私自身が父から権威を受けて治めるのと同様であ
 る。私はまた、彼に明けの明星を与える。耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを
 聞くがよい』。


 極南にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『神の七つの霊と七つの星とを持つかたが、次のように言われる。聖私は貴方の所業
 を知っている。すなわち、貴方は、生きているというのは名だけで、実は死んでいる
  。目をさましていて、死にかけている残りの者たちを力づけなさい。私は、貴方
 の所業が、聖私の神のみまえに完全であるとは見ていない。だから、貴方が、どのよ
 うにして受けたか、また聞いたかを思い起こして、それを守りとおし、かつ悔い改め
 なさい。もし目をさましていないなら、私は盗人のように来るであろう。どんな時
 に貴方のところに来るか、貴方には決してわからない。
 しかし、サルデスにはその衣を汚さない人が、数人いる。彼らは白い衣を着て、私と
 共に歩を続けるであろう。彼らは、それにふさわしい者である。勝利を得る者は、
 このように白い衣を着せられるのである。私は、その名を命の書から消すような事を
 、決してしない。また、私の父と御使たちの前で、その名を言いあらわそう。耳のあ
  る者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。



705: 名無しさんAA:11/05/29 12:49
 黄泉の国物語 58




 極西にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『聖なる者、誠なる者、ダビデのかぎを持つ者、開けば誰にも閉じられる事がなく、
 閉じれば誰にも開かれることのない者が、次のように言われる。
 私は、貴方の所業を知っている。見よ、私は、貴方の前に、誰も閉じることのできな
 い門を開いて於いた。なぜなら、貴方には少ししか力がなかったにもかかわらず、私
 の言葉を守り、私の名を否まなかったからである。見よ、サタンの会堂に属する者、
 すなわち、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくて、偽る者たちに、
 こうしよう。見よ、彼らが貴方の足もとにきて平伏するようにし、そして、私が貴方
 を愛していることを、彼らに知らせよう。忍耐についての私の言葉を貴方が守ったか
 ら、私も、地上に住む者たちを助けるために、全世界に臨もうとしている試練の時に
 、貴方を防ぎ守ろう。私は、すぐに来る。貴方の冠がだれにも奪われないように、
 自分の持っているものを堅く守っていなさい。
 勝利を得る者を、聖私の神の聖所における柱にしよう。 彼は決して二度と外へ出る
 ことはない。そして彼の上に、私の神の御名と、私の神の都、すなわち、天と私の神
 のみもとから下ってくる新しい信徒の城の名と、私の新しい名とを、書きつけよ
 う。 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。



 極東にある教会の御使に、こう書きおくりなさい。
 『真実たる者、忠実な、まことの証人、神に造られたものの根源である方が、次の
 ように言われる。私は貴方の所業を知っている。貴方は冷たくもなく、熱くもない。
 むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。このように、熱くもなく、冷たくもなく、
 なまぬるいので、貴方を口から吐き出そう。
 貴方は、自分は富んでいる。豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実
 は、貴方自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者。目の見えない者、裸な者で
 あることに気がついていない。そこで、貴方に勧める。富む者となるために、私から
 火で精錬された金を買い、また、貴方の裸の恥をさらさないため身に着けるように、
 白い衣を買いなさい。全ての私の愛している者を、私は叱ったり、懲らしめたりする
 。だから、熱心になって悔い改めなさい。見よ、私を聞いて戸をあけるなら、私は
 その中にはいって彼と食を共にし、彼もまた私と食を共にするであろう。勝利を得る
 者には、私と共に私の座につかせよう。それはちょうど、私が勝利を得て私の父と共
 にその御座についたのと同様である。
 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。



706: 名無しさんAA:11/05/30 00:33
 黄泉の国物語 59

「こいつは どこで見たんだろ。どこかで見たような。」「うーむ あの笑いやがった
黄金の蜂のような奴も又見たことがある。」「そうだ。千年ぐらい前か いや五千年か
いつか。どこかであったぞ。」「そうかゾロアスターが戦った・・あの時に。」「なに
ゾロアスターだとわしの曽祖父の頃と言えば六千年もの昔の事か。」「ああそうだ。あ
の頃 バビロンの王が原子の火を見つけた。そうだ まさかあのバビロン王が今も生き
ていたのか。」「いやそんなはずはない。あの丘の上の楼閣は爆発したんだ。生きてい
ても放射能で死んでしまったはず。」「八千年いやあの蜂はそれより昔にいたという事
でかわいがっていたはずだ。」「まさか 子供がどこかで先祖かえりしたとでも。意識
体の具象化とうのは 他の生物でも子孫を残す事で発現する。それはわかるが あいつ
は分化も孵化も卵化もしないはず。」「よく考えてみよ この真実の木にあいつが近づ
く事が出来たとしたら死を覚悟して 脳が指令しなければならない。普通の虫と同じだ
それは知能がない事を意味する。あいつが意識体なら何も食する事はないが ここにも
来れないはずでは。」「いや我々同様 下界の蜂の姿は仮の姿としてこの黄泉に住み着
いている事も考えられる。」「いや あの神仙界にしても死ぬことはあるし老化は避け
られない。知恵がありマジックの持つ力 すなわちこの木の力を借りなければ具象化の
方法も又進化や誕生の方法も無いはず。」「うむ 神々の丘を越えてまで菩薩や如来が
何故に死を選ぶに賛同し この地を捨てようとするのか それがあの黄金の蜂にあると
はとても思えぬ。それにアダモとエホバはあの虫を食べてしまって 下界に降りたはず
。」「が歴史はあいつがいたことを証明しておる。特にあの虫の洗礼を受けて 又同じ
間違いをそそのかされたとも言える。」「ともかく バビロンの豚を探るしかない。」
「そうだな すこし探ってみるか。」



707: 名無しさんAA:11/05/30 04:11
 黄泉の国物語 60

 「いや もうよい これは カウラの惨劇かも知れぬ。」「カウラのさんげき。か」
「ああ。わしらはとうに人類があのバビロン王と同じく原子力の火をともしたのは知っ
ておる。」「そ それは。」「そうだアドルフの陰謀に乗ったのだ 人類は。」「とす
ると。」「そう あの映像そのものが 恐らく何処かで思念波を送っているのだろう。
あのアドルフ・ヒットラーの高笑いの中に人類はいたのだ。おそらく原子力というもの
で世界は覆われる事を見抜いたのだろう。更にこの原子力が放射能という特異なものを
持ち 新しい生命体を生み出すのを知っていたのだろう。壮大な人体実験の末 あの蠅
が出来たのだろう。」「はえ・・」「そうだ はえのはずだ。」「では耳元で叫んだの
は。いや意識や知識を送り込んだのは。」「そいつはいる いるがあの黄金の蜂ではな
い。ましてはハエを作らせた理由が あのミュータント未来人間を作る為だったとすれ
ば話はあう。この黄泉の地に隠れすむものだろう。彼は神人と呼んだが恐らく失敗して
いる。人の世は早くわずか百年でしかないのだ。」「考えてみろ 彼ら人間が行き着く
先は此処黄泉の国しかない。」「あああ〜〜〜そうか。」「そういう事だ しっかりわ
し等も騙されていたのだ。」「では。」「そう神仙界も恐らく 気づく事無くだまされ
おったのだ。」「くそーあの如何様じじいめ〜 神をも手玉にとりやがって。」「だが
どれだけの神がすり替わったものかが かいもく不明だ。」「全部では。」「いや全部
であるはずがない。若い魂と善を凌駕して悪人をできるものとは そうそう居ない。又
前世に神を名乗るほどのもののはずだ。さらに肢体を隠されて此処に持ち込まれなけば
意味はない。」「うむ まああのアドルフは絶対にまぎれ込んではいようが。」「案外
彼一人かもしれない。」「うーむ いや織田信長も今だ体が見つかっていない。」「不
老長寿を死なない体を求める者は多いからな。」「で あの如来達の苦しみが解かると
。」「ああ少しは理解した いや少しではない 自らが死ねない体の不満を持って居よ
う。特に修行も積まずこの地に来たのだから。現世の赤子のように 納得もせずこの地
であの爺に作られたともなれば。充分に不満だろう。それに わしらが今の人類に鉄槌
を打たず 古代のバビロン王には討ったのだから 大いにわれらを不満のはずだ。」 



708: 名無しさんAA:11/05/31 18:06 ID:H6
 黄泉の国物語 61

「そうか まさしくカウラの惨劇と同じに 自分をいさめて死を望み此処に来たという
事か。」「あの軍人達が 戦陣訓として生きて虜囚の辱めを受けず 死して罪禍の汚名
を残すこと勿れ と 頭から憂いて捕虜になり生を全うしようとしていた時 かつての
上司の行う多数決を決して死に行く事を選んだように この神仏界や神仙界の者は怠け
ず精進する事を掟としてきている。そして何らかの形で自らの堕落を知った神々はそこ
に無力さや後ろめたさを感じたのかもしれない。」「ふん 人ではあるまいに。」「い
やいや それは神々を誤解している。神と言えども完全ではない。更に人以上に人間ら
しいのが神だ。ブッタが悟ったのはその事だ。今までの先住民にあのイエス爺さんが近
づきあの黄金の蜂を見つけ 黄金のハエを作ったのはそれが恐らく不満であったのだろ
う。人以上に人間らしく 情けや情愛を持ち哀れさを布教するということは それは神
が人間以下ということになりかねない。淫乱なゼウスの不幸はそこにあろう。浮気症の
抜け切らない神は 神と言うよりは堕落した人間以下の存在とも言えるだろう。実力や
力があり更にカリスマもあって威厳もってしても 仏がここに来て言った言葉は只一つ
哀れむべき存在であり 救うべき人同様である という事だったろう。」「ではマリア
の子キリストも。」「恐らくムハンマドもキリストも同じ位置にいる。常識以上の事が
その能力が神権や威圧や圧倒される不思議な力とされるのは人だからであり この神々
以上の力を持つ仏らには 何ら力もない。いや力比べでは劣る能力であったろう。さら
に人以下であると指摘されれば 怒り狂うかそのまま逃げ去るしかできない。しかし 
そうして得た天国の地も又同じようにその享楽に明け暮れていると批判されれば仏自身
が立つ瀬もなかろう。」「ふーむ・・。」「うーん それはしかし最高の技術や知恵を
もった社会で原始人みたいな暮らしをしよう。という事に見えないか。」「そうだ。そ
こなんだ。力を是とするか 否とするか。その答えは仏すらない。とすれば力を是とし
力の限り楽しんでいいだろうとするゼウスも又 その力自体が仏と同じか負けるとなれ
ば悔しさもあろう。」


709: 名無しさんAA:11/05/31 18:07
 黄泉の国物語 62

「それでは この外で今真実の木と戦っている 神仙界の者たちは ゼウスの策略に
はまった者たちという事か。」「ならいいが。」「ならいい。・・そそのかされたもの
ならいいとは」「いやそうじゃない 創造主とも自認していたゼウスなら その分身か
或いは変身があのキリスト爺さんのはず。もしゼウスだけにそそのかされてと言うなら
呪縛を解く方法はある。だが異歳神ならまだまだ何処の誰かさえ掴めぬ 虫たちの世界
のその死後は餓鬼道や獣の中にいるとは聞いてはおるが 今だ見た事はない。もしこれ
が異歳神の謀とすれば暗黒王も困っておろう。すぐにでも暗黒神とも会わねばならんと
いう事にもなる。」「が異歳神のやっている事か 暗黒神のやっている可能性も捨て 
きれん。・・・。と」「ああ 虫や細菌や魚や貝達が あたらしい神々を祭る事は考え
らんが。蟹やなまこ達も又生きるものたちでのう・・・。彼らに全く異変が無かったと
も言い切れん。あの黄金の蜂 偽者のハエを作ったといえば 何かがあったやもしれん
。生きとし生けるものの法を説くジャイナがその標的になった。その後輪廻を説く釈迦
王子が何やら掴んだ。とも考えられる。もしあの聡明な神仙界の戦士どもすら 騙る元
があるとすれば厄介なことだ。」「で どうするこの状況で 白髪の老人さんよ。この
ままでも この真実の木を我々の手に取り戻したが これを守らねば又何がどうなるか
わかったものではない。」「そうさな 今少し雨のような光線やらが減ったが同じよう
に 主要な神仙界の戦士は遠巻きになってしまい今や叩き落とす事も出来なくなったら
しい。おそらく出ることは不可能 よしんば出てしまえば この八方陣も結界は解けて
一斉に弱点を探しまわるだろう。もし見つかったら 今度は黒い怨念を撒くぐらいでは
済まないだろうよ。」「おう目指せ203高地みたいに多大な犠牲が必要だろうな。」
「ああ どうしたもんかな。」「その爺さんの親父の頃を そのまま探るしかないだろ
う。」「ま 今はまだ そういうことだな。」


710: 名無しさんAA:11/06/11 11:52

 黄泉の国物語 63

 少し考えていたが あの黄金の蜂から黄金の蝿を複製とした理由はなんだろうか。と
「そりゃ 黄金の蜂が作り難かったとか 難しくて無理だった。からじゃないのか。」
「なぜじゃ。時間はたっぷりある筈だが。やはり異歳神という全く違った神だろうか。
」「そうかもしれんなあ 大体自然界の掟を破って存在してるからな。」「自然界の掟
」「ああ鼓動回数とか神経回路とか甲殻膜とかあらゆるものが 異種体としている。」
「が 進化を考えれば、虫たちもわしらも同じだろう。あの恐竜達がこの神仙界の助け
を借りて鳥になったように。何らかの繋がりがあってもいいはずだが。」「不死鳥や火
の鳥を使者にしてきたように。」「ああそうだ。ここと現世界と境にしてあるのは薄い
膜いやゆるいと言ったがいいかもしれんが 霊界というほんとに薄いが強靭なゆるい膜
が存在するからだが この霊界もあるいはここ黄泉の国から超時空という零点結界も又
あの虫たちの幽体など存在せぬ。それは暗黒神が嫌ったからだと聞かされておる。邪神
であろう暗黒神の配下は秩序や階層を重んじて 剣を持ったバラモン教 や闇光を放つ
ロシア正教を仕上げたが あの黄金の蜂や蝿は相当嫌っている事は一体何故なのか今だ
わからないが 恐らくは暗黒神も又この真実の木を守る我等のように 零点エネルギー
の元を守っているのではないだろうか。」「するってえっと 虫達が異歳神を祭って一
斉に反旗を翻したと。」「そうだ それこそが心配だ。」「じゃが この神々の包囲網
を突破して行く事は不可能だし 暗黒神まで行き着いても我等を認めるとも限らん。」
「いや 我々が行かずとも 連絡さえ取れれば良い。そして もしそうした窮地にある
なら 暗黒神も又我々との連絡を望んでいるであろうし 何か掴んでいるかも知れぬ。
とそう思ったのだが。」「はい そういう可能性はある。」「でお前らが虫だったらど
うして この地にわざわざやってくる。」



711: 名無しさんAA:11/06/12 18:43
 黄泉の国物語 64

「われわれのように求めに応じてはやってこない。ただただ食べて子供産んで死ぬだけ
よ。」「そうだなわれ等のように何ら意思があってここに来たとは到底思えぬ。といっ
て全くこの地を占領しないという保障もない。」「先のジャイナの人形に何か理由があ
るとでも。」「子孫か そうか餌だ 彼らは異歳神から放たれたものではない。異歳神
と言えども 神であるはず。だとしたらあの黄金の虫達は その神をも恐れぬもの達。
」「あ」「そうだ ジャイナが居なくなった理由はたぶんそれだ。」「異歳神の使い」
「そうあの黄金の蜂や蝿を抹殺する事。その使命をもってここに来た。」「そうかだが
既に遅かった。」「そういう事だ。」「しかし あの野菜さえ虫に食べさせる掟を作っ
たジャイナが 例え害虫の中の害虫だとして 殺しにここまで駆けつけるだろうか。」
「そこだ その甘さがこの神々すらも迷わした原因だろう。恐らくこの戦いは暗黒王の
その死の淵が狙いだろう。」「つまりそれ故に この真実の木を枯らさなかった。次の
自らの楽園とするように。さらに そういう考えや判断が出来るというのは 虫達を司
どる異歳神にとっては 大きな困惑いや障害であるはずだ。草食を旨とした 我慢強い
ジャイナを白羽の矢を立てて頼ってきた事は 暗黒神との確執からもわかり得る。へた
すればこの霊界までやってくる生物界すらもいらないものとみなしたらどうしようもな
くなるからだ。異歳神では戦えない。があの黄金の蜂は勝手な画策をする事ができる。
」「だとしても この黄泉の国に来る前に相談があっても良かったのではないか。ここ
まで来た事は 此処にこの真実の木がある事を知っていたという事だろう。それに生体
ならともかく幽体離脱したものの世界でまで 飛んで回る事はあり得ない話だ。人間さ
え 輪廻の中では虫として産まれるとしているのだ。虫も又命の灯火でしか来れないは
ずだ。」



712: 名無しさんAA:11/06/25 10:25
 黄泉の国物語 64

 そこへ 白馬のピブロがやって来た。「なにい。今度はなにか新しい攻撃をしかけて
いるだと。」「何でも この真実の木の様子がおかしいだと。」「あららあーこの木が
もだえておる。あ 見ろ あの神々の将兵がやってくるぞ。あいや あいつらは苦しく
もだえておる。あ 倒れたやつもいる。これは一体なんだ。」「どうやら馬脚を現した
らしいな。」「どういう事だ。」「それを話す前にに それより急いで結界を作らねば
ならん。毒素の霧が立ち込めないうちに。」「毒素の霧だと そりゃたいへんだ。」「
ああ ちょいと天幕とこの木に・・・・おやおや・・・。」「かわいそうに誰かこの子
を見てくれ。」そこには さっきまでこの木の 精霊として一体化していた娘と青鬼が
息苦しいのか よろけて倒れ込んできていた。「どうやら この虚空すらもう必要ない
と判断したらしい。」「あの黄金の虫達がか。」「おーいそこの丸薬を飲ませよ。」「
あっあいつは誰だ。」娘達と青鬼の他に一回りも二周りも小さい赤鬼がそこに倒れてい
た。「これはこれはこの子は良く来た 暗黒神の伝令ではないか。これを助けよ。」と
叫び早速丸薬を飲ませた。「おう気がついたか。」「こっちのほうは 何か異変はあり
ませんか。」「あいや 見ての通り 花園はあたり一面変わってもうてな。既に神たち
は敵の手に落ちている。素直な話 こうして神々も あいも変わらず幸福な毎日にふけ
って不満やら異常やらの声は一向に上がらなかったが 一夜にしてこのざまだ。」と向
こうの方の座っている娘達に手をさした。「ほんにそうですね。我が神 暗黒神も防戦
一方でありますが 敵が今もってわからない。ただ言うには 異歳神ではないかと思い
ここの様子を見てきてくれと 此処に来た次第。」「おおまさしくわしと同じか。わし
も今考察していたが そう思っていたところだが だがこの有様どうにも動けんのだ」



713: 名無しさんAA:11/07/07 01:03
 黄泉の国物語 65

「あ あかおに・・・」とすぐそばでうずくまる黒い鬼が 徐々に姿を現した。「兄者
あにじゃ・・大丈夫か・・・」「おうこれを ほれこれを飲ませよ・・」と例のゴマ粒
のような丸薬を渡した。「ごほ・・ごほ・・我が神 暗黒神は今や風魔神雷魔神光魔神
熱魔神などが守りを固め 完璧な守りとなっています。そこに異歳神の取り入る隙間は
ないが それでも攻勢にかける事は不可能と判断しました。よって私黒鬼が魔道界の洞
穴を教えて 此処の真実の木を守る神々を現世の淵神宿まで案内し 白鬼武人である白
王様に仕えて 共に異歳神の本陣を見つけ叩けとの命令であります。で白王様の居る御
場所をこの赤鬼に案内させた次第。」「うむ・・・ご苦労・やっとこの状況がつかめた
おおい・・・もう良いぞだいだら・・ この木は冬眠させる こっちにやってくるが良
い。」と叫んだ。「え 白髪王どの ではこの黒い鬼の言うことを信じなさるんでぃ」
「ああ このまま戦って 優勢でも劣勢でも此の木に負担がかかれば 元も子もない。
この錯覚している神々も もはや我々が手をつけることは困難な話だ。おそらく暗黒神
も同じ思いであろう。現世界の幸せを願う強い気持ちを発して 彼らを呼び覚ます事が
一番の良い方法かもしれない。この生命の源である真実の木が枯れることは無いだろう
いや 我々が守る事でこうした攻撃があるのならば 我々はいない方が良いとは前々か
ら思ってはいた。迷路のようなこの木の洞窟の入り口さえもおぼつかなかったが この
黒鬼達が来たので此処から出る事が可能になった。ならば 現世への旅に出たとしても
安心じゃろうて。」「ですが・・・」「なあに この木はかまわんでも良い もうすぐ
水神も光神もやってくると この黒鬼が言っているワイ。のう。。」「あ。はい。」



714: 名無しさんAA:11/10/30 14:45
 黄泉の国物語 70

 その穴はずいぶんと大きかったが 黒鬼はどんどんと歩いていて奥に行く。「おい
おい黒鬼よ、そう急ぐでない。我々はお前のようには 前が見えてはいないのだ。」と
真っ暗な中をひたひたと歩く足音の中 声が少しこだました。その後やや間があっての
ち 「しっ 静かに・・・誰か来る。」「なに・・」「何者かの気配・・が」「ああ今
の声で屋形野郎を目ざまさせたかもしれんな。」「屋形野郎って。」「精気龍の息子達
じゃよ。」「えっ なぜこんなところに・・」「ああ色々訳があって彼の父親の精気龍
は亜蛇螺王の手元を離れ流浪の末ここに住み着いたと聞いておる。ここは時空の端すな
わちあの世の無限世界と生身の生物の生きる時空世界の境目だ。無限世界を生きて行こ
うにも亜蛇界からは追放され龍の仲間に見つかれば食い殺される。かといってこの穴を
進み出て時空の穴を超えれば 有限界すなわち時間が止まらず動いている。一瞬は生き
抜こうともいずれ死が待っている。神々やら冥界へ戻ることはかなわぬ。したがってこ
の境目でかの幽霊のような生き様をさらけ出しておると もっぱら噂があってな。」「
が しかし あの暇つぶし糧つぶしで有名な息子たちとあっては なかなか面倒なので
はありませぬか。」「いいや 私に任せよ 彼らとて龍神のはしくれ ここに住もうた
理由も又 悪さしてまで霊界にいたくはないが さりとて 人間界へ降りればこれまた
生きていく上の神通力の種をどこかで仕入れ続けねばならぬ。そこで一計を案じて天空
では姿が見えやすいのでここの守り神のまま関所の役人みたいな事をしていると聞く。
案外賄賂じゃないが この木の葉が役にたつやもしれん。」と 「し〜 やっぱり見つ
かったようです。」と遠くから何とも気味悪いずーずーと引きずった音がこだましなが
ら近づいてきていた。と共にゆっくりだが生臭い風が少し吹いている。「なあにここに
住み着いた家主みたいな者だ 隠れる事の方がよっぽど出来ぬ相談であろう。のう黒鬼
。」「はあ ・・ですが・・・。」「なに不服か・・まあ良いではみておれ 黒鬼よ少
し下がって岩陰に隠れるがよい。今から光の玉を出すでな。」というと懐の例の木の葉
を手に乗せそのまま呪文を唱え手の中でもみくちゃにした。そうして粉になった葉の屑
を杖に塗りたくる。やおら 杖を地面に指し いきなり手印を切った。するとほのかな
光が杖に宿る。そうして呪文の声が響くや その光は瞬く間に大きな光の玉となった。


715: 名無しさんAA:11/10/30 18:11
 黄泉の国物語 71

「だあれだあ〜〜。神の世からか出て行こうとしている。不届き者は。あん〜〜〜。」
「・・・・」大きなそれでいて低い 気味の悪いゆっくりとした声が響きわたる。誰も
何も言おうとしなかった。目がなれて光のすすんで見えるこの大きい穴の少しカーブで
もしてるだろう先を 今か今かと見ていた。そうしてかたず飲んで見ていたが一向にそ
の者は姿を現さない。そしてわれらも又老人のみが長い影を落として杖から少し離れた
ままたっていた。それは長い時間に感じた。「どうした もののけよ 姿を現さないの
のか 隠れていても無駄だ。・・・ほうもう話すことを止めたか・・なら私たちから向
かうぞ亜蛇螺王の末裔よ。」としびれを切らした老人が言ったが それでも荒い鼻息な
のか 呼吸のようなズーフーズーという音が規則的に聞こえるだけだった。それでも老
人はたちがり では皆の者行こうかと言うと杖をもってすたすたと歩きだした。ほら穴
を改めて見た他の者は ながれ滴れる水滴をよけて 老人と離れて一団となって歩きだ
した。影が揺れ 少しずつ離れていく中をついて行く馬と角を持つ子供更に馬にのった
女子の連れは はたからみたら それは異様なすがたであった。が 今度は何故か風が
ゆっくりだが逆に吹いている。「うお〜・・・お前らは何者・・・うお〜・・・」とま
るで先ほどとは違い すこしパニックになったような 押し殺した声が聞こえてくる。
だが 老人はゆっくりだがもくもくと歩き 光のもとは進んでいった。」「危ない」と
白鬼が叫べば 老人の杖は手元より如意棒の如く細く長くなり 大きく光が強くなった
そしてそこには猫の目のような大きな目が 黒と金色で輝いたふちに黒の縦長の眼とそ
の奥にまた金還黒輪のまなこが少し見えたように見えたが一瞬にして遠くに白い鬚に白
い鱗の立派な龍がいた。待ち伏せして食べるつもりだったのだろう。だがそれは光が強
く狙いが狂ったのか危うく難を逃れた形だったが 龍は「キュ〜イン〜きゅ〜いん〜]
とまるで ロボットが泣くような音が聞こえたがそれは又大きく耳を塞ぐほどの音だっ
た。」




716: 名無しさんAA:11/11/13 09:21 ID:Oxc
 黄泉の国物語 72

 その時 龍の開いた口はその隠していた小岩を落とした。危ない!と大きな声と同時
に 一角獣は素早く老人の服を咥えて背に乗せた。ダイダラは自らの身で岩を止めた。
黒鬼と赤鬼はそれぞれに目が吊り上りものすごい形相になり 大きくなって龍の口を締
めてわにのような目を拳で叩いていた。叩かれた龍は力任せに首を振り 彼らを振り落
とそうとしている。そして力が緩んだ拍子に彼らから離れものすごい形相で2匹と2匹
はにらみ合った。そして後ろに回った女や老人が怪我が無かった事を確かめた白鬼が又
その2匹の鬼の間に大きい身体になった。後ろには緑鬼のごときダイダラが岩を捨てて
こっちを向いた。その時鬼達の目が輝いた。額の梵天斑が赤くなり真っ赤に燃え滾る。
すると光の矢が出た。龍はすかさず交わしさすがに目には当らなかったがさっき殴られ
た当りの鱗のない皮膚に当りジュウジュウと音を発てるかのように煙が上がる。驚いた
龍からグォーンともキャインとも聞こえる声がする。暫く相対していたが さすがに4
対2では敵わないと見たか 恐る恐る後すざリして少しさがりかけ 少し間合いが取れ
ると あっという間にいなくなった。暫くは 立ったまま眺めていたが 鬼達がもとの
子供のような大きさに変わると老人は言った。「やれやれ ・・・・難儀な奴らだ。
では用心しながら先に行こうか。とみんなで歩き出した。が三匹の少女達をのせた角を
もつ白馬はそのどれもが一向に歩こうとしない。後ろを向いた白鬼がそのままぼんやり
と立ち尽くしたまま後ろを見ていた。それをみて黒鬼が赤鬼に「兄じゃ。兄じゃ」とさ
けぶ。「うむ お前もそう思うか。」2人の会話の中白鬼は馬の後ろへと駆けて行った。
  


717: 名無しさんAA:12/03/21 20:02 ID:0T2
黄泉の国物語 73

 そうした白馬や白鬼を尻目に 老人はすたすたと先に行き だいだら坊の化身となっ
ている緑鬼と一つの妖精として真実の木を守っていた黄娘が馬からおりて姿を黄鬼とな
り直ぐに後を追う。とまもなく一塵の風が吹いた。白鬼が「風だ白王様。気を付けて!
と叫ぶ。その風はそこを過ぎる程に強くなり老人に向かって行った。老人は振り向いた
。そしてそれが聞こえたか聞こえぬうちに杖を床に叩く。雷電が響く風は老人の杖を境
に二手に別れたようだ。雷電と共に落ちてくる小さな岩石が風共に二手に分かれそれが
見える。がその煽りを食ったのは黄鬼や緑鬼だった。二人とも老人の後ろにいたにも関
わらず振り返り 風をよけようと腕で風を切りながらも身体は押されて 老人より先に
後ろ向きに押し流されている。右を行く緑鬼に間に合わなかったのか杖を持ち替えて、
どうやら黄鬼だけは老人の所で止まっている。慌てて白鬼が近寄り老人をその風の外に
引いた。尤も一番強い風は既に吹いては居なかったが 全く吹いてはいない所まで連れ
て行った。驚いた緑鬼は少し大きくなり 全速力で走っている。が僅かばかりしか戻れ
ないらしい。盛んに足は交差する 又息も荒くなっているようだ。身体全体が呼吸した
感じに見えるが 白鬼も老人も又黄鬼も同じように”ぜいぜい”と呼吸が荒くなって只
呆然と見ていた。がさすがに老人は杖を建てて地に指し 懐から怪しげな数珠を環に杖
の上において呪文を唱えた。僅かだが細い強い光が始めは地中を向かっていたがその内
その光の環は緑鬼を中心として包み風を和らげた。程なく緑鬼はその風から抜けてきた
。だがその顔は青ざめ 呼吸は絶えだえでよろけて座り込んだ。すかさず白馬はそっと
その背を緑鬼に差し出していた。「まずは少し休もう。」と老人は又杖を指し光のドー
ムを造り皆はそこに座った。

 


718: 名無しさんAA:12/03/22 22:27
黄泉の国物語 73

 そうした白馬や白鬼を尻目に 老人はすたすたと先に行き だいだら坊の化身となっ
ている緑鬼と一つの妖精として真実の木を守っていた黄娘が馬からおりて姿を黄鬼とな
り直ぐに後を追う。とまもなく一塵の風が吹いた。白鬼が「風だ白王様。気を付けて!
と叫ぶ。その風はそこを過ぎる程に強くなり老人に向かって行った。老人は振り向いた
。そしてそれが聞こえたか聞こえぬうちに杖を床に叩く。雷電が響く風は老人の杖を境
に二手に別れたようだ。雷電と共に落ちてくる小さな岩石が風共に二手に分かれそれが
見える。がその煽りを食ったのは黄鬼や緑鬼だった。二人とも老人の後ろにいたにも関
わらず振り返り 風をよけようと腕で風を切りながらも身体は押されて 老人より先に
後ろ向きに押し流されている。右を行く緑鬼に間に合わなかったのか杖を持ち替えて、
どうやら黄鬼だけは老人の所で止まっている。慌てて白鬼が近寄り老人をその風の外に
引いた。尤も一番強い風は既に吹いては居なかったが 全く吹いてはいない所まで連れ
て行った。驚いた緑鬼は少し大きくなり 全速力で走っている。が僅かばかりしか戻れ
ないらしい。盛んに足は交差する 又息も荒くなっているようだ。身体全体が呼吸した
感じに見えるが 白鬼も老人も又黄鬼も同じように”ぜいぜい”と呼吸が荒くなって只
呆然と見ていた。がさすがに老人は杖を建てて地に指し 懐から怪しげな数珠を環に杖
の上において呪文を唱えた。僅かだが細い強い光が始めは地中を向かっていたがその内
その光の環は緑鬼を中心として包み風を和らげた。程なく緑鬼はその風から抜けてきた
。だがその顔は青ざめ 呼吸は絶えだえでよろけて座り込んだ。すかさず白馬はそっと
その背を緑鬼に差し出していた。「まずは少し休もう。」と老人は又杖を指し光のドー
ムを造り皆はそこに座った。

 

719: 名無しさんAA:12/03/22 22:29

黄泉の国物語 74

 しばらくして。「正に行くも地獄引くも地獄じゃな。あ・ははは。さてさてどうした
ものかのう。まさかこんな洞穴で時の風が吹くとはな。ここが思案のしどころかのう。
」と皆を見た。そこに赤鬼が声を出した。が その声は洞窟内に響き渡る音にかき消さ
れた。突然ドームの外は慌ただしくなった。先の龍に乗った仏や神々達が雪崩を打って
取り囲んだが後ろに回った者達は「わあ〜。」との声と共に次第に遠くになる。例の時
の風を真面に食らったのだろう。がそれを知らずにいるのか 後ろからの力に押された
のか次々に回り込む。がそれでも次々に此の神々は時の風に乗って遠のく。最後の光線
や光の環すらださない神々が数神残っていた。がいつの間にか緑鬼は彼らの後ろに大き
く立ちふさがった。それ気づかず老人と相対していたため大きく四股を踏んでその広い
洞穴の一角で上から声を上げた「おい 貴様らの大将は誰だ。」と後ろからの声に思わ
ず振り向いて 少しあとすざりした。ドームの横を周り後ろに来た途端に「なんだ〜こ
のかぜは〜。」という声が最後に吹き飛ばされた。「やれやれ 神々の馬鹿どもが現世
界まで堕ちて行ったか。これでは現世界はうるさくなろうのう。」「ええ。でも神様が
増える事は生体界ではいい事ではないのですか。」「そうじゃのう。いいも悪いもなく
又人間どもが小利口になるであろうのう。さてさて そろそろわしらも現世界まで降り
てはジャイナやラー王を探し会いに行かねばならんだろうなあ。気が重い事じゃが。真
実の木を又呼吸させ育てねば 暗黒王も困ろうて わしらの住む霊界も取り戻せぬから
のう。さてさて。どうしたものかのう。」「少し前に言った様に黒鬼と私は此の時の風
とやらの吹く岩の小穴を見つけていますが それを塞ぐ手立てがあれば案内します。」





720: 名無しさんAA:12/03/22 22:30
黄泉の国物語 75

「ぬ。なんとな。時の風の出入口を見つけたとな。」「はい。すぐそこのあの大きな岩
の下に小さな小孔が下にすたたる水に波紋が立っていることを二人して見届けておりま
す。」「ふむ不思議な事じゃのう。本来時の風というのは時使いの神が渦を起して初め
て起こるものだが・・もしかすれば此の霊界にも・・異歳神が・まさか・・そうかも知
れない。」「・・とすれば・・」「時使いの神が降臨した・」「いやそんなはずはない
・」「しかし、時が無いはずのこの霊界に時の流れが起きた。」「・白鬼よどう思う。
」「はっいずれにしても 時の風が吹いている事は事実。例え時使いの神がこの霊界に
来ていたとしても そうした力のある異歳神がここにいたとしても私めは一向に。」「
そうだな。例え我らの手に負えぬものであれ どうにかせねばのう。」「はっ 現世界
に飛ばされる事あっても 皆が一丸となって事にあたれば何とかなるではありませう。
」「いやいや 時の風に当たれば そうもいかぬ。古来より現世界の病老死がどうにも
ならぬ様にのう、時の風を起こす程の能力を持つ奴がこの霊界にいたとわのう。」「と
言いますと。」「うぬ 話は長くなるが まあ良かろう。じゃがここはまだまだ危険じ
ゃて この魔界や霊界或いは意識界に時の風が現れた事は相当な力が加わった事だろう
。このまま現世界に飛ばされても わしらの先はない。なにせほとんどの封印が解かれ
ているやも知れぬからのう。更に厄介な事は皆が飛ばされた後も同じ地にに同じ時間に
降りられれば良いが 時間の渦の中ではそうもいかぬ。かと言って此のままやり過ごす
事は出来ようはずもない。ここはその今吹いている風が小さくなるかやむまで ああ。
あそこの高台に移ってでも話をしようか。あそこなら風をさえぎれそうだ。




721: 名無しさんAA:12/03/23 15:29
黄泉の国物語 76

 つるつる滑りそうな鍾乳石の一際大きいツリー状の縁を通り 老人の手をかざす中で
青いほのかな光の中で 緑鬼が先に行く。青鬼と赤鬼は時々振り返り 誰かが追って来
ないか気になるのか あるいは先の時の風が吹く岩が気になるのか 時々は立ち止まっ
てまで振り返る。白鬼は時々道を見つけては緑鬼にこっちだ その石をここに。と指図
しては どうにか中に浮く部屋の入り口までの道を作った。暫く立ち止まり眺めては、
少し歩きしていた一行はやっとこさ少し平らな大部屋の位置に来た。老人はその中心に
杖を立て先ほどのような呪文を唱え皆を光の半球の中にいれた。そして座り込んで「や
れやれやっとひと休みできるかの。」そばの鬼達はまるで砂漠の商人がラクダを背にし
て焚き火を囲むかのように 白馬の背にもたれた。「はてはてどうするものかのう。」
「は。しかし・・。」「そうじゃのう。此のままやり過ごす事は出来ようはずもないの
は明らかだが 時の風とは難儀な事じゃ。が兎も角はジャイナにしろ釈迦王子にしろ探
してもいずれ 此の時の神とは対峙せねばなるまい。」「は。この時の神とは一体何物
でありしょううか。」「ああその話があったののう。忘れていたわい。わしの知る限り
常世化師。」「と・こ・よ・か・し・つ・む」「ああ神々の道化師として時津風或いは
常世風神と恐れられながら誰も見たことは無いと噂されている神様だ。」「おお緑鬼は
少し知っておるようだのう。」「ああ 少しだけはな。」「そうか 彼らは正確に言え
ば神では無い。」「か・れ・ら」「ああ唯物神でも無物神でもない。」「現尊態ではな
いという事・・・。」「ああ意識界或いは夢創界であろうと 或いは現世界や生物界で
あろうと どこでも縦横無尽に自由自在に遊びまわる。従って一っ匹なのか数百なのか
数千なのかは解り得ない。只見たものは 常に一つだったと神々の中では噂されておる





722: 名無しさんAA:12/03/23 16:00
黄泉の国物語 77

「なにそれは。それってどうゆうこと。姿が無いと言う事なの。」「いや違う無量光寿
の話だ。」「む・りょう・こ・う・じゅ」「ああそうだ・・そうだな形あって形なし。
匂いも光も闇もない意識があって意識なし音があって音が無い色があって色がない。」
「それって どこかで。あっ般若心経の世界。」「はははは そうだ 釈迦王子が行き
たいと わしに聴きに来た世界じゃ 賛膨大全世界じゃ。」「それって三菩提善世界。
でなくて。」「ああ釈迦が知るのは3千年世界 ここでの3千年だから現世界ではその
約百倍だろうからのう。わしらが生まれてからもまだまだ20億年と言う若さだ。常世
化師はそれでも一瞬であろうな。うん・・・。」「という事は私らに手立てが無いとい
う事。先生・・。」「いやあるさ あんな五っ目の怪人なんぞにいいようにあしらわれ
ていいはずもない。」「うっ だいだら坊いや緑鬼はお前は 常世化師を知っているよ
うじゃの。」「ああ少しだけはなあ。ただ今だどんなものかと言う事なんぞは知らない
。只前に見たときは 突然現れた三目のカタツムリだったように見えたが すぐにそれ
が他に二つの目を隠したやつで 名前が常世数鬼すなわち常世化師や常世風神という異
界人の神に祟りを起こす物で触ってはならねい。見てはならねい。話してはなんねいと
おっかあが 俺をたしなめた事はある。只それだけだ。」「そうか。じゃあわしも話そ
う。赤鬼黒鬼よ わしは白王から白日王の称号をもらったが暗黒神は今だ黒王から暗黒
王の称号をもらえてはいない。何故だかわかるか。」「いや全然・・・」「実は二人共
六千八該京の門番をしていた。」「ろくせんはちがいけい。なにそれ。」「俺は知って
いる。一該とは 一つの骸が粉々になるほどの細菌の数 即ち万・億・京・該の大きさ、。そこには 他に通じる門がある。と噂されている所」「白鬼の言う通りそうまさしく
今だ地球でさえ3億年太陽系でさえ6億年もはや該年のいやその又千倍の遠い昔という
のは わかり得ぬ世界であろうが そこでわしらは八重箱の門番をしていたのだ。それ
がなぜ何から守る為に何時からかは判らぬままにのう。」
  

723: 名無しさんAA:12/03/31 17:09
黄泉の国物語 78

 その「やえばこ」って何。「ああ、現世界で言う虹色の玉手箱ってところかな。七色
の虹の色に黒と白を入れて八色の光を放つ四角の箱のことじゃ。」「八色って二色を足
せば・・・そうか黒色がないから。」「いや違う 此の世界では緑色と黄色は同じ色な
のだ。それに黒も又光として在るもので それが輝くからこそ此の闇色の霊界が存在し
てある。勿論生物界には認知がない。つまり見て感じる事は無いので透明などと称して
いるのだが 此の認知する意識界の長老として黒王と光の具現界の長として白王がいた
。そしてそれぞれに分化した子供が一人ずついたのだが それがわしと暗黒神だった。
ところがこの輝く模様の四角のものが一体なんなのか 或いは何故これを守らねばなら
ないのか。いやいやそれよりも何よりも わしら2人が何故ここにいて門番をしている
のかは全く分からずにそこにいたし 又どこから来て何をしてるのかすら自覚も知恵も
全くなかったのじゃ。」「へーえ 門番と知らずに門番をしていたの。」「ああそれは
虫や動物でも植物でも人間でさえも同じだろう。何のために生まれ何の為にそこにいる
のか。更にわしらと違って 口にして食するものは 全てが先ほどまで健気に生きてい
たものである。野菜でも魚でも食肉は特にじゃろう どんなに粉々にし熱を入れ加工さ
れよう姿形味を変えようとも 生きてきた証である其の身体を摂取するが そうまでし
ても生きらねばならない理由は一体何処にあるかは 誰もが判らぬものであろう。どう
じゃ。何故ここにいるのかは 自分の意思で動くこの身体であっても 存外何のために
どうしてと言う問いには答えられないものじゃ。だが此の門番をするにわしらはとんで
も無い事をしたののだ。暇を持て余し暗黒神と白発神はぶざけた事に喧嘩や戯言を行い
その意識を共有したのだ。よく子供らが遊んでいるその姿と同じじゃよ。




724: 名無しさんAA:12/03/31 17:10
黄泉の国物語 79

 「へえ そんな二人が言い合い張り合い取っ組み合いする事が大変な事だったの。」
「いや違う。そうした闘いに夢中になってしまった事が問題だったのだ。そうその時ど
こから来たのか常世の神が来たのだ。」「緑の三ッ目のナメクジがか。」「いやカタツ
ムリの姿でそれこそごま粒ほど小さくして周りは黄色で溢れた中をやってきたのだろう
がわしが見た時は三ッ目の妖怪だった。2人の取っ組み合いがおもしろかったのか突然
声が聞こえてな 暗黒神が腹を立て相手したが どうしてどうして どうする事も出来
なかった。その時妖怪から落ちた袋があってなそれをわしが拾ったのだ。中には木の実
がはいっていてな。それを見た常世の神は改めて「俺の名はとこよかしつむ 旅人だ。
その木の実はお前たちにくれる。食べるなり育てるなり好きにして良い。」と言ったの
だ。そこで袋はと言えば袋もいらないと言ったのだ。どうして我らにくれるのか。とい
ったがそれには答えなかったが 暗黒神に「そうだお前は此の木の実が砕けるか。」と
誘いをかけた。「簡単だ。貸してみろ。」と色々試したが 雷も火も水も剣や氷も何も
かも受け付けない程硬かったし割れなかった。「これはなんだ。どうしたら開けられる
。」「これは真実の木の実と言ってここでは絶対に割る事はない。ここでも少しではあ
るが時間の波があるからのう。そこの無量大数に通じる阿僧祇の門をくぐれば 時の波
の影響が無いので初めて割るだろうがのう。」と言ったのだ。これが言霊の悪戯の為せ
る業であったろう。まさかとも思ったがのわしらはそのしきたりを守らず その種を持
ってその門をくぐったのだ。じゃが何も変わらずやはりその実の殻を壊す事は出来ず、
とうとう捨ててしまった。そうして門をくぐり戻って来た時それは起こったのだ。


725: 名無しさんAA:12/03/31 17:10
黄泉の国物語 80

 「それ。って」「時の始まりじゃよ。」「時の始まり。」「そうじゃ。振り返ると既
にその小さな八重箱 すなわち時の止まった七色の玉手箱は時が始まり 振り返った時
は本当に大きくなっていたのだ。それはそれは大きく緑の色一色に変化してわれらを飲
み込む程にな。そこで二人は逃げたと思ったがそれは違っていたのじゃ 暗黒神はその
中に入り此の真実の実から出た苗木を引き抜こうと戦ったのだろうが 結局は出来なか
った。」「そう いわゆるビックバンの始まりと同じじゃてな。」「そうだこれにより
時が生まれた。この事に白王も黒王も激怒した。だが具を守る我王は私に白魔の法術を
伝授し白日王の称号をもらったがわしは自らを白髪神と名乗るのみにとどめて暗黒神が
暗黒王の称号を待つことにしたのだが 今だ黒王からは其の黒の正当な術は伝授されて
はいない。だがそれは無理からぬ事かも知れぬ。唯物神である白王にとってはその領域
は増えることであり能力が高まる事だが 一方の黒王は精神界の産物である無物神とし
てその神格を保っておる。時間も無い物も色も無い静の姿こそ彼の持ち分だったのだ。
 すなわち白王にとっては案外この時の始まりは期待していた事だったかも知れないが
黒王にとっては それこそ神としての生死を分ける程の大きなショッキングな事件だっ
たのだ。」「黒王って魔王とか悪魔とかの事。」「いいや全く違う 闇の王には違いな
いが それは人の世界や霊界などの闇ではない 全く光のない光のあふるる世界。とで
も言う世界だ。先ほどの無量光寿の世界で知覚があって知覚がない感覚があって感覚が
ない世界の支配者の事だ。」「じゃあ白王と同じってこと。」「ああ 全く同じじゃ。
名は白王と黒王とに分かれてはいるがそもそもその八重箱の中の右と左。上と下。或い
は前と後の支配領域の違いだけでそうたいした違いは無い。ただ・・・ 」「ただ?」



726: 名無しさんAA:12/04/03 22:21 ID:Zow
黄泉の国物語 81

 「いや それは又話そう ただ数字根というのは解るだろう。」「人間たちの言う三
平方の定理とか 平方根とか。」「そうだ 二神が守っていたのは平面から出た立体だ
ったが 時間がやって来た事で平面定理が時間軸をいれた定理に代わり 2乘でも三角
でも無くなったのだ。」「つまり球体原理になった。」「そうだ。我々がいた霊界でも
時間は止まっていない。現世界での時間と霊界の時間或いはここ暗黒界の中の木の根で
も時間が止まっているわけでは無い。だが 我々が最初にいた世界は本当に二線一律の
平面体即ちフイルムの世界であったのじゃが 今の立体軸や時間軸が光と色を産んだの
で こうしてお前たちとここにいる。とまあ こう言う訳だが。まあそろそろ時の風も
弱くはなってきたかもしれないな。」「白翁よ もう少し教えてくれないかな。」「ん
。何をだ。」「いや今の神々の反乱が解らないにしても 此の時間の入って来てしまっ
た世界で 真実の木が実から成長したって話だが この真実の木の実を常世の主が何故
持ってやってきたのか それにその我々が今探している釈迦王子とジャイナ王子更に我
王暗黒神あのイエスのじいさんや創造主とするゼウスや黒神と白神は一体何物なのだ。
」「そうだ。そうだ。それに今私達が敵としてる異歳神やさっきの龍の一族の話も。」
「そうじゃな。常世の主は常世の神とは言うものの 全く異質の神で彼らこそは本来の
神々の親かも知れない。それは全く解らない。それは子供が全く親といつの間にか認知
して親があるのと同じように 親じゃないと認知して異質としているのだが どこか懐
かしい部分があるのじゃ。対して黒王も白王も常にわしらを囲み傍にいて守ってくれて
いるが 時の逆行が黒であり時のままが白であるだけの光の話でしかない。」



727: 名無しさんAA:12/04/03 22:22
黄泉の国物語 82

 「なあに そうたいした話ではない。要するに円が球になり球が回る玉に変わるだけ
だけの話だ。」「その玉の中に私達は居るって訳?」「そうだ そして常世かしつむは
其の玉を自由に出入り出来る。それをどこで学んだのかブッダ王子とジャイナ王子は私
の所に過去やら未来やらからやって来たのだ。」「仮に男と女がいたとする。その二人
の中心に私が立っていて その二人までの距離が全く同じでそれと同じ距離の二人の間
に子供がいたら、その三人は私を包む円の中心に要る事になる。これが平面的な同心円
の話になる。ここで直角とは私が男と女と一直線上にたったときの子供から見た男と女
を見る角度である。」「それが何か。」「では立体でその子供から見る男と女の方向と
純粋に直角とはどこを指すのか。」「・・・」「なあに決まっているさ全く男や女が立
っている世界と違う上や下に決まっておろう。がそこに直角を出すことは至難の技が必
要となる。」「即ち何を持って直角とするか言えるかという事だが。」「つまりは円が
球体ってこと。」「そうそれが正解だ。さっきの子供の位置を側面として切り落とせば
縦の円と横の円が現れるこれが立体だ。さてではこれに時間軸が直角として交われば、
一体どこをどう切り取るのかどっちが直角なのか。と言う事だが それがあの常世の主
の怪人と戦う手段があると思っている。」「そうか それが真実の木の木の葉。」「あ
そうか 成長の証こそ時間軸の姿。」「そうだ 過去と未来はその違いからしか見えぬ
。恐らくあの三ッ目の他の四ッ目や五番目の目が 明日と昨日を見て判断しているのだ
ろう。」「明日の明日も又明日というわけか」「そうだ そして過去の過去も過去。」
「なるほど我々が二つの目の錯覚で奥を見ているようにその先が見えるのか。」



728: 名無しさんAA:12/04/29 21:56
黄泉の国物語 83

「聞くところでは 我々が大きさで遠近を見るように 色で過去や未来を見ているらし
いが 本当のところは解らない。」「兎も角 あの時の風を何とかしなければ我々が時
の渦に巻き込まれて離れ離れとなるやも知れぬ。」「ウーぬ 色も香りも味も温度さえ
無い風・・・どうすんだべや。」「時空を超えることは我々でも あの幽霊達でも簡単
な事ではある。が時空軸からもう一つの時間軸をも自由に往来する事はなかなか出来ぬ
。」「そうだなぁ。」「前にも言ったが 此の霊界は意識界で言わば幻魔の海なのだ。
例えばトランプカードでも同じだが 表と裏には情報があり世界がある。つまりハート
の3ならハートの3とある。それは写真もポスターも又同じで横を見れば厚さのない世
界だ。幽霊は身体をおこしては人に見え悪さし 真横に向いては消えて混乱させる。だ
がこいつらが裏と表を行き来しても他の時間の世界にはいけぬ。つまりハートの3なら
ハートの世界のみの存在でしかない。そこには 現世界の裏と言うだけの話だ。」「え
現世界も幻。ってこと」「ああ 幻と言えば幻だ唯物界としての物質界に見えるが鏡に
映った世界の中と同じと考えて良い。」「その鏡と鏡を変えても駆け抜ける力がある。
」「そうだ 常世の主はそうした霊界暗黒界と現世界のみならず 唯物界幻魔界すべか
らず移動出来る。」「でその 常世の主は一族なのか一人なのか。攻撃的で我々をどう
見ているやつなのか。」「いや優しい奴で 多分一族はいないだろう。複数で見た噂は
無い。更に今回の神々の反乱にも 何ら現れて示唆したり威厳をちらつかせた話もない
。」「昔 青龍王が神々から追われた時には 雷の鬼となったとは伝え聞くがそれでも
現場に居合わせた話では無い。



729: 名無しさんAA:12/04/29 21:57
黄泉の国物語 84

 「そろそろ時の風も鎮まったのではないか 誰ぞ見に行ってはくれぬかのう。」「お
うわしが行こう。」と白鬼が言ったが。「いや白鬼はここに爺さんを見ていてくれ。わ
しと黒鬼が見に行こう。そのほうが他からは見にくい。神々の残党がいたらややこしい
のでな。」「おう 赤鬼と二人でなら気もあった中。心配せずここに居てくれ。直ぐに
戻って報告するでな。なあ」「おう。」と赤鬼黒鬼が立って崖を降りる支度をした。」
「ああでは用心していってくれ。白馬が必要なら連れてイクが良い。」「そうだなじゃ
あピプロに二人を乗せていけるか。」と一匹の白馬を連れ出し 立ちがり二人の前に出
た馬にまたがった。「こりゃいいや 楽にこの崖が降りれる。」「おいおい あまりは
しゃぐな、それに白馬と共では お前たちの行く意味がないではないか。やっぱりわし
が行こう。」「わかった。わかった。わしは降りよう 赤鬼 お前は乗ったままでよい
。さあ行こう。」と暗闇に消えていった。「ところで 白翁よ 先の常世の主というの
か とこよかしつむと言うのか五ッ目野郎というのは 例の異歳神との関係はあるのか
。」「それは全く判らぬ。仮に異歳神が知り合いいや彼自身だとしても 全くおかしく
は無いが 異歳神では無いだろう。」「それは何故。」「いや同じに時空を横切れる者
がいたとしても不思議ではない。更に彼らが一族なのか一人なのかとんとわからぬ。」
他にも時空を操れる者がいるって。そりゃ大変だ。」「横切る才能を持つ者が異歳神だ
という事か。」「そうとも そうでないとも 言えるが そもそも神々の反乱を考えれ
ば それを”とこよかしつむ”が好んでいるとは思えぬ。が。それでもそれらを操る力
があってのこと。この事は大事な事だ。そしてとこよかしつむが その反乱を止めてい
ないのは 彼らの後ろにいる掴む為という可能性もある。」


730: 名無しさんAA:12/04/29 21:58
泉の国物語 85

 「がおかしいじゃないか。この真実の木の実を投げ入れた為に時間と共にこの世が現
れたというが 時空を超える旅人ならこうなる事は 常世の主なら見通ししていたとし
て 渡した時に既にその危険を知って渡したという事にならないか、爺さん。」「そう
だと思う。こんな私らが入れる洞窟を創るほど育ち 同時に現世界・黄泉界・暗黒界・
神々の世界と数多くの世界を創ったのこの木じゃが、それ故に知っていて当然じゃろう
しかし 一体なぜにと言えば全く その答えは見つからない。この大きくなる事は予想
の範疇だろうがな。」「ええ途方もなく随分と広い世界をね。けどねぇそれでもそれは
幻想と幻魔の世界と言うのでしょ。神々まで含めて。」「ああそうだ。生きとし生ける
物は皆それが現実の世界と勘違いしておる。所詮 本人の思惑の中の世界 見れるもの
感じるもの聞こえるものすべてが 本人の今があるからであって昨日も明日も同じでは
無い世界にしか 我々は生きてはいない。このわしとて千年生きようが時間は止まって
くれてはいない。神々とて同じじゃ只人間達に比べて遥かに長い年月を生きるのみの事
。が 常世の主だけは違う どこにいて誰と会おうとどんな形でも好きな物に好きな姿
に変わることが出来る。従って本当は此の真実の木でさえ常世の主の仮の姿ではないか
と思うほどだ。とおやじは言っておった。」「で あなたが千年生きたとして 黒王や
白王も同じなの。」「ああ。さっきのトランプの話で言えば お主らは裏からは見えぬ
だろうが 神々やわしらは裏が見えるだけで次のカードには移る事は出来ぬ。ただ人間
には正面しか見えぬだろうがのう。更に異歳神を願うのが虫達となればそのカードの字
や文様さえ見えぬはずじゃて。」



731: 名無しさんAA:12/04/29 21:59
泉の国物語 86

 「そうか 我々神の領域であっても球までという事か。」「そうか 虫達には棒に見
えても 人間には円に見える。人間に円に見えても神に球に見える。その球があの常世
の主常世かしつむって野郎にはちゃんと転がる玉に見えるってわけか・ややこしいな。
」「でその玉に見えた現実ってのはどうできるっていうのかい。」「あああの時の風を
起こす事は当然ながら 現世界と冥界や暗黒界を行き来出来た神も過去に未来に顔をだ
すだけでその世界を動かす事は出来ない。だが常世の主はそうじゃない。パラレル世界
を横断どころかパラレルの中を前後すら動きその世界を変える事が出来る。だからこそ
この時の孔から時の風が吹く。つまり瞑想や夢想界の中でその事を知るだけではない。
其の中身すら変えられる事が可能だという事だ。」「それが此の真実の木を渡した本質
って事か。」「ええっ つまりは私達がこの経験して此処に来ることが解っていた。そ
れも神々が追いかけてきて あの清龍の子供が私らに邪をやることまで。」「ああそう
かもしれんないし そうでないかもしれない。」「何それ。」「いやわしですら判らん
のじゃよ。神の上を行く能力である為神々に敵対される運命ではあるものの、何故にこ
んな人と神の間を行き来するのか いや何よりもわしらが神の国の門番の頃に何故にこ
の真実の木の実を此処に投げて植樹したのかさえ解らないのじゃ。いやだからこそわし
らは会うしかない。ブッダやジャイナを見つける為にも彼に会うしかないのだ。」「え
え こんな一桁も二桁も違う奴と会うのか。先っき見たろう 時の風の凄さをあの神々
が8000はいたぞ。瞬時に過去に放り去ったんだ。只者では無いぞ。」「う・・む」
「で大丈夫なのか。その常世のなんとかは。」




732: 名無しさんAA:12/05/27 23:11
黄泉の国物語 87

 しばし沈黙の時が流れた。「うむ。少し遅い 黒鬼と赤鬼の所に行こう。急いであの
岩の隙間に戻ろう。」とさっさと立ち 白馬乗って崖を登ってきた道を降りた。その岩
壁に辿り付き白鬼と馬に乗った娘が駆けつけた時は 既に黒鬼と赤鬼はその僅かに隙間
の見える岩の前に凝視し指を指して 近くの大岩を抱えては投げつけようとしていた。
そこからは 他と同じように結露した水が流れ出し床を濡らしていたが ひとつだけ違
っていたのは わずかばかりの砂か土が流れ出ていた事だ。他は鍾乳石のような白色だ
った垂れが黒い垂れであることからも それは直ぐにわかった。そしてそこには僅かな
岩の裂け目から流れる空気があり風があった。水が僅かばかりの湯気をたてそれが揺ら
いでいたからだ。「離れろ赤鬼よすんだ黒鬼。」「やめろ・・・。」と老人は杖をかざ
して光の矢を放ったが 黒鬼も赤鬼も身動き一つしないでいたし その投げつけようと
した岩に当たっても跳ね返り 何と壊そうとした岩の壁に当たり 次々と崩れ去った。
奥には広い広い洞窟ならではの大広間があった。滝が奥の方に落ちているのか絶え間な
い小さな音が心地良かった。だが黒鬼も赤鬼も身動き一つ無い中腰まで岩に埋もれた。
 だがそれよりもその奥の広間の中に髪を伸ばしたぼろ切れを着た頭のてっぺんは禿げ
た薄気味の悪い大男が後ろ姿で立っていた。後ろにはいまにも息絶えだえの龍が一人の
白髪のババアの膝にいた。後ろ姿の男が振り向き顔を上げた時 皆がぎょっとして立ち
すくんだ。その姿は白馬に乗っていた娘は失神して落ちそうになるのを白鬼はすぐさま
気付きよろけて落ちる身体を支えた程だった。なんとその顔は身の毛もよだつ三つ目の
妖怪の姿であった。額の目はより大きくあって 側にある流れた髪はごまめの白髪まじ
りで顔の皺が老人であることを印象ずけたが その男と同じ姿の座ったオババと龍が今
にも死に絶えそうな中声をかけた。「随分と遅かったな。白髪王。」とニヤリと笑った
その三ッ目は更に不気味だった。



733: 名無しさんAA:12/05/28 22:23 ID:cUY
黄泉の国物語 88

 「遅かった・・だとは。」「ああ 久し振りだが 清龍が今や息を引き取ろうとして
いる。」「それが・・」「いや君を乗せて一緒に是臼界に行こうかと待っていたのだが
。「ぜうすかい・・」「そうだこの冥界よりは現世界に近くいわば幻想界とでも言える
パラレルの神芯界だ。」「・・・」「だが青龍がこうして病の縁では行けなくなってし
まったな。」「此の男が常世の国。」「おや。鬼道界の孫たちはワシ達を少しは知って
いるようだな。」「何を・・」「やめろ。」と大きく制した。「そうだワシ達は平和の
使者だ。少しでも攻撃しようとするならあの入口の鬼の様に動けなくなるか この青龍
の子供の様にたちまちに我らの動いた後の時の風穴に飲み込まれるのが定めだ。」「ん
そこのオババはお主の連れ合いか。」「ああ此のオババが此の世のパラレル世界の異常
を見つけてな。」「その〜。話の腰を折るようで悪いのだが そのパラレルの世界を旅
した事がわしらは無いのでな。それにワシが仏たちに攻撃されたり 釈迦王子やジャイ
ナ王子がわしらと連絡つかない事も又その異常と関係があるのか。」「釈迦王子やジャ
イナ王子とは誰だか知らないが 今や此の木が瀕死の重傷である事は此の青龍がわしに
教えてくれた。」「此の青龍もパラレルの旅行が出来るのか。」「ふふふふ。成程何に
もわかってないようだな。」「ああ。実は何にもわかってない。」「よろしい。じゃあ
その素直さに鑑み教えてやろう。パラレルとは 時のない蜂の巣みたいな物と思えばよ
い。」「蜂の巣か。」「そうだその蜂の巣に一匹一匹の幼虫がいるように一つ一つに宇
宙がある。そしてその中に一つ一つの時間がある。」「ほう。」「そしてその蜂の巣か
ら外へ出れば未来と言う時間の無い場所がありその芯に迎えば限りない過去がある。」
「未来と過去がラッパの様にあるとでも言いたそうだな。」「そうだお前たちには無限
大と無限有の殆ど無いに等しい塊だ。」「あの時守っていた箱の事か。」「あああの箱
は仮の姿無限の外からはどこから見ても箱だが箱の中は時間の素が詰まった時間のない
世界だ。」「・・・」「空気が高圧タンクで水になるような。」「ああそれは温度でな
。それが時間で圧縮された物と言えば良いだろう。」「真実の木はその蜂の巣の殻とい
う訳か。」「ああ 蜂が自分の唾液で巣を作るように 我々は此の木を植林して世界を
作るのが仕事だ。」「仕事だって・・世界を作るのが。」「ああ おかしいか。」「・
・・・・」



734: 名無しさんAA:12/05/29 01:55
黄泉の国物語 89

 「まあ 判りにくかったらあの蜜柑の木と思えばええが。蜜柑の袋一つ一つが果汁が
あるが それが時間であり宇宙だと思えばそれで良いがに。」とそばのこれまた薄気味
悪いおばばが言い寄った。「蜜柑ねえ〜。」と白鬼は言う。「ふん鬼の邪族には無理で
も仕方ないがの。ま いいさの。」「で。おばばが言うにはのう。その中の人間界の持
つ世界とつながっているこの冥界の神仙界や暗黒界に交差したもう一つの幻想界が生ま
れかなりの速度で大きくなりパラレルの壁を新たに作り世界を作りあげようとしている
と言うのだ。」「それが是薄界。」「ああ勝手ながらそうした小さな病気の世界をそう
呼んでいる。」「それが・・」「ひょっとしてそれは黄金の蜂の仕業。」「おおうそう
じゃ。そうじゃ。前の無の素の世界では黄金の玉虫を退治したばかりだ。」「無の素。
」「ああ此の宇宙をも含む時間の束は蜂の巣状に過去から未来に向かって幾つもの世界
を壁を持ってパラレル世界を築いているがその長さは無限では無い。だからこそ時間の
束が丸くなっているんだ。その時間の束の球が漂っている場所を無の素と呼んでいる。
まあ亜空間とでも思えば好い。」「・・・」「神も仏も思考であればその亜空間の無の
素まで飛び出せば他のパラレル世界を覗けるが 思考では次のその時間の束には寄り付
けない。先の釈迦王子やジャイナ王子とやらも 此の我らがいるパラレル界からは離れ
る事は不可能だろう。がもし虫がついて此のパラレル界を病める世界に変えていたら、
恐らくどこを探しても 彼らの痕跡があっても彼ら自身帰る術を無くしている事であろ
う。この真実の木の穴のどこかの穴で迷路に迷っていると考えるのが妥当だが。お主ら
では 見つけるは不可能。全く此の三千世界の無限に近い時間の長さの中では 例え神
を名乗る者とて不可能だわい ケケケケ。」「どうすれば・・・」「まあわしらならそ
れは可能だがのう。」「オババその話は止めよ あまり往復すれば此のパラレルが痛む
よってな。」「痛む・・。」「ああ。探すのは構わないがワシらが足跡は此のパラレル
を傷つけるし 又病む事になれば壊れる事もあるからのう。」「まあわしらから言えば
蜜柑の木の一つの蜜柑が腐る様な事じゃが 神や人間或いは此の中の全ては蜜柑の果汁
と同じく亡きものとなる運命を持つ危険な事だがやでのう。」


735: 名無しさんAA:12/06/03 09:05 ID:q.w
黄泉の国物語 90

 「・・・。」「おお清龍が声を上げている。」「ああそうだな。その王子達を清龍は
知っていると言っている。」「ふむ。王子達がもしこの虫の悪戯と絡んだ人生を歩いて
いたら 此の青龍の哀願もあるが 見つける事は早いだろうが。まあ 期待に沿えばよ
いがのう。」「しかし その蚊のような蜂のような黄金虫が 卵を産む前に何とかしな
ければのう。」「で・どこいらに飛んでおったのじゃ。その おうごんのはちとやらは
。まさか世界大戦の頃では。」「はあ それがイエスの頃から大戦の頃まで見たのだが
今や何処にいるのか。」「ああ やはりそうか 過去に遡って飛んでいきよったか。」
「フン なかなかやりよるワイ。」「そのおうごんちゅうは一体何者ですか。」「まあ
わしらがうっかりして連れてきた わしらの世界の害虫とでもいえようか。」「害虫。
 ・・・異歳神・・。」「ああ神仙界ではそんな呼び方もしていたのう。」「いさいし
ん・異歳神はうぬらが・・・」「待て。待て。待たれよ。白鬼。」「常世の主殿。一つ
お願いがある。」「釈迦王子の事かジャイナの事か。」「いや まずは入口のあの赤鬼
と黒鬼に時間を戻して生身に戻して貰えないか。」「うぬ・・らしいのう。」「ははは
やはり暗黒神の手下でも 可愛いか。」「何とそこまで。」「ああおぬし等の企ては、
此のオババには隠せぬ。我らは一人では時を動かすぐらいだが 二人では全てがお見通
しじゃて。お主が密かに ジャイナよりは釈迦王子を掬い上げてやり 神仙界の狂気を
止めたい事も。」「それに暗黒神を闇夜の帝王にはしたくない。と思っている事も。」
「・・・・」「なあに 娘子よ そう青くならんでもよい。その白髪王は昔髪鬼童子で
名を売った不良の神だが 至って真面目な友情の持ち主でな。この世界に時間が起きた
事を瞬時に悟り白黒二元界になる事を止めようとした暗黒神を黒王の世界から連れ出そ
うとしたんだ。なあ。白髪王。」「ああ 思慮が足らんかった。あの実が時を起こした
時でも果敢に受け取って投げ返そうとする暗黒神の腕を取らねば良かったのだが。」



736: 名無しさんAA:12/06/03 09:26
黄泉の国物語 91

「んあ・・」「なあにお前はシンメトリックに沿っただけじゃろうて・・」「二律対称
系。」「そうじゃ お前さんにしっかり白王黒王の意識が乗り移っていただけじゃ。」
「そうや。光あって影がある。白い世界があって黒がある。そう思って一緒の世界に住
んで行けると勘違いした意識がそこに在ったんだろうて。」「おう、そういう事だな。
オババの言う通り 人も神も虫すらも 自分と似た他人を自分と同じに考え自分と同じ
意識と思い込んで生きておる。その錯覚故に生きてその錯覚故に死んでいくのじゃ。」
「ふーむ視点が違う意思や意識が違う事は認めるがのう。」「じゃが、此の右目と左目
の様に我らが世界を同じ意識で動かしたい。などと言う気かい とんだ狂気持ちだで」
「・・・」「どうだ 図星か。お前さんが知る世界と暗黒神が知る世界は同じと思って
いようが 実は微妙に違っていてな。お前さんに見えないもの聞こえないもの感じない
ものも暗黒神は感じているんだよ。又逆にお前さんに見えていてき声ていて感じている
ものが 全く感じないのじゃ。それが個々というものよ。」「そうよ。オババが言う通
り。お前さんの思っているように 右目も左目も違っている。右耳も左耳も違って音が
聞こえるはずじゃがと思って居るだろうが それは神経が繋がっているからだが それ
以上に右目が右に左目が左についているからだ。」「・・・・」「オババが言っている
事がわかるか。今お前さんは 暗黒神よりはジャイナと釈迦が気がかりで居る。それは
間違いだといっているのだ。」「・・・」「じゃが、こうして危険を冒してまで 私に
会いに来てくれた事は 正しい事だがな。」「ほうオババでも褒める事があるかぇ。」
「なあに 今度の病魔 お前たちの言う異歳神じゃが その暗黒神が必至に守っていて
やっと今の状態を維持している。あの鬼達を遣わしたのは お前に後を頼んだ証左じゃ
ないか。」「・・神経かわりか。」「そうだ、だが右目のお前が今や冥界の右にいなく
左目の暗黒神のみが必至に戦っている。」「するとジャイナや釈迦を助けるのは諦めよ
。とでも。」



737: 名無しさんAA:12/06/04 18:56 ID:zP.
黄泉の国物語 92


「オババ もういいだろう。黒鬼と赤鬼を戻してやったら。」「いんや〜こ奴はまだ解
っとらん。」「解ってない・・。つまりわしが暗黒神と交信していなかった事実がか。
」「そうだ 今この冥界の世に 異歳神どもいわゆる真実の木の害虫がはびこっている
のは お主の責任だて。」「わしの責任・・・。」「そうだ。お主は、このパラレルの
中の冥界で光がない事に落胆し 冥界王の子孫として偶然にも与えられた 白王の身分
に甘んじて 自らを磨く事もせず 早々と隠遁生活にはいり。ただただ冥界の神々の世
界に生えた真実の木が実を結ぶ事のみ期待しながら生きてきた。違うか。」「・・・」
「それゆえに 神々の視察も真実の木の手入れも いやイエスやメドゥサが人々を挑発
し先導し 信心を募る時も 甘んじて見ていたのみだ。此の青龍がこやつ等一角獣を追
い 不動明王と離れて活動しても 何ら指を喰わえて見ていたのみじゃ。それ故に神々
に教育や進化を教えず昔のままの祈りに 何ら期待が無いと悟ったジャイナと釈迦は旅
に出て 自らが神の意思と神の仕業の真意を会得し 存在の不思議を説いて回ったのだ
。じゃが それはかつての神と悪魔の反乱を起こし共同で王子達に迷路を投げかけたの
だ。人に与える試練の様に。だが彼は簡単にその迷路をくぐりぬけた。真実の愛と言う
答えでな じゃがこの時善と悪とが手を結び進歩や進化を扇動し今又科学や技術を人に
差し向けては 人間のいる現世界に唯物主義消費社会をばらまいて欲望を育てておる。
こうして人は 本来の未来社会を全く見失う事で 異歳神は大きく育ったのだ。お解り
かな 暗黒神が黒王の称号を貰えない訳が。お前さんが光の欲望や希望を持って冥界を
引きずり回し 暗黒神の説く 自己の成立と自身の確かさを見つめる事を認め無い限り
お前さんの言う 光に満ちた未来も希望と言う淡い気持ちもゆとりも絵に書いた餅。す
なわち 人間界に便利な物がどんなにはびこっても お前さんがメドゥサの小娘を従え
自然界を司る緑鬼を共にして旅する中では 真実の木を管理するものは居なく実はまず
結ぶことはない。それどころか 害虫がはびこるこの様じゃて。」




738: 名無しさんAA:12/06/04 19:57
黄泉の国物語 93

「そうか。愚鈍にも 私は白王の称号を貰いながらも光を望み 私以上に光を望む暗黒
神の気持ちが判らなかった。と言う訳か。私は本来暗黒を望み闇夜の豊かさを説くべき
立場であったのか。」「そうじゃ。更にこいつらよりは あの石になった二人を共にし
もっと暗い 真実の木の傍にある 暗黒の淵にいては 神々がその水を飲む事を止める
立場にあったのだ。」「そうか まるで母親の様に 悪に善に真実の木を育てねばなら
ない此の緑鬼と青娘を ワシが連れ回してはいけなかったのか。全く持って解らずにい
た。」「そうか 解ってくれたか。」「オババ。」「なあに 心配せずとも 赤鬼黒鬼
は元に戻すわな。じゃが 解ったくれたとて 此のパラレル世界の異常は 人間界の中
に潜む欲望の果てに出来た膿のような物じゃて一度怪我した現世界が 果たして治せる
かのう。この青龍とて今や死に絶えようとしている。息子達もさっき追い払った様に、
俗悪に染まって育ったようじゃて。」「親の心子知らず。と聖獣の世界も同じと言う事
か。フン。なあに 仏心の素は 吹きやられた神々とて持ってはおろう。どんなに人々
が悪態を尽くしたとて 緑がのうては水や空気も無い話じゃ 水も空気も無い世界じゃ
幾ら科学の粋をこしらえても生きていけないはずじゃて。火の神不動明王に仕えた青龍
が幾人かにはそれを教えていたはずじゃて。」「水と火の神としてか。」「いいや虚無
界の住人としてじゃ。」「虚無界の住人・・・」「そうじゃ。龍神界でも人間界でもそ
の意識界の中で自己確立と真実を追い求めた姿は 常に真実の木が知っている。彼らは
死んでも尚その姿と心を残し此の神々の世界へ誘い こうしてパラレルの壁を貫通して
は時の風すら起こす事が可能になる。即ち虚無界の住民としてこうして我らと共に居る
。」


739: 名無しさんAA:12/06/05 00:55
黄泉の国物語 94

「そう。じゃあ私達は此の白髪王のお供よりは この死に絶えそうな真実の木の世話で
もしてる方が似合ってるって言いたい訳だ。この三ッ目のお化けは。」と強く言った。
「オイオイ。」と緑鬼は直ぐに娘の前に出て。蹴りそうな足を止めた。「さすが黄娘だ
ぎゃ。ほほほ。娘。」と近寄った時既に 緑鬼と共に足は既に石となり下半身の動きは
取れなくなっていた。「よくお聞き小娘よ。先に言った様に 闇は白昼を望み悪は善を
善は悪を知り尽くす事が大事なのだ。神でも人でも動物でも物であっても 分をわきま
えない動きは身を滅ぼすのは当然の結末なのだ。」「・・・」「ちくしょうもどしやが
れ。くそばば。」「まあまあ落ち着け。」「此のパラレルを旅する者はわしらや釈迦や
ジャイナだけではない。ここが大事な所じゃ。お前さん達が異歳神と呼んでおるだろう
此の害虫も此の害虫が喰ろうている栄養もゴミも わしらも所謂パラレル外即ち時の流
れ外に居る物すべてが此の異歳神と言う言葉の中にいようが その中でもこの虫達を害
虫と見るか益虫と見るかと考えていようが しかしなあ 存在の神秘から言えばのう 
そのどちらでもないのが普通の自然界じゃてな。」「ふん・・・」「まだ解らぬようだ
のう。」「まてまて オババが言うのは大事な事だ。この自然界を知った風にしてな。
思い上がった事をしてはいかんと言う事じゃて。今わしが言ったパラレル界を見通せる
わしらとて こうして我らにとっては害になる虫達おも我らさえあまり知らぬままに、
お前らごときが軽い気持ちで相対しようなどとは 大胆じゃのう。と言っておるのじゃ
。」「へっ・・・」「先の青鬼、赤鬼 同様お前らも不用意な行動が なにに祟るもの
か知らぬまま生きておる。そして我らとて同じ様じゃてのう。」「迷信だろうが伝承だ
ろうが石橋を叩いて渡れ・・っていうことか。」「そうじゃ 闇雲に慎重になれとは言
わんがのう。少なくとも今の現世界に毒された俗物ならば 殆ど一歩も歩けぬ程の世界
が、お前の今から探す 釈迦王子ジャイナ王子の歩いている場所じゃ。という事よ。」
 


740: 名無しさんAA:12/06/05 02:42
黄泉の国物語 95

 「つまりは 冥界の中の神として治めたワシでも ジャイナやシャカを追うのはやめ
よ。と言う事か。「いぃんや。やめよ。とまでは言わぬ。お主が人間界の何十倍何百倍
の寿命をもってしても 会えるのは 極めて稀なことじゃろう。と心配しているだけだ
。最も もっと・・・。」「そうか。そうだったか。もっと早く目覚めて 常世の主に
会いに来るのを目指せば その青龍と共に生きるを望めば こんなに異常な事は無かっ
たのか。」「ああ お前さんがしっかりと 今までいた暗黒界で冥界で光を望み暗黒神
を敵対せず 色々と情報を共有していたならば 暗黒神も黒王の称号の禅譲を受け 又
あの秘法を受け取った ジャイナやシャカも迷わず此の真実の木の下にいたであろう。
神々を守してな。」「神々を守する。」「そうだ。人間は”守”というものを忘れてな
子守りや親守 家守としての資格すら失っておる。神とて此の人々の乱れは来ておる。
いや 神々だからこそその影響は大きい。神が人を指導するものと思っておるようだが
実は神々こそが指導されるものじゃて。」「えっ。」「此のパラレル界作る冥界は全て
に於いて 意識界と同じじゃて 此の蜂の巣の様に時間の無い起点から永遠に続く時間
の帯びが壁となりラッパの様になって蜂の巣状に繋がり球を持って 世をなしている事
は先に言った通りじゃが。」「それはさっき聞いた。」「ならば問う小娘よ。此の中に
神々の集う世界や我らがいた冥界は何処にあるのじゃ。」「それは蜂の巣の幼虫の様な
宇宙の中に・・・。」「いんゃ それは違う。」「・・・そうか・・・時の無い所・・
・無量光寿の世界八重箱の淵か。」「そうだ其の通りじゃ。」「ワシらが投げ入れたと
て真実の木は真実の野にそびえ立つのみ。そうだろう。」「そうか 成程ワシらが守っ
ていた八重箱は そのまま膨れ上がって形を変えただけで蜂の巣状に変わっただけとい
う事か。」「さすがだのう。白髪王。ワシらが時の旅人とは言われても住処が必要なの
と同じじゃ。」「鳥が飛んでいても陸地が必要な様に・・という事なの。」「そうだ。
我らもまた この八重箱と言う時間を止めた玉手箱の変わった姿の中 時の仕切りの終
わり永遠の淵の住民に過ぎない。」「そうか 神々はその仕切りである時の仕切りの壁
に居る住民 そして光の具現界即ち現世界こそはその蜂の巣の幼虫のいる所って訳か。
そうしてその幼虫こそがその壁を知る者。」「そうだ我らが上から眺め壁を突然に見え
隠れするから壁を抜けてるようだが その壁こそは神々の世界。」



741: 名無しさんAA:12/06/12 01:48
黄泉の国物語 96

 「亜空間の暗黒界住民・・・てか。」「あはは ははまあそういう事だ。ダークマタ
ーにいるダニだ。」「そうか そういう事だったのかこれはわしの落ち度だった。闇夜
の世界に光を望んだ私は 世界を混乱の淵に追い込んだのか。それにしても神々の世界
が現世界の壁として立っていたとは思っていなかった。常世の主からは全てお見通しと
言うわけか。それにしても自らをダニだとはなんとも。」「いんや。我が種族はダニで
いいのじゃ。人からも神々からも見られない方が良い。」「吸血ダニだったりして。」
「こら。馬鹿もの。」「微生物を知らないらしいのう。ダニとはいっても5万種もの者
がおる中で ほとんどがカビを食って生きておる。中には血や皮膚を喰らい生きている
者もいるがのう。ダニがもとで死んだ奴などいない。ダニで死ぬとするなら それだけ
環境が過酷な住生活だっただけの話じゃ。ゴミやホコリと同じ必要であっても見なくて
済む考えなくて済むのが良い社会じゃてのう。」「ダニが必要だって〜。」「そうじゃ
此の冥界の世界であっても 現世界であっても病気や物なのか生きてるのか判らない半
端なものがいる。それは原始の宇宙の始まり 時の始まりからだが その半端なものが
進化もしなく より半端なものと確定する生き方をする。それこそが収束の世界でのう
。ダニはのうその自らの殻が食糧であり その糞がチーズや糖や脂分の精製物なのだ。
わかるか。お前の唾液や汗一つとっても 沢山のお前の為に働いている菌が住み着いて
おる。それを喰ろうてな それはまるで牛が草を食み牛乳を出すようにな。」「つまり
見えなくとも守っているから充分だ。そしてそれはは好きでやっている。とでも言いた
げな。」「そうゆうことじゃ。」「無償の愛って事か。」「あっはっは。だが無償では
無い。我らは一族とて こんなパラレルの病の中では 危険すぎて生きていけないのじ
ゃよ。お解りかな。」「・・・・」



742: 名無しさんAA:12/06/12 02:02
黄泉の国物語 97

 「あっ・・・」「なっ なんだ。」白鬼が突然 叫び その三人の中に飛び出した。
それに驚いた白髪王は問うたが そうした事は何も返事せず 常世の主にひざまずく。
「もしや 貴方様はラーの化身と呼ばれる事がしばしあるお方ではあらせられますか。
・・もしや・あの黒鬼や赤鬼の拾い親ではありませぬか。」「ははっは。今に気づきお
ったか。そうじゃ鬼族の救世主 お前たちの神がわしじゃ。」「っはは〜宝冠と甲冑を
お召しになられてないので気づきませんでした。」「そうか そうか・三つ目だからと
思いすっかり・どこかで見たようなと思ってはいたがあああの時の地獄の釜の番人か・
・なるほど・・」「やっとわかったかのう。」「ああ。俺があの玉手箱の番人でブッダ
王子とジャイナ王子を探しているのか。そして君が何を言わんとしてるか。わしがアス
ロンとして8千年前にここに生まれて来た理由も。君がマギーを作り なぜマギー一族
に秘法をさずけたのか。」「そうよ。お前の知るように 鬼も又悲しみや優しさを知る
生き物だ。冥界では 焚き火の枝として昇華する材料に使われているのだが 悪業の果
ての哀れな姿だとしても その環境こそが最も大事な事だとな。」「悪も又存在の神秘
を持っている。と」「そうよ イエスやマホメットが 秘法を盗んで幾らこの鬼たちを
食しておるのは構わないことじゃが それでもお前さんは ジャイナの本当の叫びを聞
き 八方神のゾロアスターの戦いに馳せ参じる勇気を 持つに至らなかったのじゃ。」
「ああ 時が無いことにかこつけて動かなかった事か・・・」「そうじゃ・わしらはこ
この創造主じゃない。お前こそが創造主の生まれ変わり。じゃがのう わしらは過去も
又未来にもいる自在人自由のボヘミアン。それゆえに全てを知り 束縛のない人生だか
らして何でも言える。だからおめえさんを呼んだのだ。新世界をもう一度築く為にのう
。」「自らをダニと言う神と自らをカビと言う神の再開か。」「ん・・何か言ったか。
」「いえ 別に ところで 黒鬼と赤鬼達を そろそろ戻しては貰えないでしょうか。
」「そうやな メディゥサ姫の言う事も聞かねばのう。」




743: 名無しさんAA:12/06/16 10:43
 未来健忘症 01


 2050年夏一台のジープが土煙を上げて走っていた。「やれやれやっと福島か。」
運転していている男がつぶやいた。空は真っ青に晴れ渡り 遠くに見える周りの木々は
黄色っぽく 所々禿山が見える。「まあ時間はたっぷりあるわ。気長に行きましょう。
と助手席の女は言った。「何が時間はあるだ、全く呑気だな。水と食糧は底がついてい
るんだ。」「いいじゃない別にそこいらの小川の水でも飲めば。」「まあいいや喧嘩し
てもしょうがない。兎も角みんなの町をつくらねば。」と黒いサングラスの目は真面目
に前を向き直した。「日本もこうなってしまっちゃお終いだな。」「あら日本だけじゃ
ないわ。世界中が大変なのよ。日本は木々がある分 まだまだ幸せだわ。自衛隊のお陰
」と振り向いては 後ろのカバンを明けて ペットボトルの水を手繰り寄せ開けた。
2012年から立て続けに起きる地球異変は人類に警告を鳴らしてはいたが 人々の今
までの贅沢などは捨てられるはずもなかった。日本で起きた数々の大地震は 原発事故
との併発で大きく住む所をなくしていた。世界規模の不況の上恐慌が襲い人々にはパニ
ックが世界各地で起きていた。温暖化や寒冷化などと言ってる間はまだ良かった。今や
細々とその後も暮らしてはいたものの 奇形児の子供が増え若者が結婚しなくなりその
中で自然淘汰なのか 世界中の人口は瞬く間に減り続けた。中国産の粗悪品のせいとも
言えず 又日本が放射能を撒き散らしたせいとも言わない。欧米発の金融不況が原因と
も 中東の政変からの内乱ともつかず 兎も角は世界中が頻繁に災害に見舞われ 数々
の都市国家はインフラである 水・食糧・電気などが道路の寸断と供給不足で生活が成
り立たなくなって20年が過ぎていた。ある学者が地球の極移動が始まったと発表した
が それは直ぐに取り消されたが 大きな自然の猛威の前では人間は生きる術を持たな
かった。




744: 名無しさんAA:12/06/16 16:38
 未来健忘症 02

「臨時ニュースを申し上げます。只今アイスランド沖での大爆発によりヨーロッパ各地
で地震被害が出ており 上空の視界不良でイギリス他国際・国内便の飛行機が混乱して
いる模様です。・・」「相変わらず地球は御盛んだな。」「あら地球は元気な方がよろ
しくない。」「何故だ 富士山まで噴火して 津波で中亰は全く絶滅し 今や日本人は
半減した上 その半分は生産性のない老人達だ。将来の夢を託す子供や赤ちゃんに至っ
ては各県数十人と言う有様だぞ。これが泣かないでいられるか。」「なあによぉ。ここ
二、三十年ずーっとの事じゃない。」「そうだな自殺者数、事故死亡者、災害死亡者数
共に下がることない 右肩上がりのままだからな。」「そうねだんだん仕事がロボット
になって来てるしね。生きてても仕事がないんじゃ お金もないって始末だし。仕方な
いわね。」「仕方ないって、あのな 人は金で生まれてもいないし金に育てられてもい
ない。」「あら でも欲しいものはお金がなくちゃ買えないわ。」「昔お金は糞尿みた
いなもので散蒔けば散蒔く程肥やしになる。って話があったが全く持って日銀が政府に
媚ってお金をばらまかなかったからな。」「そうよね。それより消費税を上げる方向に
何故か皆なが傾いても反対出来なかったからね。まあ世界各国が不況になってしまった
のは自業自得だっただけの事でしょうけど。」「大体欧州危機で 公務員給与を下げな
きゃ税収は上がらないって言う現実がわかってたのに 馬鹿議員は税収よりは税率の方
をいじくったお陰で 世界中が混沌とした闇夜のまま法人が生き残る策をとったのだ。
」「ホント馬鹿な話だよね〜。政府予算が国債なんて赤字予算を編成してるのが イン
フレさせないで税収を下げているのにね。」「そうさ 人間社会なんてそんなもんだ。
馬鹿議員の連中が自らの保身でそうしたんだ。官僚のデフレの実感が無い高い給料で 
生産性も解決力も査定力も無い意見を鵜呑みにして政策決定するのは ここんとこずー
と続いているしな。もう人類自体が難しいかもしれないな。」



745: 名無しさんAA:12/06/17 15:36
未来健忘症 03

 「ピピーピピー。」突然 音が鳴り響いた。「やばい ここらは放射能があるようだ
。」「なによ 美浜や敦賀からずいぶん離れているのに 放射能があるの。」「ああ少
しだが反応があるようだ。やはり日本から非難した人達は正解だったかな。」「そうね
でも 韓国や中国の放射能かも。」「それは否定できないが とりあえず引き返しては
ルートを考えよう。」「危険許容値6時間 危険許容値6時間」車からアナウンスが流
れる。「もううるさいわね。」「仕方ない。引き返そう 他に分かれ道がないかルート
を探してくれ。計画通りには行かないってか。」とブレーキをかけバックしUターンを
した。「うーんこの道を行ったところに コンビニの廃屋があってそこを右に曲がれば
いいはずだわ。」「距離は」「2Kmぐらいかしら。」「よし解った。」と来た道を戻
った。その曲がり角にはなるほど店を閉めたようなコンビニがあったが 店を閉めては
いない。更に駐車場には自動販売機があり1組の夫婦がいた。軽トラックには小さなト
ラクターが乗っていて如何にも農民と言う姿だった。「ほう 珍しい事もあるっぺな。
」「そうじゃのう遠い所のそれ又京都ナンバーだっぺな。」と聞こえてきた。車を止め
て降りようとした所「ねえ コスモクリーンって放射能除去装置なんでしょ。ここで使
うことは出来ないの。」「ダメだ出来るはずはない。」と車を降りた。「おめーらは警
官か。」「いいえ新潟に行く途中なのですが、道を伺いたいと思いまして。」と言った
。「まあ 何だなここらは 立ち入り禁止区域だて。おめぇらは許可持って来たん。」
「許可は受けてはいますが。」「そうか わいらはないんや そのまま住んでるだけで
のう。」「へえ。不便ではないですか。」「ふべん。不便ばかりじゃが自給自足で何と
か食うていきょる。」「非難しないんですか。」「何処に逃げる。アメリカ・マレーシ
ア・・どっこも安心できよるとこは無い。世界中で常に6ッの火山が火を噴いていて、
何処に逃げるん。」「でも冬は雪がつもり春は突風が吹き夏は二ヶ月間も雨が降り続く
かと思えば大型の台風多発して 此処にには住めないでしょう。放射能の多くて。」「
いんや。わしらはもう年老いた駄馬だ この先生きても10年か20年どうでもいいさ




746: 名無しさんAA:13/01/13 18:00
黄泉の国物語 97

 「あっ・・・」「なっ なんだ。」白鬼が突然 叫び その三人の中に飛び出した。
それに驚いた白髪王は問うたが そうした事は何も返事せず 常世の主にひざまずく。
「もしや 貴方様はラーの化身と呼ばれる事がしばしあるお方ではあらせられますか。
・・もしや・あの黒鬼や赤鬼の拾い親ではありませぬか。」「ははっは。今に気づきお
ったか。そうじゃ鬼族の救世主 お前たちの神がわしじゃ。」「っはは〜宝冠と甲冑を
お召しになられてないので気づきませんでした。」「そうか そうか・三つ目だからと
思いすっかり・どこかで見たようなと思ってはいたがあああの時の地獄の釜の番人か・
・なるほど・・」「やっとわかったかのう。」「ああ。俺があの玉手箱の番人でブッダ
王子とジャイナ王子を探しているのか。そして君が何を言わんとしてるか。わしがアス
ロンとして8千年前にここに生まれて来た理由も。君がマギーを作り なぜマギー一族
に秘法をさずけたのか。」「そうよ。お前の知るように 鬼も又悲しみや優しさを知る
生き物だ。冥界では 焚き火の枝として昇華する材料に使われているのだが 悪業の果
ての哀れな姿だとしても その環境こそが最も大事な事だとな。」「悪も又存在の神秘
を持っている。と」「そうよ イエスやマホメットが 秘法を盗んで幾らこの鬼たちを
食しておるのは構わないことじゃが それでもお前さんは ジャイナの本当の叫びを聞
き 八方神のゾロアスターの戦いに馳せ参じる勇気を 持つに至らなかったのじゃ。」
「ああ 時が無いことにかこつけて動かなかった事か・・・」「そうじゃ・わしらはこ
この創造主じゃない。お前こそが創造主の生まれ変わり。じゃがのう わしらは過去も
又未来にもいる自在人自由のボヘミアン。それゆえに全てを知り 束縛のない人生だか
らして何でも言える。だからおめえさんを呼んだのだ。新世界をもう一度築く為にのう
。」「自らをダニと言う神と自らをカビと言う神の再開か。」「ん・・何か言ったか。
」「いえ 別に ところで 黒鬼と赤鬼達を そろそろ戻しては貰えないでしょうか。
」「そうやな メディゥサ姫の言う事も聞かねばのう。」


747: 名無しさんAA:13/01/13 18:01
黄泉の国物語 98


 「なぜ そんな事を言うの。」「ははは 違ったか。違わぬだろう。お前こそがこの
世界の長 この白髪王の父とわしら神の長の意で産まれいでた者だろう。お前の中には
この石になった赤鬼や黒鬼を元の姿に戻す事は造作もない事のはずだが。」「・・・」
「まあいい。おばば 呪文を解き放そうかのう。」「ああ じゃが この鬼達はわしら
を覚えてはいないだろうよのう 白鬼。」「えっ ええそうですね もう千年も万年も
前の話ですからね。」「ほう じゃが 鬼族が人間族のように物忘れぽいとは思えんの
じゃが。まあよい。」としばし目を閉じ印を結んだ。そのごその印をした手を上にかざ
し 目をゆっくり開いた。口をあけ「喝。」と叫ぶや否や中央の目は緑に光を放つ。そ
の光が指に当たるや否や鋭い稲妻が走る。指からでた小さな稲妻は白く輝きそのまわり
を薄い青の光がうろこのようにまとわりつく。そしてまるで龍のように空中をさまよい
二人の脳天に向かった 当たるや否やそこには輝く光の中で元の姿に変わる2人がいた
。かけ出している途中だったのか 二人は走り出し 思わずその前にいた白鬼や白髪王
にぶつかりそうになり転げた。そして顔をみて「あれー 白鬼。」「あ皆んなも・・」
「え〜いったい。・・・」「あっ あれ赤鬼・・この人 鬼の神様に似てない。」「あ
ああああ・・鬼の・お・おばさん。・・げ・・元気でしたか。」「おや 元気でしたよ
よく 覚えていましたね。」「坊や達 よう思い出してくれた。胸が詰まるおもいだ。
では白王やそろそろ行こうか 青龍も今や息絶え絶えじゃ 時間がない急ごう。」「そ
うか 今から行く時のない世界この近格子世界パラレルワールドを直す為に わしらを
待っていたと言う事か。」「そうだ われらは今やこのパラレルの外の住民じゃ。能力
がどんなに高くても 神以上の力を持っていたとしても 所詮それだけだ。直す事はわ
しらには出来ん なんせここは意識界創造界なのだからな。」



748: 名無しさんAA:13/01/13 18:01
黄泉の国物語 99

 「それは一体どういう事。」「釈迦王子が言ったであろう。知恵の光明限りなし。と
な」「はあ」「今お前たちがこの白王と共にここに来たのは他ならぬ釈迦王子を捜しに
きたのであろう。」「そうじゃ わしらがこのパラレルの病気の膿を取り除く為にここ
に待っていた事と同様にな。」「更にジャイナが言ったであろう言葉は知恵の結晶と」
「 ・・・・・」「何を考えておる 何もわしらの種族が常世の主という称号を呼ばれ
ているのは伊達や酔狂での噂ではない。わしらには 何もかもが見えることじゃて。未
来も過去もな。」「そうか・・・そうだったのか・・・」「何を合点しておる。」「 
いや この鬼っ子達が言わなければ気付かぬ所だった。よくもまあ隠し通したものだ。
」「なにぃ」「ばっさま怒るでない。何を血迷うた事を言っておる。」「いや何ゾロア
スターやジャイナから聞いた事があったのだ。この世を離れた鬼の親がおるとな。」「
・・・」「そろそろ姿を現したらどうだ 本当の全知全能の運命を司る有無将軍。」「
あ・・・あはははっは。・・・・あはははは。そうか 知れたか。」「知恵の神として
君臨していたが ある日人々の欲情に負かされてふさぎこんで以来 人類の現世からも
地獄も神世も暗黒の世界も何もかも捨てて姿を消した。とそこで人々はよりどころを失
って神を求め宗教を起こした。と その最初で最後の全能神有無の神があなた様では」
「ほう さすがに白髪王や白王と噂されるだけの事はある。」「並みの神人の門番では
なかったわいな。少しあなどったかしら。」「うむ。」「やはり・・・この知恵の木の
木室の穴が地下に続く事が不思議であったし あの不埒な龍の双子を敵対しながら親の
青龍との親交に違和感があったが ようやくその理由が解けた。」「そうか。よくぞ判
った。褒めてやろう。」「そうね。大したものだわさ。」「では私の真意も又判ったか
。」「ああ その世界の病巣とは あなた自身の迷い。あなた自身の播いた種。そして
人を刈り取るに忍びないから 私ら神の手を借りて終末を高みの見物しようとした。」
「ほう そこまでお見通しか。やるな。」「ほんと 大したもの。」




749: 名無しさんAA:13/03/29 13:58 ID:e5I
黄泉の国物語 100

 「じゃが お前は一つだけ間違っておる。」「そうね。勘違いしているわね。」「・
かんちがい・・・」「そうだ。わしらが全知全能の運命を司る有無将軍や常世の主の称
号や名声いくら巷で噂を得ていたとしても只の噂でしかない。ということだ。じゃが・
まあそんな事はどうでも良い。そろそろ時間も押し迫った。あやつが又見張りに来る頃
じゃ。おばばちと用意するしかない。」「そうじゃのう。見つかったら元も子も無い。
五蒡星に助けてもらうしかあるまい。・・ささこっちによりなっせい。・・」とわれら
を一塊にしては周りに円を描き星を描いた。「爺さん準備は出来た。」「そうか。では
わしらも入ろうか。」「この五蒡星は変わってますね。」「ほう君はよくみているのう
。・・・おっとそろそろやってくる。用意はいいかおばば。」「ああ大丈夫だいつもの
様にここの10人が出なければ見えやしない。」と言い終わぬ内に まばゆい光がまる
で流星のごとくやって来た。その星はこのドームにぶつかるかと思われたが 少しはね
た形で反れて広い洞窟を一周しては8の字にくねりもとの出てきた穴に入っている。そ
の頭は光輝いていたがその尾は白い輝く中にまるで五色の魚のごとく虹をまとっていた
。しばらく沈黙が続いた。「もうええだろう。」「そうじゃな。あの穴をまずは塞ごう
。」とドームのような泡の中から出たおばばは 少しうなり声の呪文を掲げ杖をあげた
。石や岩達はまるで意志をもったもののように 宙を舞いもとの穴をすっかり綺麗に塞
いだ。」「やれやれ またしばしの時間が必要かのう。」「ああ仕方がない この者達
は今だここにいる意味もここに来た意味もわかってはいないようだからな。」「そうじ
ゃのう。少し話して このパラレルワールドの修復が如何に大事か その為にこの者の
役割が如何に必要かを説かねば まだ納得してはいないようだからのう。」「ああ・・
・・・」



750: 名無しさんAA:13/03/29 16:35
黄泉の国物語 101

「さてさて 何から話せば解って貰えようかのう。」「そうだなぁ〜まずは我々が今の
地位。つまりは我々が神の上座にいる生物だろうと言う事から話すべきじゃろうな。」
「ほうそうかえ。長くなるが まあええか。お前さんと言うより 白髪王よ生きている
証がこの黄泉の国にあると思うかぇ。」「まあ ここにこうして7人と3匹更には貴方
みたいな人と話をしているではないか。」「ほう私と話をしている事や傍の者といる事
が生きている証である。と言うのかい。」「ええ・・」「我々のように過去にも未来に
も行ける種族からすればそれは偽りでしかない。お前ら神の身分であっても死はやって
くる。あの大木の命の様に何百年何千年と言う命をもってしても 何れ死に至り朽ち果
てる身体がそこにある。」「・・・」「精神社会も又同じじゃて。如何に理論の下に意
志や意識をしっかりしたとしても 夢現幻と言うものだ。その記憶そのものが無くなれ
ばそこには何もない。じゃが その時記憶した行為が本人にとっては生きている証とな
る。じゃがそこは本人の自我の満足でしかない。」「自己満足とでも。」「そうじゃ。
自己満足。これこそが何もかも支配しているものだ。神はそれを知らせる役目を負うも
のとしてわしらが創ったのだ。」「神は作られた。」「そうだ人々の中に自らの生きる
事に疲れた者も生きれる仕組みを望むものが生まれたのだ。まあ神のお前が隠遁生活を
したようなものだが。」「・・・」「よく考えてみよ。このパラレルワールドのどの世
界を見ても過去との繋がりを変えたとしても 繋がりを切った世界は存在しない。命も
思想も又同じだ。そして物質も又同じだ。何もないところから何かが生まれる事はない
。がどんなに探しても何もないように見える中から 知らない内に育つもの芽吹くもの
生まれるものは たくさんある。エネルギーが形を変えて存在し物質が変質しても何か
として残る事と同じじゃ。すなわちこの黄泉の国であれパラレル世界であれ崩壊した様
に見えても無い様に見えても或いは在る様に見えても それは今の記憶でしかない。



751: 名無しさんAA:13/03/29 16:36
黄泉の国物語 102

「さてさて そこで問題じゃが 人でも物でもその形態を変える事には大きな力がいる
のじゃがそれを変えるのは何だと思うかえ。」「自己満足。」「いいや。欲望じゃよ。
」「欲望。」「そう欲望がおぞましいなら望みと変えても良い。欲でも良い。何にして
も明日を計算し自己満足を求める行為こそ 生物の本性として設計したのじゃが物が勝
手に姿を変える事を止める為にそうした意志を持たせたものの 物が大きな力が加わっ
て形が変わるように生物にも その力を応用するよう意志がある。これが神を作ったの
だ。」「・・」「我々は人にとっては 絵や風景の様なものだ。具象の物ではないから
のう。」「そうよ その点生物や人間が その具象と抽象の双方を合わせ持つ力強い存
在なのだ。そして突き詰めてその最も大きい物を作り上げた。それがお前達神なのだ。
したがって いつの間にか我らのような時間と物の間をすり抜ける存在を常世の主とし
て全知全能の神とまつりたて 普通の神々を使いに仕立てて 未来や過去やらを聞き、
或いは現在の苦難を話してその逃れ方を聞こうと 何度となく神に執行を迫ったのだ。
」「そうじゃ 神々の世界も又そうした人間界の願いや祈りに応えて信頼を勝ち取りそ
の方法や手立て或いは予想を我々の元に聞いては 何度も人に伝えたものじゃ。」「あ
成程。だから人は甘えてしまい神々との戦争を起こした。」「いや違う。神々が戦争を
起こしたんだ。」「せ・ん・そ・う。」「戦争でないなら競争とでもいったらいいだろ
うか。彼らは私に取り次ぐ事で力を得る事を知り競い争うように自然となった。そして
遂に 彼らは2手に分かれた 一神教として強いる神とみんなで協調しようとする神々
と。」「そうじゃ。そして遂に起きた戦争は一夜にして一神教支持派の世界に変わり、
その亡霊が君達を襲って来たのじゃ。」「解るかのう。」「つまりこの神々の世界の一
変した事とパラレルワールドの消えて行く癌の様な腐敗現象は全く同一進行している。
」「・・だから我々を引き寄せ 共に闘おうと。」「そうじゃ。この神々を操るのが先
の神々を食している虹色の龍なのだ。」「・・・あいつが犯人・・・」「それは解らな
い。が・かもしれないと言う事だ。」「・・・・」


752: 名無しさんAA:13/03/30 20:08
泉の国物語 103

「つまり あの虹の龍は人々の希望を喰って生きているというわけ。」「いや只食って
いるだけでそれで生きている訳ではない。」「と言うのは。」「希望とは何かと言う事
だ。」「きほうって望みの事ではないの。」「ああ望みとも言うがその本質は何かと言
う事だ。」「ほ・ん・し・つ。」「そう本質でいけなければ性格あるいは構成要素。」
「なるほど そのものの逃避行動。」「そうじゃ さすがだな白王。人は望みといいな
がらも本質は生命維持や子孫へ託す行為に他ならない。先に進むとは見かけの一面であ
りその実は今わしらが バリアに隠れた様に退避しても命を永らえる事でしかないのじ
ゃ。」「保身が希望。」「そうじゃ我が身を守り更にその回りでさえ今までの様にとの
行為が望みじゃよ。」「では革新や革命的行為はしない。とでも。」「いや苦しめばす
ぐにでもそれは行う。」「つまりあの龍は新しい事を求めて 古い物を喰っているとで
も。」「そうじゃ それが正解じゃ。」「人も宇宙も物質も常に新しきものを作り出し
古い物を捨ててそれで今を維持している。 宇宙であれば新星誕生ビックバンだが、人
の人体では新陳代謝とでも言うべきものだ。このパラレル世界でそれを司るのがあの龍
だ。ということだ。」「そうか あの龍がいない事にはこのパラレル世界のメンテナン
スが出来ないと。」「そうだ。」「で あの龍を退治したり殺したりもできないと。」
「正解だ。よく守り神と言われるが 守り神はまさしく守っているから守り神であり、
守れなくしたら その守る神の地位さえない。」「神輿は担ぎ手がいて神輿と言うこと
か。」「そう言う事だ。」「それで何時でもいいと わしらに説明の時間を割かない訳
だ。」「そういう事だ 腐敗は進行しているだろうが 闇雲に進んでこの龍の直す作業
も途絶えさせたら 元も子も無い。改めてわしらの行動の理由を知ってもらわねばのう
と思った訳だ。」


753: 名無しさんAA:13/03/31 00:46
黄泉の国物語 105

「新たなる命の永続。」「そうかクラゲの分身或いは攻撃の為の逃避 保身の自爆。・
・・・屍と骸を超えて命を繋ぐという事か。」「神さえも何れ死ぬ。これを超える事は
殻を取り分身する。そして新たに命を歩く。これが今の命あるもの すなわち生物の姿
いや生物のみならず時に身を置く物の定めじゃて。」「この永遠の宇宙でさえも・・の
。」「ほっ・・では貴方達常世の主の世界でさえ。・・とでも。」「ああ桁が違うがの
。そして神々が死なないなどと言う事もない。先に言った様に神となって桁が変わった
だけだ。」「・・・」「そう。でも良かった。あの実体のない夢くい龍とは闘わないの
ね。助かった。」「ホントだあまりにも解らない相手じゃ身が持たない。」「そうだな
。ところで その無敵の実体のない龍さえも見つけらないと言う このパラレル世界を
壊すものって言うのは一体何なんだ。」「・・さての・それがわからなんだ。」「それ
が解らないからお前らを寄せたのだ。」「で同じように 釈迦王子やジャイナ王子をこ
こまで連れて来て 同じようにいけにえにしたって言う事か。」「。。。。」「・・・
」「それは違う。間違えるでない。」「いいや今の話からして 釈迦王子やジャイナに
此処に来てその再生や永遠の命を説いたはずだ。そしてこの先のパラレル世界の芯に向
かわせた。・・そうじゃないのか。」「・・・」「この真実の木の栄養にでもなるとで
も思ったのか。」「いやそうじゃない。」「そうじゃないとは。やはり会ったのか。」
「ああ。知っての通りわしらは時間を超えれる種族なんじゃ。彼らが会おうとしても、
逃げて会わない事は簡単な事じゃった。がわしらは彼の願いをふと耳にしたのじゃ。」



754: 名無しさんAA:13/03/31 01:41
黄泉の国物語 105

「新たなる命の永続。」「そうかクラゲの分身或いは攻撃の為の逃避 保身の自爆。・
・・・屍と骸を超えて命を繋ぐという事か。」「神さえも何れ死ぬ。これを超える事は
殻を取り分身する。そして新たに命を歩く。これが今の命あるもの すなわち生物の姿
いや生物のみならず時に身を置く物の定めじゃて。」「この永遠の宇宙でさえも・・の
。」「ほっ・・では貴方達常世の主の世界でさえ。・・とでも。」「ああ桁が違うがの
。そして神々が死なないなどと言う事もない。先に言った様に神となって桁が変わった
だけだ。」「・・・」「そう。でも良かった。あの実体のない夢くい龍とは闘わないの
ね。助かった。」「ホントだあまりにも解らない相手じゃ身が持たない。」「そうだな
。ところで その無敵の実体のない龍さえも見つけらないと言う このパラレル世界を
壊すものって言うのは一体何なんだ。」「・・さての・それがわからなんだ。」「それ
が解らないからお前らを寄せたのだ。」「で同じように 釈迦王子やジャイナ王子をこ
こまで連れて来て 同じようにいけにえにしたって言う事か。」「。。。。」「・・・
」「それは違う。間違えるでない。」「いいや今の話からして 釈迦王子やジャイナに
此処に来てその再生や永遠の命を説いたはずだ。そしてこの先のパラレル世界の芯に向
かわせた。・・そうじゃないのか。」「・・・」「この真実の木の栄養にでもなるとで
も思ったのか。」「いやそうじゃない。」「そうじゃないとは。やはり会ったのか。」
「ああ。知っての通りわしらは時間を超えれる種族なんじゃ。彼らが会おうとしても、
逃げて会わない事は簡単な事じゃった。がわしらは彼の願いをふと耳にしたのじゃ。」
「そうか それであの最初のこの真実の木の洞穴にジャイナの服があったのか。いや服
を後で時間の前に置く事ができたのか。つまり今でも 貴方達自身は何時でも釈迦王子
にもジャイナにも会えるというわけか。・・・なるほど・・・。」



755: 名無しさんAA:13/04/08 15:02
黄泉の国物語 106

「ええ〜〜。それじゃ何 今まで必死になって探していた ジャイナ王子も釈迦王子も
この爺さんや婆さんでは 何時でも会えたって事。」「いやいやそればかりか 二人を
連れだしてはそそのかし 宇宙の芯時間の中枢まで闘いに行かせてたってことだ。」「
だから 違うと申してようが。ばばあよ教えてやれ。」「いいやいい。そして今我々す
らその中に連れて行こうって言う訳なんだろ。」「やれやれ妙法蓮華経如来寿の非実非
虚を知っているか。それには目の前の世界では生滅を繰り返すが、生きとし生けるもの
は如来の眼から見ると、生まれたり死んだりすることもなく、この世に実在していない
、この世から滅することもない。っていう言葉だが釈迦王子の言葉だ。」「如来とはさ
っきまで私達を追いかけまわした神々でしょう。」「いや違う。」「ちがう・・」「そ
うだ。あれは神もどきだ。神々がこの黄泉の世界と暗黒の世界を行き来してるように思
っておろうが そういう事は一切ない。釈迦はそれを知っていた。神とて死ぬし時空は
越えられない。越えるのはその魂や知覚だけだ。」「それが何だ。」「お前程の者がそ
の意味が解らぬではないだろう。」「・・・胴か・」「いや頭だ。」「頭か」「白髪王
よこの爺さんたちは一体何を言っている。」「ああ説明しよう。簡単に言えば人間界が
仏の手の上で踊らされるように 神までいる全具現界も抽象界も この暗黒界でさえも
在る者によって踊らされている中にあるという事だ。」「あるもの。」「そうだ在る者
存在があって存在のないもの 例えば先の虹の龍みたいなもの 例えば私達のような物
。」「俺達・・俺たちが存在していないって どういう事だそれは。」「時空を超える
時空の中をさまようとはそういう事だと言う事だ。」「そうさね我々常世の主と言われ
長々と命を持って歩けど 結局は存在のない魂 いやその魂すらない存在なのだ。」「
それって何良く解らない。」「なあに簡単な事だ 我々が線を引くそして1から数字を
書くとしよう。いや紙や何かを数える事でもいい。リンゴが2個としよう。だが本当に
そのリンゴは2つなのか一つと三つの間だが二つとは限らない。只々便宜上2つと言っ
ているだけで その相手が2つ認めるから2つであって本当は全く解らないという事だ
。それが ジャイナ王子も釈迦王子にも言えるしこの暗黒界にも全てに言えると言って
いる。」



756: 名無しさんAA:13/04/08 15:07
黄泉の国物語 107

 「それって もしかして・・」「そうだ 既に時空を我らは越えてしまったらしい。
こいつのまやかしによってな。」「まやかし・・」「そうだ先ほどの虹の龍は 我らを
喰わずに出て行ったのでなく 飲み込んでしまって出て行ったのだ。なあ常世の主。」
「・・・」「そしてみんなを集め バリアーを築き抵抗したのは それは守るためじゃ
ない。虹の龍と戦わせたくなかったからだ。つまり一人ずつ食わせる或いはあの龍に怪
我をさせる。その事が厭だったためだ。そうだろうなあ常世の主。」「・・解ってるじ
ゃないか。今この龍を攻撃して この真実の木を枯れさす事は 暗黒の世界も黄泉の国
も或いは現実界も具現界も抽象界も無くしてしまうという事だ。そんな危険はおかされ
まい。更にお主らが探す2人とも永遠に会う事なんぞ出来ないどころか お主らこそも
いなくなる事になる。お解りか。これがパラレルの奇妙さと危険さだ。」「ええそれは
集団催眠にかかってるって事てか。」「なぬ。それは俺たちは虹の龍の腹の中と言う事
なのか。」「それよりその腹の中でいずれわれらが消化され消滅するってことか。」と
鬼達は口々に言えば顔を合わせた。「やっかいなものでな。この世界がこの真実の木を
中心として成り立っていればいるほど その貴重さは大きくなる。その上にこの木の保
守言うなれば世話までもがその世界の一部となる。」「そして、そうまでしてもこの木
を守るのは次の新しいパラレル世界を作りたいが為か。」「・・・・」「既に5億年も
生きて来たが そろそろ新しい輪廻転生を模索しだし その為に龍の城から助言を得た
。」「・・・」「何故だ 無の中の有の玉手箱にこの実を落とし こうなる事は解って
いたはずだ。自分にも死と言う恐ろしいものが来ることも充分身にしみていたはずだ。
 なぜだ なぜ希望と共に絶望が産まれ 生と共に死が当然出来るものを わざわざこ
の世に送り出し ブッダやジヤイナを呼びつけ 更には暗黒王を置いて又我らを呼ぶ。
その真意は一体何故だ。このパラレル界もこうした病もつもので龍が守る世界とは知っ
ていたはずだ。答えよなぜだ。」


757: 名無しさんAA:13/04/08 15:11
黄泉の国物語 107

 「それって もしかして・・」「そうだ 既に時空を我らは越えてしまったらしい。
こいつのまやかしによってな。」「まやかし・・」「そうだ先ほどの虹の龍は 我らを
喰わずに出て行ったのでなく 飲み込んでしまって出て行ったのだ。なあ常世の主。」
「・・・」「そしてみんなを集め バリアーを築き抵抗したのは それは守るためじゃ
ない。虹の龍と戦わせたくなかったからだ。つまり一人ずつ食わせる或いはあの龍に怪
我をさせる。その事が厭だったためだ。そうだろうなあ常世の主。」「・・解ってるじ
ゃないか。今この龍を攻撃して この真実の木を枯れさす事は 暗黒の世界も黄泉の国
も或いは現実界も具現界も抽象界も無くしてしまうという事だ。そんな危険はおかされ
まい。更にお主らが探す2人とも永遠に会う事なんぞ出来ないどころか お主らこそも
いなくなる事になる。お解りか。これがパラレルの奇妙さと危険さだ。」「ええそれは
集団催眠にかかってるって事てか。」「なぬ。それは俺たちは虹の龍の腹の中と言う事
なのか。」「それよりその腹の中でいずれわれらが消化され消滅するってことか。」と
鬼達は口々に言えば顔を合わせた。「やっかいなものでな。この世界がこの真実の木を
中心として成り立っていればいるほど その貴重さは大きくなる。その上にこの木の保
守言うなれば世話までもがその世界の一部となる。」「そして、そうまでしてもこの木
を守るのは次の新しいパラレル世界を作りたいが為か。」「・・・・」「既に5億年も
生きて来たが そろそろ新しい輪廻転生を模索しだし その為に龍の城から助言を得た
。」「・・・」「何故だ 無の中の有の玉手箱にこの実を落とし こうなる事は解って
いたはずだ。自分にも死と言う恐ろしいものが来ることも充分身にしみていたはずだ。
 なぜだ なぜ希望と共に絶望が産まれ 生と共に死が当然出来るものを わざわざこ
の世に送り出し ブッダやジヤイナを呼びつけ 更には暗黒王を置いて又我らを呼ぶ。
その真意は一体何故だ。このパラレル界もこうした病もつもので龍が守る世界とは知っ
ていたはずだ。答えよなぜだ。」




758: 名無しさんAA:13/04/17 18:25
黄泉の国物語 108

「人間界に紙幣などというくだらぬものが溢れている事は知っておるか。」「お金の事
か。」「そうだ。人は食糧や飲み水を得るために色んな事をした。その内保管し貯めて
他の者を助けたり助かったり共生を強めた。その後共有を目指し紙幣が産まれた。喧嘩
や奪い合い或いは貧困の中を救う事に何の裏付けのないその証文は大きく国と言う集団
を潤したし大きくした。があろうことかそれに価値を与えた者がいた。他の国の者だ。
国が大きくなって他との交易には威信や信用だけではそれは流通しなかったのだ。産品
特に珍しい物にその価値をして裏付けを行ったのは各地の長達の話し合いだったが、あ
る頃から金がその裏付けになった。」「それは経済の話で何もパラレル界の話ではない
だろう。」「いや若造其処が同じなのだ。誰もが願う食糧や塩や水の為に出来た貨幣が
いつの間にか金やルビーや瑪瑙と言った全く必要のない宝飾品の価値に変わったのだ。
そして揃って長老はそれを取り入れた。」「だから何だ。」「解らぬか。宝というもの
が、ではこのパラレルの話をしよう。この暗黒界はだれが創った世界だ。」「暗黒王で
あろう。」「そうだ暗黒神である。すなわち人間界の大黒天である。」「えっ・・・」
「ブッダ・ジャイナは共にそれを見破ったのだ。すなわち破壊神である暗黒王が全ての
恵みを与える神と。」「解るか死があるからこそ生があるのだ。お主が今白髪王として
君臨しながら現生界に降りられず 神々から攻撃されるのは何故じゃ。それがこのここ
のパラレル界の芯じゃからじゃ。」「・・・」「神は崇めるものじゃて 競うものでも
試すものでもましては信じるものではない。そこにあるものそれを大事にするものその
心が神なのじゃ。だからブッタは悟りをして 現生の智を3つに分けた怒り諭す者とし
て明王を君臨させ5大明王をして先頭に立ち水先案内人となった。後に菩薩をして5つ
の菩薩を配置し守り横を大日如来をして守りを貫いた。」「で・なにを守ったのか解る
か。」「・・」「知恵だよ。知恵。知恵の光明だよ。そしてそれがお前自身の事だ。」


759: 名無しさんAA:13/04/17 18:25
黄泉の国物語 109

「・・・」「そうだ。ブッダ王子とジャイナ王子は白髪王よお前を守るためにこの地に
来て祈りを捧げたのだ。私が誘った訳ではない。自らこのパラレル界の患部を見て具合
を覗いに言ったのだ。」「・・」「悪意から追われながらの 彼らはよく闘っていた。
呆れるほどに修行をしていたよ。誕生とは何か 暗黒とはなにか。生と死とは何か。」
「そこで一つの結論が出たのが無の境地だが いかんせん無とは何もない世界暗黒さえ
ない世界。無さえない世界これが無だ。」「無さえない世界。」「そうだ。これらも知
と言う中にある。」「観世音菩薩」「そうだ 我らを常世の主と呼ぶ奴もいるが観音と
呼ぶ奴もいた。ブッダには観世音菩薩 如来の化身とされた。いい迷惑だったがな。」
「菩薩だと。・・・」「この人は人間。・・・」「三千世界を行き来し神を凌駕しては
時空を超える老人が 如来になる約束をされた只の修行した人間だと・・・笑わせるな
。」「私が人間だなどと誰が言った。」「・・」「ただあの二人にはそう呼ばれていた
。そして彼らが願ったのはうぬが幸せだった。」「・・・」「お前じゃよ。白髪王いや
白日王の称号を持った程でありながら表に出られないお前の悲運をそのまま受け継いだ
ようにな。螺王お前を日輪の大明王大日如来と崇めてな。」「その悲痛な叫びがこの世
を創ったのじゃよ。」「祈りか。」「そうだ。この二人が聴きとったものは 無の叫び
生への憧れだったはずだ。そして生すなわち時間が生まれれば 次に無の懐かしむ声を
発する。・・はははは人間と同じじゃてこの時間この真実の実も自らの居場所が今だに
確かめる事が出来ぬものだ。」「・・・・・」「そうだ。お前が思う通りだ。この真実
の木の実はわしがほおり投げた訳ではない。自らにこの無の世界に有を創ろうと飛び込
んだのだ。お前には気付かなかったろうが。」「そんな筈はない。あんな小さな石の様
な物に意志や魂があろう事などあるはずもない。」「ほほう それは奇妙な論理を出す
ものようのう。木々の祈りが人間に伝わらない様に見えない感じないものじゃが、春に
芽吹き夏に茂り秋に葉を落とし年々大きくなる物が 魂が無いと何故断言するのだ。」




760: 名無しさんAA:13/04/20 19:59
黄泉の国物語 110

「・・・」「それが人間の浅はかさを産んだ理由だ。ある頃からこのパラレルに異変が
起こった理由じゃろうてのうばあや。」「そうだろうよのう。いずれはこの木にこうし
た木室の祠となる穴は出来るとは思っとったが、こんなに早く深く傷つく羽目になると
は清龍も又思わなんだて。」「・・・・」「どうした。お前の望み通りこの世界パラレ
ル界も暗黒界も理解出来よう。ブッダ王子とジャイナ王子の救出も白髪王のお前なら、
出来よう。彼らとて言う事を聞き入れるはずだ。この地に来てお前為に祈りを捧げたぐ
らいの彼らだ。私が誘うよりはずっといいはずだ。」「なるほど どうやらわれわれは
この神のわなに落ちたようだ。」「罠だと罠なんかではない。お前さんの言い分に合わ
せたまでだ。」「ああそうかもしれない。で我々を喰ったこの真実の木の下の龍は何処
まで時間を遡るつもりだ。」「ほっほっほ さすがに見抜いていたか。」「遡るって。
私達はタイムマシンにでも乗ったのか。」「時間を逆行している・・・」「何だって」
方々から声が聞こえた。「どういう事か教えてくれ白髪王よ。」「なあに簡単な事だ。
こいつらかがアインシュタイン博士の夢枕にでも言った事が 今起きているだけだ。」
「相対性原理・・・。」「そうだ。物は光の速さを超えないって話だ。が我々はこの木
の意識の下にいる。すなわち我々霊体はエネルギーも物体としての質量もない。すなわ
ち人々の言うブラックホールと言う光さえ飲み込む中のその又時間さえ止まっている中
にいるのじゃて。そしてその過去に行ける乗合バスに飲み込まれたのだ。」「・・・」
「現生界では光と言うより極限の速さよりは速くは何物も動けない。だが意識界霊界は
物が無い世界だ。だからこそ生を生じさせ無から有を産む事が出来る。だがそこに時間
が存在しているのだ。一旦時間のある世界に行けば戻る事は出来ない。したがってここ
時間のない世界に物が来る事はエネルギーにしかならない。そのエネルギーこそが霊界
であり意識界なのだ。」「E=mC2・・ってか」「そうだそしてその止まった時間は
それは光でも熱でも電磁波でもない。暗黒物質との摩擦だ。この木のもつ大地だ。」「
大地だって・・この宙に浮いた木が大地に立っていると。」



761: 名無しさんAA:13/04/20 21:35
黄泉の国物語 111

「そうだ。考えれば良い アインシュタインは重力と加速するロケットの中と同じと言
ったのだ。それが質量としたのだ。では加速して何処に向かっているか。どこにも向か
っていない。質量は圧迫されているだけだ。暗黒物質に。つまり逆に言えば重量ある物
は常に暗黒物質を放射しているのだ。隙間の多い空間にその反動に重力を持っている。
逆にその空間も時間も光も閉じ込める芯はかなりの圧力を受け およそ太陽ごときも、
胡麻の粒より小さいものだ。それは海の底で空き缶が水の圧力で潰れるように暗黒物質
に押し込められたその世界に何が行けるというのか。霊界の意識しかない。ここが肝心
だ。人の意識ではない。霊界の中の意識だ。何故光より早く行けるか。その理由がそこ
にある。暗黒物質とて時間の中にある。あの虹色の龍が虹色に見えるのはその暗黒物質
を食べ跳ね返しているからだ。青龍が水しぶきを上げているように。」「つまり人間界
でいう運命が具現化したものだ。」「レインボウドラゴン・・・あっ・・禅問答の世界
・・」「そうだ其喪参切羽の世界だ。何の障害もないものは光より早く動くし時間より
前にも後ろにも行ける。それがわしらが常世の主と言われる所以だ。過去にも未来にも
何処にでも行ける。そしてこの真実の木の芯 ブラックホールの芯 時空を超えた宇宙
の芯まで。」「36億年の昔にまで・・」「いやもっと前だ それは太陽系が持つ宇宙
でありある時の種子の芽でしかない。原始宇宙ではない。真宇宙の世界だ。そしてそこ
には人間のみならず様々なものの欲や夢や悔いや怒りや悲しみが集まって来ている。」
「・・・」「その整理をしようと2人は行ったということか。」「それはわしにもばば
にも解らん。更にわしら自体彼らに見えるのか見えないのか 声が聞こえているのか聞
こえてないのかさえ解らん。わしらは霊が現生界を見るように彼らを知るだけで手を出
すどころか話しかけることさえままならぬのじゃて。




762: 名無しさんAA:13/04/22 11:05
黄泉の国物語 112

 「そうか。我ら只々意識界の住民でしかあり得ないのか。」「そうだ。だがその意識
こそが光速をも超える力を持つ。そして われらはその意識界の住民の更なる意識何ら
実体のない意識が常世の主と言うわれらの存在だ。言わば岩や石或いは地球などその物
の意志。従ってどんなに動こうともどんなに叫ぼうとも聴こうとせずば聞こえない。」
「そうじゃ じゃからしてある時は天使とある時は悪魔と勝手に呼ばれていたがのう。
」「お前らはいい方じゃて 人間共に幻も夢も見させる事が出来る。悪夢も暗い気分も
。じゃがわしらはせいぜい太陽風をして銀河弾や宇宙線を守る事ぐらいじゃった。」「
守り専門の神の夢と人間の持つ欲望の夢という実体のない者同志の対談か。おもしろい
例えをするものじゃな。この虹の龍の腹の中で。がこの虹の龍が何処でわしらを降ろし
てくれるか・・ ん。。」「さっきは定期的にこの龍は見周りしていると言うことだっ
たはずだ。と言う事は 常に何億年も瞬時に往復しているのかこの龍は。」「という事
は ぬぬぬ 謀ったな常世の主このままいる事が正常になってしまう。わしらがこの腹
から出る時がビッグバンの新たな始まり 生き物の意志の中の神。その神の中の意志に
われらが命があるとすれば われらとて生き物進化を望む事を有する。常世の主お前の
意志が電脳社会を創ったのか。神々を排除しようと。われらを誘いだすために。」「・
・・」「どういう事石や岩の意志とは何。」「つまりは人間などへに砂時計を背負わせ
たという事だ。この婆と爺が。」「何のために。」「大きな宇宙の意志として いや霊
界や暗黒界の秩序の為に。生物界に2割の欠陥があるようにどんな物でも完全体を目指
す事は石や岩いや光でも同じだと言う事だ。」「それが暗黒界の秩序。」「そうだ完全
が無いという完全さだ。」「保持保身。」「常に動く事を止められない時間の中で時間
を創ってしまった以上光さえも動いたまま閉じ込めるしか方法はない。輪廻やサイクル
生物環の世界だ。」「それがパラレル世界の中心。」「そうだ そしてそれに疑問を持
った二人とその疑問を導きだす我らを人身御供のごとくに 同じ手法で龍の腹に閉じ込
めたのだ 自分達の命とも引き換えに。そうだろう 常世の主。」

 

763: 名無しさんAA:13/07/28 13:23 ID:UWM
「人間界に紙幣などというくだらぬものが溢れている事は知っておるか。」「お金の事
か。」「そうだ。人は食糧や飲み水を得るために色んな事をした。その内保管し貯めて
他の者を助けたり助かったり共生を強めた。その後共有を目指し紙幣が産まれた。喧嘩
や奪い合い或いは貧困の中を救う事に何の裏付けのないその証文は大きく国と言う集団
を潤したし大きくした。があろうことかそれに価値を与えた者がいた。他の国の者だ。
国が大きくなって他との交易には威信や信用だけではそれは流通しなかったのだ。産品
特に珍しい物にその価値をして裏付けを行ったのは各地の長達の話し合いだったが、あ
る頃から金がその裏付けになった。」「それは経済の話で何もパラレル界の話ではない
だろう。」「いや若造其処が同じなのだ。誰もが願う食糧や塩や水の為に出来た貨幣が
いつの間にか金やルビーや瑪瑙と言った全く必要のない宝飾品の価値に変わったのだ。
そして揃って長老はそれを取り入れた。」「だから何だ。」「解らぬか。宝というもの
が、ではこのパラレルの話をしよう。この暗黒界はだれが創った世界だ。」「暗黒王で
あろう。」「そうだ暗黒神である。すなわち人間界の大黒天である。」「えっ・・・」
「ブッダ・ジャイナは共にそれを見破ったのだ。」「そうか破壊神である暗黒王が全て
の恵みを与える神と変化した。」「解るか死があるからこそ生があるのだ。お主が今、
白髪王として君臨しながら現生界に降りらず 神々から攻撃されるのは何故じゃ。それ
がこのここのパラレル界の芯に居るじゃからじゃ。」「・・・」「神は崇めるものじゃ
てのう 競うものでも試すものでもましては信じるものでもない。そこにあるものそれ
を大事にするもの。そうしたその心が神なのじゃ。だからブッタは悟りをして 現生の
智を3つに分けた怒り諭す者として明王を君臨させ5大明王をして先頭に立ち水先案内
人となった。後に菩薩をして5つの菩薩を配置し守り横を大日如来をして守りを貫いた
のだ。」「そうか。」「で・なにを守ったのか解るか。」「・・」「知恵だよ。知恵。
知恵の光明だよ。そしてそれがお前自身の事だ。」「つまり各個の想いが宝物と言う事
か。」「そうだ誰もが持っている情けや優しさ思いやりや引っ込みがちな奥ゆかしさ。
それが神の正体だ。」


764: 名無しさんAA:13/07/28 13:41
黄泉の国物語 109

「・・・」「そうだ。ブッダ王子とジャイナ王子は白髪王よお前を守るためにこの地に
来て祈りを捧げたのだ。私が誘った訳ではない。人を憂い生を賛美し白髪王を偲んでは
祈っていたわい。そして当然 自ら旅をしては、このパラレル界の患部を見て具合を覗
いに来てはよく祈った。」「・」「悪意から追われながらの 彼らはよく闘っていた。
呆れるほどに修行をしていたよ。誕生とは何か 暗黒とはなにか。生と死とは何か。」
「そして神とは何か。そうして彼らは人の持つ境地が神なのだと言う事を知ったのだ」
「そこで一つの結論が出たのが無の境地だが いかんせん無とは何もない世界暗黒さえ
ない世界。無さえない世界これが無だ。」「無さえない世界。」「そうだ。これこそが
知恵の中にある。」「観世音菩薩」「そうだ 我らを常世の主と呼ぶ奴もいるが観音と
呼ぶ奴もいた。ブッダは観世音菩薩、如来の化身と噂された。いい迷惑だろうがな。」
「菩薩だと。・・・」「この人は人間。・・・」「三千世界を行き来し神を凌駕しては
時空を超える老人が 如来になる約束をされただけの修行した人間だと・・笑わせるな
。」「彼らを人間だなどと誰が言った。」「・」「ただあの二人は昔そう呼ばれていた
。そして彼らが願ったのはうぬが幸せだったからのう。」「・」「お前じゃよ。白髪王
いや白日王の称号を持った程でありながら表に出られないお前の悲運をそのまま受け継
いだようにな。螺王お前を日輪の大明王大日如来と崇めていたからな。」「その悲痛な
叫びを聞いてわしがこの世を創ったのじゃよ。」「祈りか。」「そうだ。この二人が聴
きとったものは 無の叫び生への憧れだったはずだ。そして生すなわち時間が生まれれ
ば 次に無の懐かしむ声を発する。・はははは人間と奇妙なものでな そして神となっ
た彼らも又 人間と同じこの時間この真実の実の事も 自らの居場所が何処にあるかも
今だに確かめる事が出来ぬようだ。」「・・」「そうだ。お前が思う通りだ。この真実
の木の実はわしがほおり投げた訳ではない。自らにこの無の世界に有を創ろうと飛び込
んだのだ。お前には気付かなかったろうが。」「そんな筈はない。あんな小さな石の様
な物に意志や魂があろう事などあるはずもない。」「ほほう それは奇妙な論理を出す
ものようのう。木々の祈りが人間に伝わらない様に見えない感じないものじゃが、春に
芽吹き夏に茂り秋に葉を落とし年々大きくなる物が 魂が無いなどと何故断言するのだ
。これはお笑い草だ。ハハハハh」


765: 名無しさんAA:13/07/28 16:41
泉の国物語 110

「・・・」「それが人間の浅はかさを産んだ理由だ。ある頃からこのパラレルに異変が
起こった理由じゃろうてのうばあや。」「そうだろうよのう。いずれはこの木にこうし
た木室の祠となる穴は出来るとは思っとったが、こんなに早く深く傷つく羽目になると
は清龍も又思わなんだて。」「・・・・」「どうした。お前の望み通りこの世界パラレ
ル界も暗黒界も理解出来よう。ブッダ王子とジャイナ王子の救出も白髪王のお前なら、
出来よう。彼らとて言う事を聞き入れるはずだ。この地に来てお前の為に祈りを捧げた
ぐらいの彼らだ。この私が誘うよりはずっと簡単に来たはずだ。」「なるほど どうや
ら我々はお前達常世の民という この神々の罠に落ちたようだ。」「罠だと! なにを
小癪な。罠なんかではない。お前さんの言い分に合わせ 二人の話をしたまでだ。」「
ああそうかもしれない。だがそれで時間稼ぎをし 我々を喰ったこの真実の木の守り神
虹色の龍は 一体何処まで時間を遡るつもりだ。」「・・・ほっほっほ さすがに見抜
いていたか。」「遡るって。・・私達はタイムマシンにでも乗ったのか。」と鬼が騒い
だ「ああ 今時間を逆行している龍の腹に我々はいる・・・」「何だって」方々から声
がする。「どういう事か教えてくれ白髪王よ。」「なあに簡単な事だ。こいつらかが今
アインシュタイン博士の夢枕にでも言った事が 今起きているだけだ。」「相対性原理
。」「そうだ。物は光の速さを超えないって話だが、同時に我々は反物質が走る空間。
すなわちこの木の意識の下にいる。我々霊体はエネルギーも物体としての質量もない。
人々の言うブラックホールと言う光さえ飲み込む中のその又時間さえ止まっている中と
いう中にいる。かくて昔物質と反物質が出来たビックバンの後 この木が反物質を食べ
た。いや固めた。そうして時間は一方通行になったが この龍がその反物質を固める物
の集まりで 今や自由にその過去に行ける。その乗合バスに飲み込まれたのだ。」「・
」「現生では光と言うより極限の速さよりは速くは何物も動けない。だが意識界霊界は
物が無い世界だ。だからこそ生を生じさせ無から有を産む事が出来る。だがそこに時間
が存在しているのだ。一旦時間のある世界に行けば戻る事は出来ない。したがってここ
時間のない世界に物が来る事はエネルギーにしかならない。そのエネルギーこそが霊界
であり意識界なのだ。」「E=mC2・・ってか」「そうだそしてその止まった時間は
それは光でも熱でも電磁波でもない。暗黒物質との摩擦だ。この木のもつ大地だ。」「
大地だって・・この宙に浮いた木が大地に立っていると。」



766: 名無しさんAA:13/07/28 17:03
黄泉の国物語 111

「大地と言う栄養」「そうだ。そう考えれば良い アインシュタインは重力を加速する
ロケットの中と同じと言ったのだ。それが質量とした。では加速して何処に向かってい
るか。どこにも向かっていない。質量は圧迫されて反発しているだけだ。この暗黒物質
に。つまり逆に言えば重量ある物は常に暗黒物質を物を放射しているのだがその力が外
に伝わらない状態にある。だが隙間の多い空間にはその反動に重力を保てない。そこで
電磁波や熱や光の粒子が外に向かう。がここは逆だ。この空間は時間も光も閉じ込める
芯はかなりの圧力を受け およそ太陽ごとき放射でも、胡麻の粒より小さく逆行する時
に閉じ込められる。それは海の底で空き缶が水の圧力で潰れるように暗黒物質も又そこ
に押し込められた。その世界に一体何が行けるというのか。我々のような霊界の意識し
かない。ここが肝心だ。人の意識ではない。霊界の中の意識だ。何故光より早く行ける
かがその理由がそこにある。人の意識も様々な粒子の大きな空き空間の中をめぐりゆく
。だがこの我々のいる暗黒物質とて時間の中にある場合のみだ。今や虹色の龍が腹にい
る事でもその人の意識は耐えきれなかったのだろう。だからもっと薄い重力や時間の影
響のない我々の様な霊界の意識言わば魂をこのパラレルの芯に向かわせてみたのだろう
。この虹色に見える龍は そうした暗黒物質や時間を跳ね返しているから時折その虹の
姿を見せるだ。かつて青龍が水しぶきを上げているように。」「つまり人間界でいう所
の運命を時間を逆行させ具現化させたるように、と言う事。」「そうだ。」「レインボ
ウドラゴン・・・あっ・・禅問答の世界・・」「そうだ其喪参切羽の世界だ。何の障害
もないものは光より早く動くし時間より前にも後ろにも行ける。それがわしらが常世の
主と言われる所以だ。過去にも未来にも何処にでも行ける。」「そしてこの真実の木の
芯ブラックホールの芯 時空を超えた宇宙の芯まで行ける。」「36億年の昔にまでも
・・」「そうだ」「いやいやもっと前だ それは太陽系が持つ宇宙でありある時の種子
の芽でしかない時代。原始宇宙ではない。真宇宙の世界までもだ。」「だがわしらは、
行っても行くだけで何もできない。幽霊が現生界に何もできない様に。」「そしてそこ
には人間のみならず様々なものの欲や夢や悔いや怒りや悲しみが集まって来ている。」
「・・・」「その整理をしようと2人は行ったということか。」


767: 名無しさんAA:13/08/03 20:45 ID:1vw
黄泉の国物語 112


「それはわしにもばばにも解らん。更にわしら自体彼らに見えるのか見えないのか 声
が聞こえているのか聞こえてないのかさえ解らん。わしらは霊が現生界を見るように彼
らを知るだけで手を出すどころか話しかけることさえままならぬのじゃて。
 「そうか。我ら只々意識界の住民でしかあり得ないのか。」「そうだ。だがその意識
こそが光速をも超える力を持つ。そして われらはその意識界の住民の更なる意識何ら
実体のない意識が常世の主と言うわれらの存在だ。言わば岩や石或いは地球などその物
の意志。従ってどんなに動こうともどんなに叫ぼうとも聴こうとせずば聞こえない。」
「そうじゃ じゃからしてある時は天使とある時は悪魔と勝手に呼ばれていたがのう。
」「お前らはいい方じゃて 人間共に幻も夢も見させる事が出来る。悪夢も暗い気分も
。じゃがわしらはせいぜい太陽風をして銀河弾や宇宙線を守る事ぐらいじゃった。」「
守り専門の神の夢と人間の持つ欲望の夢という実体のない者同志の対談か。おもしろい
例えをするものじゃな。この虹の龍の腹の中で。がこの虹の龍が何処でわしらを降ろし
てくれるか・・ ん。。」「さっきは定期的にこの龍は見周りしていると言うことだっ
たはずだ。と言う事は 常に何億年も瞬時に往復しているのかこの龍は。」「という事
は ぬぬぬ 謀ったな常世の主このままいる事が正常になってしまう。わしらがこの腹
から出る時がビッグバンの新たな始まり 生き物の意志の中の神。その神の中の意志に
われらが命があるとすれば われらとて生き物進化を望む事を有する。常世の主お前の
意志が電脳社会を創ったのか。神々を排除しようと。われらを誘いだすために。」「・
・・」「どういう事石や岩の意志とは何。」「つまりは人間などへに砂時計を背負わせ
たという事だ。この婆と爺が。」「何のために。」「大きな宇宙の意志として いや霊
界や暗黒界の秩序の為に。生物界に2割の欠陥があるようにどんな物でも完全体を目指
す事は石や岩いや光でも同じだと言う事だ。」「それが暗黒界の秩序。」「そうだ完全
が無いという完全さだ。」「保持保身。」「常に動く事を止められない時間の中で時間
を創ってしまった以上光さえも動いたまま閉じ込めるしか方法はない。輪廻やサイクル
生物環の世界だ。」「それがパラレル世界の中心。」「そうだ そしてそれに疑問を持
った二人とその疑問を導きだす我らを人身御供のごとくに 同じ手法で龍の腹に閉じ込
めたのだ 自分達の命とも引き換えに。そうだろう 常世の主。」


768: 名無しさんAA:13/08/03 21:20
黄泉の国物語 113

「常世の主答えよ。我らを何故に此処に閉じ込める。我らを何故に虐める。そして何故
我らは此処に生きている。自立した意志を持って。そして何故2人を助けようとしたん
だ。答えよ常世の主 とても運命ではないはずだ。あの二人は何故に我らと会って共に
闘おうとしない。」「誤解じゃよ。途方もない誤解じゃよ。我が民は何も現生界も暗黒
界も或いは無の世界も神々の世界もこのパラレル界も何もかもが関知するものではない
。ただただこの真実の木のみが我らの知るところでよりどころなのだ。お前達ならば解
るはずだ。慈愛と言う名の甘露の雨を降らすことがどんなに大切な事か。何も無い所で
愛や信心からのみ創りだす まばゆいばかりの小さな命こそが 存在価値のある唯一のも
のである事が。」「その真実の木の意志によって我らは生かされ此処に来たとでも。」
「いやお前らはここまで 意志は自ら望んで此処に来たはずだそして今も又生かされて
いるのではない生きる資格を追い求めて生きているはずだ。」「まるで鳥の心情だな。
常に食べ常に飛び常に生かされる所を探す。飛びながら安住の枝を探し求める。」「・
」「だが今まだ隠しているはずだ。真の目的を。」「真の目的・・」「ああ言うなれば
最後の晩餐 仏教での宇宙の輪廻転生。」「はははは なんだそういう事か。」「笑い
話じゃない。この疎に大きな原子の中で お前達は影響が無いだろうが 我らは大きい
ダメージだ。更にこの何んともしようのない虹の龍の腹に納まった事はお前らの思うつ
ぼではあろう。」「さすが神々の王になるにふさわしい洞察力じゃてなぁじぃ。」「お
うばばや。わしが言った通りだろ。暗黒神 魔界の帝王が友を間違うはずがない。」
「どういう事。・・」「こいつらはわしらにもう一度神の創始者となって貰いたいとで
も思っているのだろう。この虹の龍が時間を遡ってい理由が 全てのパラレル世界の一
掃なのだ。もちろんこの真実の木の病根を直す為にな。なあに先の二人はわしらが来る
様に 餌として先行させたまでだ今だ生きているはずだ。正義の使徒として。」



769: 名無しさんAA:13/08/15 10:11
黄泉の国物語 114

「さすが察しが早い。」「何を偉そうに。我らに新たな世界の創造主となるを求めただ
ろうが 決してわしらはここを出ない。」「そうかな それが出来るかな。」「・例え
逆行する時間に彷徨い流浪の旅人となろうとも 古いパラレルワールドを壊したりはし
ない。つまり新たな創造主になろうはずもない。」「ほほう 果たして先行して待って
いる2人を見はなす事ができるかのう。」「人質か。」「まあ見放す事も他愛もない簡
単な事じゃが」「いいや決して見放しはしない。ここに来てまで助け出す事は当然だ。
が お前達の魂胆が解った以上 手伝いはしない。もし無理強いしたとしてもお前達は
幻覚と同じに我らに手出しが出来ないはずだ。」と言い終わらない時青鬼が足元の小石
を投げた。その小石はまるで煙に投げる様にすっーと身体を抜けて 龍の鱗の闇の中に
消えて行った。それを見て、他の赤鬼も黒鬼も次々に投げた。顔に当たりそうになった
時わずかによける。あわてて白髪王は子供を制する様に「止めよ。」と言ったが、常世
の主は「あははは、無駄だ無駄だ。無駄な事だ。もともと実体のないわしらに歯向かう
事は不可能な話じゃ。あはははは。お主らが気が変わる頃に又会おうて なあ。お婆や
」「そうじゃのう しばし時を置かねばわしらの云う事を解らぬようだてのう。」「そ
うじゃ そこの鬼っこ達に良く話をして置くが良い。時の神は何時でも何処でもお主ら
の悪行を見守っている。とな。このパラレル界を守る真実の木を守る事は 当然ながら
お主らの命を守る事だとな。」「・・・」「そうじゃ お主も速く神の意志を悟るが良
い。子孫繁栄と具主の神は契約をして この木を育てたのだ。この木が枯れる事あらば
お前たちの親である暗黒神も白日神大いに悲しむ行為のはずだ。その意志の上にわしら
がいる。白王の名も黒王の名誉も王冠も時あってこその成り立ちだて。歴史の正しさは
今のお前が証明せねば 誰がそれを行う。どうだ違うか。じゃあ又会おう。」と消えた


770: 名無しさんAA:14/01/25 23:36 ID:Pb.
黄泉の国物語 115

 鬼っ子は揃って振り向き「白王様。」「白髪王」とそれぞれに呼びかけた。ただ茫然
と立っていた白髪王は突然よろけたが 白馬はすぐさま後ろに行ってその身体を背なに
受けた。「ああ・・」と言うなり座り込んだ白髪王に又口ぐちに呼び掛ける。「白王様
。」「ああ解っている この虹の龍からどうにか脱出せねばのう。」「じゃが手立てが
見つからぬ。更に常世の主が何物かが今だ解らぬ。」「・・・」「ああは言ったものの
さてさてどうしたものか。」「大丈夫ですわ 私らは今だこうして健在だし人間と違い
食べ物がいらない身体だから。」「ああ解っているだが問題はこれだ。」と石を手に持
ち投げた。投げた石は遠くまで飛んだが 虹と交わろうと言う所で突然消えた。時間の
壁に飲み込まれたのだ。「あの壁が動かない保証はない。今のところ動く気配も無いが
のう。」みな口をつぐんだ。「う〜ん。」と座り込んだ老人は「こりゃ^困った。」と
天を仰いだ。「あの 例の真実の木の葉は役に立たないの。」とそっと娘が言った。「
ああこの魔法のような木の葉も 魔法があってこその木の葉じゃけにのう。今やわしの
身体には 霊気も覇気も何も無い事が解ろう。わし自身このこの身体を保っているのが
やっとだわい。いや〜困ったのう う〜ん。」とうなった。「でもその真実の木の葉は
霊力で薬にもなるのでしょう。少し食べてみたら。」「おおそうじゃな 他人にはやる
が自ら飲んだ試しが無かった。少し噛んで落ち着いて考えてみよう。」「ええきっと何
か良い方法もあるはずだわ。あの幽霊のようなタコ坊主の言う通りにならなくとも。」
胸元からこそぐり 財布のような袋を出し「おお皆も咥えてみな わしのようにな。」
と自分は一枚だけ口にして他の者に 3枚ずつそれぞれに手渡した。それはまるで昔の
ままごと遊びの料理の様でもあり金を払うような遊びの様でもあるような光景だった。
が「・・あははっははっはは。。なんだそういう事か。おかげで気がほぐれたわい。そ
うかそうか。ここはパラレル界の中心じゃったわい。そうか。そうか。忘れていた。」
と叫んだ。



771: 名無しさんAA:14/02/01 06:46
黄泉の国物語 115

 鬼っ子は揃って振り向き「白王様。」「白髪王」とそれぞれに呼びかけた。ただ茫然
と立っていた白髪王は突然よろけたが 白馬はすぐさま後ろに行ってその身体を背なに
受けた。「ああ・・」と言うなり座り込んだ白髪王に又口ぐちに呼び掛ける。「白王様
。」「ああ解っている この虹の龍からどうにか脱出せねばのう。」「じゃが手立てが
見つからぬ。更に常世の主が何物かが今だ解らぬ。」「・・・」「ああは言ったものの
さてさてどうしたものか。」「大丈夫ですわ 私らは今だこうして健在だし人間と違い
食べ物がいらない身体だから。」「ああ解っているだが問題はこれだ。」と石を手に持
ち投げた。投げた石は遠くまで飛んだが 虹と交わろうと言う所で突然消えた。時間の
壁に飲み込まれたのだ。「あの壁が動かない保証はない。今のところ動く気配も無いが
のう。」みな口をつぐんだ。「う〜ん。」と座り込んだ老人は「こりゃ^困った。」と
天を仰いだ。「あの 例の真実の木の葉は役に立たないの。」とそっと娘が言った。「
ああこの魔法のような木の葉も 時間があってこその木の葉じゃけにのう。今やわしの
身体には 霊気も覇気も何も無い事が解ろう。わし自身このこの身体を保っているのが
やっとだわい。いや〜困ったのう う〜ん。」とうなった。「でもその真実の木の葉は
霊力で薬にもなるのでしょう。少し食べてみたら。」「おおそうじゃな 他人にはやる
が自ら飲んだ試しが無かった。少し噛んで落ち着いて考えてみよう。」「ええきっと何
か良い方法もあるはずだわ。あの幽霊のようなタコ坊主の言う通りにならなくとも。」
胸元からこそぐり 財布のような袋を出し「おお皆も咥えてみな わしのようにな。」
と自分は一枚だけ口にして他の者に 3枚ずつそれぞれに手渡した。それはまるで昔の
ままごと遊びの料理の様でもあり金を払うような遊びの様でもあるような光景だった。
が「・・あははっははっはは。。なんだそういう事か。おかげで気がほぐれたわい。そ
うかそうか。ここはパラレル界の中心じゃったわい。そうか。そうか。忘れていた。」
と叫んだ。



772: 名無しさんAA:14/02/01 06:47
黄泉の国物語 116

「何かいい妙案でも。」「いや何こういう事だ。」とひそひそと小声で言った。「いい
かみんな 恐らくやつは次の我々が悲嘆にくれた姿を見たがってやって来る。その時に
顔に向かって行くんだ。そう皆んな一緒にだ。同時に顔その目に向かって行くんだ。も
し何かが放たれた時には少し上の額に向かって行っても良い そこがこの龍の出口だ。
このまやかしの光の龍から出るには この一つしかない運命の入り口に向かうしか他に
方法は無い。いいかもう少ししたら奴が来る筈だ この龍の速さが少し遅くなると同時
のはずだ。姫はピプロに乗っていたが良い他の者も足が遅いのであれば白馬に乗れ。い
いか同時にだぞ。それから白馬達よあまり早く走るな。そうさな白鬼に合わせたぐらい
の速度だ。わしも同じく行くがわしは何せ老体だからな。何白鬼がワシにあわせ白鬼に
白馬達が合わせれば良い。皆もワシに合わせよいいな。同時にだ。ははは。これで良い
。その時少し霧のの様な透明の龍の流れが遅くなった。「今じゃ。投げろ ドンドンな
げろ。」とその中から現れようとした影が少し揺らいだ。だがひるまず幾つもの石ころ
が投げられ「よし行くぞ。」と杖を前にして霧を切るそして少し小走りの様な調子でど
んどんと進んでいく。勢い霧が深くなった。「ひるむな進め絶対に離れるな。」まるで
猛吹雪に山を降りる登山家のようであった。しばらくすると 霧も晴れた元の岩の穴倉
の中にいた「よし晴れた。皆の者いるか。」と老人は振り返った。するとぎょっとした
。後には手が繋がった 得体の知れない者が 一人は大きな口を上にして倒れそこから
黒鬼が出て来ていた。そしてその横には大丈夫かといわんばかりよりそう様な5つ目が
後ろにいた。「お前が 常世の主の正体か。」五つ目の二つがぎょっとこちらを睨んだ
。「遊びがすぎたな常世の主。」「。。。」「お前が時間を滅ぼし 又昔の無地の世界
を織りなそうというのは解った。恐らく悔いての事であろうが だがそれは不可能じゃ
。世界を飲み込もうにも今や 世界は広がりの中ありお前の胃袋の龍では消化は出来ぬ
。」



773: 名無しさんAA:14/02/04 02:46 ID:EXo


黄泉の国物語 116

「胃袋の龍・・・」「ああそうだ この常世の主は時間を歩くと言うのは真っ赤な嘘。
只単に 裏返しの世界への入り口に過ぎぬ。と言う事だ。」「・裏返しの世界・・・」
「ああ かつてわしらは 単に物質にすらもなってない時代があった。常世の主がこの
世の創造主であるのは間違いない事実だろうが。常世の主であって神になれない理由は
一つ。意志や意識或いは精神世界と言っても過言ではないが その中の芯であって単な
る記録を司るのみだからだ。つまり架空の意識のない意識。」「意識のない意識。」「
ああ夢と同じ。いや動けずひたすら人に問いかけると言えば 現実世界では大木や植物
と同じと考えればいいだろう。」「木々・・・大木」「そうだ我々が真実の木としてい
たのが彼らの神経 更に我々が乗って居たのは彼らの胃袋。そしてこのパラレル世界の
芯こそ彼らの病巣 精神の病の中心。真実の木の実は結局はのみ込んではいけない時間
の病原菌を飲んでしまった事に他ならない。」「・・・・」「まあ人間の身体が外に向
かって出来上がったもの、とでも言えば簡単に理解出来るかも知れない。其れゆえに、
実体のない精神世界の身体を持つとでも言えよう。そしてわれらの知る現生界はこいつ
についた細菌のようなもの。この黄泉の世界も又こいつの皮膚のようなもの。と言う事
だ。あまりにも大きく 宇宙の果てまで図体がでかい為に見落とされがちだが ただそ
れだけのこと、意味はない。問題はその意味の無い宇宙の中で異物が時間と空間を作り
いつの間にか 生物やら意識というものまで作ったと言う事だ。そのせいで彼らには、
限られた命やら 時間と言う仕切られた観念が作られ 死ぬことの無かった身体が死を
知り得た事。それがこのパラレルを作った。つまりは不安が芽生えたと言う事じゃ。」



774: 名無しさんAA:14/03/16 09:19 ID:pZM
黄泉の国物語 113

「常世の主答えよ。我らを何故に此処に閉じ込める。我らを何故に虐める。そして何故
我らは此処に生きている。自立した意志を持って。そして何故2人を助けようとしたん
だ。答えよ常世の主 とても運命ではないはずだ。あの二人は何故に我らと会って共に
闘おうとしない。」「誤解じゃよ。途方もない誤解じゃよ。我が民は何も現生界も暗黒
界も或いは無の世界も神々の世界もこのパラレル界も何もかもが関知するものではない
。ただただこの真実の木のみが我らの知るところでよりどころなのだ。お前達ならば解
るはずだ。慈愛と言う名の甘露の雨を降らすことがどんなに大切な事か。何も無い所で
愛や信心からのみ創りだすまばゆいばかりの小さな命こそが存在価値のある唯一のもの
である事が。」「その真実の木の意志によって我らは生かされ此処に来たのか。」「い
や 意志は自ら望んで此処に来たはずだ そして生も又生かされているのではない生き
る資格を追い求めて生きているのだ。」「まるで鳥の心情だな。常に食べ常に飛び常に
生かされる所を探す。」「・・・・暗闇の中の不安感と光の中の虚心と言うことか。」
「そうだ 何も我々が暗闇を創った訳ではないし 光を創った訳ではない。」「・・。
自然界いや時が求めたとでもいうのか。」「そうだ それは石であれ植物であれ動物で
あれその意志を継いでいる。」「なるほど 暗闇の中では人は何かを頼り 光の中では
周りが見えぬほど虚が来る。」「そうだ更に大きな暗闇や自由がないところでは何物も
動けない。つまり他の力でしか動けない。またより大きな光では目を瞑り或いは自らを
消滅させ昇華させてこの世の存在からも消える。このことは何物も同じという事だ。」
「そうか お前はそのバランスから今や光が増えて病んでいたとでも。」「いやそもそ
もブッダは闇の住民そしてジャイナは光の住民のはずだった。だがブッダは闇の中の光
の大事さを説いて ジャイナは光の中の影の大事さを説いたのだ。馬鹿な事に。これが
闇の大事さや光の大事さを無くしたのだ。



775: 名無しさんAA:14/03/16 10:11

黄泉の国物語 119


「・・・現世界の 暗闇の中の不安感と光の中の虚心と言うことか。良くある事だが」
「そうだ 何も我々が暗闇を創った訳ではないし 光を創った訳ではない。」「・・。
自然界いや時が求めたとでもいうのか。」「そうだ それは石であれ植物であれ動物で
あれその意志を継いでいる。」「なるほど 暗闇の中では人は何かを頼り 光の中では
周りが見えぬほど虚が来る。」「そうだ更に大きな暗闇や自由がないところでは何物も
動けない。つまり他の力でしか動けない。またより大きな光では目を瞑り或いは自らを
消滅させ昇華させてこの世の存在からも消える。このことは何物も同じという事だ。」
「そうか お前はそのバランスから今や光が増えて病んでいたとでも。」「いやそもそ
もブッダは闇の住民そしてジャイナは光の住民のはずだった。だがブッダは闇の中の光
の大事さを説いて ジャイナは光の中の影の大事さを説いたのだ。馬鹿な事に。これが
闇の大事さや光の大事さを無くしたのだ。」「それで常世の主のおばばとじじいが我等
をおびき出す為に ジャイナとブッダを引き寄せたのか。」「いいや違う わしの顔を
よく見てみ。そこに倒れたじいをよくみてみ。」「・・・・・・・」「そうじゃわし等
は時空を超えて旅した為に生まれたものだ。」「・・・あ・光のジャイナと闇のブッダ
のなりの果てw・・・」「そうじゃ 今頃気づいたか わし等は永久に死に絶える事は
ない。この倒れたブッタとて 又元に戻る。死んだ訳ではない。だが時が消える事はな
い。例え時空を遡ったとろで時間が短くなったわけではない。アインシュタインの見つ
けた瞬時拡大するビックバンの中に更に子供のビックバンが生まれただけのことだ。い
うなれば風船の中の風船 膨らます前の風船にはならないのじゃよ。」「それで野たれ
死にも出来ない体でさまよえる中で我等を呼んだというのか。」「・・・・」「泣きつ
いて哀れみや懐かしさを積んだとて何ら解決に寄与するものがない事を悟って食べたと
いうのか。時空を超えない時空の旅人となって。・・・」「ただだだ予見と知見を行く
悟りから 実態の体を失っただけで 何ら超えられなかったということなの。」


776: 名無しさんAA:14/07/06 18:25 ID:L9Y
泉の国物語 120

 「いいや違う ブッタが説いた光とジャイナが説いた闇は そもそも時空なんぞ無か
った筈だ。時空を超えて旅をしたのは理由があるはずだ。」「そうだわ。ブッタは人の
哀れみから人情の大切さを説いていたし ジャイナは世界が人間界だけでは無い事で、
人は大自然の中で生かされている事を説いていた筈だわ。そんな考える人がまだ奥にあ
る人間の本性や時間を遡った地球誕生を見て、それが奇跡的価値と見るのが普通であっ
てその尊さから、悲観を産む事は無い筈だわ。」「・・ふふふ・・それが悲観したんだ
よ。人のもつ性というものに。」「・ひとのもつサガ。」「そうじゃよ人や物の持つ至
って簡単な性だ。」「食べると言う事・・」「いいやそうじゃない。確かに食べねば生
きられない。だがそれは2億年も前に植物が解決している。成程生命体はエネルギー源
を外に求め捕食しなければ成長どころか生命維持すらも出来まいが それは人間のみな
らず動物や魚或いは植物に至っても同じにある。だが木々が覆い茂り酸素過多で自らの
生命の危機を植物が克服した時に既にそうした事の解決が見出されている。」「雑草や
花の誕生か・・」「そうだ。木々が自らに生きる為に 新芽のみならず大きくならぬ力
で捕食者を募り花を持ったり虫や動物に場所の移動やら外敵から防御を頼み 相互共済
の道を選んだのだ。つまり草や花はその時以来既に子孫繁栄の実の大半が無駄に終わる
事を解って大量の生産を開始しているのだ。虫や獣もその後その恩恵に預かる者として
その多くが無駄となって居ても無駄としない知恵として捕食と採食の中に身を置いたの
だ。つまり産まれた時からそれは完成された無限域の中にいて何ら問題なぞが無い。」
「食べる事が悩みでなければ私達と同じ。あと一つは生命の寿命だけ。いや我らとて、
寿命はある。ただ長いだけだ。」「別に他にあるとは思えない。」「生き物に無くて、
人間だけにあるもの・・・そんなものはないわ人間だけが進化した訳ではないもの。」
「いや待てよ 人間が持って進化して来たものは知恵か知識か。」「でも知恵や知識っ
て虫や動物に無いわけでもないわ ただちょっと多くあるだけで・・」「そうか。それ
だ・・・ちょっと多いだけちょっとすごいだけで 地球上で帝王のごとく蹂躙している
人間界・・そういう事か。」



777: 名無しさんAA:14/08/17 23:05 ID:C.w
黄泉の国物語 121


 さすがじゃな白王 そうじゃ 人間がもつ性(さが)。その傲慢さじゃよ。およそ今
まで自然界の規律において 一つでも傲慢で不良者(ふつつもの)は生きられない事が
掟じゃが 事もあろうに人間供がこの世にいでし頃から この世界で人間だけが そう
した緩慢な者や傲慢な者こそが自然消滅の目に会わぬように変わったのじゃよ。策を練
って保身に技術にと進展し今では自然界を壊しては自らの首をしめるのだが止める事を
知らぬらしい。そうした自然界への傲慢な背信行為に悲観したのだ。」「なるほど思念
・・残存思念・・・の問題か。」「なにそのざんぞんしねんって。」「誰もが口にする
ものの過去は生きているものの形を変えた姿。捕食者に受け継ぐ生への営みの証はその
まま食べられてしまう被食者の声を聞けと言う話だったのか。」「なにそれって植物さ
えも声を出していると言う事。」「そうだ。人間のみが加工し火を使い味付けし保存し
残存思念を聞かぬ。」「それでも強い念は聞こえるものだろうに。」「つまり幽霊の話
。」「ああ姫 現世では幽霊とも言う。我々が今こうして形を持って話しているのも又
その残存思念のおかげじゃ。目に見える物と同じ様に思念も又人の身体木の姿のように
骨格があり血があり肉があり動いている。通常見えないだけでのう。」「・・・で・・
」「そうか・・・・姫見つかりましたぞこの者からここから抜け出すカギが。・・・」
「何を小癪な白王よ 何か解った所で今更ここを出ようともがけど時は戻らぬわい。」
「いいや・・すでに時は戻り始めていようぞ。」其処に白い霧の姿の龍がやってきては
悶え始めた。」「うぬ・・何をした。・・・そうか思念波か。はははは・・だが 無駄
じゃよ。どんなに戻っても進んだ時間との矛盾はこの世界では吸収出来ない。」「はた
してそうかな。」「何・・」「成程我々10人がやってきた意思や残存思念で時間を後
戻りさせても其れが嘘の世界である事は充分知っている。そしてこの世界がパラレルの
ブドウの房のほんの一粒でどうしようもない事ぐらいは理解している。」「何を偉そう
に。」「じゃが婆よ。ジャイナとブッダが消えた理由が解ったのだ。」「・・・あ」「
そうだ婆観念して消えるが良い。既にパラレルもこの世界での矛盾を取り除こうと動い
ている筈だ。我々は時間を移動できない。じゃがいくら時間に旅が出来るお前達ても、
この世界の意思には歯向かえ無いどころかタッチも出来まい。我々は其れが出来る例え
身が消滅してもその異端の意思が消えてもな。」


778: 名無しさんAA:14/08/19 20:09
泉の国物語 122

 「うぬぬ」「さあ早く違うパラレル世界に移ったほうが好いぞ。だが恐らくはどこに
も居場所は無いだろうがな。この木は既に異物としてお前達を認識した筈だからな。ま
るでブドウの房が腐って行くように全てのパラレル世界がお前が来た事で消滅しよう。
」「ななんと言う事を。」「ははは 仕方なかろう。もともとお前達は神を作り出して
も神ではないのだから。」「なにーー」「創造主などとは真っ赤な嘘で 創造したのは
只の時間。その時間が真実の木を育てただけだ。もともと悪も正義もない。作られるべ
き物も消し去るべきものもこの世には存在しないのだ。」「白王さま。」と叫ぶ時白王
は少し色あせたかのように見えた。「ふふふ良かろう自分の身を訂しても この世を無
にきせるつもりか。ははっはわかったわかった思えばお前達を引きずり込んだのは間違
いだったのだろう思えばムハンマドもイエスも居たと言うにのう。」「さてそれはどう
かな。人の未来にムハンマドやイエスが過去にさかのぼる力があるとは思えぬが。」「
なにー。」とその時少し空気が揺らいだ。「急いだがいいぞこのワールドもそろそろだ
。」「まあいい さらばだもう会う事もないだろうがのう。」と突然消えた。だが皆が
集まって来て少ししたその後「うああーー」と言う声と共に少し泡のように身体が点々
と膨れた身体が突然現れ悶え始めた。「意識とは・・・意思とは・・・何故に・・・」
と言いつつ 少しずつまるで水泡が消える様に消えて行った。「遅かったか」「白王」
「もうすぐ 我々の地も消えるぞ。皆もこころしろ。大丈夫だ痛みなど無い。元々が我
々には意思や意識しかない。ともかく元に戻る事を願うだけで良い。なあに目の前が消
えるだけでなんてことはない。と見えている物が霞だした。少しずつだか消えていく。
まるで目が悪くなったようだ。いや身体が無くなって行く。これが無の世界か眠くなっ
た。疲れが頂点に達した時 其処は何もない暗闇すらない世界であった。


779: 名無しさんAA:14/08/19 20:10
 草々が行く01


 「暑い暑いのう。」とひげもじゃの小柄の武士がつぶやいた。「若、この辺で一休み
しましょうか。」と言った。「いやまだまだ追ってがやって来てるやも知れない。草野
の伯父貴の所まで早くつかねば。「はっ。赤影黒影付いてきておるな。一気に左京の野
島まで行くぞ。良いか。」「構いませぬ我らは何処までも付いていくのみ。追って白影
も伊賀の森から駆け付けるでしょう。」「うむ それでは若もう少しです野中の兄じゃ
の家まで日が暮れるまでには着くでしょう。」そこにはかつては 大倉の米の管理者と
しての金丸氏をも雇っていた蒲地氏の威厳が備わっていた若武者を囲んで急ぎ足で歩く
4人の姿とその後をついていく10人位の虚無僧と木々に隠れてついていく忍者の姿が
あった。この頃九州では菊池氏が新任の九州探題が着いた大宰府の命を受け元寇を征伐
せんと福岡有泉まで遠征してきたものの この九州の名家を少宰氏と大友氏によって謀
りごとによって連れ出し打ってから 既に二百年も経とうと言うに今だ九州の騒乱は静
まる事はなかった。それどころかはるか室町時代の話だったものが、戦国時代の今にな
ってもその争いは菊池家の衰退で家臣阿蘇家との仲違いし 更に新たな大友氏の勢いは
その子孫の相続と共に 大友家臣団にまで及び引きずったまま騒乱は残っていた。欲深
き関東武士である大友氏も実は関東からの国防軍としてやって来たもので大分を本拠に
していた宇佐氏に気を使い少し離れて暮らしていたが このころでは毛利氏が勢いに乗
って朝廷の守りである長門のおさである 大内氏が家臣の陶氏の裏切りによって攻めら
れる中にあっては天下は大友氏の手中の中にあったとも言える。というのも毛利氏が今
瀬戸内海の船に税を掛け始めた為に 朝廷は朝鮮からの運航は止まり大内氏はそうした
その船の警護役として役目に、毛利氏征伐する為長門の国安芸の国に戻って来たのだが
卑怯な毛利の夜襲や寳来球などの使用で全く歯が立たない中で敗退し 時流は変わって
しまっていたのである。頃は大航海時代の走りでありイスパニアの船は貿易しようと日
本近海に来たがその頃の台風は多発する時期であった為漂流し宮崎沖に停泊してしまう
事件があったのである。


780: 名無しさんAA:14/08/19 20:10
 草々が行く02

 この時日朝貿易の権利を持った大内氏は孤立無援のままであった。海外の珍品を朝廷
献上で朝廷から可愛がられてはいたものの朝廷そのものは直接権利を得たいと思ってい
た。が元寇以来朝廷すら番犬としての武士を抱えていないかぎり その公権は無かった
。それどころか毎年税として貢がれる食料すらも手当出来なくなる可能性があるのだ。
生死を分ける公権力の行使には談合の上慎重にするべきものであり その為関東の執権
北条氏の意向に逆らうような事は出来なかったのが現状だ。すなわち朝廷側からしても
鼻が高い関東武士の作った新しい組織幕府とは蔭ながら敵対している中であってここで
大内氏の協力がなければ風前の灯の形であった。そこで近在の大内氏には太宰の地位を
与えたし 大内氏はその太宰の地位を利用して一手に国外の海外取引の窓口となってい
た。勘合符貿易の相手としての資格はこの大内氏以外はどの大名も持たなかった。その
為火薬の製法や鉄や銅銭の技術など先進的なものは大内氏以外には無いものとの認識で
日本国中の意識は収まっていた。がそれも僅かの間であり大内氏が都から帰って来る頃
は大きく違ってしまっていたのである。 南北朝時代、源三圓の末孫蒲池武久は多々良
浜の合戦で討死にし、娘が一人残された、その夫となった宇都宮氏が蒲池の家督を継い
だとされる。元来、久憲の曾祖父宇都宮貞泰は 息子の貞久・貞邦は懐良親王が九州に
下向した時、菊池氏とともに征西軍府に加わわり大保原の合戦に出陣、この懐久の子が
久憲で、蒲池氏の娘を娶って蒲池家再興をしたのであった。こうした京の都の事情で、
九州が争乱に明け暮れる事は多々あったが この南北朝時代が終わった事で筑後の地は
比較的平和な時代になった。それでもかつてからの清和源氏と桓武平氏の「源氏平氏」
の遺恨のままに入り乱れて生活している状態であったのだ。門前町として瀬高寺が柳川
を覆いこの日本の中では大宰府に近い寺町を形成していたのだが、海賊の始祖とされる
純友の乱の時の火矢によって社より寺町まで大きく10Km四方は燃え尽きていて人々
は細々とその地で暮らしていたと言われている。



781: 名無しさんAA:14/09/03 01:33 ID:rW.
 草々が行く03

 そうした信心深い久末の民を救ったのは 他ならぬ日子宮を本拠にした修験道の僧達
であった。かつて南北朝時代に大塔の宮としてこの地に降りて来た皇太子も宇治八幡の
繋がりで 足利氏の要請で菊池の行軍によって南北朝時代を創っていたのだが、そうし
たエゴンの郷としてあったこの柳川から 同じ様に西国防衛にやってきた関東武士蒲地
氏は山川の地に移住していた宇都宮家を縁戚として 八丈島からの船を大牟田に出迎え
て新たな町をこの紫牟田の地に作った。その後この柳川に蒲池久憲は応永年間に城郭を
拡張して、鹿島明神を勧請しては城下町を築き蒲池氏発展の基礎を作った。ちなみに、
蒲池氏の場合、久憲以前の嵯峨源氏系蒲池氏を「前蒲池」といい、久憲以後藤原氏族の
宇都宮氏系蒲池氏を「後蒲池」を呼んで区別している。この頃日本海からやって来る海
賊が頻繁に日本を襲った。小さなスピードの出るペーロン船だった為日本の北周り船の
ような櫓漕ぎでは全く追いつけなかった。其れに乗っていたのが刺青女性ばかりだった
事から女真族とされたが 至って転々とした略奪が多かった事から人々は生活に困った
。がそのうち住み着き始め尼子氏と名乗り出雲近くを縄張りとした。尼子氏は近江源氏
佐々木氏の流れで、出雲の月山富田城を根拠とし、十六世紀初頭には、山陰・山陽の両
道に覇をとなえた代表的戦国大名にもなった。当然この事は大内氏毛利氏の戦況には、
大きな影響を及ぼした。承久の乱後、東国より備中国三村荘に西遷されたという。三村
信濃入道は成羽荘の本主であった。戦国期には鶴首城・松山城を本拠にしていたが、そ
の後に 家親が毛利氏麾下で活躍したものの元親が毛利氏を離反したため、毛利氏・宇
喜多氏に攻められて滅亡したとされるが それより前にこの三村氏の流れを組む者が、
この柳川にやってきた それが村を創り二村としたが彼らこそが八丈島と結んだとされ
る船作りの民だった。この船作りによって蒲地氏は交易をして数多く成果を収め街を創
る元となったという。この二村氏を案内したのは後で英の名誉が与えられた英彦山宮の
修験道のいわゆる山法師この地の呼び名で「やんぼすさん」達でその流れは紀元前から
の宇佐八幡の繋がりとされる。キリスト教の流れを組むとされる普化宗は所謂山岳宗教
の古代からのものとされ 虚無僧とはその流れにあった。彼らは今で言う情報屋であり
ラッパとも称されるものだった


782: 名無しさんAA:14/09/03 01:34
 草々が行く04

 こうした九州騒乱時代の戦乱期に彼らは 色々な分野で提言をし避難したり 孤児と
なった者を世話したりかなりの活躍をした。そうした事で今や英彦山と呼ばれている宮
もかつては 日子山や日子宮と呼ばれて居た庶民からは 相当の貴い所とされていた。
その山をして修験道達は縄張りとしていた。遠くは平安時代の奈良に対抗しその頃では
南北朝の朝廷の仲裁役としても活躍していて、今ではもっぱら地区の有力者の動向を知
る者の集団として貴重な存在だった。その彼らを束ねるのが座主でその座主が住まいと
していたのが実は三潴の地の大善時であった。この地にある玉垂れ宮は日本三大火祭り
で有名なのだが その宮の起源は神話の時代まで遡るのである。磯の宮としてこの神宮
は筑紫次郎と呼ばれる大河に行くに程良い枝流にある。そして上流には八女古墳岩戸山
古墳丸山古墳と数々の古墳群がある。更にこの地が三潴と呼ばれる所以は、実は水沼と
して湿地帯で案内人がいなければとても歩く事は出来ない地であったとされ 神宮皇后
の神話では この地を治めていた水沼神君に玉の様な娘が産まれ その子は美しく育つ
。その噂を聞きつけた都の有力者が使者をして娘との婚儀を迫りに来る。そこで思案し
た水沼神君は かねてから計画していた様に 魚を腐らせ家の周りに置いて更にそれを
肌身につけさせ醜い化粧をさせ 大和朝廷側からの使者を迎えたと言う。その時娘を見
た使者は あまりの臭さとあまりの醜さで婚儀の話は解消にして都に帰ったと言う。そ
の後 めでたく磯の宮との婚儀が整い養子を迎えその時にその臭いイワシを焼いて婚儀
を祝ったらしい。それが今の火祭りの鬼夜の発端となった出来事とされる。が実はこの
説の他に多々説があって この地筑後には唯一無二の竹取り神社が小さくあるように、
この玉垂れ宮社も実はかつての正宮は柳川の地にあったとされる。先の室町期での戦火
で柳川の大社の殆どが焼き尽くされて 今の柳川宮永とされ弥四郎町とされる地名は社
(やしろ)の代読みとされる。そしてその修験道の宿坊とされる宿は軒を連ね蒲地氏が
城を持った場所から筑後水田瀬高清水山や大牟田甘木の傍まで久末の地まで広大な地を
鷹尾の社が紫牟田の郷久末の田として栄えていたと言われる。

783: 名無しさんAA:14/09/03 01:35
 草々が行く05

 元々この地を我々が九州と呼ぶにも理由がある。九州と言う名は中国夏王朝時代兎の
政治に遡る。中国での伝説神話の時代三皇五帝の時代が終わってから初めて歴史が作ら
れた時代とされる。遥か紀元前1500年以上前の話とされる。
 夏王朝の始祖は禹(う)で、禹の父は鯀(こん)とされている。鯀は、五帝のうちの
一人である堯(ぎょう)のときに治水工事を命ぜられたが、9年たってもうまくいかな
いため、羽山(うざん)に流されて、そこで殺されてしまう。鯀の後を継いだのが禹で
、禹は13年間も家に帰らずに努力し、ついに治水工事を成功させた。禹は、嵩山(す
うざん)のほとりを本拠としていた。妻は二人いて塗山(とざん)氏の娘で、禹は結婚
4日でまた治水工事のために家を出たという。禹は険路を行き帰って来たときに少しう
つむいていた為、とぼとぼ歩くと言う言葉はこの時作られたと言われる。禹は、後に舜
(しゅん)の後を継いで帝位についた。夏という国号は、禹が最初に封じられていた国
の名からとったといわれている。中国では、その後、これがしきたりとなった。治世の
間に、車・酒・井戸の技術が開発された。九鼎を鋳造したという金属利用の説話もある
 禹は、東に巡幸した際に浙江省の会稽(かいけい)で死んだといわれている。禹は、
帝位を、自分を補佐してくれた益(えき)に譲ったが、禹が死んで三年の喪があけると
、益は帝位を禹の子である啓に譲って、自分は箕山(きざん)に隠棲してしまった。こ
うして、夏王朝の世襲制が始まったという。又この治山治水に使われたのが竹や柳の植
林だったとされ 更に測量に今の下振り大がね墨つぼが使われたと言われている。即ち
おもりをつけた糸で垂直を図り直角定規をもった筒で水平を見て直線を糸に墨つけして
測ったというのである。この時治めた全土を九州として舜帝に報告した所から中国全土
が九州とされた。更に宋の時代倭の五王として(讃・珍・済・興・武)の一人として、
この水沼神君があると言う。伝説では瀬高清水寺に大正初期まで石上神社に伝わるとさ
れる七支刀が祀ってあったとされ七支刀銘文中に見える「倭王旨」(旨は中国風の一字
名称)があり。七支刀の銘文の、この刀は泰和四年(東晋の年号、西暦三六九年)に造
られ、百済王から倭王旨に贈られたものだとされる。先に報告した玉垂命が水沼に都を
置いた年(仁徳五七年・西暦三六九年)と七支刀が造られた年が一致し、その倭王旨は
初代玉垂命と同一人物ということになるとも伝えられる。


784: 名無しさんAA:14/09/14 06:34
 草々が行く06

 そうした事はさておき この蒲地氏が居城を決めて移り住んだ時 彼はこの地では全
く無縁の為に 大した力は無かったとされる。だがこの柳川の地で神社が焼失していた
のを嘆く玉垂れ宮からの意見を聞き入れ 復元した風浪宮の造営が後の蒲地氏の足場を
固め 更に善道寺玉垂れ宮に寄進した事によって多くの信認を得たとされる。更にこの
事が英彦山修験道者達に快く迎え入れられた事により 多くの的確な情報を掴みこの地
を治めるに至ったとされる。もともとは菊池氏と一緒に元寇に戦った事で地領を持った
とされたが 大宰府武藤少宰氏が大友氏と共に謀事において菊池氏はその勢いは小さく
なった。更に家臣である旧名門阿蘇氏との軋轢において内紛をして更に名門菊池の影響
が無くなって来ると 柳川の地はいよいよ危ない事となった。其処で焼跡の街である今
の柳川市街地へと移り居城を造る事になったとされる。がしかしそこへ宮崎においては
異国船が座礁したのである。捕鯨船であったのだが その船には大砲や鉄砲などが乗っ
ていてこうした九州騒乱時代にあっては その世界最新鋭の武器の到着は大きな事件で
あった。更にその地が宮崎沖であった事も事件を大きくした。今まで眠っていた島津氏
をも欲望を駆り立てたのだ。九州治乱記に於いては蒲地氏の系統は京都守護をして大内
氏の下にあった摂津渡辺家が遡る祖先とし左遷させられ九州守護の為に下向した事がき
っかけでこの地に定着したとある。つまりは大友氏以前にそもそも海賊藤原純友一族を
追って追討せよと縁戚である摂津渡辺家に命令が出た事でやって来たらしい。それは又
伊予水軍を従えていた越智一族とも繋がりがあったからだと言う。越智氏は隈本からの
樹木など 即ち紙の原料である三俣(こうぞの木)やら藍染の原料やら蚕の為の幼木な
でを取り扱う豪商であったという。だがその瀬戸内海運が源平合戦以降乱れてしまった
のである。対して平家井上家は時の毛利氏の海運商売を開く為村上水軍からの分家筋の
新たな伊予水軍を使い日本海側の運航していたらしい。旧来の伊予水軍が瀬戸内海でも
太平洋側に勢力を持っていた為にこの水軍達が争う理由は全く無かったのだが、これが
元寇以来 不審な船の夜襲や奇襲によって村々が襲われては不穏な中にあったのだ。更
に有明海運航や日朝貿易には旧来より松浦党支配の地でもあった。この3者の中に海賊
と欧州帆船が宮崎沖で台風による座礁する事件が起こったのだ。事件にならない訳がな
いのだ。


785: 名無しさんAA:14/09/14 06:35
 草々が行く07

 天慶4年(941年)、承平天慶の乱(じょうへいてんぎょうのらん)は平安時代中
期にほぼ同時期に起きた不思議な事件である。関東では平将門の乱が起き瀬戸内海では
藤原純友の乱が起こった。この2つ総称であるとされる。平和な中でも武家武将が出て
自立する自治が芽生えて大和朝廷の威厳が無くなった事で海運こそが国家を支え上納に
よって栄えていた京の都の食糧事情も その警備に当った武士というものによって新た
に国の形が変わっていった。更に今まであまり流通していなかった貨幣である銅銭をし
て平清盛が管理しようと動き出した事が原因とされる。つまり天皇家は米によって物々
交換をしていたしそれは九州を始めとする貢物の天皇家への言わば家賃の様にやって来
る事で それを恩賞として再配布する事で権威が保たれ、更にそうした海運や物々交換
市場を統制し仕切っていた事に天皇や税の生業があったのだ。つまり武士はその品物へ
の警備が本来の仕事だったのだ。だが刀が次々と生産され誰もがを持ち武士道なるもの
すら現れた頃平家などはは力を持った。そしてついにはその経済を一変させる仏教と銭
を大量に輸入しては物の価値を上げてしまったのだ。問題は更に百済から銅の精製技術
が入って来た事も大きな問題でもあった。奈良の大仏を見て解る様に税と違って寄付と
布教活動による銅の回収と百済に送った粗銅の精製されて輸入する銅銭の配布をして、
物品輸送の天皇家より武士世界の時の幕府の方が経済を牛耳ってしまったのである。力
も経済も牛耳られ物流のみが天皇家の持ち駒では権力は維持出来ない。其処に元寇が来
たのである。元寇で海運さえも分裂し更に火薬がこれまでの火付けの用途以外に相当な
武器となる兵器である事が解ったのである。台風で元寇が潰されたとされるが実はそれ
は最初の元寇のみで二度目には相当な戦いがあったとされる。それこそ一度目も博多の
町は焼かれたとされ突然の船体出現に人々は驚いたとされる。ところが元は日本征服が
目的であって先に文書による元に与いる事を勧める使者を送っていた。この事は元には
既に朝鮮半島を支配し余裕があった事が解る。更に日本の仕組みを知らなかったらしく
天皇よりは幕府にその使者はやって来た。天皇が又珍客を利用し復権を願う恐れありと
時の幕府北条氏はその使者の首をはねたと伝わっている。その為に北条氏は壱岐対馬に
その視察を派遣していたと伝えられる。


786: 名無しさんAA:14/09/14 06:35
 草々が行く08

大友氏20代「義鑑」は享禄3年(1530)正室の嫡男を授かった。大内氏の勧めで公家方
「坊城氏」の出とされるが その実は養女とした「大内義興」の娘とも云われている。
幼名は「塩法師丸」のこのやんちゃに育ったこの子は、結構な変わり者好きであった。
僅か10歳にて元服「五郎」と称したが、翌年将軍に拝謁し足利義晴の義の一字を授か
った祖先の意思を受け継いで「義鎮」となった。大友義鎮の誕生である。元服は父であ
る義鑑の13歳に比べ3歳も早い時期に行われた、此れには義鑑自身の気弱さにあった
とされる。義鑑はいずれは大友家を背負う義鎮に対する期待が多くあったと見られる。
義鑑の時も又その父の期待が高くて、13歳の元服と同時に家督を相続し自らに山に籠
り隠居をして現世での悩みである戦さや庶民や領地の安堵からは離れた生活に入った。
それは一つに大分豊前の土地柄にもあった。先の様に古代から面々と続く修験道山伏達
の本拠地を裏に控え、表も又その恐れ多き天皇さえも参詣させては占い師のような 御
神託を口上する宇佐神宮を持つ宇佐氏を前にしてはそうそう領地を広げられないジレン
マの中にいたからと思われる。下手に動けば九州どころか日本を代表した大和朝廷にさ
え逆賊の汚名の下に討伐させられる可能性すらあったからだ。天皇の九州に対する影響
を見ながら更には かつての源平合戦で源氏が勝ったとは言え内紛だらけの中での今や
平家討伐隊として住着いた経緯と その中で逃げては英彦山の山伏になった平家の御落
人(おちゅうど)達も大勢いいる中で ある意味針の筵状態での基盤であったからだ。
九州の長である名門菊池家の勢いを殺し自分が出ようとする欲はある意味当然であった
。が、そこには人心や領地の安泰を図る事がまず先決事項で、更々敵対し攻撃する事は
出来なかったからだ。そこで新たに鎮西将軍として異国船からの防衛に来ていた大宰府
の武藤少宰氏と謀り 菊池一族を倒す策略を取ったのだ。秀吉が黒田家家臣団がこの地
九州の玄関口の領地を治めるまでは天皇直属の若宮家の末裔宇都宮家がそこにいたので
ある。


787: 名無しさんAA:14/09/14 06:36
 草々が行く09


 つまり天慶4年(941年)、承平天慶の乱が起きて、その後平安時代終焉を物語る
源平合戦が治承4年(1180年)から元暦2年(1185年)にかけての6年間にわたる大規模
な内乱が それこそ古代最後の内乱であり中世最初の内乱であるとされる物が国内を走
ったのだが 後白河法皇の皇子以仁王の挙兵を契機に各地で平清盛を中心とする平氏と
言う勢力とその政権に対する反乱が起こり、源氏と言う反乱勢力同士の対立がありつつ
も平氏政権の崩壊により源頼朝を中心とした主に坂東平氏勢力から構成される関東政権
(鎌倉幕府)の樹立という結果に至ったのは 中央京都と関東の話であって九州では、
何ら関係ない所で落ち着いていたものが、大陸の玄関口であった為に文永の役(ぶんえ
いのえき・1274年)、二度目を弘安の役(こうあんのえき・1281年)という2つもの大
きな蒙古襲来があって争乱の要因がこの九州にやってきたのである。最初の世代は真面
目に平家を追い求めて討伐に来たのであろうがその後200年間に世代交代も進み更に
住み着いてしまった武士達が この元寇襲来に於いてそこに住み着く理由つけが出来た
のである。特に二度目の弘安の役において日本へ派遣された元の艦隊は、元寇以前では
世界史上最大規模の艦隊であった上に九州北部が戦場となった場所は浜や陸上の死闘が
繰り広げられて 大いに大陸の進んだ文化即ち屋根の付いた船 火薬をいれた火玉足の
早い馬 両面切りの帯剣や鉄棒やヌンチャク豚の胃袋で作った浮わ鉄製の矢を通さない
甲冑など色んな物がこの島に届いた。そしてその多くの知識は都の宮家よりは地方の豪
族とりわけ武士達に取り入れられ更に武士達は強くなって庶民から離れたものになった
。そうした中での豪族の集団は家臣団とされ 直属の部下と言うよりは親類縁者による
集団で出来上がり 九州の場合は多くが一つ一部落を束ねる産子氏子の集団がその家臣
の村人を結びつけていたものだったのが消えかかり 特に今後の勢力地図である経済力
や戦闘能力による主従関係に傾いて行ったといえる。



788: 名無しさんAA:14/09/14 06:37
 草々が行く10

1333年鎌倉幕府が滅び後醍醐天皇を中心とする建武の新政が始まったのだが、こう
して武士や武家が定着し武家社会時代に突入していたにもかかわらず、後醍醐天皇の望
みは、朝廷中心の古い体制の復興をであった為武士の間には多くの不満の高まりがあっ
たとされる。その中で鎌倉幕府を倒した功労者の一人・足利尊氏は建武五年(1335
年)鎌倉でクーデターを起こし京へ攻め上る。だが宮方の勢力の武家(新田・楠木・名
和など)に破れて九州へ逃れ再起を図った。九州で少弐氏など反宮方の新興勢力を取り
入れ九州守護たちの力を借り、かつての名門宮方の菊池氏を破って再び京へ攻め上り、
宮方を破って後醍醐天皇を幽閉する事になる。南北朝時代の九州での戦いは熾烈を極め
菊池氏と対峙していたが 都では新たに皇族から天皇を立てて、征夷大将軍となり、京
に幕府を開き終焉をむかえ。室町時代が始まった。この頃は幕府から任命された守護職
の御家人が、戦乱や幕府の権威が行き届かないうちに実力で任地を統治・自領化したが
菊池氏は頑なに天皇や朝廷からの肥後守護職を全うし その権限をもって書面では断続
的に就任している。世界史の中ではコロンブスによるアメリカ大陸の発見(1492年)、
ヴァスコ・ダ・ガマによる喜望峰を経由するインド航路の再利用(1498年)がなされた
など大航海時代が既に歴史の中に訪れていたのである。1450年代は永らく続いてい
たローマ帝国支配東ローマ帝国として残っていたが首都コンスタンティノポリスがオス
マントルコによって陥落するに至って新たなオスマン帝国が出現する年代なのだが、同
時ヨーロッパ域内でも 今のイギリスが治めていたフランスやドイツ領内が再び奪還さ
れるという百年戦争がやっと終了した年とされる。だが数ある王家の中でもランカスタ
ー家とヨークシャー家は負けっぱなしでは引き下がれなかった。そこで両家の家紋が、
同じ薔薇の家紋で白薔薇と赤薔薇だった事から薔薇戦争と呼ばれる戦争にひきつがれた
。ごうした事情からも海運の機運は強く船は大砲を積んだ大型貨物帆船の建造は盛んで
あったと思われる。



789: 名無しさんAA:14/09/20 20:52
 草々が行く11


 不思議な事に史料上に安宅船の名が現われるのは、16世紀中葉の天文年間頃である
。河野氏配下の伊予、すなわち当時の水軍先進地域である瀬戸内海西部において初出が
確認できる。この「安宅船」と呼ばれる由来は定かではない。だが戦国時代に淡路近辺
を根拠としていた安宅氏からきているという説が正解であろう。この安宅氏がかなりの
海賊ぶりだったようで、巨大で多くの人の乗り組める船を持つ事から「安宅氏」となっ
たという。またこのあたけは「暴れる」という意味があったとまで言われる。名称に関
しては決定的な説はないのだが、関東武士が元寇対処として馬まで運んだのがこの安宅
船ではなかったかと考えられる。日本の船の種別名では肥前松浦の松浦船、熊野灘の真
熊野船の様にその船が建造され、使われていたりした地名を冠すると考えられるものが
多いのが事実としてある。この安宅船は同じ大きさを有してはいたものの洋船との違い
が二つあった。一つは竜骨という船の芯を走る軸組みが存在していない事で底は平たく
あるが風に弱かったと言われる。更にメインマストのない事だ。この事は決定的に日本
での日本の船の優位差があった。即ち多くの日本の河川は底が浅い物でなければ岸には
辿りつけない。岸壁というものが整備されてない中にあっては底が付く事は座礁を意味
するからだ。更にキャラック船が嵐の中さえ行くとはいうもののそれは只の豪雨での話
であって 日本や東南アジアのような台風の発生する中での走行は不可能だったと言え
る。弱い雨台風であるならば可能ではあるだろうが 大きな風台風の中では舵とりは、
まずは不可能だろう。又東京近郊の太平洋の波や或いは日本海の嵐の中では今の鉄鋼船
のタンカーや客船さえ二つに割れる事故は多発してる中では 蛇骨一本から作られる、
ボート型よりは二本の骨で支えられる筏型の方が優位であっただろう。


790: 名無しさんAA:14/09/20 20:53
草々が行く12


応永三年(1396)豊後の大友親世と肥後の菊池武朝とが筑後において戦ったが、蒲地
久憲は大友親世の催促に応じて筑後竹井原に出陣した。だが菊池氏配下の隈氏が一夜の
うちに隈府から駆けつけてきた。そうした菊池勢によって 策略を張り巡らししていた
大友側の少宰氏以下の筑後勢は敗北を喫したという。この菊池勢の勢いに大友軍は後退
し、蒲地久憲ら筑後の国人衆は菊池氏に降参した。その後、蒲池氏は菊池氏と連合して
大友氏を撃ち破ったが、大友氏はその後大内義弘と結び菊池氏を撃退したために、蒲池
久憲と子の義久らは大友氏の幕下となった。この時大内氏を攻める毛利氏が昇って来た
川が沖の端川の支流二ッ河川とされ 昭和の頃まで毛来川と呼ばれていたのである。過
去において、南北朝末期から室町時代の九州北部は、肥前の少弐氏、豊後の大友氏、そ
して中国地方の大内氏が、博多の争奪をめぐり筑前国で熾烈な戦いを繰り広げた。大内
氏は幕府を後楯として、九州探題の渋川氏支援を名目に北九州に進出してきた。これに
対して少弐氏は大友氏と結んで対抗していたが、大内氏の軍事力は強大で、情勢は少弐
氏にとって不利であった。 九州探題渋川氏は肥前国綾部郷を本拠とし、教実のとき、
筑後国に進出して三瀦郡犬塚村に城を築き長男の相模守政実に守らせた。この犬塚城で
政実は文明七年(1475)に死去し、弟万壽丸が家督を継いだが家臣によって殺され、
その弟の刀禰王丸が継ぎ綾部城に拠った。延徳元年(1498)、少弐高経は綾部城を攻略
し、渋川刀禰王丸は犬塚城へ走った。延徳三年、高経の岳父大友政親が筑後の国人らを
催して犬塚城を攻めさせ、刀禰王丸は肥前勝ノ尾城へ遁れた。この時点で九州探題渋川
氏はその権限を失墜したのである。犬塚城を攻め落とした政親は、これを蒲池繁久に預
け、繁久は弟の刑部大輔家久を城番とした。その後、家久は犬塚を名字とするようにな
った。蒲池氏からは、犬塚氏以外にも久憲の子則房は城島氏を継ぎ、家久の弟久種が(
泰房)が酒見氏を、大隈が今村氏を興した。さらに繁久の孫治久の弟親則が安武氏を称
すなど、多くの庶子家が分出している。


791: 名無しさんAA:14/09/20 20:53
草々が行く13



こうして蒲池氏を宗家とする蒲池一族が形成されて、筑後守治久の頃に至っては、本拠
地をそれまでの蒲池から柳川へと移し、筑後の最大国人領主(いわゆる戦国大名)に成
長していったのである。この山川竹井の地は 古来から満願寺の竹藪の崖下に 此君泉
(しくんせん)の湧出する井戸があり、往昔は竹泉と呼んでいたようで、竹井(たけのい)
の地名もこの泉に由来するものとしている。東の山川町尾野方面から扇状の緩やかな台
地の地下から流れ出た湧水は、いかなる旱魃(かんばつ)にも乾いたことはなく、また大
雨に際して溢(あふ)れることがなかった井戸だったという。この場所はかなり古くから
あって鎌倉後期には得宗領(とくそうりょう)(北条氏得宗が世襲した所領)の竹井庄が
あったので平安時代から京に知られていたと言う事になる。弘安9年(1286)に、
少弐(しょうに)の嫡子、武藤四郎右衛門尉盛資(もりすけ)に、蒙古襲来の戦(弘安の役
)の恩賞地として筑前療病寺(りょうびょうじ)および極楽寺の地頭職と、岩門合戦(い
わとがっせん)の勲功賞として竹井庄の領家職が与えられている。この事が大きな混乱
を引き起こした。蒙古襲来時において天皇の呼びかけに或いは幕府の強制的徴用により
この九州沿岸の地で防人として暮らしていた。この頃既に源平合戦の御落人として山に
籠って隠れていた人も一つの集落を形成していたと言える。こうした中に蒙古軍はやっ
て来たのである。つまり蒙古軍は日本流に書状による戦いの予告をしてこの地にやって
きたのである。この二度目の襲来では一度目で博多の街福岡の街は殆どが焼失していた
為に蒙古が投げる爆雷もあまり効き目が無かった。又そうしたものが逆に日本ででも出
来ていて火矢と共に夜襲によって同じ様に蒙古軍の船も多くは焼失した。この時台風も
到来していて夜に沖に帰った蒙古人朝鮮人は海に投げ出されたという。こうして勝った
とも負けたともつかない戦が終わり 奮戦した関東武士もしくは野武士達はかなりの者
が恩賞を求めた。今の竹崎蟹で有名な竹崎氏もこの時遅れて参戦したが 恩賞を申し出
て竹崎の地を貰った一人となる。次々と適当に土地を与えては日本の守りとして備える
幕府と朝廷は 今まで治めていた地頭にとっては悩ましい存在だった。探題としての、
一色氏はその苦情処理に 武力を持たなかった為になんら能力は無かったと言われる。



792: 名無しさんAA:14/09/20 20:54
草々が行く14

 もともとこの三池の近くは田尻家が所有するものだったと言われている。だがこの頃
の豪雨や災害などによって 田尻家は角氏をして鷹尾城下を本拠地に変えた。この頃の
矢部川はそうそう氾濫するほどに無かったが どうも南北朝時代の混乱に疲弊して後こ
の鷹尾神社の寺領に頼ったというのが正解らしい。竹井萱津(かやつ)城の跡は竹井八幡
宮の、すぐ西の竹海小学校であるとされる。南北朝期の興国3年康永元年(1342)
5月、北朝方の九州探題一色道猷(どうゆう) (範氏(のりうじ))は竹井萱津城に立て籠
もる南朝頂方の中院侍従義定・菊池武茂(たけもち)・肥後武教・大城藤次(草野一族)
・大木貞資(さだすけ)を攻めた。激戦の末に7月には南朝方は敗れて菊池に退いている
。この戦いについての2・3の古文書があるが郡名が見えないので、現久留米市山本町
の竹井城との説もありいずれの城かと論議がある、だが植田均氏の「純忠菊池史乗」に
も書かれた、肥後との国境である山門郡竹井城と見るのが自然である。「南筑明覧」に
西原石見守武雄(いわみのかみたけお)の居城跡と伝える竹井の今城のことが記載されて
いるが西原氏は田尻氏の有力家臣で、今城はその居館址と思われる。今の萱津城は竹井
にあって天正12年9月に立花道雪(どうせつ)・高橋紹運(じょううん)が筑前より南筑
に侵入された時、禅院の建仁寺と共に古城保護の意味で兵に対して悪さを戒めた制札が
立てられている。応永元年、大友親世(ちかよ)が筑後の諸豪を引連れて菊池を攻撃せん
と竹井原に陣した時、菊池武朝が合志六郎宗隆をして潰散(かいさん)に追込んだ。武朝
は隈府城(くまふじょう)(現・菊池市隈府)を出て筑後に進出し、この田尻城15代目
の田尻種顕を降し大友を破っている。竹井村が軍事上の要衝であったことが想像される
。又、近くの竹飯八幡宮仁和2年(886)9月29日に、竹井庄21ヵ所の祈願所と
して東隣村の飯江(はえ)に創建されている古い神社で八幡宮の例祭の時の最初の鎮座地
でも神事が行われるが、いつ現在地に移転したかは不明としている。戦国時代の田尻氏
は竹井城(たけいじょう)の祈願神社としているし、柳川藩主立花宗茂公は朝鮮の役凱旋
後の竹飯八幡宮に祈願成就のお礼に煙火(えんか)を奉納していると言われる。



793: 名無しさんAA:14/09/20 20:56
草々が行く15

まず歴史年表から見ていただきたい
1334年  後醍醐天皇による( 建武 )の新政開始して日本初の紙幣が発行され
       るが不評に終わり不満が高まるにつれ1335年という次の年には北条
       時行が挙兵。いわゆる( 中先代 )の乱がおこる。時行らは敗走自害
       したが味方であった足利尊氏(後醍醐天皇から尊のを拝領)も挙兵した
1336年  こうして足利尊氏が入京し、光明天皇を立て後醍醐天皇は吉野へ移り、
       南北朝時代が始まった。尊氏、(建武)式目を制定。室町幕府成立させ
       てお寺の位を整えた。れは、中国南宋の官寺制度に習って、幕府指定の
       お寺を格式をもって定めた物。京都五山や鎌倉五山或いは京都十刹や、
       鎌倉十刹などである。が実際は1358年尊氏が没した後に、
1368年  足利義満が3代将軍に3代将軍
足利義満の時代になって幕府が室町に移った。だがこの頃倭寇が盛んだ
       だったとされて 対馬海峡は開戦が勃発している。それを止めるべく
1371年  今川了俊(貞世)、九州地方を統率する(九州探題)に任命される
1378年  農村では惣というグループが形成され、年貢を惣全体で請け負って納入
       する( 地下請 )がはじまる。
1390年  足利義満による有力守護大名討伐 を次々に開始
           1.1390年に土岐康行を討つ。
           2.1391年に山名氏清を討つ。( 明徳 )の乱。
           3.1399年に大内義弘を討つ。( 応永 )の乱。
           4.1400年に今川了俊を降伏させる。
1401年  明と国交樹立。
1404年  明と( 勘合 )貿易開始。
1411年  4代将軍義持が、明との国交を断絶。
1419年  朝鮮が、倭寇の根拠地と考えた対馬に攻め込む。( 応永 )の外寇。

794: 名無しさんAA:14/09/20 23:26
草々が行く16


鎌倉から京都へ入りを果たすた「尊氏」だったが 「新田義貞」「楠木正成」らからの
反撃受け命からがら京都を脱出して九州に向かい都おちをした。報を聞いた九州武士団
「少弐、大友、島津」らを頼り九州に入ったが手勢は少なかった。足利尊氏、直義兄弟
は、少弐頼尚、宗像氏範らの反南朝武士団に迎えられる。この時「高橋光種」は先導役
努め、その働きにより筑紫検断職の一人に任命された。一方九州南朝方の急先鋒である
「菊池武敏」「阿蘇惟直」らは足利兄弟を迎え討つ為、九州各地の武士団へ兵を催促し
て、日和見志向の強い九州勢にはっぱをかけ多くが戦力有利な南朝へ靡く。この両者は
多田羅浜(多々良浜今の空港や久山付近)で対峙。延元年3月2日1336年に「多田
羅浜合戦」を迎える。迎え撃つ南朝方凡そ六万騎、方や足利軍三百騎(2000騎とも)に
、少弐らを併せて凡そ二千騎。兵力では圧倒的に不利な足利軍であったが、当日は春の
嵐が吹き砂塵の荒れ狂う中だったとして、松浦水軍で海賊側の村上水軍と政府側の河野
水軍で内紛し、多くが海賊党として足利方へ寝返る事になった。更に尊氏の積極戦法に
対して元来日和見的な旧家である南朝に呼応した九州武士団にも 多くの裏切りも出て
、足利尊氏は大勝した。この時に「阿蘇惟直、惟成」兄弟は傷つきながら退却したもの
の足利軍の追討は厳しく、肥前国まで追われ、名峰「天山」付近で自刃する事になった
。寒風のなか天山には草原の頂上に建つ立派な「阿蘇惟直」の墓とされる石塔がある。
 中でも伊予水軍の安宅船がここに出て来た事は大きな出来事だった筈である。もとは
この大川・柳川の地である安曇の磯良丸が最初に作ったとされる船の構造は今の漁船が
海外の号を称する事と対して丸を称していた事で解る。即ちこの丸こそは船団を表し、
そのトップに海神を祀る風浪宮があったとされる。彼ら安曇と呼ばれたのは刺青のある
人達で鷹尾神社からの要請であったらしい。箱崎宮は神話の時代の神宮皇后の三韓征伐
行く折りにその子、仲哀天皇が急死がして香椎の木で棺桶を作ったとされる事から、そ
の崩御の際に香椎の香木を切り遺体を葬った所を香椎宮とし 祭祀を行った所を箱崎と
している神聖な場所であったが 既に博多が焼け野原になった事からこの地を治める宗
像氏の力は無くなって松浦水軍が分かれたものと考えられる。



795: 名無しさんAA:14/09/20 23:26
草々が行く17

その後京都へと宮登りして盛り返す足利氏なのだが これによって南北朝時代が出来る
のだが この宗像氏の下に海神を祀る船団や海の男達や海賊は一挙に分かれたのだろう
伊予の水軍越智氏 伊予からやってきた河野水軍肥後を本拠に置く村上水軍かつてから
長崎近郊の松浦水軍更に 朝鮮系の鳥取を本拠地に安氏の安宅船が毛利水軍として今や
淡路島を本拠地に瀬戸内海を牛耳っていたのである。こうして陸上の戦いの南北朝時代
は海の上でも 大きな船団の縄張り争いが起っている事になったが 実は逆とも言える
。即ち海産物や物流としては日本は船の存在は欠かせないものだ。だがこの頃元寇以来
多くの不審船が日本近郊の各所に現れては人々の生活や権力に混乱を生じさせたと言え
るようだ。そも平清盛ですら 既に海運の必要性から都変えである遷都を考え銅銭通貨
を日本国内に広めて 国を建てようとしたぐらいだから海の支配と船の重要性は当然に
人々の特に時の権力者や支配者が持っていなかったなどとは考えられない話であろう。
そして日本三大合戦の一つである筑後川合戦が1359年におきる。南朝征西大将軍の
「懐良親王」奉じる宮方肥後「菊池武光」軍は、新田一族も加わり四万騎がいたが、対
して武家方「少弐頼尚、忠資、頼安」の一族に加え「島津貞久」「草野一族」ら六万騎
のが筑後川を挟んで対峙した。「宮方」は「高良山」「柳坂」「水縄山」に陣を置き、
筑後川(当時 千歳川といった)を押し渡り宮の陣まで押し入った。合戦は「懐良親王
(かねながしんのう)」の馬が倒され「親王」自身も三ケ所の深手負う激しい戦いとな
ったがしかし、宮方軍勢の勢いと夜襲など、大将「菊池武光」の積極戦が勝り、宮方の
大勝利となった。「武光」はこの合戦に備え、三人張りの強弓も通さぬ鉄板重ね、特別
誂えの「鎧」を身にまとい、自馬は射倒されても次々馬を取り変え、十七度も懸ったと
言う。 最後には、兜も落とされ「小鬢」に二箇所の太刀傷負うも、敵将を組討に「首
」を挙げ兜を奪い、尚も戦い突き進んだ。こうした悲壮な戦いは信玄達の川中島の闘い
よりも壮絶で 双方併せ討ち死者5千人上まわり、負傷者は2万人を超えたともいわれ
「宮方」の戦死は「武家方」に比べれば少なかったが、それでも1800人もの戦死に至っ
たされ次の戦いを怯んだという。


796: 名無しさんAA:14/09/20 23:27
草々が行く18

 南北朝時代に九州における足利勢力の九州探題一色範氏とも衝突した太宰少弐氏は、
多々良浜の戦いで勝利したもの 菊池氏は南朝が征西将軍として派遣した懐良親王を奉
じて勢力を拡大しており、少弐氏はこの筑後川の戦いで征西府・菊池軍に敗れて大宰府
を奪われる結果となる。当然室町時代になると九州における南朝方の勢いが盛んになり
 少弐氏族は頼尚の子は北朝方と南朝方に分かれそれぞれについたがそれには正統性も
連続性もなく時の流れの中での生き残り戦術でしかなかった。しかし、北朝方についた
少弐冬資は、新たに九州探題として派遣された今川貞世(了俊)により水島の陣で謀殺
され、南朝方についた少弐頼澄は反今川勢力として活動したものの 徐々に南朝の勢力
が衰退し、今川貞世が帰国した後は、代わって九州探題に就任した渋川氏の援護と称し
て周防の大内氏が北九州にたびたび侵攻するようになって、少弐氏は挟まれた。豊後の
大友氏や対馬の宗氏と結び抵抗して、一時は大内盛見を討ち取って勝利をしたこともあ
ったが、その後は殆ど敗北し、少弐満貞、少弐資嗣、少弐教頼などが戦死して終わって
いる。南北朝時代の因縁がそのまま室町時代を駆け巡り戦国時代にはいったが大内氏の
侵攻はますます激しくなったとされる。少弐氏は大内氏の侵攻を懸命に防いでいたが、
次第に劣勢となり、第15代当主・政資が大内氏によって討たれて一時滅亡する。その後
に政資の子である少弐資元が第16代当主として少弐氏を再興するも、大内氏の優勢を動
かすことは困難であり、拠点を肥前に移さざるをえなくなる。だがこの時代も肥前北部
の綾部には肥前守護で九州探題であった渋川氏が健在であったので肥前南部に移る。当
時では肥前南部は九州千葉氏が支配していたとされ、その内紛に乗じて同氏の領地を奪
い、さらに大内氏が中央での政争や出雲の尼子氏との抗争に忙殺されている隙をついて
一度は勢力を取り戻した。だが、今度は千葉氏の旧臣で家臣であった龍造寺家兼の台頭
と謀反にあって次第に衰退してゆく。少弐資元は、大内氏の侵攻に耐えられなくなって
遂に大内義隆に降伏した。しかし、義隆も又陶氏に欺かれたりし 少弐氏は自害を余儀
なくされ、少弐氏は、滅亡したという。





797: 名無しさんAA:14/09/20 23:28
草々が行く19


 もともと少弐氏は大内氏とは同じ宮家の警護であった。青によし遠の御門と称される
大宰府の府官に任命されたのは大内氏が京都に呼び戻された為とされる。柳川城主蒲池
氏は、歴史においては嵯峨源氏時代の蒲池氏のことを「前蒲池」といい その後の蒲地
氏と分けている。すなわち嵯峨源氏の蒲池氏は、南北朝時代は南朝に属し、蒲池武久が
、西下した足利尊氏を迎え撃った筑前多々良浜の合戦で嫡子の無いまま討死にし、蒲池
氏は、武久の娘を残して家系が絶えかけたからである。この蒲池の家督を継いだのが、
武久の娘の婿となった宇都宮久憲だった。久憲は、関東の下野宇都宮氏の後裔だが、こ
の久憲以降の蒲池氏は、嵯峨源氏の前蒲池に対して、筑後宇都宮氏の後蒲池と呼ばれ、
宇都宮久憲こと蒲池久憲が、後蒲池時代の初代となる。延文5年(1358年)になっ
て足利尊氏が没して意気上がる南朝方は、太宰府へ征西将軍府を移して北朝方・斯波氏
や渋川氏など後任の探題を破って、九州を唯一の南朝優勢地域として隆盛を誇ります。
だがこの頃九州では、元々南朝方だった上相良氏が、不利な状況下で北朝(下相良氏)
の軍門に下っていたものの、北朝方の天下とならず 南朝の隆盛をみて再び寝返ってし
いまう。だがしかし、下相良氏の勢い上回ることはできませんでした。全国的に北朝・
幕府方優位でも、九州の南朝方優位を切り崩せない足利幕府は、三代将軍:足利義満の
頃、応安4年(1371年)重臣・今川貞世を九州探題に任命し、新たな火種となる策
略をめぐらし九州経営との南朝攻略に本腰を入れた。だがこれによって少弐氏と幕府の
九州探題は対立は再燃。混乱はますます深まるが その時水島陣の事件が起こった。つ
まり大宰府政庁を根城にしていた中少弐氏に仕えていた竜造寺氏を味方にし探題・今川
氏は太宰府を攻め落とし着任したのだ。この勢いで永和元年(1375年)には南朝方
の菊池氏を本拠の隈府・菊池城へ追い込み、菊池城陥落も目前となった。そこで今川氏
は、菊池城が落ちた後の話をしようと九州三人衆:大友氏・島津氏・少弐氏を肥後・水
島へ招集をかけます大友親世・島津氏久は来陣したものの、探題と対立してきた少弐氏
当主:冬資は来陣しませんでした。困った今川貞世は島津氏久に仲介を頼み、冬資に来
陣を促し冬資も先祖代々朋友である島津氏に請われては断り切れずに水島に来陣した。
だがこの会談は、酒宴での今川貞世の弟・仲秋らのいさかいで少弐冬資を殺してしまい
結果的に冬資刺殺に荷担したことになり、面目丸つぶれの島津氏久は怒って薩摩へ帰り
、大友氏も見限って去り、以後九州三人衆は反今川(反九州探題)の行動を始めます。


798: 名無しさんAA:14/09/20 23:28
草々が行く20



 この事で少弐氏は南朝寄りの弟・頼澄が継ぎ、南朝方の菊池武朝と結んで仇の探題・
今川氏貞世と戦う事となった。少弐冬資刺殺という失敗をしたものの、今川貞世の業績
は高く彼の九州戦略はこののち南朝を封じ込め、九州三人衆を巧み抑えて九州経営には
手腕を発揮したと言われている。だが応永二年(1395年)突然に足利幕府によって
今川貞世は探題職を罷免され帰京。これによって九州での幕府の権威は失墜したのであ
る。この時国崩しという大砲が乗った南蛮船が宮崎で座礁するのである。1538年(
天文7)に長宗我部元親は、土佐の小領主から身を起し、1575年(天正3)に土佐を統
一。続いて阿波、伊予、讃岐に兵を進め、各地有力大名を次々に制圧したとされる。一
方中国地方の制圧を進めていた信長は、次の標的をこの長宗我部元親により統一されつ
つある四国に定めた。それを知ってか、元親のほうもは明智光秀を通じて信長への接近
を図り、四国統一が信長の全国制覇を妨げるものでない事を訴えていた。しかし、敵対
する阿波の三好康長も秀吉を通じて信長に接近。信長は三好を取り込んで元親征討に乗
り出した。ここでも、光秀の顔は潰されていた。1582年(天正10)、信長は三男・神戸
信孝に命じて四国征伐の兵を起こす。しかし、信孝の四国渡航を目前に、本能寺の変が
起こり、四国征伐は頓挫したという。だが九州では中国・九州に君臨した大内氏勢力も
家臣・陶晴賢の反乱で減退。北九州の菊池氏や少弐氏も滅亡。代って豊後の大友宗麟が
豊後・豊前・筑前・筑後・肥前・肥後の守護職を務め、大友氏の全盛期を築いていた。
 これに対し、南九州では島津氏が台頭していた。島津氏は薩摩・大隅・日向の守護職
を務める家柄で、家督相続を巡り一族間の抗争が生じたものの、1550年(天文19)には
島津貴久が鹿児島城に入城して決着。以後子の義久と共に、薩摩。大隅の統一事業を進
めている。この時の相良氏の動きは 既に英彦山の修験道によって知らされていたのだ


799: 名無しさんAA:14/09/20 23:29
草々が行く21




 2度目の元寇の弘安4年(1281)、元軍は10万以上の大軍で攻め込んできて、この時に
球磨川の山の奥地にいた相良氏は平家狩りで住み着いていたのだが平川氏或いは久米氏
と言った平家側の人を引き連れて戦っている。二度目の本格的侵攻は 再襲に備えてい
た鎌倉幕府にとっては待ったなしの戦であった。西国の御家人(守護・地頭)を動員し、
北九州沿岸に土塁を築いており水際で防戦に徹した。また水軍が小舟の機動力で元軍の
大型軍船へ夜襲を仕掛けるなどして元軍を手こずらせ、上陸を阻む為に相当の奮戦があ
ったと言う。元軍は上陸出来ぬまま船団で長門〜九州沿岸を転戦しているうちに、暴雨
風に遭って壊滅的打撃を受け撤退した。これまでは歴史上は「暴風雨によって助けられ
た・・・・」とされてきました。しかし文永の役は元側の戦略が小手調べで戦いが終わり、
弘安の役は日本側が先の文永の役での苦戦を教訓にして、戦い方を研究し実力で上陸さ
せなかった。その上で暴風雨が追い打ち・・・・というのが最近の研究による結果である。
その後の筑後川の合戦には大友軍は全く動かなかったとされる。その理由が相良氏や土
持氏のいた日向の勢力図にあったが 戦乱の疲弊を受けなかった大友氏は大きく勢力図
を広げる事になった。土持氏は大墓(大塚)別符を本拠としていた地族と言われ一貫し
て武家方に属し安泰していた。それに加えて、南北朝時代初期の暦応二年(1339)以後
に井上城を築いて南朝方の三田井氏、門川伊東氏に備え、都於郡の伊東本家と結ぶ南方
の同族と呼応して各地を転戦したのであった。やがて、明徳三年(1392)、半世紀以上
にわたった南北朝の争乱に終止符が打たれた。つづいて、九州探題として辣腕を振るっ
た今川了俊も探題職を解かれ、帰京したことで、南九州の政治情勢はにわかに一変する
ことになった。重しが外れた島津家には内紛が訪れ 同じ武家方の伊東氏が幅を利かせ
更には同じ大分に本拠地とする大友氏が その疲弊しない兵力を傘に土持氏をあまり良
く思わなくなっていて 言わば目ざわり状態に陥っていたのだ。


800: 名無しさんAA:14/09/20 23:30
草々が行く22


 土持氏は日向において、日下部氏に次ぐ古代以来の豪族であった。そして、県、財部
、清水、都於郡、大塚、瓜生野、飫肥に一族が割拠して「土持七頭」と称され、隠然た
る勢力を築いていた。伝統豪族の土持氏と新興の伊東氏との確執は、ともに武家方であ
ったことからはじめは少なかったと思われる。しかし、伊東氏が惣領を中心として日向
一帯に勢力を拡大してくると、次第に土持・伊東両氏の確執は表面化してきた。だが突
然に 応永四年(1397)、島津氏久は清武城を攻撃した。これが伊東氏と島津氏との本
格的な抗争の始まりとされ、以後、島津氏と伊東氏との争いは天正五年(1577)に伊東
義祐が日向を追われるまで続くことになる。他方、日向国山東に一揆が頻発するように
なり、さらに島津氏との対立も深まっていったが、祐安と祐立(すけはる)父子はよく
領内の安泰をはかった。やがて、島津氏に内訌が生じたが、応永十一年(1404)に島津
元久が日向守護に補任され内訌は終結した。応永十九年、大淀川南の曽井・源藤に島津
軍が侵攻してくると、祐安・祐立父子は曽井城に籠城してこれに抵抗した。ついで、同
二十二年に島津軍が跡江に侵攻し、同二十六年には加江田車坂城に島津軍が攻撃をかけ
たが伊東方はこれを撃退した。その後も島津氏の伊東氏領侵攻は、執拗なまでに繰り返
された。その間、祐安の娘が島津忠国に嫁いでいるが、両者の抗争はやむことはなかっ
た。この島津大友の両軍に挟まれた日向宮崎の地で土持氏の名声は高かった。居城とし
た飫肥城は 遠くは宇佐八幡宮の神官の出で、日向の地に武士団として勢力を伸ばした
土持氏が南北朝時代に築城したのが始まりと伝えられ、飫肥院とも呼ばれる平地の城で
あった。時代が下って、室町時代末期の長禄2年(1458)九州制覇を狙う薩摩の島津
氏が、鎌倉時代から日向で勢力を蓄えてきた伊東氏の南下に備えて、志布志城主で島津
氏の一族である新納忠続を飫肥城に入城させた。この事が南の地に波紋を投げかけた。



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