ファイアーエムブレム封印の剣の小説を書こうぜ!!


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ファイアーエムブレム封印の剣の小説を書こうぜ!!

1: スーパーサイヤ人名無し:04/11/16 20:41 ID:xwD.4YS.
さあ書け

101: 手強い名無しさん:05/08/04 10:27 ID:E1USl4sQ
やっと王都エデッサに到着した。しかし、このまま歩いていればたちまち見つかってしまう。
何とかして変装し、まずは騎士団と接触を試みなければ・・・。しかし、短い髪では髪型はなかなか他のものには変えられない。この時ばかりは髪形をスーパーショートにした事に後悔した。
「しょうがない・・・今回もあの手を使うしかないかな・・・。」
ブリザードですこぶる視界が悪い。街中を徘徊するベルン兵を襲って難なく衣装は手に入れた。
問題は騎士団の居場所だ。危険覚悟でベルン兵達が屯する酒場に入った。
話しかけて打ち解けるのは得意だ。敵と打ち解けるというのは少々妙な気もするが、今の情報源は他ならぬベルン兵以外にないので今回は我慢だ。
「それにしてもマチルダ様も今回の手柄で五大牙の長になることは間違いないな。」
「へぇ、そんなに強い人なんだ。」
「おまえなぁ、いくら新入りでもそういうことは自分で調べて置けよ。綺麗だし強いし、憧れちまうぜ・・・。まぁ、もうちょっと優しいという事ないんだがな。」
「そういえば残った騎士団は殲滅しなくていいのかな。」
「今はエデッサ郊外のかつて神将器があった洞窟にいるとの情報だが、劣悪種の寄せ集めなんか放って置きゃいいんじゃね? ままごと騎士団って嘲笑されるほどの弱小らしいじゃねーか。おまけに唯一要チェックのシャニーとか言う団長も行方不明らしいしな。・・・だけど惜しいぜ。そいつの首をマチルダ様に持っていけば一気に参謀クラスに昇進できるかもなのによぉ・・・。」
「(劣悪種・・・?)あなたってもしかしてハーフ?」
「あ? 当たり前だろ。お前は違うのかよ?」
「い、いやぁ、あたしは竜の血が濃いからさぁ、よく竜族と間違えられるんだ(適当なこと言っておこう・・・)。」
「へぇ、不幸な奴だな。それだとベルン軍の中でも肩身が狭いだろうに。ところで、何のハーフなんだ?」
「えっと、人と神竜かな。」
「ほぉ、マチルダ様と同じか。しかも竜の血が濃いと・・・もしかしてお前、翼あるか?」
「え、うん・・・あるよ。」
「へぇー、なぁ、ちょっと見せてくれよ。な?な?」
「いいけど・・・変な事しないでよ?」
「ほぉ・・・なんか傷だらけだけど、案外綺麗なもんだな。マチルダ様のは間近で見るなんて事出来ないからなぁ・・・。」
「え? マチルダ・・・様にも翼があるの?」
「おい新入り。何も知らねぇんだなお前は。マチルダ様もお前と同じ混血具合なんだよ。あの人が空中から繰り出す槍はめっちゃ強力だぞ。正直惚れるぜ。・・・もう少し優しければな・・・。」
「へぇ、んじゃ見回り行ってきます!」
「おう、気をつけろよ。外は視界が悪いから襲われないようにな〜。」
そうか、皆はあの洞窟にいるのか。やっと皆に会える。急ごう。でも・・・ハーフの人たちも仲間には凄く温かいんだな・・・。どうして種族が違うというだけであんな酷い事ができるんだろう・・・。
複雑な心境になりつつも、シャニーはかつてマルテが眠っていた洞窟を目指した。

一方その洞窟では、敗走した騎士団員達が奪還のタイミングを見計らっていた。
「ラルク・・・そんなに気を落とすなよ。」
「あぁ・・・しかし、今でも信じられない。まさかあいつが・・・。」
「私だって信じられませんよ。まさかあの人が私たちを売って敵に付くなんて・・・。あの時ラルクさん達が助けに来てくださらなければ、私達は全滅でした。」
「だが、事実は事実だ。受け止めるしかない。我々はもう後がない。后妃様が処刑される事になってはこの国は終わりだ。何があっても取り返さなければならない。」
「しかし、俺達はどう戦えばよいのだ。竜騎士はともかく、あんな空中から魔法を連発されたら俺達騎馬兵ではどうする事もできないぞ。天馬も風の魔法には弱いしな。俺達騎士団には弓兵もあまりいないし・・・。八方塞だぜ。」
「何かあるはずだ、何かが・・・。」
その時ふと、ラルクは外に人の気配を感じて槍を取った。
「何者だ!」
そこに現れたのは・・・ベルン竜騎士だ!

102: 手強い名無しさん:05/08/04 10:28 ID:E1USl4sQ
「!? もう俺達の居場所がかぎつけられたのか。おのれ・・・!」
ラルクが渾身の力でベルン兵に向かって槍を振るう。ベルン兵は焦って避けた。
「うわっ 何するのよ!!」
「黙れ! 一人でのこのこ挑みに来るとは命知らずな奴。ここで叩き斬ってくれる!」
「ま、待ってよ! あたしだよ!」
そういってその竜騎士は焦って顔を隠している兜を外した。
「!? シャニー様!! 公女様であるとは知らず、ご無礼極まりない行動、何卒お許しください!」
「・・・あのさぁ、先輩。いい加減その呼び方やめてよ。昔みたいにシャニ坊でいいじゃん。」
「だ、団長!! よかった・・・ご無事だったんですね。・・・おかえりなさい。」
「うん、心配かけてごめんね。・・・ただいま。」
シャニーはいつもの笑顔で団員に帰還の挨拶をした。泣き出す団員もいる。
「ちょ、泣かないでよ! ・・・それより、帰ってきて早々だけど、皆には謝らないといけない・・・。」
シャニーは国王の事や自分の身に起こったことを全て隠すことなく話した。
「ごめん・・・あたしがついていながら・・・守るどころか・・・。」
「そうか・・・陛下は・・・。シャニー様のせいではありません。そう御自分をお責めにならないでください。」
「いや・・・あたしが弱かったからいけないんだ。あたしがあいつらを一掃出来てさえいれば・・・。」
「私は団長だけでも帰ってきてくれてうれしいですよ。皆団長の帰りを心待ちにしていました。ルシャナさんも・・・。」
「あれ、そういえばルシャナは?」
「・・・。」
ルシャナの名前を出した途端、皆下を向いてしまった。・・・シャニーにはなんとなくわかった。
「あいつが・・・俺達を裏切ったんです・・・。敵の陣形まで突っ込む振りをして天馬騎士団を誘導したんです。俺達の到着が後少しでも遅れていたら、あのマチルダとか言う敵将の超魔法で微塵になるところでした・・・。」
「・・・嘘だ。あいつが・・・あのルシャナが裏切るなんて嘘だ!」
「落ち着いてください。俺だってあいつが裏切るなんて今でも信じられない。・・・前日までシャニー様が帰ってくるまでは絶対に持ちこたえると言っていたんですから・・・。でも、事実は事実なんです。」
「そうだね・・・。受け止めるしかないね・・・。それじゃ、お姉ちゃんは? 急がなければ処刑されてしまうんでしょ?」
「后妃様は城の牢に囚われています。我々も一刻も早く救出しようと策を練っているのですが
なにぶん敵将が天使のごとく空を舞い、魔法を撃って来るものですから、手出しできない状態で・・・。」
「そうか・・・わかった。あたしがお姉ちゃんを助けてくる。先輩達はそれまでここで待ってて。」
「そんな! そんな危険な事を承知するわけには行きません。」
「大丈夫、あたしならこのまま変装して中に突入できるし、いざとなれば戦える。それに・・・今まで大変だったのに、何もしてあげられなかったから、あたしなりの罪滅ぼしだと思って、ね?」
「でも、いくら強くても団長一人じゃ危険です。団長まで失いたくありません! せっかく、せっかく帰ってきてくださったのに・・・。団長が死ぬなら私達だって・・・。」
なんか、どこかで聞いたような台詞だ・・・自分がベルン城から逃げる際、ゼロットに言った台詞だった・・・。あたしの事をそんな風に言うほど慕ってくれている人がいるんだ、尚更頑張らないと・・・。
シャニーはゼロットへも兼ねて、団員にこう言い放った。
「あたしも陛下から直々に位を戴いた神聖騎士。その名に恥じない働きをするまでだよ。」
「でも・・・!」
「だーいじょうぶ! あたしを信じなさいって、ね?」
団員に笑いかけた。団員達は、団長の決意は変わらないことはわかっていたが、それでもあえて説得しようとしていた。この笑顔が見られなくなると危惧していたのだ。皆を光に導く、その笑顔を。
「公女様。くれぐれもご無理をなさらないように。我々も時を待って突撃します。」
「もーう・・・。先輩。公女って言葉、使用禁止ね。それじゃ行って来る!」
そういうとシャニーはまたブリザードの中に消えていった。しかし、騎士団には確実に士気が戻りつつあった。ロイ様達が到着するまでは絶対に諦めない・・・いや、到着を待たずとも、奪還をしてみせる・・・。
ラルクの槍を握る手に、一掃力がこもった。例え恋人を殺す事になっても、もう後戻りは出来ない。


103: 24章:決別のノクターン:05/08/05 11:19 ID:E1USl4sQ
エデッサ城・・・連合王国成立以降、毎日のように出入りしていた城だ。中の構造なんて誰よりも知っている。牢獄の手前の中階にちょっとした宝物庫があるのも知っていた。
「ドロボウは良くないけど、こんな時にそんな事言ってられないしね〜。」
ポケットからおもむろにたからの鍵を取り出し、宝箱を開けていく。いい武器入ってないかな〜。
いくつか開けているうちの美しい刀が出てきた。
「これは・・・倭刀じゃん。使ったことないけど・・・まぁいいか、一応剣だし。」
倭刀を拝借し、いざ姉達が幽閉されている牢獄へ向かう。・・・無事でいてよ。
「見張り、交代します。」
「お、ありがとう。助かるぜ。」
いとも簡単にベルン兵をその場から退ける事に成功する。姉が・・・いた。

その頃マチルダの元にも情報が入ってきていた。
「マチルダ様、我らの同志が何者かによって殺害されました。」
「なんですって? どういうことか申してみてください。」
「は、吹雪の中を見回りに出ていた巡回兵が、何者かによって殺害されておりました。」
「そうですか・・・そのものの亡骸を私に見せてもらえますか。」
マチルダは部下共に死体安置室に向かった。
「これです。」
「これは・・・剣でやられてますね・・・。相当切れ味の悪い剣だが急所をやられている。
かなりの腕の持ち主ですね・・・。」
「いかがいたしましょうか。」
「エトルリア軍はこのブリザードで進軍できるわけがありませんね。・・・イリア王宮騎士団の中で、指折りの剣使いはいませんでしたか?」
「はっ。入手している情報だけですと・・・団長のシャニーだけですね。しかし、その団長もギネヴィア様によって葬り去られたと聞いておりますが・・・。」
「ふふふ・・・。面白い事になってきましたね。飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのこと・・・。
総員、戦闘態勢につけ。私は幽閉してある后妃をマークする。・・・会うのが楽しみですよ。蒼髪の天使・・・いや、ナーガ殿・・・。」

「お姉ちゃん、あたしだよ! あぁ、無事でよかった・・・。」
「!? シャニー?シャニーなの? あなたがどうしてここに?」
「どうしてって、助けに来たに決まっているじゃん。・・お姉ちゃん・・・ごめんなさい。あたし、謝らないと・・・謝って許してもらえることではないけれど・・・。」
シャニーはゼロットのことを話した。ユーノは驚きを隠しきれずにいたが
「・・・シャニー。」
そう言いながらシャニーの頭をなでた。そして涙を拭いてやった。
「あなたが悪いわけではないわ。あなたはがんばったのよ? それに、まだあの人が死んだという情報はないわ。きっと生きている。信じましょう。私はあなたが無事に帰ってきてくれただけで十分嬉しいわ。よかった・・・本当に・・・。これで・・・アリスをあなたに託せる・・・。」
「お姉ちゃん? それどういうこと? アリスは?ここにはいないみたいだけど。」
「・・・私達は、明日の早朝に処刑されるわ。アリスだけは、事前にルシャナに頼んで私達の生家に逃がしてもらったの。・・・あなたとあの子がいれば、またイリアは生まれ変われるわ。」
「ルシャナが? で、でも、そんな!? い、嫌だよ。一緒に逃げようよ。今からこの鉄格子何とかするからさ。お姉ちゃんも逃げよう!」
「・・・ダメよ。エデッサ市民も他の場所に幽閉されているの。私が逃げれば換わりにその人たちが殺される。そんな事になっては・・・あの人に合わす顔がないわ。」
「でも! お姉ちゃんが殺されちゃったら、イリアの民の心の拠り所がなくなっちゃうよ! 皆お姉ちゃんの事慕っているのに。あたしだって・・。」
「シャニー、泣かないの。だからこそ、あなたにアリスを託すのよ。アリスが大きくなるまで、あなたが色々世話してあげて・・・こんなことを頼めるのは、あなたしかいないのよ。お願いわかって。」
「嫌だ嫌だっ! 皆で一緒に逃げればいいじゃない! あたしが何とかするから!」
「私がこの牢から出た瞬間、市民のいる部屋が水に満たされるという仕掛けが施されている、そうあの女将軍が言っていたわ・・・。私を助けるのならば・・・皆を助けてあげて。お願い、シャニー。」
「嫌だよ!お姉ちゃんも・・・一緒じゃなきゃ・・・嫌だよ・・・。」
妹も追われている身。ここに長居することは得策ではない。いつものように甘えさせてやりたいが、今回ばかりはそうは行かない。下手に期待を持たせるより、突き放すことが、その人のためになるときもある。ユーノはシャニーを初めて平手打ちした。


104: 手強い名無しさん:05/08/05 11:20 ID:E1USl4sQ
「!?」
「シャニー! 分からず屋は嫌いよ? いい? やりたいことを、やるべきことに優先させてはダメ!
今のあなたがしなければならないことは、一刻も早くここから脱出して、市民やアリスを助ける事!
いいわね? もうあなたは子供じゃないの。皆を引っ張っていかなければならない立場なの。
いい加減私に甘える事は卒業しなさい!・・・あなたが・・・大好きだから・・・信頼しているから・・・こんなことを頼むのよ・・・。お願い・・・わかってちょうだい・・・。」
ユーノは唇を噛んで妹に泣き顔を見せないようにはしているが、シャニーには見えてしまった。
そして、ゼロットに言われた事をユーノにまで言われた。成長していない自分・・・。
「お姉ちゃん・・・。わかったよ・・・。あたしがアリスたちを助ける。お姉ちゃんがいなくなっても
あたしが皆を引っ張っていく・・・約束するよ。・・・絶対に。」
「ありがとう・・・シャニー・・やっぱりあなたは私の宝よ。」
「でも、最後に一つだけお願い聞いて。」
「あたしを・・・あたしを抱いて・・・昔みたいに頭なでて。」
ユーノは無言でシャニーに腕を伸ばし、なでてやった。鉄格子をはさんでだが、姉の、妹の心は互いに以心伝心していた。
「確かにあたしは・・・考えが甘すぎたのかもしれないね・・・。」
「いいえ、あなたはなたのままでいればいいわ。あなたのその優しさや元気さに助けられている人は数え切れないほどいるわよ。私もそうだしね。・・・さ、もう行きなさい。団長、後のことは任せましたよ?しっかりやってくださいね?」
「はい・・・っ。后妃様の遺言どおり、必ずやイリアを復興して見せます。・・・どうか・・・私を見守っていてください・・・。」
その時後ろから声がした。
「ふふっ、素晴らしい姉妹愛ね。じっくり拝見させていただきましたわよ? 劣悪種でも美しい芝居が出来るものですね。ねぇ、ルシャナ。」
そこに立っていたのは、冷笑する女性と・・・ルシャナだ!
「初めてお目にかけます。私はベルン軍北方司令官マチルダ。以後お見知りおきを。蒼髪の天使殿。」
「あなたがマチルダ・・・。お姉ちゃんをよくも! この場でケリを付けてやる!」
「おっと、あなたの相手は私ではなくてよ。ユーノ后妃、明日あなたを処刑するのはこの娘よ。」
そういうとマチルダ下がり、代わりにルシャナが前に出た。
「ルシャナ! あんた、何で裏切ったのよ!裏切ったって聞かされても、もしかしたらって信じてたのに!」
「滅びると分かっている王族に仕えて自分の身も滅ぼすなんてバカらしいじゃない。それにね・・・私はあんたが憎かった! こんな間抜けで頼りないあんたが、何で団長なのよ!今回だって肝心な時にいなくて。・・・おまけに団員はそんなあんたばかりを慕ってた。・・・裏で私がどれだけフォローしてたかも知らずにね!」
「ル、ルシャナ・・・。それは・・・ごめん。」
「謝ってすむ事じゃないよ。・・・まぁいいさ。ここであんたの首を取れば、私はマチルダ様に位を保障してもらえる。こんなことになった事に罪悪感を覚えるなら、大人しく私の槍に貫かれることね!」
ルシャナの目はホンキだ。だが、どこか輝きがない気もする。
「ルシャナ・・・あんたがあたしのことをそんな風に思っていたなんて・・・。ごめん・・・。でもあたしもここで倒れるわけには行かないんだ。お姉ちゃんと約束したんだから!」
「お姉ちゃんお姉ちゃんと・・・ドコまで甘ちゃんなんだか・・・。まぁ、いずれはあんたと対立する日が来ると分かってた。それが今日さ。実力の伴わないママゴト団長なんて必要ないんだよ!」
ルシャナがシャニーに向かって槍を振り回す。シャニーは攻撃できずに避けるだけだった。
槍が頬をかすめ、赤い筋が顎まで達した。やはり、ルシャナは、あたしを本気で殺すつもりだ・・・。
「ほら?どうした?何で剣を抜かない。私を倒す実力がないから諦めたのか!?」
「あたしには・・・あんたを殺すなんて出来ないよ・・・。小さい頃からずっと一緒で、嬉しい事も悲しい事も分かち合ってきたあんたを・・・自分の剣で殺すなんて・・・。」
「甘い事言ってるんじゃないよ! あんたができないなら私がしてあげる。そこを動くんじゃないよ!」
そういってルシャナがシャニーの胸に向かって渾身の力で突撃した。
あぁ・・・あたしは親友に殺されるんだ。数年前姉に槍を向けられたときも、自分は何も出来ずにディークさんに後衛の陣まで引っ張られて戻されたっけ・・・。甘い甘いって言われても・・・あたしにはできない・・・でも・・・死ぬわけにも行かない!
シャニーはとっさに倭刀を引き抜き、槍を弾いた。


105: 手強い名無しさん:05/08/05 11:21 ID:E1USl4sQ
「やっとやる気になった? ふふ、あんたは本気になると目つきが変わるからすぐ分かるよ。
ほら、早く見せてみてよ。蒼髪の天使と謳われるほどの実力をさ! あんたとは何度も手合わせしてたけど、あんたはいつも本気じゃなかった。・・・あたしに実力を見くびってさ!」
「ルシャナ、それは違っ」
「違わないよ! あんたはわざと手を抜いていたんだ。目つきで分かるって言ってるだろ!?」
「ルシャナ、一体どうしたの。昨日まであんなにシャニーのことを心配していたのに!」
「后妃様・・・もう私は、あなたに仕えている騎士じゃないんですよ。あなたも明日、この槍で貫いて差し上げますよ。今までの私を断ち切るためにね!」
ルシャナはまたシャニーに向かって槍を振りかざした。やはり弾く事しかできない。頭では分かっている、やらなければ、やられる・・・。でも、やはり自分には・・・。
避けながら頭の中で葛藤を繰り返しているうちに、とうとう槍を避けきれず、脇腹を貫いた。
「!!うぎゃぁっ。」
傷口を押さえて膝を突いた。足元がすぐに赤く染まった。
「ふ、他愛もないわね。そのまま止めを刺してあげる。大好きなお姉ちゃんと、あの世でどうかごゆっくり。」
「ルシャナ! やめて! お願いだから・・・。」 ユーノが絶叫した。
槍が自分に向かってくる。一番信頼していた親友に殺される・・・。でも・・・ここで死ぬわけにはいかない・・。シャニーは何か頭で吹っ切れるものを感じた。
「!?」
ルシャナは槍を弾き飛ばされてしまっていた。しかも、シャニーの姿が見当たらない。焦って探していると、急に後ろから気配がした。殺気に満ちた恐ろしいほどの気配を。
ルシャナが振り返ると、空中から凄まじいスピードで自分に向かって急降下してくるシャニーの姿があった。その目は・・・いつものあの穏やかで天使のような目つきではなく、鬼神のごとく鋭いものだった。ルシャナは防御するまもなく、あっという間に急所へ数回攻撃を叩き込まれてしまう。
「うが・・・っ」
ルシャナは為す術なく倒されてしまう。そしてそのままシャニーは窓から飛び出していった。

「逃がしませんよ!」
マチルダが気を集中する。周りのエーギルが吸い寄せられ、風がざわめく。
「神の慈悲をお受けなさい!セイクリッド・ブレス!」
凄まじい勢いの風が、無数の刃となってシャニーを切り刻む。そして神の息吹が、一気に舞い上げられたシャニーを地面に叩き付けた。
「ふっ・・・やはりこの程度か・・・。」
土煙が収まってから見ると、シャニーは既に空中にいて手をこちらに向けていた。
「な?! あれだけのエアブレイドを翼に受けてまだ飛べるというのかっ?」
逆に神速の光の槍がマチルダに向かって放たれていた。マチルダは間一髪結界を張って直撃は免れた。
「く、何という魔力だ・・・流石はナーガ神の意志を継ぐ者といったところか・・・。」
再びその場を見ると、もうシャニーの姿はなかった。
「・・・うまく逃げましたね。もう少し実力を拝見したかったところですが、
この体もあまり役には立ちませんでしたねぇ。
まぁ、もう少し頑張ってもらいますよ。幸い倭刀の逆刃で気絶させられただけのようですしね・・・。」
マチルダはルシャナを部下に担がせ、部屋を去った。
そこ頃シャニーは自分達の生家に向かって全力で飛んでいた。自分の怪我を治すことも忘れて。
・・・お姉ちゃん、あたし絶対約束果たして見せるからね・・・だから・・・あたしやアリスをずっとずっと、見守っていてね・・・。ユーノや大切な親友との決別に、シャニーは溢れる涙を止める事ができなかった。


106: 手強い名無しさん:05/08/05 16:49 ID:E1USl4sQ
そのころロイ達も吹雪の中を進軍していた。
「おい、ロイ。流石にこれ以上吹雪が激しくなったら一旦進軍を止めたほうがいいんじゃねーか?」
「だめだ。これ以上到着を遅らせるとユーノ后妃様たちの命が危ない。シャニーだって信頼はしているが万が一のことがある。一刻も早く合流しなければ。」
ロイは焦っていた。シャニーは向こう見ずなところがある。いつもは一緒にいて危なくなったら自分が助けていたが、今の彼女は一人。大切であればあるほど、そばにいないと心配だった。
「それはわかっているがな。焦って兵に被害が出ては、エデッサ奪還に支障が出る。」
「そうだね・・・。でも、できるだけ早く到着したい。アレン、後どのくらいでエデッサまで到着できそうだい?」
「は、このままのペースで進軍できれば後2日程度で到着できると思います。」
「ロイ、そんなに心配ならアタイが見てきてやろうか? アタイだって地図さえあれば・・・。」
「ロイ様、私も天馬を駆れば偵察ぐらいはできます。この吹雪の中では飛竜も飛べないはず。どうか私にもその役目をお与えください。
「いや、危険だ。君達が危険な目に遭えばアレンやクレインが心配する。こんな心配をするのは僕だけで十分だ。
本当に・・・苦しいぐらい不安なんだ。彼女に万が一のことがあったらと思うと、食事も喉を通らない・・・。」
「ロイ様・・・。」
「ごめん。僕がこんな顔をしていたらダメだね。 きっと彼女のことだ。うまくやってくれているね。
さぁ、急ごう。一刻も早くエデッサに行こう。視界が悪いというのは相手も同じ。しかも飛竜が飛べないとなればこちらにむしろ有利だ。」
「おい、クリス・・・。」
「ん、なんだい。ルトガー。あんたからアタイに話しかけてくるなんて珍しいね。」
「敵将を・・・お前はよく知っているのだろう。残らず話せ・・・。」
「なんだい、ぶしつけな。まぁいいよ。マチルダはうちらの世界でも騎士団の団長をやっていたよ。辣腕ぶりに憧れる部下も多かった。ただ、部下を道具のように扱うところ以外はね。」
「・・・。アゼリクスも・・・同じような事をしていたな。」
「あぁ、マチルダとアゼリクスは、何か妙なプロジェクトを実行しようと裏で画策していたんだ。それが向こうの王家にばれてマチルダは追放されたのさ。」
「その妙なプロジェクトというのは・・・あのエトルリアでも妙な竜石か・・・?」
「その可能性が高いね。アゼリクスは完全に頭のいかれたマッドドクターさ。マチルダは更に危険さ。あいつには特殊な力があってね・・・。」
「特殊な力・・・?」
「あぁ。あいつはハーフの中でもアタイらと同じ神竜の血がかなり濃く流れてる。で、妙な力を持っているのさ。」
「・・・もったいぶらないで話せ。」
「あいつは、人の心の負の部分を増長させる力を持っている。そして最後には・・・自分の言いなりにさせてしまうのさ。」
「そいつは厄介だな。」
ディークやロイも話に混じる。
「あぁ、人の絶望感や怨恨感を増長させるのが特に得意らしい。・・・厄介だよ。人を操ることができるなんてね。」
「人を操って自分は安全なところからのうのうと高みの見物か。・・・いけすかねぇヤロウだな。」
「・・・シャニーが危険だ。急がなければ。シャニーは人を疑うということを知らない。もし裏切ったという騎士団員もマチルダの術にかかっていたならば、シャニーが危ない。」
「・・・。その可能性が高いと思います。イリアでは裏切りはタブーという精神が子供のころから叩き込まれていますから。仲間を裏切ってまで保身を図るものは騎士団にはいない。・・・そう信じたいです。」
ティトも妹が心配でならない。できることなら妹のところに飛んでいってやりたかった。
「よし、やはり前進あるのみだ。到着次第総攻撃をかける。ティトさん、あなたはエデッサに到着次第、騎士団と接触して合流の誘導をしてくれ。君なら騎士団の皆も歓迎してくれるはずだ。」
「はい、任せてください。」
「ディーク、ルトガー、いつも通り頼むよ。ただし相手は魔法もある。深追いはしないでくれ。」
「任せろ。そんないけすかねぇヤロウはそのでっかち頭叩き直してやるぜ。」
「アレン、相手は空中戦を挑んでくるはずだ。アタイがあいつをひきつけるから、あんたはフォロー頼むよ。」
エデッサでの戦まで後二日。それぞれの思いを胸に秘め、王都へ向かうのであった。


107: 手強い名無しさん:05/08/05 17:26 ID:LSyfL8cE
>>106
乙です
読んでばかりの俺ですけど・・

書いたやつはあるんだけど割り込むとごっちゃになるので却下

108: 手強い名無しさん:05/08/05 22:47 ID:9sML7BIs
他の人のものも読んでみたい・・・。
長編描くと>>107さんみたいに自粛されてしまう人もいるんですね。
まだ1部も佳境に入ったところで先が長いですし、私が別スレ作って出たほうがいいかもしれませんね。

・・・ところで、読んだ感じどうですか?
同じ書き手の方の意見を是非聞いてみたい('・ω・`)

109: 手強い名無しさん:05/08/05 23:09 ID:rkwM5A.g
うーん途中から読み始めたのでちょっといまいち内容がつかめませんが
たしか最初のギネヴィア王女が部屋に閉じこもりで司祭に任せているというのは紋章2部のハーディンと似たようで良いですし
シャニーとかが神竜の血をひいているという意外な設定にも少し驚きました

俺のは魔物とかが混じって1部は外伝風になっていますし
2部は主人公が生存していてヒロインがさらわれているという状況ですし
別な竜が2名(匹?)混じってますし

大丈夫です。今のままでもかなりいけると思います

110: 手強い名無しさん:05/08/06 00:11 ID:gAExt6/c
感想ありがとうございます。
やはり他の方の物も読んでみたいので別スレ建ててみます。
スレを乱立するのもあまり好ましくはないとは思いますが・・・。
今困っているのはシャニーを前面に出しすぎてロイが隠れすぎているところかな・・・。
主人公よりヒロインが目立つというのも新鮮でいいか♪('-'*)

111: 手強い名無しさん:05/08/06 13:21 ID:K3FJOMDU
SS書き兼読み手としての感想&持論

一応、長編とのことなので作品の長さ云々は十分承知。
ただ、自分はSS投下するとき、まず最後まできちんと読んで貰った上で
レス頂きたいのでとにかく読みやすくて短く纏めるように心掛けている。

長編の利点は広いフィールドで思い切り自分のやりたい事をやれるので書いていて凄く楽しい。
まず自分が楽しむこと、面白いと思える文章を書くのが一番大切だから。
一方で「長い」ということはそれだけ作品としての「濃さ」を維持するのが困難になる。
事実、自分は一気に読んだので細部まで完全に見ている訳じゃない。申し訳ない。
テキストファイルの500KBで文庫本一冊だから、まぁ勘弁して欲しい。

読者は書き手以上には正確にキャラの心情や情景を深く理解することはできない。作品に感情移入しない、愛さない。
自分以外の文章を見るとよく分かると思う。このギャップをいかに埋めるかが腕のみせどころといえるのだけど、
これが長文においては実に難しい。かといって短くするのも難しい。て、これは俺の愚痴だ。スマン。
例えば「・・・。」の中身とか。自分はSS書きだから注目するけど、普通の読者には結構スルーされる。悲しい。
ここぞというときに大事に使おう。

誤字脱字の指摘はそういわれれば、そうなの?という程度。そう思われるのも悲しいかもしれんが。
でも致命的ではないので問題ない。きちんと投下前に確認してると思うのでガンガレ。
あと白状すると、自分は封印は7章までしかやってない。攻略本は持ってる。
それ故に、ほぼ二次創作というよりオリジナル小説として楽しんでいる。
だからオリジナルキャラのクリスとかに違和感を感じない。むしろ魅力を感じる。けどゲームをやり込んでる人ほど、
オリキャラやオリジナル超展開に違和感を感じやすいはず。実は結構勇気いるぞ。面白いので大丈夫だと思うけど。

まぁ一番大事なのは自分が楽しんで書くということだ、。その上で読み手を楽しませることができたらもっと楽しい。
その努力を怠らずガンガレ、超ガンガレ。
続き楽しみにしてます。


112: 見習い筆騎士('-'*) 56J2s4XA:05/08/06 14:26 ID:E1USl4sQ
おお! 熱いご意見と的確なアドバイス感謝です。
私はもちろん楽しんで描いてますよ。
>読者は書き手以上には正確にキャラの心情や情景を深く理解することはできない

そうですね。私も如何に自分の考えが読者に伝わるか、言葉を選ぶのに四苦八苦する事があります。
書き込んでからもちゃんと自分の思惑通りに認識されているか心配になるところがあります。
特に私の場合は会話中心なので、誰が何を喋っているか、というところでこんがらがってしまうと
全く話を読めなくなってしまうのでそこはかなり気をつけています。
「・・・」は確かに使いすぎかもしれませんね。ルトガーの話す場面だとそれがあった方が分かりやすいかな、という簡単な理由で使ってしまっているのが原因でしょうか。

>二次創作というよりオリジナル小説として楽しんでいる

このような稚拙な作品で楽しんでいただけてなりよりです。
そうですね。まず設定がぶっ飛んでいますからね。
目指したものが>>4でも書きましたが『白雪姫とシンデレラを組み合わせた時みたいにスゲー展開』ですから(笑)
特に2部はキャラも殆どオリジナルキャラなので、より読み手の方との認識の違いを埋めていく努力が必要だと再確認しました。
>続き楽しみにしてます。
ご期待に沿えるよう日々精進していきたいと思います。ありがとうございましたm(_ _)m


113: ロードアンドペガサス RoH8fs26:05/08/07 14:29 ID:M0Q9VbmA
ここまで来たのかと思う程進んでいて何か少々昔を思い出します。

3 : 手強い名無しさん :05/04/08 15:39 ID:E1USl4sQ
封印のあとの話(イリア中心)欲しい人いる?

5 : ロードアンドペガサス ◆RoH8fs26 :05/04/09 15:52 ID:BL4LnRWU
>>3
実はホスィイ自分 orz

この二レスで始まった小説もかなり長く続いて・・・
もう感無量です(つД`)゚・。
これからも頑張ってください。

感想についてですが、
・ かなり意外な展開がある
・ 上手いことオリキャラを使っている
の二つが凄く印象的です。
他にも細々とありますがキリがないので・・・
良いところがあれば悪いところもあると言うように少々人によっては、
FEから外れてるとか色々言われると思いますが・・・
まぁ、そこが嫌いな人がいるなら好きな人もいると思って下さい。
さいごに一言、
ガンガレ!超ガンガレ

114: 手強い名無しさん:05/08/07 16:42 ID:E1USl4sQ
激励ありがとうございます。
貴方が>>5のレスを下さっていなかったらこの小説もなかったと思います。
そう思うと貴方には感謝してもしきれません。
これからも応援・ご指摘よろしくお願いします。

115: 手強い名無しさん:05/08/09 21:07 ID:hQSSVvFw
まだかなぁ・・・
待っています。続き頑張ってください

116: 手強い名無しさん:05/08/09 23:07 ID:9sML7BIs
>>115
ごめんなさい。他の方の物も読んでみたいし
まだまだ先が長いので別個スレ建ててそちらに移住しました。
別個スレ建てるほどに面白い作品かどうかというのは分かりませんが、楽しんでいただけるように頑張りますので
別スレでご指摘や応援よろしくお願いします。

別スレ

【長編】ファイアーエムブレム〜双竜の剣〜【小説】
http://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/emblem/1123296562/l50

117: 手強い名無しさん:05/08/10 00:45 ID:mINGRtOQ
>>116
あーそちらに・・・ではたまに来た時に読ませていただきます

さーどういう風に書いていこう?

118: 手強い名無しさん:05/08/10 22:38 ID:mWaRFA92
1章胎動
「これであらかた片付いたな」男がそう言うと剣をおさめた
「ああ、後はこの奥にいる魔竜だけだ」赤い髪をした少年がそう言うと
「あんたは先に行くといい。俺は後で追いつく」男はそう言った
「そうか。じゃあルトガー後でまた」
「ロイも充分気をつけろ」
そう言うとロイという少年は奥へと歩いて行った
「・・・魔竜イドゥンか」

「ここが封印の神殿か・・・」
2年前忍び込んだ封印の神殿。そこはルトガーにとっては関係の無いものだったがその時ばかりは違った
「確か国王の姿が見えるはず・・・」そう思って見てみるとベルン国王の姿があった
「手に持っているあの赤い珠・・あれがファイアーエムブレムなのか」
ベルンの至宝、ファイアーエムブレム
それはある剣と人の封印を解く鍵とも言う
「光ったな・・・」王がエムブレムを台座にはめると剣が取り出され棺の中から女性が出てきた
「誰だ・・・?あいつは」

あの時から2年。ベルンに故郷を滅ぼされたルトガーにとってベルンは復讐の的だった
だが、魔竜は復讐の的ではない。ルトガーにとって魔竜は関係無いものだったのだ
「・・・あれから2年にもなるがあいつは誰なんだ?」と思いながらもルトガーは奥の方へと歩いていった
そして竜殿の最深部に辿りついたルトガーが見たものはあの時の女性だった
「!?・・・まさか、あいつが魔竜だと言うのか・・・?」
何も考えずただ単に命令された事に従う女、まさにそうだった
「ルトガー知っているのか?」
「いや、俺は見た事があるだけだ・・・。詳しくは知らん」
ロイに聞かれたが見た事のあるだけの人を詳しく知っている人は誰もいない
「ロイ様・・・」
「やるしかないさ!この封印の剣で!!」
ロイの恋人であるソフィーヤが回りの竜共を一掃。そして・・・「あなたに『哀れみ』を感じて救おうとしたハルトムートの思い、ここで終わらせるわけにはいかないんだっ!!」封印の剣に光が走り、一閃。勝負は一瞬だった
そして魔竜イドゥンは元の女性の姿に戻った
「な、なんだ!急に崩れ始めたぞ!」
「ロイのお兄ちゃん・・・」
「わかってるよ。あとは僕に任せてここから出るんだ!」ロイがイドゥンを助けようと振り向いた瞬間
「ロイ、ここは俺に任せて早く行け」
「え!?ルトガーなんで君が・・・」
「いいから早く行け!瓦礫の下敷きになりたいのか!」
「わかった。でも、必ず戻ってきてくれよ」
「ふっ・・・言われなくてもわかってる」ロイや仲間達は出口へと向かって行った
「・・・お前が本当にあの時の女なのか?」悩みながらもルトガーは出口へと走って行った
丁度彼が走りだした瞬間に天井から瓦礫が降ってきた



119: 手強い名無しさん:05/08/10 22:38 ID:mWaRFA92
外に出るとロイから一つの言葉が発せられた
「ルトガー、君に頼みがあるんだ」
木陰にイドゥンを休ませると
「何だ?言ってみろ」
「君にイドゥンをナバタの里まで送って欲しい」
ナバタの里は神竜の住む唯一の場所。生まれは知らないがそこへ行けば誰かが知っていると思ったからだ
「いいだろう。同行する」そうしてルトガーはイドゥンを連れてたった一人で出発した

それから2ヶ月後・・・
「・・・どうして私の側に?」
「約束だからだ」
「・・・本当に?」
エトルリアとミスル半島の丁度国境付近の森にいた二人は初めて会話をした
恐らく『心』を奪う術が弱まっているのだろう。ルトガーはそう思った
「・・・いいから黙って来い!」ルトガーがイドゥンの壊れそうな腕をとろうとした瞬間
ガサガサと音がしノシノシと音がした
「!・・・戦闘竜か!?」
「・・・違う」イドゥンがそう言うと草むらから見た事の無い生き物が出てきた
「なんだこいつ!?」
「・・・剣を」イドゥンがそう言うと剣を投げて渡した
「ちっ・・・はぁ!」
ルトガーが胴体を斬り走ると生き物は動かなくなった
「何なんだ一体・・・」
疑問をしている場合ではないと思い、イドゥンを連れ里へと急いだ

ナバタの里につき『心』を奪う術をといてもらい長老にその事を聞いたルトガーはこう回答された
「1000年以上も昔のことじゃが・・・これと同じようなことがあっての。詳しくは知らないのじゃが・・何か嫌な予感がするんじゃ。ちょっと調べてみてくれんかの?」
もう「復讐」は終わった。だからルトガーは
「悪いがもう力を貸す気にはならない」
そう言うとイドゥンが
「お願い。あなただけが頼りなの」
イドゥンがそう言うのは初めてだった。さすがのルトガーもそれに驚いたのだろうか少し姿勢を崩したが
「・・・・・・いいだろう。そこまで言われるのであれば仕方が無い」
そう言い、承諾した

120: 見習い筆騎士('-'*) 56J2s4XA:05/08/11 08:53 ID:gAExt6/c
続き楽しみにしてます。
お互い頑張りましょう。
さて、今日は告別式だ・・・。

121: 手強い名無しさん:05/08/12 14:43 ID:Inist.Uk
>>120
ありがとうございます

では続きです

2章 天馬のような「もの」

ルトガーとイドゥンはまずナバタの里にある書物室から何か役立つような書物は無いかと探した
そしてある名前が浮かび上がった
「ティアマットか・・心当たりは無いか?」
「いいえ・・・知らないわ」
「そうか。仕方が無い。明日にでもエトルリアへ出発して調べるとするか」
「・・・そうね」
ティアマット、その名前に聞き覚えがあるとルトガーは感じていた
「おねぇちゃん、おにいちゃん!」
幼い誰かの声がした
「ファ?」
「うん!そうだよ!」
ファ、神竜族の少女でロイの恋人であるソフィーヤの妹である
「・・・フェレから帰ったところなのか?」
「うん!ソフィーヤおねぇちゃん、ロイのおにいちゃんと一緒でしあわせそうだったよ!」
「そうか。それは何よりだな」
「・・・ロイ?」
「・・・話していなかったな。お前を助けるために封印の剣で斬りつけたやつだ」
「そう・・それで気になっていたのね・・私」
もう夜が近づいていた
「夜か・・・もう寝るか?」
「ええ、そうしましょう」
「明日エトルリアへ向かうから支度は・・」
「大丈夫。ローブは持っているから・・」
「そうか。俺はここで寝る。何かあったら呼んでくれ」
「ええ、お休み・・ルトガー」
そうしてソファーの上で寝る事にした

だがルトガーは気になっていた
あの時の生き物はバレンシアという大陸にいるという話を聞いた事があるからだ
「・・だとすると何か起きているのかも知れないな」



122: 手強い名無しさん:05/08/12 14:43 ID:Inist.Uk
そして夜が明けた
「・・・ん・・・朝か」
ソファーから出てイドゥンとファの寝ている部屋へと行った。が・・・
「!・・・取っ手にひびが」
剣を構え扉を蹴破ると
「イドゥン!ファ!」
「ルトガー!」
人影が見えるが誰かはわからない
「ここは俺に任せて外へ行け」
「でもルトガーは・・」
「いいから行け」
「はい・・・」

見覚えのある人物だった。相手が斬りかかると紙一重で避けた
「・・・鈍いな。だが、剣を弾けば問題ないだろう」
斬り返しをした直後、ルトガーは自分の剣で相手の剣を弾き床に叩きつけた
(この剣は・・・)
「しまった!剣が!」
声に聞き覚えがあった
「フィルか?」
「え?」
丁度日が入ってきたので間違い無く
「フィルだろう」
「ルトガーさん?」
「西方三島へ向かったと聞いたが・・・」
「いえ、途中で変な生き物に襲われてそれで・・」
「何!?その生き物は?」
「きゃーー!ルトガー!」
遠くからイドゥンの呼ぶ声がした
「ちっ・・フィル行くぞ!」
「はい!」

かけつけるとそこにはイドゥン一人だけと天馬のような生き物がいた
「っ・・・天馬!?」
「いや、違うな。目の色が死んだ天馬みたいな色をしている」
「ルトガー・・」
「イドゥン、そこから動くな。はぁ!」
ルトガーが斬りかかったが寸前に相手は避けた
「早いな。こいつ・・」
天馬がフィルに向かって角を突き出して体当たりをしてきたが難なく避けた
「・・・壁にひびが入った・・・!」
「食らったら一たまりもないな。だが、もうここで終わりだ」
そうルトガーが言うと
「青竜斬」
見えたのはルトガーが剣をかざして天馬の反対側に出ただけだった。だが次の瞬間に天馬は倒れた
「イドゥン。ファは?」
「・・・あっ、私とはぐれて・・でも外に居ると思うわ」
ただぼーっとしていたイドゥンの手を取り一緒に歩き出した
幸いファは外の水辺で遊んでいたのですぐに見つかった

「フィル。すまないな」
「いえ、いいんです。まさかあんな生き物がいるなんて・・・」
竜を倒していったフィルも動揺を隠せないでいた
「これからどうするんだ?」
「西方三島に渡ろうと思います」
「そうか。達者でな」
ルトガーはフィルに別れを告げた
「行くとするか・・」
「ええ・・行きましょうエトルリアへ」
「おにいちゃん、待って。私も行く!」
「ファ?」
「別に良いでしょう、ルトガー」
「・・・そうだな」
ルトガーとイドゥンとファの3人はエトルリアへ向かった

123: 手強い名無しさん:05/08/12 16:30 ID:UhKS4qG.
年上なのに妹?

124: 手強い名無しさん:05/08/12 21:55 ID:e3pJpo4I
いえ、ソフィーヤの妹だからそう書いたんですけど・・・
何か指摘箇所がありましたらどうぞ

125: 3章 白竜と黒竜:05/08/14 00:57 ID:mMO89drY
ナバタの里から出発して2週間。ようやくアクレイア郊外まで近づいた
来るまでに色々な生き物が襲いかかってきたがルトガーの剣とイドゥンの魔法で難なく片付いた
「ここがエトルリア王都アクレイアだ」
「・・・高い壁」
「さすがにこの高さでは天馬も入れない。イドゥン、これに着替えろ」
「・・・どうして?」
「お前は人に恐れられているからだ。下手に姿をみせては事が大きくなる」
「わかった。向こうに行って着替えるわ」
人通りのない袋小路へと入って行きファとルトガーが誰もこないか見ていた
「おまたせ」
「よし、図書館へ向かう」

3人はエトルリアの王立図書館で何か文献は無いかと思い
「古い本を探すんだ」と言って探し始めた

「おにいちゃん、この本はどう?」
「これか?・・・・・・破損がひどいが関係ないな」
「そっか。じゃあ他の探してくるね!」
「ふう・・・あらかた探したな」
探し初めて1時間が経過していた
「ルトガー・・・これ」
「?これは」
「開かないのだけれど・・・何かしら」
「・・・・・・開いたぞ」
「えっ?」
「これは・・・・・・探していた物だな」


126: 3章 白竜と黒竜:05/08/14 00:57 ID:mMO89drY
3人はその本を詳しく見ていった
「放浪の剣士ルギスが砂漠で迷っていて倒れていた所をたまたま通りかかった女性レルアに助けられる・・・その女性はこの砂漠にある神竜国ルークリュの王女で敵対している帝国の黒竜王ティアマットに対抗できる力を持っている・・・」
「ティアマット・・・あの時の名前?」
「そうだろうな。そして居場所が帝国に突き止められて黒竜軍の前に一夜にして滅亡・・・だがルギスの助けによりレルアとわずかな民達は生き延びたという。レルアは黒竜と戦う決心をし、ルギスも彼女と共に戦う事を決意した。そして白竜ティレルアから竜族の神器と魔剣を授かったレルアとルギスは黒竜を封印したという・・・か」
「ねぇねぇ、封印っていう事はいつかまた出てくるんでしょ?」
「・・・だとしたら今復活しつつあるのか?」
「あの生き物達については書かれて無いの?」
「・・・あった。魔物、黒竜の復活が近づくにつれ生まれる邪悪な生き物と書かれてあるな」
「・・・それじゃあ今黒竜の復活が迫っているという事?」
「そうらしいな・・・あと魔物についてこう書かれている。魔物をこの世から消し去るには魔石を破壊せよさすれば魔の力は失われんと」
「その魔石を破壊すれば・・・」
「ああ、魔物はいなくなる」
「ねぇねぇ、探しに行こうよ」
「そうだな、それを破壊できればいなくなるからな・・・」

ルトガーは出てから
「一つ寄っておきたいところがあるんだが良いか?」
「ええ、良いわ」

127: 手強い名無しさん:05/08/14 01:14 ID:mMO89drY
「ここだ」
「ここ?どこかのお屋敷みたいだけど・・・」
「まぁ、見てろ」コンコン
「郵便屋さんですの?」
少し高い声がする
「もう、あの人から手紙がこないのでさびしいですのに・・・」
「悪かったな。手紙をよこさなくて」
「え・・・?ルトガー!?」
「相変わらずだな。クラリーネ」
久しぶりの友人との再会だった
「わざわざ私に会いにきてくださいましたの?嬉しいですわ!」
「わざわざは余計だ。それに、旅の途中でよっただけだ」
「どういうことですの?」
「・・・それは長くなるが良いか?」
「ええ、ここで立ち話も何ですし中に入ってくださらない?」
「良いだろう。イドゥン、ファ、先に入ってていいぞ」
「お邪魔・・・します」
「え?イドゥンって・・・」
「それも中で話そう」

ルトガーとイドゥンはこれまでにあった事を話した
「そうかい・・・そんな事が」
たまたま仕事が休みで家にいたクレインもその話を聞いた
「信じられないとは思うが・・・事実だ」
「でも、私達より前にそんな事が起こってたなんて・・・」
「うん。で、ルトガー、その魔物とやらは今世界中にいるのかい?」
「恐らく、な。他の地域に行って無いからまだ何とも言えない状況だ」
「そうか・・・これからどうするんだい?」
「西方三島へ渡る。ミルティン王子なら何か知っているかもしれん」
「そうか、じゃあ道中気をつけてね」

ルトガー達はアクレイアを出発し、西方三島へ渡った


何だかわかりにくくなってるかも・・・わかりにくかったらすみません

128: 4章 西へ:05/08/15 19:34 ID:TW3kzNZI
「風・・・」
潮風がイドゥンの髪をなびく
「どうした?」
「砂漠で感じた風とは違う・・・」
「それはだな・・・」
波が立って船が揺れる
「きゃっ!」
「よっと」
立っていたイドゥンが倒れそうになったのでルトガーは押さえた
「・・・海って不思議ね」
「何故だ?」
「風が吹いて、鳥達が舞い、波は生きているかのように動く・・・」
哲学的な事を話し始めた
「・・・それで不思議に思うのか」
「ええ、陸と海ではまるで違うの」
「そうか。陸と海・・・サカにも同じ事が言える。草原を海と例え、山を陸と例えればまるで違うのと同じだ」
「ルトガーはサカの人なの?」
「ああ、そうだ」
ルトガーはサカの部族の出身だったのでベルンが攻め込んだ時のことは覚えている

「っく・・・」
「ルトガー逃げて!」
「お前を見捨てて逃げれるか!?」
「私は大丈夫・・・だから・・・逃げて!」
「・・・・・・くそ!」

「ルトガー?」
「・・・昔のことを思い出していた」
「えっ?」
「ベルンに攻められた時の事だ。あれからもう1年になるのか・・・」
「ごめんなさい」
「気にするな。お前があやまるようなことじゃない。俺の力不足だったんだ・・・」
「ルトガー・・・」
「明日には島につくだろう。それまで休め」
そう行ってルトガーは甲板から降りた
「・・・あなたは失う事を恐れている。その事があなたを追い詰めているの・・・?」
イドゥンはルトガーの思いを感じていた・・・

129: 仲村哲也:05/08/16 01:20 ID:Wsoci5LI
婚礼
動乱が終結して2年がたった。
ここはオスティア。春のさわやかな風が吹く市街地は、いつも以上に活気にあふれていた。
「いよいよリリーナ様も結婚か、ヘクトル様もあの世で喜んでるだろな」
「しかも、相手がフェレのロイ様とくりゃあ、リキアも豊かになっていくだろうよ」
「ロイ様ばんざ〜い」
「リリーナ様ばんざ〜い」
一方ここはオスティア城リリーナの自室。
リリーナは純白のウェディングドレスに身を包み、窓の外から見える空を眺めていた。
「あれから、2年がたつのか〜。みんな今はなにをしてるんだろ」
動乱が終わると仲間達は自分達の故郷に帰っていったり、再び旅に出て行った。
わかっているのは、クレインがティトと結ばれリグレ公爵家を継いだこと。
エルフィンが招待を明かし、エトルリア国王に即位したこと。
シャニーが新生天馬騎士団の団長になったこと。
イリア王国が建国したことだ。
「リリーナ、もうすぐロイ殿が到着するわ」
「わかったわ、お母様」
部屋を訪ねた母、フロリーナにそう答えると、
「そして私も・・・」
胸の鼓動が高まるのを感じ、リリーナは部屋を出た。



130: 仲村哲也:05/08/16 02:15 ID:Wsoci5LI
祝福
「ロイ様!」
「リリーナ様!」
バルコニーに二人が姿をあらわすと、民衆から嵐のような大歓声が起きた。
ロイは動乱後、正式にフェレ候となった。17歳となったロイからは少年の面影は消えうせ、英雄の貫禄につつまれていた。
リリーナも盟主となってからは、大人としての魅力が出ていた。
二人は民衆にささやかに手を振った。
「二人とも、おめでとう」
「セシリアさん、お久しぶりです」
「ありがとうございます」
エトルリア代表として出席した恩師に二人は笑顔を見せた。
「セシリアさんの方も、もうすぐなんじゃないですか」
「え・・、ち、ちょっとロイ!」
愛弟子の質問にセシリアは頬を赤らめた。
セシリアとパーシバルの婚礼のうわさは、すでにロイたちの知るところとなっていたのだ。
「まあ、これからは大変だと思うけど、二人で力を合わせてこのリキアを導いていくのよ」
「はい、ありがとうございます」ロイはセシリアに一礼した。
「ロイ様おめでと〜」
「まあリリーナ、そのドレスよくおにあいですわ」
シャニーとクラリーネも婚礼の儀に出席していた。
「こんなかっこいいだんなさんで、リリーナしあわせだね〜」
「シャ、シャニー。からかわないでよ〜」
リリーナは思わずりんごのように顔が真っ赤になった。
「2年ぶりだね。クレイン将軍は元気かい?」
「ええ、ティトお義姉様となかよくやってらっしゃるわ。でもロイ、お兄様はいまは軍人じゃなくて文官でしてよ」
同い年の四人は話に花を咲かせていた。
「ロイ様、おめでとうございます」
「みんな相変わらずね」
ウォルトとスーが輪に入ってきた。ウォルトはともかくスーも貴族の衣装を身にまとっている。
「ウォルト、もうラウス候なんだから様はよせよ」
「スーもその格好が似合ってきたわね」
この話の内容がわからず、クラリーネはたずねた
「えっ、どうゆうことですの?」
「ああ、言うのを忘れていた。ウォルトとスーは結婚して、新ラウス候になったんだ」
「え〜知らなかった」
ロイの答えにシャニーは驚いた。
ロイとリリーナの婚礼の半年前、すでに結婚をすませていたウォルトは、動乱時の功績をたたえられ、ラウス候となったのである。
「そうでしたの。お祝いできずにざんねんですわ」
「今日はおめでた尽くしだ」
シャニーの掛け声に、六人は笑った。

131: 仲村哲也:05/08/16 23:57 ID:ipa88ZQs
不服
ロイ達の婚礼が済んでから数日後。
ここオスティアで諸侯会議が始まろうとしていた。
今ひとりの諸侯がオスティア城に一個小隊をひきいて到着した。
彼の名はアラフェン候ヘンゲル。23歳。動乱後、領主となった前アラフェン候の弟である。
「ふん!この私が、何ゆえ女に従わねばならんのだ」
謁見の間までの回廊を歩いているとそう吐き捨てた。
亡き盟主ヘクトルの跡取りは女。それゆえ盟主は務まらないがために、リキア第二の都市アラフェンを治める自分こそ盟主にふさわしい。
彼はリリーナが盟主となった今でもそんなことを考えを持っていた。
ヘンゲルは、パラディンとしての技量は高いが、欲望が強く自分の思い通りにならないと気が済まない男であった。
彼は女を自分の“遊具”として考えており、その遊具が自分の上に立っていることに憤りを覚えているのである。
その為、彼女が考え出す政策を、徹底的に批判しては毒を吐いて帰っていくのである。
新生リキアがいまだまとまりを欠いているのはこのためである。
「ヘンゲル殿!いい加減にしないか!今は民と共にあることが大事なんだ。貴殿には、新しいリキアの礎を築く気はないのか」
「妻をかばう夫の戯言など聞きたくはない。私を盟主にすることが礎を築くには欠かせぬことだ」
会議が始まるや否や、ロイとヘンゲルが口論を始めた。
「二人ともやめてください。今は口論をしている場合では・・」
「ふん。ウォルト殿、貴殿にも問題があるぞ」
矛先を変えたヘンゲルの言葉の意味がわからず、ウォルトは疑問に思う。
「貴殿は清らかなリキアの地に、汚らわしいサカの獣の血を引き入れたのだ。サカの女を妃にするなどと、動乱で頭がくるわれたのか?」
「!・・貴様っ!!」
スーのことをけなされウォルトは今にも飛びかかろうとする。
「私はこれ以上付き合いきれん。失礼する」
そういうと彼は踵を返し、臣下と共に去っていった。

部屋に戻る回廊で、ロイはリリーナに語りかけた。
「ごめん。また会議を無駄にして・・」
「ううん、ロイのせいじゃないわ。それよりもウォルトのほうは?」
「うん。今度ばかりは相当頭にきたみたいだ。さっきから部屋に閉じこもったままだよ」
「そう・・・」
普段おとなしいウォルトが、あれほどが激高したことは、乳兄弟としてすごしたロイ自身も見たことがない。いや、あれほど言われれば自分だって激高しただろう。

「それにしても、アラフェン候のほうはなんとかならないだろうか。今はひとつとなってリキアを立て直す大事な時期なのに」
「・・・私もまだ力不足なのかな・・・」
リリーナが弱気な言葉を漏らすと、ロイは即座に否定した。
「リリーナは精一杯やっている。力不足なんかじゃないよ」
「うん・・ありがとう」
ロイの言葉にリリーナは救われた気がした。
しかし彼らはまだ知らない。
今リキアが大きく揺れていることを。
その危機は、一人の戦友の手紙で知ることとなる。




132: 手強い名無しさん:05/08/17 01:07 ID:YQs9bzxM
>>131
書くのは良いけど名前をふせてくれ

133: 手強い名無しさん:05/08/17 13:33 ID:10j3wQPY
どうせネタだろ

134: 手強い名無しさん:05/08/17 17:05 ID:vAvLqTx6
5章 西方の王子

「ここから北に行けばフィルがいるはずだ」
「どうして?」
「北は山岳地帯だ。武者修業には持って来いだ」
西方三島についたルトガー達はフィルを探しに行った。彼女は力になってくれるはずだからだ
「おにいちゃん、鳥のおにいちゃんは探さなくて良いの?」
「鳥・・ミルディンか。フィルを探した後でも充分だろう」
エルフィン。本当の姿はエトルリア王子ミルディンである

「ここ?」
「そうだ。この辺りのはずだが・・・」
「・・・おにいちゃん!あれ!」
ルトガーが振り向くと竜がいた
「戦闘竜!?」
「違うわ!これは・・屍竜よ!」
「屍竜?それは?」
「竜が死んだ後何者かによって生み出されるいわば・・・ゾンビよ」
「ファ!」
「きゃん!」
「くっ、山の中ではさすがにつらいな」
「任せて。・・・ライトニング!」
イドゥンの手から光の玉が撃ち出され竜へと向けられた
「ガ・・」
「今だ、失せろ!」
「エルファイアー!」
ルトガーが竜の胸を切り裂いたあと、イドゥンが炎で追い討ちした
「やった?」
「・・・まだだ!」
猛攻を受けながらも竜はルトガー達に牙を向けた
「ルトガー、避けて!」
「?」
「息を吐こうとしているから早く!」
「わかった」
イドゥンがそう言うと竜が息を吐いてきた。二人は吐くのと同時に木の上に上った
「このままじゃ木が持ちそうにないな」
「どうすれば・・・」
その瞬間、剣が竜の目に刺さった
「!?」
「ルトガーさん!」
「フィル!?」
「あなたこそどうして・・・」
「今は話している場合ではない!一気に斬り伏せる!」
「はい!」
ルトガーとフィルは同時に竜に向かって斬りかかった
「これで終わったな・・」
「ルトガーさん、どうしてここに?」
「さっきの竜を見ただろう。あんなのが大陸中に出るんだ」
「えっ・・・」
「フィル、お前の力を貸して欲しい。いいだろうか?」
「私にもよくわかりませんが、人々を脅かすようなものは放っておけない。力になりましょう」
「すまないな、フィル。ところでミルディンがどこにいるか知らないか?」
「ふもとの村にいますよ。会いに行くんですか?」
「そうだ。聞きたい事があるんでな」
「わかりました。案内しますよ」
「頼む。・・・イドゥン?」
「人々を脅かすもの・・・」
「・・・・・・」



135: 手強い名無しさん:05/08/17 17:05 ID:vAvLqTx6
フィルに案内されてルトガー達はふもとの村に行きミルディンのいる家の前へ来た
「ここか」
「はい、ミルディンさーん」
「はいはい、今行きますよ」
扉を開けると詩人のような青年がいた
「王子、久しぶりだな」
「・・・ルトガーですか。どうしたんですか?」
「一つ聞きたい事があるんだ。良いだろうか?」
「かまいませんが・・・どうしてですか?」
「それはこいつを見ればわかるだろう」
「・・・・・・」
イドゥンは黙ってフードを取った
「!あなたは・・・」
「かまわないか?」
「・・・訳ありのようですね。いいでしょう。中に入ってください」

ルトガーはこれまで知った事をミルディンに話した
「・・・なるほど。そのような事があるとは」
「このような事について何か知らないか?」
「・・・聞き覚えがあります」
ミルディンの話によると
1500年程前に国が5つに分かれてありナバタの里あたりにルークリュがあった
人々とは離れて暮らしておりその中で王女レルアは人に興味があり度々砂漠へと行っていた
今のベルンの最東端に黒竜ティアマットがドラグエルナを築いて世界を我が物にしようとしていたのだ
ルギスは現在のサカにあたるところで生まれ育ち自らの力を試すために放浪していたという
その中で二人は出会い、本に書いてあるようなことがあったのだ
「なるほど」
「それでルトガー、あなたはどうするつもりなのです?」
「魔石を破壊し、黒竜を討つまでだ」
「そうですか・・・でも一つ気になる事があります。『魔石は黒竜の元に有り』と」
「黒竜の元に・・・」
「それでも・・・」
「それでもだ。破壊しなければ世界に大きな災いが起こるからだ」
「そうですか・・・これからどこへ?」
「リキアへと向かって行く」
「では気をつけて」

4人は外に出ると
「ルトガー・・・」
「どうした?イドゥン」
「・・・まだ昔のことを引きずっているの?」
「どうしてわかる?」
「私・・・わかるの。誰かを守るために懸命になってるって・・・でもそれじゃルトガーが」
「俺は構わん」
「・・・ルトガー?」
「誰かを守る事、それが今俺にできることだ」
「・・・・・・」
イドゥンはルトガーの事が心配だった。何故あそこまで自分に気を使うのか不思議でたまらなかったからだ
「イドゥンさん、気を落とさないで下さい」
「おねぇちゃん、きっと大丈夫だよ」
「フィル、ファありがとう・・」

誰かを守る事で自分を保つ、それが今のルトガーだった

136: 仲村哲也:05/08/17 17:40 ID:S8kfkuj.
反乱
諸侯会議から二週間後、ここはアラフェン城の王室。
室内は蝋燭の明かりで照らされている。
その室内には数名の影があった。
「万事ぬかりはないな」
「はっ、明日までには準備が完了します」
「うむ。確認を怠るなよ」
部下の報告に男が満足すると別の男が笑みを浮かべた。
「ゲヘヘヘ。ヘンゲルよ。いよいよやるのか」
「ああ。ディアスよ。カートレー軍が参戦してくれること、感謝しよう」
「民と共にあれ、か・・・。平和ボケしてるやつらなんざ敵じゃねぇよ」
男はアラフェン候ヘンゲル。別の男はカートレー候ディアスだ。
ディアスはヘンゲルとは旧知の仲で、戦好きのジェネラルだ。
ヘンゲルから反乱を起こすという話を聞いたときは二つ返事で賛同した。
満足そうな二人とは対照的に、おびえる影があった。
「だっ、大丈夫かなぁ・・。こんなことをして。も、もしうまくいかなかったら・・・・」
「だぁーー!いちいちうるせぇんだよてめえは。だいたいなんでこんな奴がいるんだよ!」
おびえているのは、賛同者のレドだ。
トスカナ候である彼は、知に長けたドルイドで反乱軍の魔道部隊を率いている。
その代わり性格はかなりの小心者で、ディアスは彼を毛嫌いしており計画の中で唯一気に入らなかったことだ。
「そう言うな。あのリリーナに対抗できるくらいの魔道士をつけるのが筋だろう。レドもいい加減に腹をくくれ。自分から賛同した以上、それなりに働いてもらうぞ」
「わ、わかったよ。その代わり約束は守れよ」
約束とは、成功の暁にはオスティアとフェレの領土をくれるというもの。ヘンゲル同様、欲望の強い彼を動かせるには十分だった。
意気の上がるディアス、そして手に入る富に胸躍らせるレドを尻目にヘンゲルは嘲笑する。
(くくく・・。これだから単細胞は扱いやすい。貴様らなんぞ私の“コマ”に過ぎんのだ)
反乱のときは、刻一刻と迫っていたのである。
 
時を二日ほど少しさかのぼる
ここはフェレ城の王室。
その部屋に新たにフェレ騎士団の団長となったアレンが入室した。
「失礼します。ロイ様、オスティアからの使者がこれを・・・」
書状を受け取り、ロイは手紙を開いた。
手紙はリリーナからのものだった。
「あなたがオスティアを発ってから二日ほど後、ルゥから手紙が届いたの。その中でとんでもないことが書かれていたの。「アラフェンではあちこちで戦の準備をしている」と。
 事実かどうかはわからないけど、ルゥの言うことに嘘はないと思うし、チャドに筆跡を確認させたらルゥのものに間違いないそうよ。盟主としてこれは見過ごせない事態なの
 反乱かどうかはこれからその検討をするから、すぐにオスティアに戻ってきて。  リリーナ」
手紙を読み終えた後、ロイは傍にいるマーカスにたずねた。
マーカスは動乱後騎士を引退し、今はロイの参謀となっていた。
「どう思うマーカス。もしこれが本当だとしたら・・」
「可能性はありますな。ヘンゲル殿はリリーナ様が盟主でいることを快く思ってません。反乱の動機は十分かと」
「しかし本当にオスティアが狙いなのかな。いくら兵を集めたところで、オスティアとアラフェンじゃ距離がありすぎる。そこが気になるな」
「しかし、ロイ様・・」
「わかっている。オスティアに戻る。マーカス、後を頼む」
「では、護衛の兵を呼んでまいりましょう」
「いや、その必要はない」
ロイの言葉に、マーカスは異議を唱える。
「ロイ様、何ゆえそのような・・」
臣下の問いに、ロイは緊張した趣で答える。
「妙な胸騒ぎがするんだ。兵は出来るだけここに残して置きたいんだ」
それ以上マーカスは聞こうとしなかった。

その夜、ロイは一人で城を出た。妙な胸騒ぎがしたまま・・・。
                 

137: 旅人:05/08/17 17:57 ID:S8kfkuj.
小休止
え〜突然記載させていただいたわけですが、タイトルは「光ある未来へ」です。
ベルン動乱から2年後の世界を舞台に書かせてもらってます。
ここまでで出てきたキャラクター及び封印キャラの現在の地位です。
ロイ   フェレ候 
リリーナ オスティア候
ウォルト ラウス候
スー   ラウス候夫人
マーカス フェレ家宰相
アレン  フェレ騎士団団長
ランス  同副団長
チャド  オスティアの密偵
シャニー エデッサ王宮騎士団団長
クラリーネ リグレ候妹
クレイン リグレ公爵
ティト  同夫人
ヘンゲル アラフェン候
ディアス カートレー候
レド   トスカナ候



138: 旅人:05/08/17 21:35 ID:ipa88ZQs
再会
オスティアに向かう船の上で、ロイはリリーナからの手紙を思い返していた。
(ヘンゲル殿はどこを狙うつもりだ・・・。素直に考えれば、オスティアを狙うはずだが・・。昨日からずっと胸騒ぎがやまない)
オスティアとアラフェンの距離はどんなに強行軍をかけても馬で七日はかかる。それだけかかればすぐにオスティアの知るところとなり、奇襲が決まる可能性は低くなる。
ましてやオスティア軍はエレブ大陸きっての重騎士団と難攻不落の城を持つ。篭城に追い込んだとしても、援軍が来るまでは持ちこたえることもできる。
反乱を仕掛けるには不利な要素が多い。
ロイは考え込んでいるうちに、背後に人が近づいているのに気づかなかった。
「よう、あんたロイってんだろ」
ロイはその瞬間気を張り詰め、マントで隠している剣に手をかける。
(ヘンゲルの・・・刺客か?)
背後からの凄まじい剣気に、背筋が凍りつく。しかし、なぜか懐かしい・・・。
(もしかして・・・)
そう思い後ろを見た。
自分の丈ほどある大剣を持った緑の髪の剣士。
そして何よりも目立つ顔の傷を見て、かつての戦友だと確信した。
「ディークか・・・、脅かさないでくれ」
「よう大将、ひさしぶりだな」

「そうか・・リグレ候のところに行くとこだったのか」
「ああ、クレインにせがまれてな、二月に一回は顔を見せるようにしてるんだ、そういやお前は何で一人で、この船に乗ってんだ?」
ディークの言うことは最もだ。今や一貴族であるロイが、たった一人でこの船にいることを疑問に持たないほうがおかしい。
しかしロイは話すことができない。いかに信頼しているとはいえ、ディークは傭兵である。
すでにアラフェン候に雇われている可能性も否定は出来ない。
ロイが困惑の表情を表すとディークは聞くのをやめた。
「俺もオスティアに用がある。話しは道中で聞く」
そういうとディークは船室に入った。
(ディークには話してもいいかもしれない・・・・)
ロイはそう思った。もしディークがヘンゲルの刺客なら、背後を取られた時点で命を奪われている。
ロイは船室に戻った。そして翌日の日中、船はオスティア領の港町バドンについた。

139: 旅人:05/08/18 00:45 ID:wN2Fkp12
驚愕
オスティアまでの街道でロイはディークにこれまでの経緯を話した。
「なるほどな、アラフェンでやたら傭兵の勧誘があったのはそのせいか」
「えっ!ディーク、まさか君は・・」
「ば〜か安心しろ。俺はやつらの手先じゃねえ。もしそうだったら船でおまえを殺ってる」
「す、すまない。しかしこれで反乱の可能性が高まった。一刻も早く対策を講じないと」
「付き合うぜ、ロイ」
「いいのかい?」
「昔のよしみだ。それに万一のためにも味方は多いほうがいいだろ」
「ありがとう、心強いよ」
「前金でたのむぜ」
二人はオスティアへ馬を急がせた。

二人がオスティア城に到着すると、リリーナを中心に作戦会議が開かれた。
とはいっても少人数で行ったもので、参加者はロイ、リリーナ、重騎士団長のボールス、密偵のチャド、それに契約したばかりのディークの五人である。
「ルゥの手紙が届いてからいろいろさぐりを入れているの。まずは兵力。情報ではカートレーやトスカナも賛同しているみたいよ」
「アラフェンはオスティアに匹敵するくらいの兵を持っているし、それに二つの軍が加わるとしたら、正規兵だけでも1万5千はあるな」
「ディーク殿の言うように、傭兵も沢山集めているとすれば、2万を超える大軍になりますな」
「けっこうな数だな、オスティアが狙われたらやべえんじゃねえか」
ディークの問いにチャドが自身満々に答える。
「心配ねえよ、篭城すればこっちに分があるし、そう簡単にはやられねえよ。でもほかの領土だとちょっとやべえかもな」
その言葉に、ロイは急にものすごい悪寒を感じた。
顔色を変えるロイに気づき、リリーナが気を使う
「どうしたのロイ、顔色悪いわよ」
「・・・フェレを発ったときからずっと胸騒ぎがするんだ。自分の領土が襲われるんじゃないか・・」
苦しむロイを見て、チャドはあわててわびる。
「あっ、ご、ごめんロイ様。変なこと口走って・・」
「いや、いいんだ。気にしてないよ」
「だが、まんざらでもねえ。距離のあるオスティアよりも、親交のあり尚且つ近いところを襲うって事も考・」
「ディーク!いい加減にして!」
苦しむロイに追い討ちをかけるようなことを話すディークに、リリーナが激高する。
「自分の国が襲われるかもしれないロイを、どうして苦しめることを言うの!」
「いや、おれは万が一のことを・・」
「あなたには分からないわ!自分の国の民が苦しめられる領主の気持ちなんか!」
「リリーナ様、落ち着いてください」
ボールスの言葉に、リリーナは我に返る。
「ロイ様をかばう気持ちは分かります。しかし今は口論をしている場合では・・」
「・・・・そうね。ディーク、ごめんなさい」
「いや、俺も言い過ぎた。悪かったなリリーナ、ロイ」
「・・みんな、すまない。でも僕は大丈夫だ。だから・・」
その時、部屋の扉が勢いよく開いた。
リリーナの護衛隊長であるウェンディが、息を荒げながら伝令を伝える。
「リリーナ様、ロイ様、大変です。フェレがアラフェン候の率いる反乱軍に強襲され、壊滅的被害を受けたとの報せが!」
「何ですって!」
「・・・やりやがったか」
報告にリリーナは驚愕し、ディークは歯軋りをする。そしてロイは言葉を失い、呆然と立ち尽くす。
「エリウッド様達はどうなったのだ、ウェンディ」
「エリウッド様及び主な臣下の生死は不明。反乱軍はそのまま進路をラウスにとり、このオスティアに向かっています」
「・・・ロイ」
「・・・可能性がある限り僕はあきらめない。まずはラウスにむかおう!ウォルト達と力を合わせて、反乱軍を倒す!」
現実を受け止め、すぐに冷静な判断をくだす。ロイは己を見失わなかった。
(へっ・・さすが“英雄”だな)
ディークはそう思うのであった。


140: 手強い名無しさん:05/09/30 00:24 ID:YUjjS87.
随分と久々に書きます

6章 竜の血

「イドゥン、足とかは大丈夫か?」
「ええ、斜面が急だけど大丈夫・・・」
エトルリアからリキアへと渡るのには山を越える必要があった
(海路もあるのだが金が足りないとの事で山越えにした)
ルトガーは途中に魔物が出ないかと思っていたが出る気配はなかった
「ここだ」
「ここは?」
「以前、西方へ遠征に行く時この洞穴を通ればわざわざ山頂まで回らずに済むと聞いた」
「それでルトガーさんは崖みたいな所を?」
「そうだ。この方が少々危険だが早いと思ってな」

そうして4人は洞穴へ入っていった

暗いが結構広く途中に景色を望める穴もあいていた
水がポツポツと落ちる音を聞いていたがルトガーは
「待て・・・」そう言うと
「何かいる」

4人は戦う構えをした。その瞬間
「きゃーー!」
「イドゥン!?」

141: 手強い名無しさん:05/09/30 00:38 ID:YUjjS87.
イドゥンが何かに手と足を絡めとられ、上へと上げられたのがわかる
光が少し入ってくるが何かはわからない

「ちっ・・・何だ!?」
「待って、石で照らしてみる!」
ファが神竜石の光で何かを照らした
すると・・・
「これは・・・植物?」
「わっ!危ない!」

「ルト・・ガー・・」
「イドゥン、・・くそ!
フィル、ファを守りながら戦え!」
ルトガーはそう言い放つと植物の魔物に向かって斬りこんでいった
「ファ、側を離れないでルトガーさんを助けてあげて!」
「うん!」
フィルとファは向かってくる触手を切り倒し、焼き払いながらルトガーに向かってくる触手を減らしていった
一方イドゥンは手と足が縛られていて何もできないがルトガーが自分の元へ来ているのをみて少し安心していた
「イドゥン!」
「ルトガー!」
「待ってろ、今叩き斬る!」
剣を構え、彼女を縛っている触手を全部斬り払うと崩れ落ちる彼女を抱きかかえ、フィルのところへ駆け下りた
「フィル、どうだ?」
「どうにもこうにも・・・数は減ってるけど多すぎですよ」
「く・・3人で何とかできるか?」

その時だった
手斧が後ろから飛んできて触手を瞬く間に斬り倒した
「今のは・・・?」
「よおルトガー、苦戦してるみたいだな?」
「ディーク?それにクラリーネにクレイン将軍」
「あなたが向かうと聞いて不安に思ったらこれですもの」
「話をしている場合じゃないよ。あれを倒さないとね」

142: 手強い名無しさん:05/09/30 00:53 ID:YUjjS87.
かつての相棒ディークに仲の良かったクラリーネにその兄のクレインがかけつけてきた

「恐らくあの本体を倒せばいいだろう」
「よし!任せろ!」
「私もやりますわよ」
ディークは手斧を投げて邪魔なものを斬り、クラリーネはエルファイアーで焼き払った
「あれだな。よし!」
クレイン将軍は自慢のミュルグレで植物の本体と思われるところを居抜いた。だが、手応えはあまりない
(斬ったほうが早いのかもな・・・)
ルトガーはそう思うとフィルと共に斬り込んで行くが、硬くて斬れそうにはない
「ち、やはり炎系で焼くしか無いか・・・」
「う・・・ルトガー」
「イドゥン?」
「ごめんなさい」
「もういい、それよりあの本体を何とか炎で焼けないか?」
「・・・もしかしたら竜語魔法で効くかもしれない」
「竜語魔法?」
「詳しい話は・・・後にしましょ」
「そうだな・・詠唱に入れ。クラリーネもフォルブレイズで援護頼む」
「言われなくてもでしてよ!」

全員一気に攻撃に出た
ファはイドゥンの側で邪魔な触手を焼き払って、残りは向かってくる触手を倒して行く

「今、ファ。どいて。・・・みんな下がって!」
イドゥンがそう言うと手から紅蓮の炎となって魔物に向かっていった
「ファラフレイム!」
炎は魔物の本体に直撃し、間も無く魔物は倒れた

「イドゥン、大丈夫・・・じゃないな。オスティアについたらゆっくりと休ませるか・・・」
「ルトガー、あの魔法は?」
「詳しくはわからん。それよりお前達はどうするんだ?」
「ルトガーと一緒に行くよ。あんな化け物がいたら大変だ。僕達も協力するよ」
「クレイン将軍・・・すまないな」

ルトガー達は洞穴を抜けるとオスティアへと辿り着いた

143: 手強い名無しさん:05/09/30 00:55 ID:YUjjS87.
えーとすみません・・・更新しなくて放置しっぱなしで
一段落して落ち着いたので更新していけると思います

144: 7章リキア地方へ:05/10/15 01:25 ID:qK25cVGs
オスティアへ辿りついたルトガー達はまずリリーナに会う事にした
「ここか」
「そうだね」
ルトガーはオスティア城の城門についた
「すまないがリリーナ嬢に会いたいのだが・・」
「お名前は?」
「ルトガーだ」
「ルトガーさんですね。しばらくお待ち下さい」
「あれ?ルトガーさんじゃないか」

後ろから懐かしい声がした
「・・・オージェか?」
「やっぱりルトガーさんだ。みんな揃ってどうしたんだ?」
青い髪のした青年が問いかけた。それに対しルトガーは
「わけは後で話す。リリーナ嬢に会いたいのだが・・・」
「ああリリーナね。あ、君。この人達は親友だからわざわざ通す必要はないよ」
「はっ、わかりました」
「どうぞ中へ入ってください」
「わかった」

ルトガーは何故オージェがリリーナ嬢を呼び捨てして呼ぶのが不思議で問いただしてみると二人は戦いの後結婚してオージェはオスティア領主・・・ではなくリリーナの側近という形らしいと言う事だ
リリーナに会う前にルトガーはイドゥンを休ませる必要があると言い、別な部屋へと連れて行った

「・・・イドゥン、気がついたか?」
「・・・ルトガー?」
イドゥンは疲れているのか顔色が悪かった
「お前はここで休んでいろ。戦った後だ。無理は禁物だ」
「・・・私も行く」
「駄目だ。ここでゆっくりしてろ」
そう言ってルトガーはイドゥンをベッドに横にさせて寝かしたあと部屋を出ていった
「・・・ルトガー・・・」

その後ルトガーはリリーナと会い、話をした
話の前にこれまでに調べた事を話し、事情を説明すると彼は魔物の事や被害など、詳しい事を聞いた
「そう・・・今のところ被害はでていないわ」
「そうか、だが早いうちに破壊するのがいいだろう」
「ルトガー。私にはお手伝いはできないけれどロイを訪ねてみて。きっと力になってくれると思うわ」
「感謝する。リリーナ嬢」
「リリーナでいいわよ。ルトガーはいつもそうなんだから・・・」


145: 手強い名無しさん:05/10/15 01:26 ID:qK25cVGs
今後の行く先はフェレへ行き、ロイと会う事になった
だが連日旅をしているため疲れていたので2、3日滞在することにした

「ふう・・・イドゥン、・・・寝てるのか」
そぉっと彼女の顔を見てみた
「・・・天使みたいだな、かつて魔竜だったのに今は一人の神竜の女性・・・か」
ルトガーはもの思いにふけると
「・・・安心しろ。お前は俺が守ってやる」
そう言ってルトガーは眠りについた


「・・・・・・ルトガー?」
イドゥンは彼が側にいるのに気がついた
「もう・・心配・・ルトガー?」
彼女とルトガーがだんだんと離れてゆく
「ルトガー、お願い行かないで!」
次第に彼女の目には映らなくなった
「ルト・・・ガー・・・」
「何を恐れている・・?」
突然声がした
「だ、誰・・・?」
「我が妃よ、何を恐れる必要があるのだ?」
「き・・・さき?」
「そうだ。我が妃、イドゥンよ」
「・・・あなたは誰なの!?」
「我は黒竜王ティアマット。そなたは我が妃なり」
「・・・・・・来ないで!!!」

ルトガーは大きな声に目が覚めた
「イドゥン!?」
「・・はっ・・・はぁ・・・」
「どうした?何か悪い夢でも・・・?」
「・・・ルトガー」
「・・・少し風にあたる方がいいか」
ルトガーはイドゥンと一緒にベランダへと出た
「・・・イドゥン、どうしたんだ?」
彼女は震えていた
「・・・ルトガー、あなたがいなくなる事は・・・ないよね」
「俺はお前の側にいる。お前を守るためにな」
「ルトガー・・・」
「今は休むといい。2、3日はここは動かないからな」
「・・・私、夢を見たの。あなたが遠くへ行ってしまって私が黒竜の妃に・・・」
「!?」
「ルトガーお願い、約束して。ずっと・・・一緒にいてください」
「・・・イドゥン。お前を守るんだ。ずっと一緒にいてやるよ」

そして夜が更けていった・・・

146: asss:05/10/15 21:26 ID:601lJXN2
次の朝、何の前触れも無く全員消えた

147: 8章休息の日:05/10/16 01:37 ID:xdPffgOI
朝になるとルトガーは町へと向かった
「・・・風景は変わって無いな。まだ半年しかたっていない」
半年前にオスティアで反乱があり、その時ルトガーはロイのリキア同盟軍に所属しており一員として戦っていた
「・・・あれから半年。戦いが終わり2ヶ月か・・・」

「・・・ルトガー?」
イドゥンは目が覚めるとルトガーがいないのに気づいた
「どこへ行ったのかしら・・・」
部屋を出て探しに行った
「・・・・・・」
「あ、イドゥン。目が覚めた?」
声をかけてきたのはリリーナだった
「ええ・・・ルトガーは?」
「ルトガーなら町に行くとか言って一人で出かけたみたい」
「そう・・・私も一緒にいいかしら」
「いいわよ」

ルトガーはいつも通り、闘技場へ向かった
「親父、掛け金はいくらだ?」
「760ゴールドになるぜ」
「よし、じゃあ掛け金だ。相手は?」
「あっちだ」

「ルトガーのことだからきっと闘技場に行ったんでしょうね」
「とう・・ぎ・・・じょう?」
「行けばわかるわ」

148: 手強い名無しさん:05/10/16 01:37 ID:xdPffgOI
「はぁ!だぁ!」
「見て、ルトガーよ」
「ルトガー。どうして戦っているの?」
「ここは腕を磨いたりお金をかけて戦うのよ。もちろん命もかけて戦うからそこは注意だけど降参があるから大丈夫」
「・・・・・・」
「見て!」

「・・・遅い」
敵の攻撃はろくに当たらず
「次で終了だ。・・・・・・七星剣!」
ルトガーが一瞬構えたかと思うとすれ違いさまに斬りつけた
「すごい・・・」
「ルトガーって・・・あんな風だったの?」
リリーナは少し驚いていた。軍で見る彼とは違う姿だったからだ

「・・・次はどこへ行く?」
ルトガーはあてもなしに歩いていた
「イドゥンも連れてくるべきだったか?」
「ルトガー」
「イドゥン?いたのか」
「あなたが闘技場で戦っているの見てたのよ」
「リリーナもか」

3人は公園で話をすることにした
「・・・そう言えばロイはどうしている?ソフィーヤと結婚したと聞いたが」
「えーと今フェレで復興している最中みたい。あ、そう言えばロイって半竜人なんだって。ルトガー知ってた?」
「いや、初耳だ」
「ロイの母さんが竜でその人とエリウッドおじ様の間にできたのがロイなんだって」
「そのことをお前は知っていたのか?」
「ううん、最近よ」
「・・・半竜人」
「どうかしたのか?」
「いいえ・・あの人はまだその血が覚醒していない。もしそうであれば時の流れは遅いはず・・・」
「竜は時が流れるのが遅いからか・・・」

149: 手強い名無しさん:05/10/24 20:23 ID:jU/ZQWrM
おもろいですね
つづき待ってます

150: 手強い名無しさん:05/10/30 01:17 ID:UfcOtkdY
しばらくして昼が近づいていた
「・・・腹減ったな」
「あ、近くに行きつけにレストランあるの。行ってみる?」
3人はリリーナの良く行くレストランへと足を運んだ
「ルトガー何食べるの?」
「そうだな・・・和食はあるのか?」
「和食・・・サカの方のは少しだけど」
「それにしよう。イドゥン、お前は何を食べる?」
「えーと・・・それじゃコーンスープとあとサラダと焼き魚を」
「決まりね。店員さん、私はいつものでお願いしまーす」
「かしこまりました」
注文したものが来ると
「いただきまーす」
リリーナは明るくそういった
「・・・味は悪くないな。この店」
「・・・・・」
「どうした?」
ルトガーは食べずにイドゥンがこちらを向いてるのに気がついた
「・・・不思議な食べ物」
「?」
「ルトガー、彼女サカの料理を知らないから・・・」
「無理もないか。サカに行った時思う存分食わしてやる」

食べ終わるとまた町へと出た
「・・・ルトガー、何か買ってあげたら?」
「俺がか?」
「そ、似合いそうな物があるかなぁって」
「・・・」
身だしなみとかそういうものにうといルトガーは彼女に何が合うか少し考えた
「・・・若い女性、竜、神秘的な感じ、容姿端麗、か」
考えがつくと
「・・・いい店はないか?」
「あるわよ。こっちこっち」

151: 手強い名無しさん:05/10/30 01:18 ID:UfcOtkdY
店につくなりルトガーは竜の形を模したペンダントと指輪を買った
「それに名前を入れてくれ。ルトガー・リルスと」
「わかりました!しばらくお待ちください」
「・・・?」
「で、ペンダントと指輪を買うの?」
「考えたらこれがいいと思ってな」
「6000ゴールドになります」
「丁度だな。これだ」
「ありがとうございました。またお越し下さい」
「イドゥン、着けてみるか?」
「ええ、ありがとうルトガー」


城へ帰るとイドゥンはルトガーにこう聞いた
「ねぇルトガー何故あなたの名前を入れたの?」
「理由が必要か?」
そういうとイドゥンはうなずいた
「・・・お前に忘れてほしくない」
「えっ?」
「戦いが終わればまた旅に出るかもしれないからな。お前には俺の事を覚えて欲しい。知らずに消えて行くのはお前も嫌だろう?」
「・・・私が忘れない?」
「それにお前は竜だ。1000年以上生きる事が普通。俺は人間でせいぜい80年か90年、100年が限界だ」
「そんなっ・・・」
「・・・残酷なものだな。運命や種族というのは」
そう言うと彼は去っていった
「・・・種族?」

その夜、ルトガーはあることを考えていた
「やはり正直に話したほうがいいのだろうか・・・」
ベッドに入るが中々寝付けず、テラスに居た
「いくら俺が神秘的な女性に弱いとは言っても・・・言わない方がいいのか」
振り向いてベッドに向かおうとすると
「イドゥン」
彼女がいた
「・・・寝れないのか?」
「ええ、だから少し話をしようかなって・・・」

「ねぇルトガー、時ってあなたと私では違うの?」
「違うと言えば寿命が違うくらいだろうな。お前はまだ生きて俺は老いて死んで行く。それが普通だろう」
「・・・もし、ルトガーが竜だったら何をしたいの?」
「俺が?・・そうだな、一番大切なものをずっと守っていきたい。それが俺がしたいことだな」
「そうなの?」
「そうだ。・・・イドゥン」
「なぁに?」
「・・・それ、ずっと着けていろ」
「ええ、ありがとうルトガー」

そうして3日後、ルトガー達はフェレへと向かうのだが・・・
その日の朝
「ルトガー、これ」
「これはデュランダル。何故こんなものを?」
「これルトガーが今まで使っていたでしょ、だから渡しておきたいと思って」
「・・・そうか」
「あ、ちゃんと手入れしてあるから大丈夫よ」

ルトガーはリリーナからデュランダルを受け取り、フェレへと向かった

152: 手強い名無しさん:05/11/19 23:53 ID:57hyHuOk
続き待ってます
まったりとぜひ続けてください

153: 9章再会の時:05/12/13 00:41 ID:MDU4aCls
数日してルトガー達はフェレへとついた
「ここがフェレか。来るのは初めてだな」
空を見ると天馬が飛んでいる
「あれはティトだね」クレインが上を見て言う
「ちょっと待った。君達は・・・」
赤い鎧を着た騎士が話しかけて来ると
「ルトガーだ。ロイに会いに来た。相変わらず汗かいているな・・・」
「ルトガー・・・?ああ、君か。城であればこっちです」

赤い鎧を着た騎士に案内されるとフェレ城についた
「どうぞ中へ」
「すまないな」

中へ入り、広間へ案内されると
「ロイ様、客人が参りました」
「お客?」
「久しぶりだな・・・」
「ルトガー!それにみんなも」
「・・・イドゥンもだ」
「・・・?どうして彼女が?」
「わけを話そう」

154: 手強い名無しさん:05/12/13 00:42 ID:MDU4aCls
ルトガーは今まであった事を人とおり話すと
「・・・まさかそんな事が起きているなんて」
ロイは驚いた表情でその話を聞き終わった
「被害が拡大する前に止めなければならないんだ」
「でも、場所はわかっているんだろう?だったら協力して・・・」
「・・・あなた、あの・・・」
ロイの妻であるソフィーヤが不安気な顔をして話かけてきた
「なんだいソフィーヤ?」
「話を聞いていて・・・何だかベルンの方に・・・黒いものを感じます・・・」
「黒いもの・・・?」
「・・・奴は復活しつつあるのか?」
ルトガーは黒いものが何なのか少し感じ
「まだわかりません・・・私にも感じる程度で・・・」
「そうか」と納得した
「ルトガー、私達はこれから魔石を破壊してそれからティアマットを倒す・・・のね?」
イドゥンが何やら心配そうに聞いてきた
「そうだが何か?」
「・・・破壊したとしても倒せるのかしら」
本に書いてあるとおり、あの武器が無ければ倒せないだろう。だが
「心配するな。デュランダルがあるから最悪武器が壊れても何とか倒せるだろうな」
リリーナからもらったデュランダル。前の戦いでルトガーが常に持っていた
人竜戦役の時勇者ローランが使っていた烈火の剣である
「そう言えばお前の親父も使っていたのだろう?」
「その通りだよ」

155: 手強い名無しさん:05/12/13 00:43 ID:MDU4aCls
後ろから声がすると
「父さん、母さん」
ロイの父親エリウッドと母親のニニアンが2階から降りてきた
「調子は大丈夫なの?」
「心配ない、この通り元気だよ。してルトガー・・・と言ったね」
「そうだ」
「ふむ・・・中々良い目をしているな。今日はティア・・・何だっけ?」
「ティアマットですよ、あなた」
「そうだそうだ。話を聞いていたのだが戦うと聞いたよ」
「・・・・・・」ルトガーは黙って聞いていた
「しかしそれで倒せるとは私には思えないな。戦った火竜とも違う存在の様に思えるんだ」
「・・・存在が?」
ルトガーには竜と同じものと感じている
「うむ、何か・・・この世界とは違う何かがね・・・」
「・・・そうか」

昼が過ぎ、ルトガーはイドゥンと一緒に散歩に出た
「・・・ルトガー、さっきの事だけど」
「・・・何だ?」
「もし倒せなかったら・・」
「考えるな」とっさにルトガーは否定した
「その事を考えると勝てるものも勝てなくなる・・・」
「でも私・・・ルトガーの事が心配なの」顔を赤らめてイドゥンは言った
「あなたに死なれたら私・・・」
「イドゥン・・・」ふっと頭から押さえるようにすると
「すまないな・・だが死ぬことは何とか避けてみよう」
「ルトガー・・・」

156: 手強い名無しさん:05/12/13 00:47 ID:MDU4aCls
「母さん、あの二人をどう見る?」
「?どうって・・・」
「何だか二人とも雰囲気が全然違うように思うんだ。まるで昔の君みたいに」
「・・・もしかすると竜?」
エリウッドとニニアンがテラスから二人を眺めて話をしていた
「少なくともそう思えるね。まぁ良いんじゃないか?雰囲気も良いみたいだしね・・・」
「あなたったら・・・」
その頃・・・
「お姉ちゃん!」
「ファ、おいで・・・」
「元気にしてたかい?」
繋がりのある3人。3人とも竜である前に一人一人が人間でもある
「ああいうの見てると家族っていいものだね」
「何だよホームシックか?」
「違うよ。僕にもああいう支えてくれる人がいたらって・・・ね」
「あら兄様。私がいましてよ」
「そうだったね。でもクラリーネには・・・」
「・・・その事は控えてくださらないでしょうか?」
「・・・ごめんね」
この3人も家族同然の繋がり
笑いあい、時には支えあいながら過ごして行く・・・
二人にはそれがあるのだろうか?
二人を繋ぎ引き寄せるものは・・・?
それを知る事がこの旅の目的なのかもしれない
人であるが人と触れる事を恐れるがただイドゥンには心を開くルトガー
竜であるが人に興味を持ち何故と考えたが故に利用され人から恐れられる存在になったがルトガーの事を思うイドゥン
あの戦いから3ヶ月。彼にはある考えがあった
このまま一人で生きるかそれとも共に生きる事を選ぶか
復讐を果たした今、共に生きることは必要ないと感じた
だが今は違う。一人の竜であり一人の女性を好きになってしまったからだ

157: 手強い名無しさん:05/12/13 00:49 ID:MDU4aCls
(果たしてイドゥンは共に来てくれるだろうか?)
ただ、彼女の事が頭に浮かんだ
小さな木の元でゆっくりしている。イドゥンはルトガーに寄りかかるようにして寝ている
「・・・イドゥン」
すーすーと寝息を立てながら彼女はゆっくりと寝ている。いつ魔物が襲ってくるかわからないのに
「・・・まったく、俺も素直じゃないな」
「・・・ルトガー、・・・ずっと・・・いてね」
寝言だ。だがそれは本当に寝言であるのか疑わしいくらいの自然な寝言だった
「・・・ずっとそばに・・・」
「・・・参ったな。おいフィル!城へ行くぞ」
木の上にはフィルが居たのでそう呼ぶと
「あ、はい!ついでにリンゴ持ってきましょうか?」
「そうしてくれ」

城へ着くともう夕方を過ぎていたので夕飯を食べた後、風呂に入った
「ふぅー」
「ルトガー、体洗おうか?」
「頼む」
ロイがルトガーの背中を流していると
「ところでルトガー、彼女とはどういう関係なんだ?」
「どういう?」
「そっ、恋愛とか異性とか」
「・・・お前、いつからそんな考えが」
「嘘はいかんぞ」
風呂の戸を開けてエリウッドが入ってきた
「父さん」
「いいか、女の人は場所と時間を選んで話すんだ。私も・・・」
「・・・まったくあの人ったら」
ニニアンが向かいの話を聞いていた
「ロイ様も・・・元気でなによりです」
「・・・・・・?」
イドゥンは何の話か理解しきれてないようだ
「あ、良いのよ。私達の話しだから」

「まったく・・・体を流すつもりが逆に疲れたぞ」
30分程彼らの話しに付き合わされていた
「今日はもう寝よう」
「ルトガー」
「イドゥン?」

ベランダに二人は出た
「・・・こんな時間にどうしたんだ?」
「ルトガー・・・」
「・・・・・・大丈夫か?何か気になる事があれば言え」
不安気な表情を浮かべて彼女は
「・・・私、あなたの前から消えそうな気がして・・・」
「消える?」
「ええ」
「俺は消えたりはしない。ずっとお前の側に居続けてやる」
ルトガーは否定した
「・・・本当に?」
「本当だ。居続けよう。お前の側に」
「ありがとうルトガー・・・」

翌日、ルトガー達はサカへ向かおうとするが・・・
「ルトガー待ってくれ」
ロイがひきとめた
「なんだ急に」
「僕達も連れて行ってくれないか?」
「家はどうするつもりだ?」
「父さんと母さんがいるから大丈夫。話を聞いて二人で我慢してられなかったんだ」
「二人?」
ロイのすぐ後ろにソフィーヤがいた
「彼女も一緒に行く。大事な人だから・・・」
「わかった。じゃあ向かうぞ」

158: 手強い名無しさん:05/12/13 00:50 ID:MDU4aCls
えーとテストやら旅行やらで忙しかったのですみません・・・
少しずつ更新していくつもりです

159: 手強い名無しさん:06/01/09 23:02 ID:lm3QGbcs
10章記憶の彼方
サカへ向かうこと1週間。ようやくサカに入った
「・・・広い・・・」
髪が風で靡く中イドゥンは言った
「町へ向かうぞ」
近くの町へ向かいそこでどうするかを話し合うことにした
「ルトガー、ベルンへ真っ直ぐ向かったほうが良いんじゃないのか?」
「いや、何か他に資料は無いかと思ってな。もしかするとサカやイリアにもあるかもしれないからな」
ロイとルトガーは話し合っている様子だ
その頃他の皆は
「綺麗・・・」
「何か買ってくかい?」
「・・・それじゃその水晶でできた竜の首飾りを」
「ああ、これね。500ゴールドでいいよ」
「・・・ありがとう」
イドゥンはルトガーに首飾りを買って
「へぇ・・・はじめて見たけど緑が多くてきれいだね。ここは」
「兄様。景色も良いですけど空気もきれいですわよ」
「ま、たまにはこういうところもいいかもな」
クレイン以下3人は町の公園で散歩していた
「で、資料がある可能性が高いということなのかい?」
「恐らくはな。大きい国だからピンからキリまで探せばあるかもしれん」
「うわ・・・それは大変だね」
「人事のように言うなよ・・・」
一段落ついたところでルトガーは町に出てイドゥンを探した
「あいつ・・・どこにいるんだ?」
ただ当てもなく歩き回っていると
「あ、ルトガー」
後ろから懐かしい女性の声がした
「その声はスーか」
「何故ここに?旅の途中?」
「まぁ、そんなものだな」
「そう。村には帰らないの?あそこは・・・」
「スー、それは俺が決めることだ。勝手にしてくれ」
「・・・わかった」
馬に乗りスーは町の外へと去って行った
「イドゥン。どこにいるんだ?」

160: 手強い名無しさん:06/01/09 23:03 ID:lm3QGbcs
「・・・風」
一人草原に出ていたイドゥン。彼女は彼が来るのを待っていた
「ルトガー」
「こんな所に居たのか」
「どうしてわかったの?」
彼に聞いても
「別に歩き回っていただけだ」
「そう・・・あ、そうだ。・・・これルトガーにあげる」
右のポケットから買った首飾りを差し出すと
「水晶でできた竜の首飾りか。お前が作ったのか?」
「いえ、違うわ。お店で売っていたのを買ってきたの」
「珍しいな。サカで水晶が取れるとは」
そう言いながら彼は首に着けた
「うん。似合ってる」
不思議に思ってルトガーはイドゥンを見ていたが二人で町へと戻った

その夜、ルトガーは一人で草原へと出て寂れた村へと向かった
「・・・変わって無いな。あの時から」
そして一つの家へと入った
「ベルンに襲われた時から変わって無いな・・・」
その家はルトガーが家族で暮らしていた家だった。今は家の扉は壊れて、屋根や壁は穴が空いていた
「・・・・・・戻ってきてよか」
後ろから突然音がした
「誰だ!・・・・・・この!」
「きゃぁ!」
外に居た何者かをつかんで投げるとイドゥンだった
「イドゥン!?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「何でお前が?」
「クラリーネやロイに聞いたら外に出ていったって言ったからそれで・・・」
「夜は危険だと言っただろう!・・・まぁいい、側にいろ」
「うん・・この家、ルトガーの?」
「何故わかる?心でも読んだのか?」
「えっ。どうしてわかるの?」
前にソフィーヤに腹が減っているのを察知されてわざわざ食べ物を出してもらった覚えがあった
「前にソフィーヤに心を読まれてな。もしかしたらその類かも知れないと思ったからだ。・・・そうだな。心を読むと言う事は人の思い出も読めるということだろう?」
イドゥンは不思議に思ったが
「・・・?ええ。生まれた時まで遡ることができるわ」
ルトガーは少し笑いを浮かべると
「丁度良い。俺の過去の思い出を遡って見てみろ。遠慮は要らない」
「え、えーと・・・それじゃあ・・いい?」
二人は手を繋ぐとイドゥンは詠唱をして二人共瞑想するかのように入った

161: 手強い名無しさん:06/01/09 23:05 ID:lm3QGbcs
(何が見える?)
(今あなたが戦っているのが見えるわ。雪が降っている)
(イリア地方・・・最近の出来事だな)
(ここは・・船の上かしら)
(多分エトルリアから西方へだな。あるいは西方からミスルへか)
(・・・馬?それに女性が・・・)
(クラリーネか。初めて仲間に入った時だな)
(ねぇルトガー、これは?)
(・・村が襲われた時の状況だな)
(・・・ごめんなさい。あ、でも何だか滝に上っているのが見える)
(近くの山だな。あの時何があるか興味津々だったな・・・そろそろ少年時代か)
(うん。一人で何だか木の棒を振っているけれど)
(ん〜多分剣を振る真似をしていたんだな)
(・・・?)
(どうした?)
(・・・これは?)
(・・・・・・何だコレ?記憶にないぞ。生まれた時のは?)
(いえ・・・ここが生まれた時の記憶みたい)
(何だと!?)

「イドゥン、さっきのが俺の生まれた所なのか?・・・じゃあ俺は・・・」
「落ち着いてルトガー。仮にそうだとしてもあなたが人である事には変わりはないわ」
「俺は何者なんだ?人だということはわかった。だが真実は何だ?」
「それは・・・終わったら探しに行きましょう。私もあなたの事が知りたいから」
ルトガーを落ち着かせると二人は町に戻ろうとしたが
「!?」
イドゥンが何か驚いたような声を出すと
「どうした?」
「・・・何か来てる」
イドゥンが指を指すとその先に魔物の大群が迫ってきている
「イドゥン、町に向かってロイ達にこの事を伝えろ」
「えっ!でも・・・」
「早くしろ!奴らは町に向かってきている!」
「う、うん」
急いでイドゥンは町へと走って行った
「・・・来い!」

町につくなりイドゥンはロイに
「大変!ルトガーが・・・」
「ど、どうしたんだ?そんなに慌てて・・・」
「町の外に魔物の大群が来てるの!彼、一人で戦おうとしてるの。お願い、力を貸して!」
「な、何だってー!ソフィーヤ、みんなに伝えて助けにいこう!」
「ええ、ファ!フィルさんにこの事を伝えて!私はクラリーネさん達にこの事を伝えるわ」
「うん!わかった!」
「ルトガー・・・どうか無事で」

162: 手強い名無しさん:06/01/09 23:06 ID:lm3QGbcs
「はぁぁ!!」
ルトガーは魔物共に向かっていき剣で切り払う
「お前らに町を襲わせるわけにはいかん!」
払い抜けると50体前後の魔物が一気に倒れたがそれでもまだ多くいる
「まだまだ!」
ルトガーが交戦していると後ろの方から炎が飛んできた
「よし!・・・当たったな」
「ロイ、来ていたか」
「みんなもすぐに来るからもう大丈夫さ」
「いや、そういうわけにはいかないようだな・・・」
ルトガーの眼差しの先には巨大なドラゴンゾンビがいた
「な・・でかい!」
「ルトガー!」
「イドゥン、魔法で辺りの敵を倒してくれ」
「わかった。気をつけてね・・・」
ルトガーは心配するなと言うような顔をして向かっていった

「一体何匹いるんだ!」
「そんな事言う暇あったら斬りかかれ!」
魔物の数が膨大なのを見てイドゥンは
「・・・ファ、回りを少し見ててくれる?もし魔物が襲ってくるような事があったらそれは倒して」
「うん。わかった!」
「・・・風よ。我が前に立ちはだかる敵を吹き飛ばせ・・・」
「こんのー!」
「・・・フォルセティ!」
イドゥンの回りが風で覆われると辺りに強い風の流れが吹いた
「きゃっ!」
「わわ!何かつかまらないと飛ぶぞ!」
「このまま飛んで奴らを切り伏せる!」
ルトガーは風に身を任せると空中へと飛んで行った
「このっ・・・!」
空中で魔物がバサりと斬られて行く中、地上からも
「!・・・クレインの弓にクラリーネか。これなら効果が続いている間に・・・!」
倒した魔物の死骸を足場にして空中を飛びまわりながらルトガーは剣で斬り続けた
やがて
「ルトガー、ファに乗って!効果が切れるわ!」
ルトガーは飛んできたファにつかまると
「このままあいつを斬る!イドゥン、クラリーネ、炎系の魔法で攻撃しろ」
「ええ、わかった」
「そうこなくてはね」
「封印の剣、その身に受けてみろ!」
ロイが封印の剣で炎を撃ち出すと
「フォルブレイズ!」
クラリーネの魔法で追い討ちをかける
「相手が何者でも、人を傷つけることは許さない!」
「でけぇ図体してボケっとしてるんじゃねぇよ!」
「魔物相手でも僕は立ち向かう!」
フィル、ディーク、クレインがそれぞれ攻撃を仕掛けた
「このー!」
「アポカリプス!」
「はぁ!これでどうだ!」
「ファラフレイム!」
全員で総攻撃を仕掛けた。だが
「まだピンピンしてるぞ・・・」
「くっ・・・ならば!」
ルトガーが斬りにかかったが、不意に敵の尻尾がルトガーに直撃した
「ぐっ・・・!かは」
「ルトガー!」
血を吐いている。それ程重傷なのだろう
「・・・許さない」
「お姉ちゃん?」
イドゥンはポケットから竜石を取り出すと
「私の大切な人を傷つける事は許さない!」
「イドゥン!!!やめろ!!」
竜石が輝き、イドゥンはあの時の姿に変えた

163: 手強い名無しさん:06/01/09 23:07 ID:lm3QGbcs
(止める)
イドゥンは敵に飛びかかるとかみつき、魔法で攻撃した
(ファラフレイム!)
敵の体に直に当て更にブレスで追撃した
(効いてる?)
動きが少し鈍っているのを確認すると爪で首の所を掴み
(・・・受けなさい!)
再びファラフレイム放ちを今度は首に当てた
(・・・止まったかな?)
しばらく様子を見ていたが動く気配はしなかったのでイドゥンは元の姿に戻った
「はぁ・・・はぁ・・・」
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「ごめんね・・ファ。それにみんな」
「・・・イドゥン、まだ魔竜の力が残っているのか?」
「・・・そうじゃない。けれど変化する力は残っているわ」
「何故変化した。事になるだろうと言っただろう」
「でも私が今なってなかったら・・」
「・・・もういい。町に戻るぞ」
「・・・」
翌日、町の住民は外で見た事のないものを見ていた
「これなんだ?」
「知らないよ」
昨晩ルトガー達が戦った跡であった

「魔物の勢力が増大している・・・?」
「多分そうだろうな。急がねばならん」
「あなた、お客さんが・・・」
「誰だい?・・・スー?」
「ルトガー、これを渡しにきたわ」
「この本は?」
「事情は聞いたわ。これ、あなたたちの旅に必要になると思うから渡しにきたの。イリアには河を渡って北へ向かえばすぐよ」
「そうか、すまないなスー」
「いいのよ、それじゃ」

「で、どうするんだい?イリアへと向かう?」
「イリアへと向かう。その後ベルンへ」
ルトガー達は町を後にしイリアへと入っていった


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